Rude-α メジャーデビューEP発売記念ワンマンライブ「22」
Rude-α | 2019.07.22
7月15日、渋谷クラブクアトロ。5月にEP『22』でメジャーデビューを果たしたRude-αが、2度目のワンマンライブを開催した。フロアは彼と同世代の20歳前後の若者でいっぱい。すごい熱気だ。
18時を過ぎたころ、ギター、キーボード、ベース、ドラムのバンドメンバーが「Mirror Ball」のイントロを奏で、DJのISSEIが「I say Rude, you say α!」と観客を煽ったところへ、主役がステージに飛び出してくる。「お待たせ! 遊ぼうぜー!」としょっぱなからエンジン全開。会場の大小も観客の多寡も関係ない、いつものRude-αスタイルだ。
フロアにも一気に火がつき、歓声が上がる。右手を掲げて前後に動かす人、スマホをステージに向ける人、体を揺らす人──じっと立っている人はまずいない。僕の近くにいたグループはみんな一緒に歌っていた。そのまま「この夜を超えて」とメジャーデビューEPの表題曲「22」を続ける。後者はヒップホップらしいナンバーで、バンドサウンドのせいかミクスチャーロックっぽい印象。勢い満点の滑り出しである。
「楽しんでるかーい!(イェー!)愛し合ってるかーい!(イェー!)生きてるかーい!(イェー!)」と忌野清志郎チックなコール&レスポンス。2日前の大阪・梅田Shangri-La公演で酸欠で倒れた観客がいたそうで、具合の悪い人がいたら演奏中でもかまわず手を挙げるように促す。「(無理をして見ようとしなくても)ルードはもっとでっかいところでまたライブできるようになるから。自分の体調にいちばん気をつけろよ」──観客の体調を気遣う優しさと、夢や目標を大胆に口にする勇敢さ。これぞRude-α節である。
山梨から来たという女性客と少し話して、「純粋な瞳で僕を見つめてくれるお姉さんに一曲捧げます」とメロウな「グッバイベイビー」。さらに「highway」「Summer Melody」とラブソングを続ける。
「女の子とちゃんと喋れもしないくせに、恋愛もうまくないくせに、よくもまあ次から次へとラブソングを!」と自虐し、出演中の恋愛リアリティショー『オオカミちゃんには騙されない』(Abema TV)のエピソードで笑わせる。バンドが一度退場し、ISSEIと二人で「Take me back」。オーソドックスなラップ、ポエトリーっぽいフロウに歌と、彼のボーカルスタイルのショーケースのような曲だ。
ステージに戻ったキーボードの及川創介が奏でるピアノに乗せ、Rude-αは2年前に亡くなった祖父の思い出を語った。「悲しい別れだったけど、こうしてライブをするたびに新しい出会いがあって、人生ってすばらしいもんだって心の底から思うな、俺」と微笑む。「みんながいるから俺がいる。だからひとりだなって感じないでほしいんだ。いつだって俺の音楽があるからよ。ひとりにしない、誰も。目の前に泣いてる人がいたら、抱きしめて“愛してるよ”って伝えてあげてください。愛の歌を一曲歌います」と言って「Happiness」を披露した。
続いては新曲「Time on you」(7月31日にリリースされるシングル「LIFE」のカップリング曲)。ボーカルにエフェクトをかけ、フェイクも交えて歌い上げるバラードだ。バンドがステージに戻り、「世界は僕を置いて朝になる」。ビブラートをかけない甲本ヒロト的な歌声で、ともすれば陳腐にも響きかねないロマン満載の歌詞をみずみずしく響かせる。
ライブは後半戦へ。まずは今月放送がスタートしたアニメ『Dr. STONE』(TOKYO MXほか)のエンディングテーマ「LIFE」だ。原作を愛読していたそうで、主人公の千空(せんくう)が困難の中で必死に前に進んでいく姿を自分自身と重ねたという。常々「TWICEやあいみょんと同じステージで戦いたい」と語り、“POP”を標榜する彼の新たな本領ともいうべきポップソングだ。
続けて「Boy Meets Girl」を歌い、「残り2曲になりました」と言って「えーっ」と声が上がると、「大丈夫、大丈夫! 俺、こんなところで止まらないから」と返す。「3年くらい前から言い続けてるけど、俺は武道館におまえらを全員連れていくから! 誰ひとり置いていかない。俺の列車に乗り込む用意できてるかーい!」と煽って「Train」を歌い、盛り上がりは最高潮へ。観客のジャンプでフロアが揺れた。本編ラストは上京以来の3年間の集大成だという『22』のリード曲「wonder」。「大事なものは本当は自分のいちばん近くにあるんだよ、っていうメッセージを伝えたくて作りました」と、切々と思いを語った。
アンコールの声に応えて再登場、まずはISSEIのボイスパーカッションとの掛け合いで「19」を披露。もはやラップにもこだわらないRude-αのMCとしての矜持を見せた。そして「俺がいつもしてる遊び」と、ISSEIがプレイするアース・ウィンド&ファイアーの「September」のインストリミックスにラップを乗せる。ファンキーだが同時に華やかで親しみやすいこの曲を選んだことは、彼の音楽性を象徴しているように思えた。
「テレビをつけたらどうでもいいニュースばっかりやってるし、SNSを開けば誰かと誰かが揚げ足の取り合いをしててさ、すごい悲しくなる瞬間があるんだよ。(中略)受け入れてもらうよりも受け入れること、愛されるよりも愛することが大事なんじゃないか」と現代の風潮に言及し、スマホのライトを点灯するよう促して「きれいだなぁ。この明かりを見るたびに、自分が音楽してる意味を再確認するんだよ。生きててよかったなって思うんだよ。最後に17歳のときに作った大切な大切な曲を歌います」と語って「水平線の向こう」を歌った。
アウトロでは「出会ってくれて、ここまで聴いてくれて、生まれてきてくれて、笑ってくれて、泣いてくれて、愛してくれて、ありがとう。今日は俺のおかあも見にきてくれてるよ。俺、この人生でよかったぜ。産んでくれてありがとう!」と母親への感謝も交えてシャウトアウト。頭をよぎることはあっても照れ臭くて口にしにくい“きれいごと”を堂々と、真顔で、全力で吐いて、沖縄なまりの人懐っこさも手伝って不意打ち的に刺してくるのは、Rude-αのちょっとした奇跡だ。「具合悪い人いませんか?」と何度も問いかけていたが、その優しさがあればまだまだ伸びる。ルードはどこまで行くのか。やはり目が離せない男である。
【取材・文:高岡洋詞】
リリース情報
22
2019年05月29日
SMEレコーズ
2. highway
3. 22
4. 世界は僕を置朝になる
5. Young Love
セットリスト
ONE MAN LIVE「22」
2019.7.15@渋谷CLUB QUATTRO
- 01.Mirror Ball
- 02.この夜を超えて
- 03.22
- 04.グッバイベイビー
- 05.highway
- 06.Summer Melody
- 07.Take me back
- 08.Happiness
- 09.Time on you
- 10.世界は僕を置いて朝になる
- 11.LIFE
- 12.Boy Meets Girl
- 13.Train
- 14.wonder
- 01.19
- 02.September(カバー)
- 03.水平線の向こう
お知らせ
Rude-α presents."TEEDA vol.6"
10/25(金) 渋谷club asia
11/09(土) 沖縄 桜坂セントラル
出演:Rude-α and more
action ~清流REX MUSIC FESTA2019~
07/28(日) ぎふ清流文化プラザ2F 長良川ホール
Rude-α × OSAKA SCHOOL OF MUSIC
SPECIAL MINI LIVE
08/10(土) OSAKA SCHOOL OF MUSIC 内 LS-1
韻シスト主催「NeighborFood」
08/17(土) 心斎橋CONPASS
08/24(土) 代官山LOOP
出演:韻シスト/Rude-α
STUDIO MOXY set.1
09/07(土) Moxy Osaka Honmachi
出演:Rude-α / SASUKE / MICHAEL KANEKO / and more...
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。