ホーム凱旋公演となった「REVIVAL TOUR」初日。激動の一夜を徹底レポート!
KOTORI | 2019.11.21
ニューアルバム『REVIVAL』を引っさげ、全国22ヵ所をまわるKOTORIの全国ツアー「REVIVAL TOUR」。その初日はあまりにも特別な一夜となった。まず、場所が特別。会場の越谷EASYGOINGSは言うまでもなく彼らのホームグラウンドであり、KOTORIというバンドが育ったライブハウスだ。そして、その特別な場所で対バンを務めるバンドがcinema staffというのもまた特別。KOTORIのメンバーがシネマの大ファンというのはもちろんだが、世代こそ違えどライブハウスという場で闘い続けるバンド同士の強いリスペクトと絆が滲んだ、エモーショナルな2マンだった。
先攻はシネマ。当然のようにソールドアウトとなったフロアを埋め尽くした、KOTORIのTシャツやパーカーを着たファンたちを前に、飯田瑞規(Vo/Gt)の「いこう!」の一言からアンセミックな「HYPER CHANT」でスタートしたライブは、のっけからバンドのみずみずしい気合いを感じさせるものとなった。「KOTORIの大事な大事な初日に出られてうれしいです。先に言っとくと、KOTORIのこと大好きです。こんなバンドが売れてくれたらどんなに楽しいバンドシーンになるだろうって本気で思ってるんで」。たった1曲終えた時点で思いの丈をすべて話しきってしまうような飯田のMCにも、このライブへの思い入れのほどが窺える。
「OCEAN」「望郷」「日記」……新旧織り交ぜながら、今のシネマの充実ぶりとライブバンドとしてのスケール感を体現するようなセットリストが、先輩としてのプライドと同志としての愛情をステージ上から伝えてくる。「俺らのこと知らなくていいです。曲も知らなくていい。気持ちだけこっちに向けといて。俺らの決意の歌です」という飯田の言葉とともに鳴らされた「first song (at the terminal)」が、何度も原点に立ち返りながら前に進み続けてきた彼らのアティテュードを物語っていた。飯田の壮絶な歌声、そして辻友貴(Gt)が体全体で鳴らすリフにフロアからも何本もの手が挙がる。ホームかアウェイかでいえばもちろんアウェイ、しかしシネマにしかできないライブパフォーマンスは、KOTORIへのエールとしてたしかに響き、彼らにとって初めてというこのライブハウスに深い爪痕を残していった。
そして後攻のKOTORI。「cinema staff、ヤバかったっすなあ! もっとヤバいのやります!」という横山優也(Vo/Gt)の言葉に嘘はなかった。1曲目、アルバムのオープニングナンバーでもある「ライジング」でいきなり大合唱を巻き起こすと、フロアはいきなり興奮のるつぼに叩き込まれる。細川千弘(Dr)のパワフルなドラムと佐藤知己(Ba)の鋭いベース、そして曲をドラマティックに盛り上げる上坂仁志(Gt/Cho)のギター。力強いアンサンブルの上で横山のボーカルが感情をほとばしらせる――テンションの高いバンドの演奏が、一気に勢いを増していく。スタートから7曲、一言のMCも挟まずに駆け抜けると、横山が「改めましてKOTORIです! よろしくお願いします」と挨拶。ロケットスタートで熱くなったフロアを見渡して「あの……めちゃくちゃ暑いから冷やします(笑)。冷やすっていうか、また違う音楽の楽しみ方を」と笑うと、「どんな感じになるのか楽しみだった」というアルバムからのインスト曲「Eve of the revival」へ。歌はないが、体を大きく動かしながら音を鳴らす横山の姿が、そこに込められた感情をこれでもかと物語る。そこからの流れでアルバムのタイトルチューン「REVIVAL」へ流れ込むと、イントロで大きな歓声が上がった。曲の入りで歌詞を飛ばしながらも、この曲の横山の歌は圧巻だった。
『REVIVAL』は、KOTORIのルーツも、そして新たに手を伸ばした世界も、今できる最大限で表現しきった力作だが、そのアルバムからの楽曲を演奏したライブ中盤は、セットリストの中でも間違いなくハイライト。繊細な情景が描きこまれた「ラブソング」は熱しきったフロアに染み渡るように鳴り響いていた。「自分らにとって新しいことをやるっていうのは緊張します」――「ラブソング」を歌い終えた横山はそう言って照れくさそうな笑顔を見せた。たしかにそこには初めて見るKOTORIの姿があったが、このEASYGOINGSで積み上げてきたもの、折り重ねられてきたバンドの物語、その帰結として、この日彼らが奏でていた音には確かな手応えがあった。「僕らがここにcinema staffを呼ぶなんて誰も思ってなかっただろうな。なんかもう、ちゃんとせないかんなと思いました。背負うものは結構増えてきた気がするんで……だめだ、いいこと何も言えねえや」(横山)。そんな口下手な横山の言葉にも、本当に大きな思いが透けて見えた。「これから最強ゾーンなんで、思う存分やってってください」――結局、言葉を尽くして語るよりも、4人で鳴らす最強のロックのほうが何十倍も雄弁なのだ。
横山の「最強ゾーン」という言葉どおり(というか、この日は最初っから最後まで最強だったわけだが)、ここからは汗と涙が飛び散る怒涛の展開。「RED」、「EVERGREEN」、そしてライブハウス全部を巻き込んでのシンガロングを巻き起こした「素晴らしい世界」――喜怒哀楽その他、曲に注ぎ込まれたありとあらゆる感情を乗せて、「ここでやった中でいちばん最高です!」と横山はフロアにダイブしていく。「強くなって帰ってきます。それまでに、俺に負けないめちゃめちゃでかい羽を生やしてください」。そう言って鳴らされた「羽」は、この思い出の詰まった場所からさらに未来に向かっていくバンドの決意表明として聞こえてきた。
アンコールでは、横山と上坂がビールで乾杯。「もう誰も俺らを止めることはできない」と、自信というか覚悟の言葉も飛び出す。そんな強い言葉も、笑いながら、でも本気で言い放ってしまうのがこのバンドの魅力だ。そして鳴らされたのは「ここのことを歌った歌」という、そう「4号線」だ。「帰ってきました。また帰ってきます」。いつの間にか「帰ってくる」場所になったここ越谷とバンドの現在地、そして未来を結ぶ道を照らし出すように、4人の音が重なっていく。いや、4人だけではない。最初から歌いっぱなし状態のフロアも含めて、そこにいる全員のアンセムとしてこの日の「4号線」は鳴り渡った。その余韻冷めやらぬなか、「ダブルアンコールはしません。もう帰ろう」という言葉から、本編ラストに続いて2回目の「遠き山に陽は落ちて」。次に進むために、また帰ってくるために、すべてを振り切るようなロックを鳴らしきって、KOTORIのツアー初日は幕を下ろした。
ここから始まるツアーは、全国をまわって来年1月、マイナビBLITZ赤坂でファイナルを迎える。そのとき、『REVIVAL』の曲たちが、そして4人の演奏がどう成長しているのか。今から観るのが楽しみだ。
【撮影:藤川正典】
リリース情報
REVIVAL
2019年10月09日
small indies table
02.涙があふれそう
03.unity
04.羽
05.Eve of the revival
06.REVIVAL
07.雨のあと
08.ラブソング
09.海
10.Dive into your Dreams
11.遠き山に陽は落ちて
お知らせ
[KOTORI]
KOTORI REVIVAL TOUR (終了分は割愛)
2019/11/24(日) 千葉 LOOK
w/ fam (SOLD OUT!!)
2019/11/29(金) 神奈川 F.A.D yokohama
w/ bacho (SOLD OUT!!)
2019/12/05(木) 兵庫 神戸太陽と虎
w/ SuiseiNoboAz
2019/12/06(金) 岡山 CRAZY MAMA 2nd Room
w/ HAIR MONEY KIDS、zoo
2019/12/07(土) 香川 高松TOONICE
w/ uniTONE、ナードマグネット
2020/01/04(土) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
w/ さよならポエジー
2020/01/05(日) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
w/ LOSTAGE
2020/01/10(金) 東京 マイナビBLITZ赤坂(ONE MAN LIVE)
[cinema staff]
cinema staff「BEST OF THE SUPER CINEMA JAPAN TOUR」 (終了分は割愛)
2019/11/22(金) 北海道 Sound Lab mole
2019/12/08(日) 福岡 Queblick
2019/12/15(日) 埼玉 西川口Hearts
2020/01/11(土) 兵庫 ART HOUSE
2020/01/13(月・祝) 香川 DIME
2020/01/18(土) 宮城 仙台MACANA
2020/01/31(金) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
cinema staff presents 年忘れ泥仕合シリーズ
[名古屋編] 12/18(水) 愛知 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL
[新代田天獄編] 12/27(金) 東京 新代田FEVER
ホールワンマンライブ
「two strike to(2) night ~覚醒の三茶編~」
2020/03/28(土)東京 昭和女子大学人見記念講堂
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。