“REVIVAL”をめいっぱい体現したツアーファイナル、ブリッツワンマンを観た!
KOTORI | 2020.01.24
昨年9月の『REVIVAL』リリース時にインタビューしたとき、横山優也(Vo/Gt)が「小さいハコと大きいハコ、どっちでもできるバンドになりたい」ということを言っていたのが印象に残っている。「デカいところでやりたい」でも「俺たちはライブハウスにこだわりたい」でもなく、そのどちらでも表現できることがあるし、それをしたい。それはつまり、自分たちの音楽に制限や限界を設けないということだ。
その『REVIVAL』を引っさげてのツアー、僕は初日の越谷EASYGOINGSを観た(参考記事:ホーム凱旋公演となった「REVIVAL TOUR」初日。激動の一夜を徹底レポート!)。敬愛するcinema staffを対バンに迎えて「ホーム」であるライブハウスで生き生きと躍動する4人は、もみくちゃのフロアを前にして心から楽しそうだった。「もう誰も俺らを止めることはできない」と笑顔で「宣言」する横山を見ながら、いいツアーになるな、と思った。それから1ヵ月半あまり。1月10日、マイナビBLITZ赤坂でのファイナルのステージには、EASYGOINGSで汗まみれで音を鳴らしていたバンドとは明らかに違うKOTORIがいた。スタートダッシュして加速したバンドがついに大空へと飛翔するような、希望に満ちたライブだった。
ライブハウスらしく普段着でステージに出ていってぶちかますだけ、というような初日からは一変、ステージの前に張られた幕にこの日の日付が映し出され、やがてそこに横山、上坂仁志(Gt/Cho)、佐藤知己(Ba)、細川千弘(Dr)のシルエットが映し出される……という印象的なオープニング。幕開けからして、彼らがこの場所に照準を合わせて準備をしてきたことが窺える。1曲目に壮大な「YELLOW」を持ってきたことから見ても、この大きな会場を制してやろうという気概が表れている。とはいえ、続く「ライジング」からは怒涛の展開。「1995」「unity」と矢継ぎ早に繰り出される楽曲に、フロアはまたたく間に沸騰。「僕たちは青春のど真ん中ー!」という「Blue」でのおなじみの口上も、いつも以上に説得力をもって響くのは、楽曲のメッセージが大きな力をもってBLITZの隅々まで行き届いているのが肌身で感じられるからだ。
それにしても、こうして大きなライブハウスで彼らを見て感じるのは、そのメロディの強さと演奏の背骨の強さだ。もちろん勢いや攻撃性もKOTORIの大切な武器だが、何よりも芯の通った思いをまっすぐに届けようという意思が真ん中にある。だからこそ、その楽曲たちはどんな会場でも同じように……というより、その場所にフィットする手触りと重さで鳴るのである。上坂のギターと佐藤のベースが描き出す音の風景に細川のすさまじいドラミングがくっきりとした輪郭を与え、その上で横山の思いの丈を注いだ歌がまるで生命そのもののように躍る。いつもよりダイナミックに広がるその音が、彼らの誠実さを証明しているのである。「オリオン」や「ラブソング」といったバラードも、極上の美しさとともに奏でられていく。とくに「ラブソング」の素晴らしさといったら……音源の強調されたリバーブ感は、こういう場所で鳴るためにあったんだなと実感した。
というわけで、いつものKOTORIとはひと味もふた味も違うライブが展開されていったわけだが、ひとたびMCになれば「最初やばかったっしょ!」と破顔して胸を張る横山である。それまでの緊張感が一瞬にして緩み、フロアにもどこかほっとしたような空気が広がる。もちろん気合いは入っているのだろうが、やっぱりKOTORIはKOTORIなのだ。フロアとのあいだの親密な空気と、手ぶらで人生を歩んでいくような無防備さ。等身大のまま、彼らはここまできた。だからこそ、その物語はライブに集まった人たちすべてにとって自分ごとになるのだと思う。
ライブのハイライトとなったのは、中盤の「Eve of the revival」?「REVIVAL」からのブロック。ステージの背景にはプロジェクターで幻想的な映像が投影され、まるでこのBLITZごと別世界にトリップしたような雰囲気が生まれていた。そしてアルバムの曲順どおりに「雨のあと」へ。佐藤によるトランペットも初日からするとかなりスキルアップしたみたいだ。アコースティックギターの音色が無限大の広がりを演出してみせた初期曲「彗星」は、これまで見えていなかったそのポテンシャルを開放し、この場所に立っている今が必然だったことを教えてくれた。
横山が「緊張してた」と述懐したブロックを経て、いよいよライブは終盤戦。あとはもう、全力で音と戯れるだけである。「高鳴る胸に鐘を鳴らせ」「ジャズマスター」「さよなら」と、次々と待ってましたの楽曲が披露され、「素晴らしい世界」や「Dive into your Dreams」では観客の大合唱も巻き起こった。「バンドやっててよかった! これが俺が求めてたやつです。ありがとう! 俺たちならどこまでもいける!」。興奮したように叫ぶ横山に惜しみない拍手が送られる。「羽」を経ての本編ラストは「遠き山に陽は落ちて」。それは、この夢のような時間が日常と地続きであることを確かめるように鳴り渡った。
アンコールで再びステージに登場した4人がまず奏でたのは「4号線」。もちろん初日の越谷でも演奏されていたが、そのときとはまったく違う意味をもって響いてきたのが印象的だった。1本の道がつなぐ2つの場所。決して一方通行ではない道を行き来しながら進んでいく、そんなバンドの姿が、巨大なシンガロングにオーバーラップした。「7年」という結成からの時間を歌いこんだ「19歳」もそう。すべてが地続きで、すべてが必死こいて生きてきたこの日々につながっている。「やっぱあと1曲やる!」と言って再び鳴らされた「遠き山に陽は落ちて」で、今度こそライブは終わり。KOTORIの4人もフロアを埋め尽くした観客も、みんなそれぞれの日常へと帰っていったのだった。
【取材・文:小川智宏】
【撮影:藤川正典】
リリース情報
REVIVAL
2019年10月09日
small indies table
02.涙があふれそう
03.unity
04.羽
05.Eve of the revival
06.REVIVAL
07.雨のあと
08.ラブソング
09.海
10.Dive into your Dreams
11.遠き山に陽は落ちて
セットリスト
REVIVAL TOUR
2020.1.10@マイナビBLITZ赤坂
- 1. YELLOW
- 2. ライジング
- 3. 1995
- 4. unity
- 5. 涙があふれそう
- 6. シャンプー
- 7. Blue
- 8. EVERGREEN
- 9. トーキョーナイトダイブ
- 10. オリオン
- 11. 海
- 12. ラブソング
- 13. ラッキーストライク
- 14. ドラマ
- 15. ファーストインパクト
- 16. Eve of the revival
- 17. REVIVAL
- 18. 雨のあと
- 19. 彗星
- 20. RED
- 21. 高鳴る胸に鐘を鳴らせ
- 22. ジャズマスター
- 23. さよなら
- 24. 素晴らしい世界
- 25. Dive into your Dreams
- 26. 羽
- 27. 遠き山に陽は落ちて 【ENCORE】
- 1. 4号線
- 2. 19歳
- 3. 遠き山に陽は落ちて
お知らせ
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2020
02/21(金)福岡 BEAT STATION
02/22(土)広島 CLUB QUATTRO
02/24(月・祝)香川 高松MONSTER
02/27(木)北海道 札幌cube garden
02/29(土)宮城 仙台MACANA
03/04(水)愛知 名古屋CLUB QUATTRO
03/05(木)大阪 BIGCAT
03/07(土)東京 マイナビBLITZ赤坂
w/ ハンブレッダーズ / ズーカラデル / Suspended 4th
small indies table tour 2020
03/19(木)愛知 Zepp Nagoya
03/20(金)大阪 Zepp Osaka Bayside
03/28(土)東京 Zepp Tokyo
w/ yonige / FOMARE
TORI ROCK FESTIVAL 2020
06/21(日)東京 下北沢 GARDEN、DaisyBar、SHELTER、CLUB Que、近松
SIX LOUNGE TOUR 2020 "THE BULB"
01/25(土)熊本 Django
01/26(日)鹿児島 SR HALL
吉祥寺WARP presents 「mabuta vs KOTORI?でっけェ〜」
01/31(金)吉祥寺 WARP
BAYCAMP 2020
02/01(土)川崎 CLUB CITTA’+A’TTIC
KYOTO MUSE 30th Anniversary "Talk about LIVEHOUSE"
04/12(日)京都 みやこめっせ
ARABAKI ROCK FEST.20
04/25(土)、04/26(日)宮城 みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。