東名阪をまわった初となるワンマンツアーの大団円、ファイナル公演を速報レポート!
eill | 2019.12.02
各方面から絶賛の声しか聞こえてこない1stアルバム『SPOTLIGHT』のリリースツアーとなる「eill 1st ONEMAN TOUR“BLUE ROSE 2019”」。eillが大阪、名古屋でのワンマンライブを経て、東京に帰ってきた。渋谷WWWのチケットはもちろんソールドアウトで、約4ヵ月前、渋谷clubasiaでの東京初ワンマンよりも人口密度はさらにすごいことに。ついにeillが登場し、彼女にとって飛躍の年になった2019年を締めくくる、最高のパーティーが始まった。
「“BLUE ROSE”ツアーファイナル! 盛り上がる準備はできてますか!」
開演予定から幾ばくか遅れ、待たせた分だけ気合は満点、笑顔も満点。「Intro」に次ぐ「MAKUAKE」の明るい四つ打ちに乗り、軽快にステップを踏み、フロアにマイクを向けたり、クラップを求めたり。ドラム、ベース、ギター、キーボードのバンドを従え、クールでファンクでディスコなダンスナンバー「HUSH」から、ロックテイストで疾走する「流されね」へ繋げる3曲の展開は、4ヵ月前の東京初ワンマンと同じ。だがしかし、「HUSH」ではしゃがみこんで最前列のオーディエンスに向けて歌ったり、「Say eill!」とコール&レスポンスを煽ったり、「流されね」ではぐっと骨太になったタフな低音ボイスを響かせたりとスケール感が違う。これが伸び盛りのアーティストである証拠、あっという間の成長スピードだ。
「名古屋、大阪は女の子が多かった。東京は半々ぐらい?」
ここで突如、客席を男女に分けてeillのパーソナルな流行語「んご!」をコールさせる謎展開。女子の掛け声に「かわいい~」と身もだえするeill。音源や、静止画のビジュアルからは想像のつかない、明るく天真爛漫な、ざっくばらんなぶっちゃけキャラ。「大阪では初めてのお客さんに引かれてた(笑)」そうだが、「最後はみんな盛り上がってくれた!」とニコニコ顔。彼女の全身から放たれるフレンドリーな魅力は、ライブレポートでは伝えきれない。ライブに来なければわからない。
ここまでは既発曲、そしてここからはいよいよ『SPOTLIGHT』収録曲。明るくキュートな「Ma boy」から、「Succubus (grooveman Spot Remix)」ではアルバムと同じくKvi Babaをゲストに迎え、彼のオートチューン・ラップを加えてより華やかに。服はカラフルだがちょっぴりシャイに見えるKvi Babaと、パワフルにガンガン迫るeillとのバランスが面白い。続いて「((FULLMOON))」は、もの悲しいギターのアルペジオとオルガンの響きがかっこいい、スローなR&Bチューン。K-POP好きのeillらしく、体のラインを強調するセクシーな振り付けが決まってる。
ダンス曲で盛り上げたかと思えば、一転してコンシャスなリリックをじっくり聴かせる、それがeillのライブの醍醐味。「本当に伝えたかった言葉、ずっと言いたかった言葉……」――セリフから始まる切ないバラード「初恋」は、自らキーボードを弾きながらエモーションたっぷりに。ふんわりエアリーな歌声が特徴のeillだが、この曲ではまるで骨太なゴスペル・シンガーだ。後半からバンドがインして歌を支えるドラマチックな展開に、息をひそめて聴き入るオーディエンス。続く「Perfect love」は、前曲の深い余韻を引き継ぎながらほの明るく、ミラーボールの下で心地よいグルーヴがうねる。曲の世界観に入り込み、大きな手振りとステップで思いを伝えながら歌うeill。思いが伝わる歌。
「ここから後半戦。まだまだみんないけるでしょ!」
またまたシーンは一転、再びアゲアゲのダンスタイム。そのきっかけを作るのはこの男、Kick a showだ。柔らかい関西弁と包容力あふれる物腰、ピースフルな歌声。ミラーボール系のダンスナンバー「Super Hero」は、eillのライブには欠かせない鉄板盛り上げ曲だ。ランニングマンのステップで、必要以上にはしゃぎまくるeillと、笑顔でつきあうKick a show。ふたりの元気がフロアに伝染する。
「Fly me 2」ではダンスクルーのGANMIを呼び込み、強烈なエレクトロ・ビートに乗せて踊りまくり、タオル振り回しまくり。ストロボ、ミラーボール、ダンス・パーティー。「楽しくて仕方ないんですけど!」と叫ぶeill。それはこっちのセリフです。さらに「We are No.1!」のリリックが大合唱になった鉄板曲「ONE」、ギターのサトウカツシロとeillがお立ち台で背中合わせのロックなパフォーマンスを見せる「この夜が明けるまで」と、怒涛のアップチューン連続投下にフロアはもう大騒ぎ。ピアノのアウトロでしっとり締める、ドラマチックな展開もばっちりハマってる。
ここで一息、今日いちばん長いMCをeillがした。初めてのツアー、いろんな失敗もしたこと。でも私が生きる場所は、ここにしかないこと。みんなの顔、声、一つひとつが生きる力になること。一度きりの人生、物語の主人公は私であり、あなたであること。
「苦しい時も、楽しい時も、会いに来てください。私はここで歌っているから。これは私たちのテーマ曲です」
最後はほとんど叫ぶような、気持ちのこもったMC。《いつだってFree》《なんにでもなれるから》――永遠の20歳のアンセム「20」の歌詞が、じんわり胸に沁みる。ひとこと、名曲。そして本編ラストは、「みんなの心を照らしたいと思って書いた曲」と紹介した、アルバムのタイトル曲「SPOTLIGHT」。重低音のビートの効いた、力強くファンキーな、でも切ないほどの優しさをたたえた曲。よく動く、跳ねる、笑う、マイクを向ける。eillのパフォーマンスからポジティブなエナジーがほとばしる。悲しいニュースの多い現代、道に迷いやすい年代、溢れる情報の中で信じるものを見つけにくい時代。eillの歌はスポットライトになれるだろうか。答えは一人ひとりのリスナーの胸の中にある。
アンコール。ツアーTシャツに着替えて再登場したeillの「ここから撮影OKだから」という言葉に、一斉にスマホを取り出すオーディエンス。曲は「special girl」。さりげないギターのカッティングとエレクトリック・ピアノがそっと支える、柔らかい感触のR&Bチューン。前回のライブでは弾き語りだったが、わかってるバンドメンバーとともに奏でるバージョンもとても素敵。
「SPOTLIGHT」のMVでも登場した拡声器を手にしたeillが、今後の予定をしゃべってる。4月にニューEPのリリース、そしてツアー4本。会場の規模もさらにスケールアップ、半年後が楽しみだ。続いてグッズ紹介、メンバー紹介。ギターはサトウカツシロ、キーボードは宮田“レフティ”リョウ、ベースは越智俊介、ドラムは菅野颯。eillを理解し、支えるナイスガイズ。この5人で、いやGANMIのふたりも加えてにぎやかに奏でる本日のラストチューンは「FUTURE WAVE」だ。明解な四つ打ち、ツボを押さえたカッティング、どこまでも光に満ちた明るい空間が広がってゆくダンスナンバー。サビではメンバーもオーディエンスも揃ってのジャンプ大会。これぞ大団円、最高のハッピーエンド。
“BLUE ROSE”=青いバラの花言葉は「夢は叶う」。アルバムは充実した内容に仕上がり、ツアーも大成功に終わったが、「eillの夢は叶った?」ともし聞いたら、きっと「いや、まだまだ」と彼女は答えるだろう。目指すは新世代のR&B、ヒップホップ、ダンスミュージック・シーンを引っ張るヒロインの座。スポットライトが導くままに、eillの快進撃はまだまだ続く。
【取材・文:宮本英夫】
【撮影:岩澤高雄】
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リリース情報
SPOTLIGHT
2019年11月06日
02. この夜が明けるまで
03. Fly me 2
04. 20
05. Ma boy
06. ((FULLMOON))
07. Perfect love
08. Succubus
09. ONE LAST TIME (Prod.AmPm)
10. Succubus feat.Kvi Baba (grooveman Spot Remix)
11. 20 Acoustic ver
セットリスト
1st ONEMAN TOUR “BLUE ROSE 2019”
2019.11.28@渋谷WWW
- 1.Intro
- 2.MAKUAKE
- 3.HUSH
- 4.流されね
- 5.Ma boy
- 6.Succubus grooveman Spot Remix (feat.Kvi Baba)
- 7.((FULLMOON))
- 8.初恋 ~Interlude~
- 9.Perfect love
- 10.Super Hero (feat.Kick a show)
- 11.Fly me 2 (with GANMI)
- 12.ONE
- 13.この夜が明けるまで
- 14.20
- 15.SPOTLIGHT 【ENCORE】
- 1.special girl
- 2.FUTURE WAVE (with GANMI)
お知らせ
eill Live Tour 2020
2020/04/29(水・祝)福岡 Voodoo Lounge(ゲスト後日発表)
2020/05/09(土)愛知 名古屋ell.FITS ALL(ゲスト後日発表)
2020/05/10(日)大阪 梅田Shangri-La(ゲスト後日発表)
2020/05/17(日)東京 渋谷WWW X
e+最速先行申し込みはこちら
URL: https://eplus.jp/eill2020/
(申し込み締め切りは 12/6(金)9:00迄)
フロムニューエイジアツアー2019 -winter-
2019/12/02(月)福岡 BEAT STATION
2019/12/04(水)大阪 心斎橋JANUS
2019/12/05(木)愛知 名古屋 伏見JAMMIN’
2019/12/17(火)東京 代官山UNIT
w/ Rude-α / さなり / SASUKE
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。