「俺たちにとってUVERworldはすべて」――UVERworldが9年ぶりの東京ドーム公演で示した答えとは?
UVERworld | 2019.12.20
UVERworldが2019年12月19日、20日の2日間、東京ドームでワンマンライブ「UVERworld LIVE 2019 at TOKYO DOME」を開催(20日の公演は男性限定公演「KING’S PARADE 2019 男祭り FINAL」)。9年ぶりの東京ドーム公演で彼らは、最新アルバム『UNSER』の収録曲、これまでのキャリアのなかで築き上げたライブアンセムからレアな楽曲まで、多彩にして濃密なステージを繰り広げた。
開演予定時間18時30分ジャストにライブはスタート。カラフルなレーザーライトが放射され、爆発音とともに花火が打ち上げられると、観客は歓声で応える。口火を切ったのは、上昇するセカンドステージに現れた真太郎(Dr)のドラムソロ。さらに彰(Gt, Programming)、克哉(Gt)、信人(Ba)、誠果(Sax, Manipulator)も登場、TAKUYA∞(Vo, Programming)は花道の先に設置されたタワーに現れ、最初の楽曲「Touch off」を放つ。強靭なビート、“We gotta freedom”というフレーズと重なるように無数の火柱が上がり、東京ドームは早くも強烈な熱気で包まれる。続く「WE ARE GO」ではオーディエンスの大合唱が発生。巨大な会場を掌握するステージングに圧倒される。
「stay on」「境界」は、ライブ序盤のハイライトを演出していた。どちらも最新アルバム「UNSER」の収録曲。最新のEDM、オルタナR&Bが融合したトラックと豊かなグルーヴを含んだメロディが一つになった「stay on」、彰のシャープなギターカッティングとTAKUYA∞のボイスパーカッションを軸にした「境界」は、明らかにUVERworldの新機軸だが、既存の曲と自然に混ざり合いながら、ライブ全体のスケールをさらに上げていたのだ。新曲にも関わらず、観客の反応も驚くほど強い。“革新的なモードチェンジを果たしたアルバム『UNSER』の楽曲がどう機能するか?”はこの日の公演の大きなポイントだったが、ライブ前半で彼らは、その答えをダイレクトに示してみせた。
UVERworldのライブの大きな武器であるTAKUYA∞のMCの切れ味、熱さも抜群だった。「たくさんの期待も多くのマイナスの意見も越えて、ここにたどり着いて、今日、俺たちがいちばん伝えたいことは、ここまで、ドームまで、UVERworldにたどり着いてくれて、本当にありがとう。俺たちのことを見つけて、俺たちを選んで、俺たちを愛してくれて本当にありがとう」「何者にも臆することなく、いつも通りの、いつも以上のライブをやるよ」。そして「俺たち自身が、俺たちの未来に絶望することはなかった」というシャウトに導かれたのは、「在るべき形」。メンバー自身の生き様に裏打ちされたTAKUYA∞の言葉と真摯なメッセージを含んだ楽曲の化学反応は、4万5000人のオーディエンスの強いリアクションによって、さらにスケール感を増していく。この刺激的な相互作用は言うまでもなく、UVERworldのライブの核だと思う。
この後はUVERworldの豊かな音楽性を実感できるシーンが続いた。エレクトロとロックが有機的に結びついた「ODD FUTURE」では、重厚にしてしなやかなダンスビートが響き、「東京でやるのは10年ぶりくらいかな」(TAKUYA∞)という「world LOST world」ではシンプルなバンドサウンドを率直に描き出す。アレンジも音質が大きく異なる楽曲を並べてもまったく違和感がなく、幅広い音楽性に結実していく。ジャンルを超越しながら独創的としか言いようがない音像を生み出してきたUVERworldは、結成20周年を目前にして、さらなる充実期に突入しているようだ。
「結成19年目で、2回目の東京ドーム。誰だよ、UVERworldが一発屋で終わるって言ったやつは!」という言葉にリードされた「NO.1」、「毎日走っているのはダイエットのためじゃねえんだよ。今日みたいな大事なときに、全力でぶつかれる体を作るためだ」と叫びながら披露された「PRAYING RUN」の後は、アルバム『UNSER』の1曲目に収録された「Making it Drive」。ファットな低音を押し出したトラック、ヒップホップ濃度高めのボーカルが共存するこの曲は、アルバム『UNSER』の方向性を端的に示すと同時に、現在のUVERworldの音楽的モードにも直結している。海外のシーンともリンクした先鋭的なサウンドによって観客が気持ちよさそうに身体を揺らす場面は、この日のライブの大きな収穫だったと思う。
ライブ中盤、「後ろのヤツら、遠くないよ! 俺たち今からそっちに行くからさ」(TAKUYA∞)と呼びかけると、信人、彰、誠果、克哉がそれぞれ楽器を持ってフロートに乗り込み、インストナンバー「和音」「Massive」を演奏しながらアリーナ後方のサブステージに移動。さらにTAKUYA∞が真太郎を乗せてバイクで登場し、アリーナを1周するとまたもや大きな歓声が沸き起こる。サブステージで披露されたのは、やはりアルバム『UNSER』に収められた「First Sight」と「EDENへ」。“最新の楽曲をできるだけ近い距離で届けたい”という思いが真っ直ぐに伝わってきて、会場全体に心地いい一体感が生み出される。「俺たちが幼稚園から一緒って、みんな知ってる? そんなことも相まって、グッと来るんだよね」(TAKUYA∞)というMCも心に残った。
メインステージに戻り、信人のスラップベースと真太郎の強烈なビートを軸にした「UNKNOWN ORCHESTRA」からライブはクライマックスへ。アグレッシブなロックチューン「Don’t think.Feel」、“大人になっても、理想像を目指して進もう”という意思を込めた「Q.E.D.」と曲を重ねるごとに高揚感が増していく。「今日は正真正銘、俺たちの歴史に刻まれる記念日! 最高の一体感を作ろうぜ!」(TAKUYA∞)という煽りに続いた「IMPACT」も最高。4万5000人の観客が全力で声を出し、体を揺らす光景は間違いなく、このバンドにしか生み出せない。
「俺たちはまだ辿り着いたわけじゃない。ここから始まりたいんだよ。まだまだ歌いたいメロディ、作りたい曲があって、まだまだ見せたい景色がある。一緒に歌ってくれますか? 始まりの合唱!」(TAKUYA∞)と呼びかけに応え、この日もっとも大きいシンガロングが発生した「Ø choir」、そして「みんなもやりたいことをやればいいんだよ!」と鼓舞しながら披露された「7日目の決意」によって感動と興奮がさらに増幅していく。ここでTAKUYA∞は東京ドームに集結した観客に改めて感謝の意を示し、「バンドは遊びじゃねえ。音楽はビジネスじゃねえ。俺たちにとってUVERworldはすべてだ。そのすべてがいつかあなたたちの人生の一部になるように、いい曲を書き続けるよ!」と語ると、会場全体から大きな拍手が送られた。最後に演奏されたのは「MONDO PIECE」。叙情的なメロディと“本当に出会えてよかったと思ってるよ”というフレーズがドーム全体に広がるなか、ライブはエンディングを迎えた。UVERworldの過去、現在、未来をリアルに体感できる、正真正銘の記念碑的ライブだったと思う。
【取材・文:森朋之】
【撮影:鳥居 洋介 / 田中 聖太郎 / 渡邊 玲奈 ©Sony Music Labels】
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リリース情報
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UNSER
2019年12月04日
Sony Music Records
02.AFTER LIFE
03.Touch off
04.境界
05.stay on
06.First Sight
07.ODD FUTURE
08.無意味になる夜
09.EDENへ
10.ConneQt
11.OXYMORON
12.One Last Time
13.ROB THE FRONTIER
14.GOOD and EVIL
15.UNSER
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セットリスト
UVERworld LIVE 2019 at TOKYO DOME
2019.12.19@東京ドーム
- 1. Touch off
- 2. WE ARE GO
- 3. stay on
- 4. 境界
- 5. ナノ・セカンド
- 6. 在るべき形
- 7. ODD FUTURE
- 8. world LOST world
- 9. KINJITO
- 10. NO.1
- 11. PRAYING RUN
- 12. Making it Drive
- 13. ALL ALONE
- 14. THE OVER
- 15. 和音
- 16. Massive
- 17. First Sight
- 18. EDENへ
- 19. UNKNOWN ORCHESTRA
- 20. Don’t think.Feel
- 21. Q.E.D.
- 22. 零HERE~SE~
- 23. IMPACT
- 24. AFTER LIFE
- 25. Ø choir
- 26. 7日目の決意
- 27. MONDO PIECE
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お知らせ
UVERworld LIVE 2019 at TOKYO DOME
12/20(金) 東京ドーム(男祭り「6 vs 45000」)
UVERworld UNSER TOUR
12/21(土)横浜アリーナ(TAKUYA∞生誕祭・男祭りVS女祭り)
12/24(火)神戸ワールド記念ホール(Premium Live on Xmas)
12/25(水)神戸ワールド記念ホール(Premium Live on Xmas)
12/30(月)マリンメッセ福岡
12/31(火)マリンメッセ福岡
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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