レビュー
UVERworld | 2019.12.12
UVERworldが、12月4日に、10thアルバム『UNSER』(アンサー)をリリースした。ドイツ語のUNSER(=俺たちの)と英語のANSWER(=答え)を掛け合わせた、『UNSER』には、“俺たちの答え”という意味が込められているという。
これまでにも、常に自身のスタイルをアップデートし続けてきた、UVERworld。「言いたいことを言う」スタイルに変化して以来、彼らは、唯一無二の世界観を持つロックバンドへと成長を遂げた。フロントマンのTAKUYA∞(Vo / Programming)は、生まれた思想を、素直にCrew(ファンの通称)へと、熱を帯びたままの言葉で届ける。UVERworldの楽曲は嘘偽り、綺麗事などひとつもなく、放つすべてが本音。そんな、究極に信念を突き通すスタイルが、若者の胸に刺さり続けているからこそ、UVERworldとしての彼らがいまもなお存在している。
『UNSER』の収録ナンバーにおいても、TAKUYA∞の「言いたいことを言う」歌詞は、水際立って、炸裂している。〈可能性は無限だ/オメェとはちげぇんだ/やってやる直感/木っ端みじん/ごっつぁん〉(「One Last Time」)、〈年甲斐のある事って大概ダサい/どうせ腐るなら納豆みたく美味そうに/道徳が支配するその場所に/芸術や文化は育たない/その意見に同感〉(「無意味になる夜」)、〈誰もがAIのよう/はみ出さぬように/Feeling/行きたいように行け/やりたいようにやれ/愛したいもの愛せ/After all〉(「境界」)――。このような馬鹿正直な本音を綴るロックバンド、ほかにいるだろうか? しかし、「言いたいことを言う」なかでも、『UNSER』の佳境は、〈本当の正しさって/必ずしも賛成が多いほうではない〉(「OXYMORON」)、〈汚れてしまうものが/本当の大切なモノなのにね〉(「ConneQt」)、〈矛盾してて良いんだよ〉(「OXYMORON」)、〈矛盾を楽しめる余裕〉(「ODD FUTURE」)とあるように、“矛盾”を肯定するのを正道としているところにあるのだろう。また、数々のギミックが施されたサウンドも、白眉。以前にも増した、ヒップホップやR&Bといった洋楽チックなサウンドで攻めることによって、彼らは、新次元に辿り着いたことを証明した。そのほか、初期のUVERworldを彷彿とさせるサウンドメイキングも絶妙である。例えば、TAKUYA∞の原点ともいえる、ヒューマンビートボックスを駆使した「境界」、ヒップホップ要素の強い「無意味になる夜」など……。
そして、『UNSER』が世に浸透し始めた12月10日には、ビッグニュースが耳に入ってきた。それは、このアルバムが、12月10日発表のオリコン週間アルバムランキングで、CD、デジタルともに1位を獲得したということ。『UNSER』をきっかけに、新たなCrew、過去のUVERworldを思い出したCrewとの出会い、再会がある一方で、ひょっとすると、彼らは変わった、と言って離れていくCrewもいるかもしれない。しかし間違いなく、その離れたCrewは、時代が彼らの音楽に追いついたときに、戻ってくるようになる。いつだって、ほかにはない、未来を予測した、破格で最先端な楽曲を届けるのが、UVERworldだから。その繰り返しがあるなかで、いままで彼らの楽曲は深化してきた。それは、これからも変わらない。
TAKUYA∞には、愛するCrewが、UVERworldから離れていかないようにと、ただ、それだけを祈りながら走る習慣がある。自分たちから離れてほしくはないと思う気持ちはやまやまだが、未来がある限り、万が一離れてしまっても、いつかはきっと戻ってきてくれる日が来ると確信しているから、問題は無いのだろう。『UNSER』は、そんな矛盾を抱えていたとしても、Crewを信じたい、という、彼らなりの答え(俺たちの答え=UNSER)が、滲み出ている一枚といえる。
【文:小町碧音】
■配信リンク
UVERworld『UNSER』
https://uverworld.lnk.to/UNSER
リリース情報
UNSER
発売日: 2019年12月04日
価格: ¥ 3,300(本体)+税
レーベル: Sony Music Records
収録曲
01.Making it Drive
02.AFTER LIFE
03.Touch off
04.境界
05.stay on
06.First Sight
07.ODD FUTURE
08.無意味になる夜
09.EDENへ
10.ConneQt
11.OXYMORON
12.One Last Time
13.ROB THE FRONTIER
14.GOOD and EVIL
15.UNSER