3ピースバンド・Cloque.presents“クローク クアトロ ワンマン”
Cloque. | 2019.12.23
3ピースバンド・Cloque.にとって初となる、東京・渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブが12月12日に行われた。本公演は、Cloque.史上最大キャパでのワンマンということで、メンバーも緊張の様子を隠しきれていない…と思いきや、最初から最後まで「最高に楽しい!」という気持ちだけが溢れまくっていた。バンドが音楽を作る、それを人が聴く。バンドがライブをする、それを観に来る人がいる――Cloque.が大切にしている、そうした「人と人との繋がりの連鎖」が生み出す幸福感と温もりに包まれていた一夜をレポートする。
村松利彦(Vo.Gt)、古田秀人(Ba.Cho)、吉見裕太郎(Dr.Cho)がステージに登場すると、村松の「クアトロワンマン、始めます!」との威勢の良い号令をきっかけに「蒼」をプレイし、ライブがスタート!そのまま疾走感溢れる「スターマイン」と、赤い照明が視覚的にも躍動を煽ってくる「さよならグッバイ」を届けた。途中で村松が「ずっとこの日を待ってたぜ!」というバンドの意気込みを言葉にした。その気持ちはオーディエンスも同じだったようで、力強く上がる拳やシンガロングからも充分伝わってきたが、何より会場を見渡す限り広がるはちきれんばかりの笑顔がそれを物語っていた。「手の鳴る方へ」や「Sweet magic melody」「あえか」のようなポップチューンだろうと、「同じ速度で」のようなバラードだろうと、Cloque.の曲は“言葉”が一番に伝わってくる。それは村松の歌声ももちろん関係するのだろうけれど、「“僕”と“君”を繋げる歌を歌いたい」という信念とも呼べる強い想いが、一節一節に込められているからこその伝わり方なのだろう。そして彼らは、この日のライブにメンバーの両親が来ているという話から、「やりたいことがない人も沢山いると思うけど、熱くなれる何かを見つけていってほしい」というエールを込めた「未来へ」、そして「君は自分の人生の主人公なんだから、足音鳴らしていきましょう」と「モノクローム」を届けた。
村松はMCで「自分のことはあまり好きじゃないし、これからも好きになることはないかもしれない。でも、自分の周りの人が自分の事を“最高だ”と思ってくれるのなら、自分が思っているよりも自分は少し良いものなんじゃないかと思う」と話していた。自分の周りにいる人のことを信頼し、肯定することは、同時に自分自身を肯定することにもなる。その考え方は生きていく上で物凄く心強いなと思うし、そういった想いを宿した曲をCloque.が歌い鳴らしていくことで、聴いた人の自信に繋がっているのだとしたら、これ以上幸せな関係性はないなと思った。この日のライブ中、村松は何度も「ライブハウスっていいな、好きだな」と呟いていた。ライブハウスは、日々募っていく心の中の淀みを払拭し、生音で鳴らされる音楽の中で無我夢中で楽しむ場所だ。そして、ステージに立つ人間と、ステージに向かって立つ人間が、互いの人生の貴重な時間を共有しながら、ライブハウスのドアを出た後のそれぞれの人生を歩む力を養う場所でもあると思う。そういった良質な相互作用が生まれる場所だということを改めて教えてくれたCloque.がいてくれることが、私自身の誇りだとも思えた。バンドとオーディエンスが励まし励まされる、そういった相思相愛な空気感の中で「大事な曲を歌います」と言ってプレイされたのは、「Tender」だった。人を想い、幸先を願う彼らが歌う「迷わないきっと/そこにはもう何もなくても/君の優しさに触れた/僕は幸せ者だろう」という歌詞が、いつもより深く、優しく、強く、胸に響いた。さらにそこからは「今からこの瞬間から始めようぜ!初ライブからやっている曲!」と「ハッピーエンド」、さらにツービートのアッパーチューン「君の声」と「Swear」を連続投下!間違いなくこの日最もアツくて激しい熱気がフロアに渦巻いていて、モッシュやダイブが発生するその光景を見てメンバーも思わず笑みを零していた。
それぞれが組んでいたバンドが解散したことをきっかけに集った3人がCloque.というバンドを始め、今では各々にとって「Cloque.は、自分にとって最後のバンドだ」と思える存在になっていること。喉を傷めた村松の療養の為にライブ活動ができなかった期間を、村松自身は「止まっていた」と思っていたが、メジャーデビューをする際にレーベルの人に「ギア上げていきましょう、何段階も」と言われたことで「止まっていた訳ではなかったんだ」と励まされた、ということを語ってくれた村松。決して平坦ではなかったこれまでの経験を経て、彼は「きっと俺だけじゃないと思うんだよ。上手くいかないことがあっても、うまく進めなくても、それでも俺らは日々を歩いているんだよ。みんな頑張ってるよ、みんな戦ってる」と言葉にして、「僕らの夢が叶う頃」を届けた。「いつか僕らの夢が叶ったら/この歌を君と歌いたいから」という歌詞――Cloque.にとって、この日の渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブというのは、あくまで「夢」のひとつに過ぎないのかもしれない。それでも、人を肯定し、自身の強さに変え、前に進んでいく彼らの挑戦の一夜に、この曲を、この歌詞を聴けて良かったと心から思った。その感情は、本編最後に歌われた「カロン」、アンコールの「365」、さらにはダブルアンコールの2曲が鳴り終わるまでずっと心の中で燃え続けていた。
MCの途中、村松が古田と吉見に笑顔を向けて「ずっとバンドやろうな」と言ったシーンがあった。その想いは記念すべきステージの上だからだとか、ファンを安心させる為に言ったとかではなく、村松の、古田の、吉見の、純真な想いの塊に他ならなかった。「ずっと」という言葉は不安定なものではあるけれど、今の彼らにとってはその3文字が一番正直で、生きて行く上での全てなのだと思う。そんなCloque.の更なる夢がまた叶う日を共に過ごせるように、その日まで何事もなく、例え何かあったとしてもこの日貰った力を糧にして、前を向いて生きて行こうと思えた。そんな素晴らしい夜だった。
【取材・文:峯岸利恵】
【撮影:Masanori Fujikawa】
リリース情報
モノクローム
2019年10月09日
VAP
2.手の鳴る方へ
3.同じ速度で
セットリスト
Cloque.presents
“クローク クアトロ ワンマン”
2019.12.12@渋谷CLUB QUATTRO
- 1. 蒼
- 2. スターマイン
- 3. さよならグッバイ
- 4. 手の鳴る方へ
- 5. I
- 6. 春風
- 7. Sweet magic melody
- 8. Darling
- 9. Gloomy
- 10. あえか
- 11. 同じ速度で
- 12. 未来へ
- 13. 重なり重ねて
- 14. モノクローム
- 15. Tender
- 16. ハッピーエンド
- 17. 君の声
- 18. Swear
- 19. 僕らの夢が叶う頃
- 20. Haul
- 21. カロン 【ENCORE】
- 1.365 【DOUBLE ENCORE】
- 1.Swear
- 2.カロン
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