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爆音と静寂、目の前の「あなた」に届けた“2”尽くしのワンマンライブ「THE 2」の模様をレポート!

2 | 2020.03.24

 たったひとりステージに出てきた古舘佑太郎(Vo/Gt)がアコ-スティック・ギターで弾き語る「ホメオパシー」でライブはスタート。そこに加藤綾太(Gt)、赤坂真之介(Ba)、yucco(Dr)が加わり、「土砂降りの雨が降った街」から「SONG FOR YOU」「急行電車」「ケプラー」と、ファンにはすっかりお馴染みのアップテンポなロックナンバーの数々をたたみかけ、一気に盛り上がっていったスタンディングのフロアに古舘が声をかける。

「今日は1年に1回のお祭りにようこそ!」

 古舘と加藤が2017年に結成。そこに赤坂とyuccoが加わり、4人編成になった自称・現代の不良(品)バンド、2が自ら「2の日」と定めた2月22日、「THE 2」と題したワンマンライブを開催した。会場は2年前の2月22日、彼らが初めてワンマンライブに挑んだ代官山UNITだ。
 チケットはもちろんソールドアウト。「もう1歩前に進んでください!」とスタッフが場内整理をしなければ、観客が入りきらないほど、フロアがぱんぱんになるのも当たり前だ。だって、彼らは結成からフルスロットルで走り続け、活動の勢いをぐんぐんと増してきたのだから。
 代官山UNITは、あえての選択なのだろう。そこには初心に戻るという思惑もあるようだ。迷っているわけではないと思うが、作ることが結果、バンドが直面した壁を乗り越えることに繋がった3rdアルバム『生と詩』を経て、自分たちはここからどこに進んでいけるのか、と可能性をいろいろ探っているところなのかもしれない。

「いろいろ発表したかったけど、新曲を3曲しか聴かせられなかった」
 アンコールを求める声に応え、ステージに戻ってきた古舘は、わざわざ言わなくてもいいことをバカ正直に口にしたが、リリースに縛られず、自由にセットリストを作ることができたこの日、がむしゃらな熱演が僕らに伝えたのは、そんなところも含め、2というバンドの、まさに今だった。「この2年間、いろいろな別れがあったけど、全然悲しくない。こうしてみんなに会えて、その別れが報われるんだから」と語る古舘も楽しそうだ。

 昨年は、「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2019」に参加したため、2年ぶりの開催となってしまったが、毎年恒例にしようと目論んでいるらしい「2の日」のワンマンが、できたばかりの新曲を発表したり、さまざまな可能性を探るという意味で、普段できない実験をファンとともに楽しんだりできる場になっていったらおもしろい。
 実際この日も、前述したように「恋のジャーナル」「スプートニク」「カサブランカ」という新曲を、それぞれ前半、後半、アンコールで披露したし、「せっかくのワンマン、普段やらないことをやりたい」と、「ハナレイバナレイ」「LUCKY BOY」「FALL FALL FALL」の3曲をアコースティックセットで演奏した。

 古舘と加藤が歌を掛け合いながら、赤坂がマラカス、yuccoが鉄琴を鳴らして、音源のアレンジを再現した「ハナレイバナレイ」、古舘と加藤がアコギを奏で、yuccoがカホンを叩き、音源とは違うアレンジで聴かせた「LUCKY BOY」「FALL FALL FALL」ともに普段なかなか見られない2の一面を、アコースティック・セットでも演奏に熱は込められることを証明しながらアピール。
 照れ隠しなのか、「アコースティック・セットやると、どうしても盛り下がるんだよね」と古舘は言ったが、いやいやいや、正しくは聴き入っていたと言うべきだろう。決して盛り下がっていたわけではない。バンドサウンドの轟音が消えたことで、曲の哀感がいつも以上に際立ったのだから、じっと耳を傾ける時間が1時間半の中であってもいい。

 とはいえ、2の真骨頂は、やはり爆音のバンドサウンドと喉も張り裂けんばかりの渾身の歌。その意味では、バンドの底力をこれでもかと見せつけた後半戦が、やはりこの日いちばんの見どころだ。その後半戦は、「ここからいつもどおりの俺たちだ!」という古舘の雄叫びから「Anthem Song」になだれこむようにスタート。
 アコースティック・セットの反動なのか、一気に熱を上げたバンドの演奏に突き動かされるように「Anthem Song」で拳を上げた観客は、次の「サイコロジスト」で自らシンガログの声を上げる。そこからドラムソロで繋げた「ニヒリズム」、「まだまだいけるか!?」と古舘がハンドマイクで歌った2ビートで駆け抜けるパンクナンバー「ナイトウォーク」――演奏の勢いは、曲をたたみかけるたび、どんどん増していった。エネルギッシュな演奏を繰り広げながら、このバンドに「疲れる」「息が切れる」という言葉はないらしい。「汗だくになる」はあっても!
 そこから、ブルージーなギターリフとシャッフルのリズムが変化球とも言える「ロボット」や、「3ヵ月間、頭の中で鳴りやまなかったメロディを、『うるせえ』と思いながら曲にした(古舘)」という新曲の「スプートニク」を挟みつつ、ダンサブルな「DAY BY DAY」でさらにフロアを揺らすと、「Family」「SとF」と続き、この日誰もがいちばん聴きたかったに違いないバンドアンセム「フォーピース」と繋げ、観客のシンガロングの声が会場中に響き渡る歓喜の空間を作り上げていった。

 そして、アンコールで再びステージに戻ってきたバンドは、感謝の気持ちを込め、まず新曲の「カサブランカ」を披露。古舘と加藤がともにリッケンバッカーに持ち替え、単音フレーズを重ねながら、ふたりで歌うメランコリックなスローナンバーだ。4つ打ちのリズムがキャッチーな歌謡ディスコの「恋のジャーナル」、ギターリフをガツンと鳴らす「スプートニク」、そしてこの「カサブランカ」と、この日披露した新曲それぞれに違う魅力を持っているところも、現在の2の可能性なのだろう。

「今年はいろいろやっていきたい。4年目の2をよろしくお願いします!」

 古舘が今年20年の抱負を語ってから演奏したのは、2のライブアンセム「ルシファー」だった。
「世の中のあらゆるものがウソと退屈で埋め尽くされている。それでもいい。興奮と真実ばかりを求めすぎると、1%のウソが人を傷つけることもある」
 最後に選んだこの曲に古舘が込めた「(ライブをしている)1時間30分の真実を俺らと手に入れて、明日からのウソばっかの世界で生きていこう。この一瞬のため暴れてくれ!」という言葉に応え、観客が拳を突き上げ、シンガロング。誰もが隠したがる自分の醜い心を真っ直ぐに歌ったこの「ルシファー」がライブアンセムになったのは、古舘が歌う言葉にウソがないからだ。
 フロアにダイブした古舘のガッツに火を付けられ、観客の興奮が止まらない。それを見た古舘が「やっちゃおう! この流れでやっちゃおう!」とメンバーに声をかけ、最後の最後に轟音で鳴らしたのは、不屈の闘志を歌うパワーポップナンバー「GO 2 THE NEW WORLD」。そのドタバタした感じもライブハウスのリアルだろう。そして、そんな駆け抜けるようなエンディングが、そこにいる全員を笑顔にしたのだった。

【取材・文:山口智男】
【撮影:中村里緒】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 2

リリース情報

生と詩

生と詩

2019年04月03日

1994

01.ルシファー
02.ニヒリズム
03.SとF
04.性と詩
05.ナイトウォーク
06.DAY BY DAY
07.ハナレイバナレイ
08.ホメオパシー
09.東狂
10.WHEN I WILL DIE
11.フォーピース

セットリスト

ワンマンライブ「THE 2」東京編
2020.02.22@代官山UNIT

  1. 01.ホメオパシー
  2. 02.土砂降りの雨が降った街
  3. 03.SONG FOR YOU
  4. 04.急行電車
  5. 05.ケプラー
  6. 06.WHEN I WILL DIE
  7. 07.BOY AND GIRL
  8. 08.SAME AGE
  9. 09.恋のジャーナル(新曲)
  10. 10.How many people did you say “GoodBye”
  11. 11.ハナレイバナレイ
  12. 12.LUCKY BOY
  13. 13.FALL FALL FALL
  14. 14.Anthem Song
  15. 15.サイコロジスト
  16. 16.ニヒリズム
  17. 17.ナイトウォーク
  18. 18.ロボット
  19. 19.スプートニク(新曲)
  20. 20.DAY BY DAY
  21. 21.Family
  22. 22.SとF
  23. 23.フォーピース
【ENCORE】
  1. EN1.カサブランカ(新曲)
  2. EN2.DEAD HEAT
【W ENCORE】
  1. WEN1.ルシファー
【WW ENCORE】
  1. WWEN1.GO 2 THE NEW WORLD

お知らせ

■ライブ情報

KALMA 対バンツアー
「チャレンジャー 2020 春 ~お花見~」

04/26(日)東京 新代田FEVER

teto 47都道府県ツアー「日ノ出行脚」
04/29(水・祝)群馬 高崎club FLEEZ

YATSUI FESTIVAL! 2020
06/20(土)、30(日)東京 渋谷ライブハウス13ヵ所

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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