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地続きのバンドロードをひた走る2、新たなる旅立ち「2nd VIRGIN」を観た!

2 | 2020.09.03

 8月22日に下北沢SHELTERにて、2のワンマンライブ「online ONE MAN LIVE『2nd VIRGIN』」が開催された。この日のライブは、新型コロナウイルス感染予防対策が徹底された会場に観客(40人という人数制限あり)を入れて行われ、さらにその様子は配信にて全国に届けられた。2にとってちょうど半年ぶりとなる今回のワンマンライブは、様々な変化の中にある彼らの生命力と底力を強く感じるものだった。

 古舘佑太郎(Vo/Gt)、加藤綾太(Gt)、yucco(Dr)、サポートメンバーの森夏彦(Ba)の4人がステージに登場。「半年ぶり。『2nd VIRGIN』。よっしゃ始めるか! よろしく!」と古舘が告げ、最初にプレイしたのは「フォーピース」――これは半年前の2月22日、彼らの代官山UNITでのワンマンライブの本編ラストで歌われた楽曲だ。この楽曲をライブの始まりに持ってきていることから、自分たちのライブはどれだけ期間が開いたとしてもしっかりと地続きになっているのだということ――そして7月に赤坂真之介(Ba)が新たな道を歩むべく2を卒業したけれど、古舘と加藤とyuccoと赤坂の4人がともに過ごし、ともに作り上げた音楽は決してなくならないということ――彼らのそういった想いが曲を通して伝わってきたし、続く「Anthem Song」は、そんな彼らの新たなる門出の宣誓かのように響いてきて、2というバンドの今までとこれからを繋ぐかのようなスタートダッシュに初っ端から胸が熱くなった。

 そこからは加藤のギターが冴え渡るアッパーな「PSYCHOLOGIST」や抒情的な「土砂降りの雨が降った街」、さらに「いろんなことがありましたけど、今日はこの半年間を全部楽しみに変えて最後まで走り抜けたいと思います」という古舘の言葉のあとにダンサブルチューン「ヤケのダンス」をプレイ。2のライブらしい猪突猛進っぷりが爽快で、ライブができるこの時間を1秒たりとも逃すまい!という前のめり気味な勢いがびしびしと伝わってきた。そのテンションがゆえなのか、アコースティックギターに持ち替えて披露したミディアムチューン「LONELINESS BOY」では古舘が歌詞を飛ばすシーンもあったが、それもまた人間らしくて良かった。そして会場に静けさをもたらした「NEVERLAND」では、加藤がスライドバーを用いながらギターを鳴らし、どこか遠い異国を感じさせるその柔らかい音が心を穏やかにさせてくれた。

 古舘は「2月22日の代官山UNITで初めてやった新曲を、今日もここでやりたいと思います。この半年間、ライブもできなかったので、この曲のアレンジをずっとみんなでパソコンで送り合ったりとかしてやってきました。(あのときとは)ちょっと変わってるかもしれないけど、ぜひ聴いてください」と話すと、新曲「スプートニク」を披露。「君」に真っ直ぐ語りかけるような歌詞が胸を打つ楽曲で、これまでの2にはない描写と視点に驚いたし、彼らは半年間ライブをせずとも、決して止まっていなかったんだという証明そのものだった。再び音楽をやりたくてしょうがなくて「2」という名で始めたバンドなのだから、ただで転ぶわけも、ここで止まるわけもないのだが。

 そして古舘が「よっしゃ後半戦、まだまだいけるかー!? オンラインもまだまだいけるかー!?」と叫ぶと、「ニヒリズム」「ロボット」を全力でドロップ! 息遣いまで聴こえてくるような躍動的なカメラワークからは会場の興奮と熱気がそのまま伝わってくるようだったし、会場でこの空気をリアルに感じている人たちにとって「立ち位置から動いてはいけない」という制約は相当厳しいものに感じたんじゃないか?とさえ思った。けれど、彼らはそんなことはお構いなしに、そのまま「ルシファー」や「SとF」、古舘と加藤との歌の掛け合いが気持ちいい「DAY BY DAY」など、エネルギッシュなナンバーをこれでもかと届けた。

 そして、続く「Family」は、今の時世を踏まえても個人的にかなりグっときた。血で繋がった家族にも自由に会うことができない現状ではあるけれど、物理的な距離やウイルスの猛威が憚ろうとも、互いを想い合い、相手との再会を心から願っている。今だからこそ、自分にとって改めて大事だと思える誰かを頭に浮かべながら聴くことができたし、そうした「想い合う」という親密な関係性は、音楽で繋がったバンドとオーディエンスの間にも同様に言えることだとも思えた。「コロナ禍」と呼ばれる未曾有の事態の最中、次々と課されていく制約の量に、正直ライブハウスでライブを観ることが遠い未来のようにも思えていた。けれど、バンドがありとあらゆる打開策を模索し、今回のような大きな一歩を踏み出してくれたおかげで、ライブハウスで彼らの音楽と再会する機会が生まれた。そして、そんな彼らの原動力には、「ライブをしたい」という気持ちと同じくらい「誰かに届いてほしい」という気持ちがあったはずだ。私たちは、人と人とが真正面から向き合い、音や声を介して想いをぶつけ合うことで生まれるエネルギーの熱さや強さ、美しさを知っている。2が様々な困難にぶち当たろうとも何度もスタートラインに立てるのは、そうした衝動と感動を、本能的に絶えず欲しているからだろう。古舘も「いやあ、久しぶりヤバいっすね。こんなんだったっけ、ライブって。この熱量がオンラインにも届いてればいいんだけど。とにかくアツいです、久しぶりのライブは」と話していたが、彼らががむしゃらになりながら放つ熱は画面越しでも間違いなく伝わってきたし、会場にいるオーディエンスに自分を重ねては、「ルシファー」で同じように拳を上げて呼応した。

 熱狂的な後半を終え、この日のライブについて古舘は、初めてライブをしたとき以来の酸欠になりかけたライブだったと話しつつ、「正直半年ぶりのライブということで怖かったし、初めてのオンラインライブでどうなるかわからなかったけど、初心に返ることができたし、またここから始まるんだと思える夜になったと思います。2、3ヵ月足を止めてきたけど、ここからはとにかく足を止めずに、安全面にも考慮しながら走り出したい」と総括した。そして、「ここからまた始まる」という彼らの決意を約束するかのように、<あなたの好きなほうへ行け>という言葉が励ます新曲「My Favorite Things」をラストに届けた。

 世間一般的には「音楽は生活必需ではない」と思われているのかもしれない。けれど、音楽があるから頑張れること、生まれる感動、沸き起こる情熱というのは間違いなくある。そしてその原点ともいえるライブは、する側にも観る側にも「自分は今、生きている」と思わせてくれるかけがえのないものだ。2にとっての新たな門出となったこの日のライブを観ることで生まれた「生命力」と呼べる心強いエネルギーを体の内側に感じながら、改めてそう思った。

【取材・文:峯岸利恵】
【撮影:rio nakamura、hiroya brian nakano】

tag一覧 J-POP ライブ 配信ライブ 男性ボーカル 2

リリース情報

生と詩

生と詩

2019年04月03日

1994

01.ルシファー
02.ニヒリズム
03.SとF
04.性と詩
05.ナイトウォーク
06.DAY BY DAY
07.ハナレイバナレイ
08.ホメオパシー
09.東狂
10.WHEN I WILL DIE
11.フォーピース

セットリスト

online ONE MAN LIVE「2nd VIRGIN」
2020.08.22@下北沢SHELTER

  1. 01.フォーピース
  2. 02.Anthem Song
  3. 03.PSYCHOLOGIST
  4. 04.土砂降りの雨が降った街
  5. 05.急行電車
  6. 06.ヤケのダンス
  7. 07.LONELINESS BOY
  8. 08.NEVERLAND
  9. 09.スプートニク(新曲)
  10. 10.ニヒリズム
  11. 11.ロボット
  12. 12.ルシファー
  13. 13.SとF
  14. 14.DAY BY DAY
  15. 15.Family
  16. 16.ケプラー
  17. 17.My Favorite Things(新曲)

お知らせ

■ライブ情報

UNITED FOR MUSIC LIVE
-スペシャ列伝 実演最幸の宴-

09/11(金)20:00~
w/ KANA-BOON / リーガルリリー

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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