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オメでたい頭でなにより、配信ワンマンSHOWで提示した新たな可能性

オメでたい頭でなにより | 2020.07.03

 「まだ未完成だし、これから更に研ぎすませていかなくちゃならないけど、僕らなりの、配信に特化したエンターテインメントが提示できて、その大きな第一歩になった」(ぽにきんぐたむ/Gt/Vo)
 「配信は生に比べ、どうしても物理的に温度までも伝え切れない。ならば配信ならではのことをと、これを企画した。基本的に自分たちはこれまで、都度面白いと思えることを膨らませて、ここまで来た。この自粛期間中も自身やバンドの在り方を色々と考え、そのアウトプットの一つがこの配信ライブでもあった」(赤飯/Vo)
 これらは、オメでたい頭でなによりがこの日、初の配信ワンマンSHOWに挑み、終え、振り返った際の語録だ。

 まだまだライブ時の動員ガイドラインも不明瞭かつ、従来通りのライブではNGなこの時期。「ならば!!」と言わんばかりに無観客配信ライブがラッシュだ。そしてその多くが突き当たっている問題が、“いかに生やダイレクトに劣らず自身の魅力をキチンと届けるか?”だったりする。そう、熱量や温度、エネルギーやバイタリティを届け切れていないジレンマや不満を、多くのアーティストが未だ抱えるなか日々配信は続いている。
 そんな従来を推進し続けるアーティストに対し、配信や無観客を逆手に取り、利用し、この時期ならではの魅せ方や届け方へと機転させている者たちも現れ出した。この日のオメでたい頭でなによりも然りだ。
 まさに「ワンマンSHOW」の題に相応しい、観て、聴いて、画面越しに体感して、楽しいエンターテインメントを寄与してくれた彼ら。最新アルバム『オメでたい頭でなにより2』からの楽曲を中心に、「三密パトロールとの共存」を設定したコントとの共創は、まさに彼らならでは。途中、“どうなっていくんだろう……”と予測不能へと巻き込み、惹き込みながらも、最後には彼ら独特の大団円へと行き着かせてくれたのも非常に頼もしい。

 配信ライブは、ニューアルバム収録の「頑張っていきまっしょい」をBGMに、メンバー各位からこの日への意気込みが語られるなか始まった。「配信バージンをあなたに捧げます!!」とは赤飯の弁だ。

 「今いくね」の祭囃子が流れ、赤飯以外が登場し、各配置にてスタンバイするとミト充(Dr)が先陣を切ってドラムソロを披露。続いてmao(Ba)~ぽにきんぐだむ&324(Gt)が持ち前の楽器ソロを乗せていき、同インスト曲を完成させていく。そんな中、赤飯が悠々とステージに登場。各メンバーの衣装は最新のアー写同様だ。赤飯に至ってはバッサリと髪を切っている。そのままニューアルバム同様、「踊る世間もええじゃないか」へと入る……かと思いきや、突然、俳優・佐伯新が演じる「三密パトロール隊」によるストップが。話題の自粛警察を彷彿とさせ、ソーシャルディスタンスを保持させるべく、いきなりのコントが展開される。規定の距離を保ち、歌い出しから同曲がリプレイ。以降、画面越しの視聴者たちが、合わせて楽しそうに<ええじゃないか>と発しバウンスしている光景が浮かぶ。

 同曲を終えると、各メンバーへの取調べのようなコントが……。そこには、初見の方もいるであろうと、さりげなく改めてのバンド名やメンバー名を降り交えている意図も感じられた。そう、この配信ライブは、まさに価格的にもインタラクティブな時間的にも、全国どこでもいつでも楽しめるのも利点。が故に、これまで彼らのライブ未経験な方々がコミットするチャンスも多分に有している。

 季節外れだが、特別に披露された「あられ雛DANCE!!」の際には、ファンキーでハネるビートとダンサブルさと共に、赤飯のグロウルのシャウトも冴える。ここではコントの小道具として、通気を促す大型サーキュレーターも登場。その風を浴びた効果を呼び水に、過去それらを使ったMV等が印象的なアーティストの夏ソングが次々に織り込まれていく。彼らの臨機応変な対応力と器用な面、名うてのプレーヤーが揃っていることが改めて立証された場面でもあった。

 maoのスラップも効いたラウドやヘビー、そしてポップやウィットに富んだ彼らの真骨頂も愉快だったメンタルコア調の「週末ゥッッッ★トビマ~ス!!」では、作品には無かったボーカル落ちの部分も用意。会場がその部分を一緒に歌い、楽曲を共に完成へと導いている光景が浮かんだ。また赤飯による、元サッカー日本代表選手似のマスクと独特の彼の口上や物まねを交えて贈られた「乾杯トゥモロー」では、画面前でも乾杯が始まりハッピーに画面内外を一つにしてくれた。

 コントではセンチな場面もあった。各メンバーが本心では「従来通りのライブをやりたい!!」、「だけど我慢し、今やれる精一杯を行う!!」という決意を吐露し、それに応えるように、「今はしょうがない。春はきっとくる。やまない雨はない。今は守れることを守り、その中で思い切ってやろう!!」と佐伯。視聴者が胸アツになるも、言い聞かせるべく肝心のメンバーは裏で消毒タイムに入っており聞いておらず……そんなオチもあった。

 後半はガツンとした曲たちが駆け抜けるかのように連射された。324のライトハンドやトリッキーなギタープレイをキッカケに入った、<あれもダメ これもダメ 全部ダメ もう嫌だ>のフレーズがこの時期ことさら痛く響いた「頑張っていきまっしょい」が、力強く視聴者を一緒に引き連れていくように疾走すれば、赤飯とぽにきんぐだむの男気溢れるラップも特徴的、ミクスチャー性たっぷりな「哀紫電一閃」では、彼らのダイナミズムと前のめりを体感できた。

 「4ヵ月ぶりと、これまでこんなにも間を空けたことはなかったライブだったけど、やはりみんなでバコーンと大きな音を出すのは楽しいし気持ち良かった。メンバーもみんないい顔してる」と赤飯。324が作った、自分次第で変われると強く信じさせてくれる「ピーマン」の際には、「こんな事態だけども大丈夫! 心配するな!!」と未来の自分からのメッセージを受け取った気がした。ラストは佐伯も笑顔でダブルピース。画面前にも大団円の花を繚乱させた「オメでたい頭でなにより」が、チャットに感謝の返礼も込もった多数の笑顔の絵文字を咲かせていった。

 ライブはここで終了。以降はメンバーがこの日のライブやこの自粛期間を各々振り返った。とその前に、7月29日には早くも配信ワンマンSHOWの第二弾を行うと告知。多くの歓喜のリアクションも見受けられた。
 なお、この日のライブの模様やアフタートークは、アーカイブにて7月6日(火)23:59まで視聴が可能(チケット販売期間7月6日(火)22:00まで(https://eplus.jp/sf/detail/2354180002?P6=001&P1=0402&P59=1)なので未視聴の方は是非観て欲しい。

 事前に台本を作り、舞台演出家も巻き込み行われた、まさに彼らならではの配信ライブに仕上がったこの日。「メンバーが出し合ったアイデアを膨らませ、それが更にデフォルメされていった」(mao)。「今後も自分たちが提示できる新たな可能性を色々と模索しているので、それも楽しみにしていて欲しい」(赤飯)と語る。
 その言葉通り今後も試行錯誤を経て、都度可能な、最大限の自分たちらしさや自分たちならではを、音楽や+αで表していくであろうオメでたい頭でなにより。「進化」とは、一度立ち止まり、顧み、更にその先を信じ進んでいった者に与えられるご褒美のようなもの。そういった意味では、彼らは時代や事態をも逆手に取り、それらと共存し、これからもあなたにハッピーを届けてくれることだろう。オメでたい頭でなによりの幸せ供与への飽くなき進化は今後も決して留らない。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 配信ライブ 男性ボーカル オメでたい頭でなにより

リリース情報

オメでたい頭でなにより2

オメでたい頭でなにより2

2020年04月29日

ポニーキャニオン

01.頑張っていきまっしょい
02.今いくね
03.踊る世間もええじゃないか
04.乾杯トゥモロー
05.God luck -運神-
06.SIX ON THE PACK(DJデンジャー◎ティガー feat. ザ・そふとたっち)
07.ザ☆キュ~ティクルピーポー
08.四畳半フォークリフト
09.哀紫電一閃
10.週末ゥッッッ★トビマ~ス!!
11.ピーマン
12.またくるね

セットリスト

オメでたい頭でなにより ワンマンSHOW
~配信だけど 今 いくね くるね~
2020.06.29

  1. 01.今いくね
  2. 02.踊る世間もええじゃないか
  3. 03.あられ雛DANCE!!
  4. 04.週末ゥッッッ★トビマ~ス!!
  5. 05.乾杯トゥモロー
  6. 06.頑張っていきまっしょい
  7. 07.哀紫電一閃
  8. 08.ピーマン
  9. 09.オメでたい頭でなにより

お知らせ

■ライブ情報

オメでたい頭でなにより ワンマンSHOW
~配信だけど 今 いくね くるね~ 其の弐

07/29(水)20:00~

オメでたい頭でなにより ワンマンツアー
~今 いくね くるね 2~(振替公演)

09/25(金)東京 EX THEATER ROPPONGI
10/08(木)石川 金沢AZ
10/09(金)長野 CLUB JUNK BOX
10/11(日)愛知 名古屋DIAMOND HALL
10/15(木)大阪 心斎橋BIGCAT
10/22(木)福岡 DRUM Be-1
10/23(金)香川 高松MONSTER
10/25(日)広島 CAVE BE
10/31(土)栃木 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
11/03(火祝)秋田 Club SWINDLE
11/04(水)宮城 仙台CLUB JUNK BOX
11/23(月祝)北海道 札幌ペニーレーン24
11/29(日)沖縄 桜坂セントラル

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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