「次に会えた時 何を話そうかな」。
　緊急事態宣言が発令され、今まで当たり前のように会えていた人たちに会えない期間、誰もが友人や恋人、遠くに住む家族に対して、そう思っていたはずだ。それは、ファンとアイドルも同じ。生きる支えにもなるアイドルが定期的に行うライブやイベントなどがすべてなくなり、心にぽっかりと穴が開いてしまった人も多いはず……。そんな中、新たなツールとして開催される配信ライブは、今後、新たな形としてファンとアイドルをつなぐものになるのだろう。

春のツアーが中止となり、最新シングル『CAMEO』のリリースイベントもできなくなってしまった＝LOVEが、初の配信ライブを開催した。その名前が、冒頭の「次に会えた時、何を話そうかな」。プロデューサーである指原莉乃からの、「配信ライブという形でお届けさせていただきます」というメッセージとともに幕を開け、ステージの上にソーシャルディスタンスのために間をあけたメンバーたちが登場し、『CAMEO』からスタート。最新シングルのこの曲は、これまでの＝LOVEの楽曲とはまったく異なる、妖艶な女性をイメージした楽曲に乗せるパフォーマンスがとても新鮮だ。

山本杏奈が「ライブ配信を見ていただき、ありがとうございます！」と元気に声を上げ、『アイカツハッピーエンド』となると、いつものキュートで愛らしい表情を見せ、一気に華やかな雰囲気に。このギャップもまたたまらない。配信のステージだからこそ、全員の振りがみられるように、上からのカメラと、ビジョンにはひとりひとりのアップが次々と映し出され、くまなく好きなメンバーのパフォーマンスを見られるところもいい。最前席のような、いわゆる“ゼロ距離”で観ることができるのはもちろん、しっかりと全員を追うことができるのは、この形のかなり大きなメリットになる。

続く、赤と白をちりばめたメンバーの衣装がとっても映える『Want you！ Want you！』で愛らしい姿を思いきり見せた後、赤いライトに包まれて齊藤なぎさが「お前ら！　声出せるよな！」と叫び始まるハードロックナンバー『いらない ツインテール』では雰囲気が急変。圧倒的な勢いのなかにクールさを併せ持つパフォーマンスを見せられるのはさすが。

MCではメンバーの自己紹介で盛り上げた後、久々に会えた感想をそれぞれ話し始めると、大場花菜は「久しぶりにメンバーと会ったらみんながかわいすぎて！」と話すと、佐竹のん乃が「かわいすぎてよだれがでちゃった」と話し、すぐさま山本杏奈からイエローカードをゲット（笑）。

諸橋沙夏の初のソロ曲である『My Voice Is For You』では、新衣装で歌い上げ、思わず感極まるシーンも。続く、まったくタイプの異なる齊藤なぎさがソロで歌う『届いてLOVE YOU♡』はあどけなさと、かわいらしさがとても印象的。メンバーのタイプが違うからこそ、まったく色が違う曲を続けて披露できるのは、大きな武器になることだろう。

タイトル通り『推しのいる世界』（佐竹、大場、佐々木、瀧脇、野口、山本）を歌うこの曲では、サイリウムを持つ彼女たちがとても元気に、“オタク”の気持ちを完全に体現してくれる。ここで繰り広げられる“ガチ恋口上”は、きっと画面の奥で多くのファンが声を張り上げたに違いない。

対する『Sweetest girl』(大谷、音嶋、樹愛羅、なぎさ、諸橋)ではシフォン生地のかわいらしいワンピースで女の子らしい楽曲をパフォーマンス。続く佐々木舞香と野口衣織による、大人っぽく、バラードでアレンジされた『虹の素』では、ふたりが緊張感を漂わせながらも、エモーショナルに歌い上げ、全員で歌う『ズルいよ ズルいね』ではみんなで椅子に座り、気持ちを溢れさせながら歌い、表現力の成長を感じさせてくれた。

『手遅れcaution』では、モノクロの演出となり、シリアスに、激しく狂っていく姿をパフォーマンスとして見事に表現したかと思えば、『僕らの制服クリスマス』では、誰もが憧れる大好きな人とのクリスマスを歌う可愛らしいクリスマスソングを披露。本日、どれくらいの高低差があっただろうと思うほど、気持ちよく、いい意味で手のひらで転がされているような、そんな最高の気持ちにさせてくれるようなライブ構成は、まったく飽きることを許さない。『探せ ダイヤモンドリリー』では、佐々木が「私たちはみなさんにまた会える日までパワーを届けます！」とメッセージを届けると、普段であればファンが口上する所で「言いたいことがあるんだよ　待っててくれてありがとう　会いたい会いたい会いたいよ　次会う時に何話そう　私がここに居る理由　みんなの笑顔がみたいから　心はいつもあなたのそばに　会えない時間（とき）もだいすきだ　＝LOVE」と、みんなからファンへの口上をプレゼント。きっと、涙腺が緩んだファンも多いはずだ。会えなくても、会いたいと思ってくれているのは、自分達だけじゃない。そんな想いがぎっしりとこのフレーズに込められていた。

さらに瑞々しい『「部活中に目が合うなって思ってたんだ」』を歌い上げ、今度はファンからの目線の曲『「君と私の歌」』で、まさに彼女たちを思うファンの気持ちをそのままつづったような曲は、深く、強く、観た人たちすべてに届いたはずだ。

セルフタイトル曲『＝LOVE』で本編が終わり、アンコールではTシャツ姿になった彼女たちが『ようこそ！イコラブ沼』でさらに盛り上げ、『樹愛羅、助けに来たぞ』では、全員がボードにメッセージを書き、それを観てくれた人たちに画像プレゼントをすると言うサプライズ付き。最後の最後に、諸橋が「早くみなさんに会えるようになったらいいなと思いました！」と叫び、彼女たちはもちろん、ファンすべての声を代弁するかのような、このSTAY HOME中に指原莉乃が生み出した「次に会えた時 何を話そうかな」を熱唱し、幕を閉じた。

いまは、すぐ目の前で会うのは難しいけれど、それでも一緒にひとつのことに胸を熱くすることはできる。アイドルとファンの関係性をより熱く、強く感じさせてくれるような、素敵な、本当に素敵なライブだった。

【取材・文：吉田可奈】