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「SUPER★DRAGONとは何か」――廃工場で魅せたスパドラらしさ全開の配信ライブ

SUPER★DRAGON | 2020.08.06

 薄汚れた廃工場、むせ返るような熱気、顔から滴り落ちる汗、狂おしいほど挑発的な熱視線、汚れていくパンツとスニーカー……。リアルなライブじゃないのに、その熱波や温度が画面からビシバシ伝わってくる。綺麗なだけじゃない、カッコいいだけでもない。こんなワイルドでハングリーでヤバそうな“空気感”を違和感なく纏えるグループは、いま彼らしかいない。9人組ミクスチャーユニット・SUPER★DRAGON、2度目となる配信ライブ『ONLINE 廃工場ライブ「SECRET BASE」』>。彼らは2回目にして“スパドラ”ならではの、リアルライブでは出せない、オンラインライブならではのあり方、魅せ方、その可能性を自らこじ開けてみせたのだ。

 スタジオ内で、ある意味ストレートにパフォーマンスを行なった前回とは、まるっきり違っていた。派手なアロハシャツを着てバンダナで口を覆ったメンバーがタイタンに乗り込み移動してくるというオープニングからして、まるで映画のよう。ヤンチャな9人の男の子たちが秘密基地で繰り広げる一夜限りの真夏の青春映画。それは、車がSECRET BASEに到着するところからスタートした。運転席の志村玲於がバンダナを勢いよく外し、足を踏み入れていった場所は薄汚れた廃工場。ここは、スパドラが結成当時からビジュアルやMV撮影をたびたび行なってきた、いわば彼らのリアルな秘密基地のような場所。基地に戻ってきた彼らを歓迎するように、工場内のドラム缶から勢いよく炎が上がり、「Strike Up The Band」でライブは幕開け。曲中、横一列になって前に腕を突き出す9人の姿は、結成当時とは比べものにならないほどワイルドで、男らしい。古川毅のボーカルにジャン海渡がラップで畳み掛けていく「hide-and-seek」では、画面越しに9人揃ったステップワークをど迫力で浴びせかける。こんな足元だけのアングルカットをアップで楽しめるのも、オンラインならでは。舞い上がる埃で、真新しいスニーカーやパンツがどんどん汚れていくのもリアルに見える。そこから<全ての事の始まりはボロボロのスニーカー>”で始まる「ゲットレジャーニー」へとつなぐというなんとも美しい展開で、彼らの夏物語が本格的に始まる。レゲエビートがむせ返るような常夏ムードを場内に呼び込むと、メンバーは工場の1・2階に散らばる。<線と線>だった彼らが<Bazzな音に導かれ>、最後に1階で合流。全員でタオルを回したあと、それをパーンと放り捨ててアウトロのハイパーEDMパートをパーティー気分で踊り狂い、夏気分を視聴者に届ける。

 そうして、ライブはメンバーの自己紹介コーナーへ。「珍しく僕が汗かいてます」と柴崎楽が話す横で、すでに汗だくになり真っ先にシャツを脱いでいた松村和哉は、「最近、筋肉の調子がよろしくて」と仕上がったボディをこっそり自慢。毅が「俺たちの秘密基地にようこそ」と視聴者に挨拶すると、飯島颯は「ここから伝えたいのは俺たちの絆」と熱い想いを口にし、池田彪馬が「最高の夜にしましょう」と続けた。もちろん、伊藤壮吾の電車のアナウンス(この日は1日1本だけしか走らない上越新幹線“とき311号”)も、田中洸希お得意のビートボックスの挨拶も健在。玲於が「どんどんあげていくぞ~」と叫んだあとは、ジャンのタイトルコールから「BLOODY LOVE」で彼らの物語は再開。パープルの照明が広がる場内。壁には、プロジェクションマッピングで万華鏡が映し出される。廃工場はとたんに秘密のクラブに早変わり。ジャンのウィスパーボイス、英詞を歌う毅と彪馬が最後は色気たっぷりのフェイクを繰り出し、視聴者を大人の恋ヘとムーディーに誘う。ムーンバートンな「My Playlist」が聴こえてくると、今度はトロピックな夏が全開。ドラム缶から炎が上がるなか、9人はフォーメーション構成を何度も変え、汗だくになりながらアクティブに工場内を飛び跳ねる。そのなかで、玲於と颯がアクロバティックなパフォーマンスをきめて熱風を撒き散らしたあとは、機械の上に腰掛け、挑発的な目線でカメラを見ていたジャン、洸希、和哉がトリプルMCで「Set It Off」をアグレッシブに畳み掛けてくる。颯、玲於がソロダンスでその強い波動を後押ししていると、そこに壮吾と楽も加わり、場内の温度は爆発寸前までいっきに上昇。その高ぶった気持ちを抑えるように始まったのは「Remedy For Love」だった。2階のバルコニーに立つ毅と彪馬がこの曲だけ白いロングシャツを羽織って、せつないメロディを泣き叫ぶようにエモーショナルに歌いあげると、ひと夏の恋物語にクライマックスを告げるかのように、場内の照明も赤から薄暗いブルーへとドラマチックに色を変えていった。

 このあと、メンバーはグループのロゴが描かれた大きなフラッグの前に集結。視聴者のコメントをチェックしていたジャンが「終始MVを観ているみたい」とこの日のライブを言い当てたような感想を読み上げると、メンバーは嬉しそうな表情を浮かべる。次に始まったのは視聴者のリクエストに応えてメンバーが様々なパフォーマンスを見せるというコーナー。これも、オンラインライブならではの企画だ。ここでは、9人の個性がここぞとばかりに大爆発。さっきまでストイックにパフォーマンスしていたオンステージの姿とは恐ろしく(?)ギャップを感じさせる、なんとも無防備でフレンドリーな素顔の彼ら。これもスパドラの大きな魅力だ。そして、彼らの年代らしく、前回はツイッター、今回はTikTokを使って視聴者とリアルタイムでつながる場面もあった。この公演前にスパドラはTikTokを通じて新曲「SAMURAI」のサビの振り付けを先行公開していたのだが。この日はいまや“TikToker田中”の異名を誇る洸希が、その場で玲於と和哉が踊る“サムライダンス”を撮影して即投稿。すると、ものすごいスピードで視聴回数が増えていくなか、「SAMURAI」を彼らが初披露するという粋な流れで、ライブを再開。海外のエレクトロなビートにのせて歌うのは、“忍者”から“スカイツリー”まですべてが日本様式。トラック×歌詞×ダンスでとことん和洋折衷を貫いた革新的な新曲で視聴者を驚かせたところから、ライブはフィナーレに向かって勢いよくスパーク。先日の配信ライブで初披露した「SUPER★DRAGON」では各々が手に持ったライトから黄緑のレーザービームを光らせ、自ら発光。怒る感情をメタルにのせた「BADASS」が始まると、メンバーが工場内に散り散りになり、全力疾走しながらパフォーマンス。それをカメラが必死で追いかけるというエキサイティングな画面作りで、観るもののテンションをどんどん引き上げ、強烈な炎が上がるなか、生き残るのは俺たちだという強いメッセージを込め「The Survivor」を圧巻のパフォーマンスで轟かせていった。

 一息ついたあと「今回はSUPER★DRAGONとは何か、どういうグループなのかを空間全体で表現したかった」とこのコンセプトを毅が解説すると、「こういう汚くて崩れた感じが合ってる」とジャン。彪馬も「廃工場で“真夏”にやるのが俺ららしい」と続けた。また、颯が「このようなライブができたのは観てくれる人たち、スタッフさんがいてこそ。これはそんなスパドラチームで作り上げたものです」と話すと、毅も「僕たちは今年5周年。1人も欠けずにやってこれたのはみんなのおかげです」と感謝の気持ちを述べた。そうして、この日最後に彼らが届けたのは「BROTHERHOOD」だった。9人で肩を組むシーンはなかったものの、ハンドサインを掲げ、メンバー、ファンとの“絆”を確認する彼らはこの日一番のすがすがしい表情を見せ、最後はみんなで円になり、力強く拳を掲げてライブを締めくくった。

 このライブ中に8月28日にアーティストブック『S★D~File Deluxe Edition~』を発売すること。さらに9月27日には5周年ライブ、11月15日には毎年恒例の『DRA FES』を開催することも発表した彼ら。今回の熱い夏物語に続く秋、彼らがどんな物語を魅せてくれるのか楽しみに待っていたい。

【取材・文:東條祥恵】
【撮影:笹森健一】

tag一覧 配信ライブ 男性ボーカル SUPER★DRAGON

リリース情報

Digital Single「SAMURAI」

Digital Single「SAMURAI」

2020年08月05日

SDR

01.SAMURAI

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セットリスト

ONLINE 廃工場 LIVE「SECRET BASE」
2020.07.26

  1. 01.Strike Up The Band
  2. 02.hide-and-seek
  3. 03.ゲットレジャーニー
  4. 04.BLOODY LOVE
  5. 05.My Playlist
  6. 06.Set It Off
  7. 07.Remedy For Love
  8. 08.SAMURAI
  9. 09.SUPER★DRAGON
  10. 10.BADASS
  11. 11.The Survivor
  12. 12.BROTHERHOOD

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