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リュックと添い寝ごはん、初ワンマン配信ライブ「ワンマンショー in お茶の間」

リュックと添い寝ごはん | 2020.09.03

 「『リュックと添い寝ごはん ワンマンショー in お茶の間』、はじめます!」という松本ユウ(Vo/Gt)の声を合図に始まった、今回の配信ライブ。この春からコロナ禍で多くのアーティストが配信ライブへとシフトしているが、リュックと添い寝ごはんにとってはこの無観客配信ライブが初のワンマンライブである。この日は松本と堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)、そしてサポートギターぬん を加えた4人がステージに向かう姿から始まり、8月19日に配信されたばかりの新曲「生活」からスタートした。

 高校卒業後の想いを新鮮なメロディラインに乗せた「生活」を丁寧に奏でつつも、最初は彼ららしいマイペースな雰囲気と緊張感が入り混じったような印象だった。しかし、早くもこのバンドの代表曲のひとつと言える「ノーマル」を2曲目に演奏すると、ステージにいる彼らだけの密室感がこの曲に溢れている蒼さを更にあぶり出す。堂免のベースが大きなうねりを生み出し、宮澤が笑顔でリズムを叩き出して応える。初ワンマンが無観客だって何のその、高校の軽音部で培われたのはきっと3人で音楽を楽しむ、というシンプルな喜びだったのだろう。初っ端から、そんなこのバンドの軸にある強さを見せつけられているようだった。前回の取材で「新曲をいっぱいやります!」と言っていた通り、3曲目からタイトル未定の新曲を披露。イントロのギターリフがチャーミングな、軽やかな印象のナンバーだ。その楽しさとは一転してシリアスかつエモーショナルな「サニー」を演奏したあとは、更にポップな新曲を投下するなど、攻めに攻めた前半5曲があっという間に終了した。

 前半が終了すると会場の換気タイムを兼ねて、メンバーはドリンクカウンターへ移動。すかさず着替えて蝶ネクタイ姿で登場したサポートメンバーのぬんを司会進行役に「お前ら本当にリュックと添い寝ごはんなのか!?」を競い合うカルトクイズのコーナーに突入。「リュックと添い寝ごはんのバンド結成日は?」「青春日記のジャケ写に写っている黄色のノボリには何の文字が書かれてる?」といった問題に、横一列に並んだメンバーが早押しで次々と答えていく。ステージ上での印象とはガラリと違う、ゆるさたっぷりの(笑)企画内容だが、メンバーたちは流れ出る汗を拭きながら盛り上がり、普段のノリが垣間見れるようで面白い。早押しからフリップでの書き問題に移行し、「氵(サンズイ)のつく漢字をぬんは1分間に何個書けるか?」という問いには全員が不正解。まさかの2個という事態に「テンパっちゃって……」と言い訳するぬんに、メンバー爆笑。他にも「ノーマル」の歌詞に<明日>は何回出てくる?など、自宅で視聴しているファンも一緒に盛り上がれるクイズタイムだった。ちなみに優勝したのは堂免。バンド名の「ごはん」にちなみ、米を商品としてゲットした。

 再びステージに戻っての後半戦。前半は通常ライブのようにステージから正面を向いて演奏していたが、ここからはメンバーがステージ中央に向かって互いに向き合うフォーメーションに。「500円玉と少年」でコーラスや口笛など繊細なアレンジをゆったり聴かせると、クイズの時間に初ワンマンへの緊張がほどけたのが良かったのか、松本の表情や声にもリラックス感が増していた。ミニマムで温かなサウンドを堂々と届ける3人の姿に驚かされるし、続く「手と手」でもドラムだけのイントロから始まって曲の世界観を一気に広げて見せるようなプレイは圧巻だった。彼らはまだ10代だけれど、疾走感や衝動でねじ伏せるようなものではなく、紡ぐ音楽に自分たちがこうありたいという願いと説得力が既にちゃんと備わっている。このあたりでどんどんライブ自体の熱量が上がっていったのだが、続く「グッバイトレイン」はこの日の極上のハイライトだった。青春の尊さがワクワクするサウンドとチャーミングな曲の展開によって輝き続けるような演奏。むちゃくちゃナチュラルなバンドマジックが起こり続けているのを画面越しに見ているような不思議な感覚になった。「青春日記」に続くと、このライブが終わっちゃうのが惜しいと思わせるほど。<今の僕にしか/描けない日々を>と歌った瞬間に今が通り過ぎていくような切なさをちゃんと表現できるのが彼らの最大の強みだ。躍動感を増していく間奏で、3人が顔を見合わせてニヤリと笑う。<僕らの青春は/ここからだ>と歌いきり、その凄まじい熱気を感じた。

 ここで画面は突然③②①のカウントに切り替わる。そしてリュックと添い寝ごはんのメジャーデビュー決定の速報が、12月9日にファースト・アルバム『neo neo』のリリース情報と共に発表された。ライブ画面に戻ると松本があらためて「この度、メジャーデビューいたします!」と告げた。ライブはあっという間に最後の曲。ラストを新曲で締めるというのも今の彼らならではだが、披露された「あたらしい朝」という曲が、彼らと私たちのこの先の未来を明るく照らすようなブリリアントなポップ・ナンバーだった。「楽しいね、嬉しいね」と言った宮澤。「アルバムも、新しい感じだよね」と堂免。「メジャーデビューしても今までと変わらず僕たちらしく楽しんで音楽をしていきます、がんばるぞー!」と宣言した松本。初のワンマンライブを無観客配信で行ったこの経験は、これからの原動力にも糧にもなるだろう。リュックと添い寝ごはんというバンドのたくさんの可能性をギュッと詰め込んでオンラインで見せてくれた記念すべき夜だった。

【取材・文:上野三樹】
【撮影:関口佳代】

tag一覧 J-POP 配信ライブ 男性ボーカル リュックと添い寝ごはん

リリース情報

neo neo

neo neo

2020年12月09日

SPEEDSTAR RECORDS

詳細は後日発表

セットリスト

ワンマンショー in お茶の間
2020.08.26@Shibuya O-nest

  1. 01.生活
  2. 02.ノーマル
  3. 03.タイトル未定
  4. 04.サニー
  5. 05.タイトル未定
  6. 06.500円玉と少年
  7. 07.手と手
  8. 08.タイトル未定
  9. 09.グッバイトレイン
  10. 10.青春日記
  11. 11.あたらしい朝

お知らせ

■ライブ情報

NIPPON CALLING 2020
09/22(火・祝)生配信ライブ

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