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CHiCO with HoneyWorksが心を照らしてくれたワンマンライブ「WiSH Upon A Star」

CHiCO with HoneyWorks | 2020.10.07

 本来であれば、『CHiCO with HoneyWorks summer tour 2020「WiSH Upon A Star」』と題し、8月から9月にかけて全国を巡るはずだったCHiCO with HoneyWorks。コロナ禍にあって8月中の公演がすべて中止となってしまったわけだが、9月27日の東京・中野サンプラザ公演は開催にこぎつけ、同時に全国40ヵ所の映画館にて初のライブビューイングも行った。中野サンプラザでは、ステージ上にアクリル板を設置し、観客数を会場収容人数の50%以下に削減の上で、声援やタオル回しは禁止、途中に換気のための休憩時間をはさむなど、コロナ前のライブとはだいぶ異なる様相ではあったが、どうにか開催できますように、と星に願いをかけたメンバー、ファンの一途な想いが実らせた公演は、飢餓感を満たしてくれるとともに、諦めなければ道は開ける、という希望を抱かせてくれた。

 オーディエンスの拍手に迎えられ、まずステージに現れたのはOji(Gt)、中西(Gt)、宇都圭輝(Key)、Hiroki169(Ba)、AtsuyuK!(Dr)だ。宇都圭輝が弾く「きらきら星」の旋律に、やがて重なっていくバンドサウンド。ライブならではのダイナミズムに、どうしたって期待感が高まってしまう。

 そこに、「いくぞ!」という元気なかけ声を上げ、ステージ後方から眩い光に包まれて登場したCHiCO。このときを、どんなに待ちかねたことか。1曲目は、9月16日にリリースされた3rdアルバム『瞬く世界にiを揺らせ』の幕開けを飾る「決戦スピリット」だ。CHiCOの力強い歌声に宿る不屈の精神は、先の見えない不安や閉塞感にへこたれそうになっていた心を、奮い立たせてくれる。

 タイトルに相応しくステージがカラフルなライトで照らされた「color」では、CHiCO、Oji、中西が、それぞれステージ前方のお立ち台へ。コールはできなくても、リズムに合わせてペンライトを振ったり、手拍子をしたりするオーディエンス。シンガロングはできなくとも、気持ちはひとつだ。

 「小さな希望が叶いました! CHiCO with HoneyWorksとしては、今日が今年初めてのワンマン。チコハニ始め、やっとできました。今回はチコハニ初めてのライブビューイングも行っているわけですが、ここ中野サンプラザとライブビューイング、最後まで一緒に楽しんでいきましょう!」

 CHiCOの明るい挨拶から、「ノスタルジックレインフォール」へ。CHiCOのファルセット、中西のアコースティックギターの音色も、よく映える。「カヌレ」では、CHiCOが歌いながら、Oji、中西、Hiroki169が演奏しながら笑顔でピョンピョンとジャンプ。Ojiから中西へとギターソロのバトンを渡すいっぽう、CHiCOとHiroki169が向き合う場面も。やっぱり、ライブっていいもんだ。

 「可愛くなりたい」「ワタシノテンシ」「ミスター・ダーリン」「幸せ。」は、HoneyWorksの楽曲から生まれたプロジェクト『告白実行委員会』に登場する“成海家シリーズ”のナンバーたち。「可愛くなりたい」では軽い足取りでシフォンのスカートをひらひらさせながら歌ったり、「ワタシノテンシ」では尊い姉妹愛でほっこりさせたり、「ミスター・ダーリン」ではライブビューイング用のカメラに笑顔を向けたり、CHiCOを見ているだけで楽しい。「幸せ。」では、パンキッシュな曲調にますますテンションが上がりながらも、子から親へ、親から子への温かな愛と感謝をひしひし感じて、なんだかグっときてしまう。

 休憩をはさみ、ライブタイトル“WiSH Upon A Star”そのまま、「星に願いを」のフレーズをピアノで奏で始めたのは宇都圭輝。ステージ後方一面に瞬く電飾が星空を思わせて、再び心躍るチコハニワールドへ。

 9月18日にYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』にて公開された一発撮り動画と同じく、CHiCOと宇都圭輝の2人だけで届けたのは、チコハニのデビュー曲「世界は恋に落ちている」。あとからステージに現れた中西が「とてもよかった!」と素直な感想を述べたが、ファンに愛され続けてきた曲と、音楽に対して真摯に向き合い続けてきたチコハニの魅力を、いつもとは違った角度から味わうことができた。

 「恋人ツナギ」から、「次の曲は私からみなさんへの“ありがとう”を込めてお届けします」とCHiCOが前置きした「BGM」。ファンへの“心からのありがとう”という感謝、“声が出なくなったとしても私は歌う”というCHiCOの覚悟は、久々に開催できたライブで、よりいっそう深く、観客ひとりひとりの胸に響いたはずだ。

 MCでは、途端に和気あいあいとした雰囲気になるCHiCOとバンドメンバー。「あらためてチコハニチーム大好きだ!って思いました」とCHiCOが言ったが、自粛期間やライブの中止という、“当たり前のことが当たり前ではなくなった”日々や出来事を経験したことで、気づいたこと、感じたこともある。やっとステージに立てたメンバーも、やっとチコハニのライブを観に行くことができたファンも、あらためてその喜びを噛みしめていたのではないだろうか。

 一転、ダークな世界へといざなったのは「Marie」と「ヒストリア」。『瞬く世界にiを揺らせ』で異彩を放つ「Marie」で、悲劇の王妃・マリー・アントワネットの哀しみややり場のない怒り、凜とした強さ、気高い美しさを見事に表現しきったCHiCOの歌力、存在感は、特筆に値する。

 「ぐる恋」では、実写MVで使用したという、歌詞にちなんだゲームカード風の大きな枠がバンドメンバーの前に設置され、“推し”への好きが止まらないCHiCOの歌もステップもとことんかわいい。「ヒロイン育成計画」では、オーディエンスが一際大きくクラップ。CHiCOがお立ち台に足をかけて「いくぞ!」と叫んだ「アイのシナリオ」では、Ojiと中西、Hiroki169がステージ前へと進み、AtsuyuK!は立ち上がってスティックを打ち鳴らしたり、宇都圭輝が多彩な音色で鮮やかに彩ったり。「ヒカリ証明論」では「心の中で精一杯大きな声を出していきましょう!」とCHiCOが呼びかけたが、声を上げることはできなくても、そこには確実にメンバーとオーディエンスの熱情、一体感があった。

 そして、オーディエンスの大きなクラップがメンバーをステージへと呼び戻したアンコール。CHiCOの歌声とOjiによるアコースティックギターだけで繊細に紡いでいく「私を殺さないで」は、人間関係や進路で悩むすべての人の背中をそっと押してくれるもの。音源に増して、救いをもたらしてくれたように思う。

 ライブビューイングの会場名を代わる代わるメンバーが読み上げていく、という粋な計らいもありつつ、ラストナンバーは「乙女どもよ。」。なにも乙女だけではない。悩み、傷つき、それでも諦めずに理想を追い、夢見るすべての人に勇気をくれるのが、CHiCO with HoneyWorksだ。

 まだまだ先行きが見通せない世の中で、暗い気持ちになってしまうこともある。でも、大丈夫。心を照らしてくれるCHiCO with HoneyWorksとともに、恐れずに歩いていこう。

【取材・文:杉江優花】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル CHiCO with HoneyWorks

リリース情報

瞬く世界にiを揺らせ

瞬く世界にiを揺らせ

2020年09月16日

MusicRay’n

01.決戦スピリット
02.ミスター・ダーリン
03.幸せ。
04.ワタシノテンシ
05.ぐる恋
06.胸キュンライト□ ~フリフリ隊mix~
07.ヒカリ証明論
08.恋人ツナギ
09.Alive(英語詞)
10ギミギミコール
11.Marie
12.ヒロイン育成計画
13.私を殺さないで
14.乙女どもよ。

※6曲目の□はハートマーク

セットリスト

LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer tour 2020 「WiSH Upon A Star」
2020.09.27@中野サンプラザ

  1. 01.決戦スピリット
  2. 02.color
  3. 03.ノスタルジックレインフォール
  4. 04.カヌレ
  5. 05.可愛くなりたい
  6. 06.ワタシノテンシ
  7. 07.ミスター・ダーリン
  8. 08.幸せ。
  9. 09.世界は恋に落ちている ~THE FIRST TAKE ver.~
  10. 10.恋人ツナギ
  11. 11.BGM
  12. 12.Marie
  13. 13.ヒストリア
  14. 14.ぐる恋
  15. 15.ヒロイン育成計画
  16. 16.アイのシナリオ
  17. 17.ヒカリ証明論
【ENCORE】
  1. EN1.私を殺さないで
  2. EN2.乙女どもよ。

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