「推しと会えなくなって何か月たったのか……」と考える人は少なくないだろう。徐々にイベントやライブが再開されてきているといえど、以前のような生活にはなかなか戻らない。だからこそ、画面越しとはいえ好きな人たちと過ごせる時間は、とても貴重なのである。

　10月24日に原因は自分にある。が開催した『仮装げんじぶ空間』も、まさしくそんな時間だった。以前であれば商業施設などで行われていたリリースイベントを、オンラインへ移行。番組形式だからこそできる、パフォーマンスあり企画ありの盛りだくさんな時間を作り上げた。

　「仮装げんじぶ空間に、ようこそ！」という明るい掛け声により、スペシャルイベントはスタート。ハロウィンパーティーということで、この日の衣装はちょっぴりダークテイストだ。アイラインをスッと引き、いつも以上に強く色気を香らせる。

　オープニングトークを経て、互いにメンバーをプロデュースしあって写真を撮る「映え！ フォトバトル」へ突入。小泉光咲・武藤潤・杢代和人のAチーム、大倉空人・桜木雅哉・長野凌大・吉澤要人のBチームに分かれて、写真撮影を行っていく。パフォーマンスをしていると大人っぽい表情を覗かせる瞬間が増えた彼らだが、メンバーで戯れているときはまだまだ等身大。休み時間を覗いているような、素の7人に触れることができた。
　出来上がった写真も、それぞれの個性を強く反映した出来である。大倉がプロデュースした桜木は剣を担いでソファへ寝転び、杢代がプロデュースした小泉は猫耳に黒い羽根をつけて「にゃん」のポーズ。ファンにはたまらない、お宝ショットが並んでいく。最終的には、映えフォトNo.1の座を杢代が獲得。公式プロフィール欄に、特技：キメ顔と書いているのは伊達じゃないことを証明した。

　メンバーのカワイイ一面が見られる1曲である「ジュトゥブ」を、この日はハロウィン仕様で披露。調がマイナーになっていたり、怪しげな音色が入っていたり、特別感満載なアレンジで魅せていく。MVと同じように定点カメラの前を動きまわる7人は、以前にも増して表情豊かで、何よりもとても自由。映像公開後に大倉が「みんなふざけすぎね(笑)」と言っていたが、まさしくそうなのである。

　出だし早々に杢代がハットを投げたかと思えば、吉澤は横の絵に話しかけているし、桜木は長野を飴で餌付け、最年長の武藤はランタンポットを抱え騒ぐ。リップシンクさえ半分くらいしかしていない、とにかくメンバーがわちゃわちゃしているパフォーマンスだ。原因は自分にある。として活動を始めて、1年経ったからこそ余裕が出てきた側面もあるのだろう。表情のバリエーションが増えると共に、ひとりひとりが大人の階段を上っていることも感じさせる。ふざけている姿を見ているだけなのに、どこか感慨深さがある不思議な時間だった。

　後半のコーナーは、ファンのみならずメンバーにも話したことがない秘密を暴露していく、「恐怖のハロウィン！げんじぶカミングアウト」。いったいどんな秘密が並ぶのかと思われたが、大倉の「風呂上がりのストレッチがやめられない」や長野の「靴が好きすぎる！」など、ほのぼのとしたカミングアウトが進む。
　なかでも笑いを誘ったのは、武藤の「パソコンのタイピングが上手くなった」というカミングアウトだ。小泉から「ブラインドタッチで入力できる？」と振られると、「多分できます」と宣言。しかし、あまり上手く入力ができず、メンバーに「本当に得意な人いる？」と助けを求める結末に。名乗りをあげた吉澤が華麗なタイピングを決め、「もうタイピングが得意なんて二度と言いません」とガチで悔しがる武藤。「さすが愛され長男！」と言わんばかりの、やりとりが繰り広げられた。

　「In the nude」は、メンバーが構成を考えたというスペシャル構成。それぞれが引きとアップのソロパートを持ち、7人での魅力を感じられると共にひとりひとりの強みを打ち出した映像となった。
　小泉のアンニュイな表情に長野のメリハリがあるダンス、大倉のドヤッたキメ顔など、彼らの美味しいところを全部詰め。『仮装げんじぶ空間』で唯一しっかり踊る曲ということもあり、ダンスを入念に仕上げてきたのだろう。以前のオンラインライブで披露したとき以上に、表情や振りの些細な部分までこだわっているように見えた。

　エンディングトークでは「幽かな夜の夢」のリリックビデオ解禁と1stアルバム『多世界解釈』のリリースを告知。和気あいあいとした雰囲気で、『仮装げんじぶ空間』を締めくくったのだった。

　デビュー1年目にしてパンデミックに直面し、ネットを中心とした活動を余儀なくされた彼ら。ファンと会えない約1年の間に、それぞれがスキルアップに励んでいることは画面越しでも伝わってくる。そんな姿を見ていると、彼らの成長や輝きを直に味わえる日が来ることが、現時点で待ち遠しくてならない。それまでは、公開されている映像やライブ放送から、原因は自分にある。のエネルギーをもらっていこうと思う。