42回目のバースデーに刻んだ未来への第一歩――待望の有観客で贈られたメモリアルな一夜をスペシャルレポート!
ファンキー加藤 | 2020.12.23
有観客ライブは、およそ10ヵ月ぶり。その間に無観客生配信ライブをやったものの、やはり「観客の前で歌いたい」という欲求を隠さなかった男が、ついに戻るべき場所へ戻ってきた。マスク着用、キャパシティ50%以下、声援・タオル回し禁止、「コロナ感染予防対策ガイドライン」を繰り返すアナウンス。ある意味逆境、望むところ。それは記念すべき42歳の誕生日に刻んだ、未来への第一歩だった。
TANZANITE用にアレンジされたオープニングSEに乗ってゆっくりと登場し、しばらく客席を見渡して立ち尽くす。何かを吹っ切るようにマイクを高く掲げ、「行くぞタンザナイト!」と叫んでミュージック・スタート。1曲目は「MUSIC MAGIC」。強烈なEDMサウンドに輝くミラーボール、ド派手な電飾、降り注ぐライト。間髪入れずにパンキッシュなロックチューン「40」で加速し、力強い四つ打ちビートの「吼えろ」でフロアを揺らす。「吼えろ」は2018年にNYヤンキース・田中将大投手の入場曲として提供し、ももいろクローバーZが歌った曲のセルフカバーで、昨年のももいろ歌合戦でももクロとコラボの一度きりで、自身のライブでは初披露だったが、盛り上がりはばっちりだ。総立ちのオーディエンスが声援の代わりに手拍子を、歌う代わりに手振りを、それぞれの思いを寄せ合ってライブは進む。
「大変な状況の中、会場まで来てくれてありがとう。生配信組の皆さんもありがとう。いろんな制限がある中ですが、いつも以上に表情が見えるようにライトを明るくしてもらっています。みんなの心の声が聴こえています」。
<3、2、1で飛び込め 大海原へ>――。爽快スピードチューン「DIVE」では高々とハイジャンプを決め、「終わらない未来」では<さあ 頑張ろうぜ>というフレーズに拳を握り、「カラフル」では七色のライトのもとで満場一致の手拍子をリードする。序盤はやや緊張気味に聴こえた歌声が、ぐっと力強くなってきた。調子が出てきたところでぶちかます「デ・マ」は、応援歌マスター・ファンキー加藤が下ネタ&ダブルミーニングで攻める飛び道具で、ヘビーなトラップ系ビート+下ネタ+世界平和のメッセージ=笑いと感動のビッグチューン。歌い終わって「……セトリから外したほうが良かったんじゃない?(笑)」とつぶやくオチも含めて、有観客だからこそ盛り上がる1曲だ。
「珍しく昨日は眠れませんでした。やっと会えたこと、心からうれしく思っています」。
感染防止対策の一環で15分間の換気タイムを利用してのトークは、コーラス・バカムスコ翔、キーボード・田中隼人とともに、ゆるく楽しくのんびりと。そして隼人の「今日はファンキーさんの誕生日です!」という声を合図にバースデーケーキが登場。メルマガ会員から募ったファンの皆さんの♪ハッピーバースデイの歌声→ろうそく吹き消し→スタッフによる紙テープバズーカ炸裂と、ハッピーサプライズは無事に大成功。ファンキー加藤42歳、今この瞬間、世界一ハッピーな男。
「ライブ再開します!」の声とともにスタートした後半戦。その最初のピークを刻んだのは、この日のためのスペシャル仕様「FUNKY MONKEY BABYSメドレー」だ。曲は「メロディーライン」「そのまんま東へ」「大丈夫だよ」「あとひとつ」「サヨナラじゃない」、そして「ちっぽけな勇気」。ファンモンの歴史を彩る名曲は今も色あせず、いやむしろ今の時代にこそ必要なエールとして力強く響く。「歌えなくても届いてるからな!」と叫び、「ちっぽけな勇気」の歌詞を<今度こそ一緒に歌おうな!>と変えて歌った、その思いがまっすぐに届いてくる。
「外の世界は大変だから、この空間ぐらいはキレイゴトでいいじゃん。この時間だけは、俺が『大丈夫だ』と言い続けるから」。
コロナ禍に揺さぶられた2020年を振り返り、「次に会うときまで生きてなきゃ、ただじゃおかねえぞ!」と檄を飛ばす、長く熱いMC。「その思いを込めてみんなに捧げます」と言って歌った「君でした。」と、続く「太陽」の2曲は、ファンキー加藤の生きる原動力となってきた「君」=ファンへ向けての誠実なラブソングだ。「君でした」を歌いながら一人ひとりの顔を指差してゆく、普段は照れくさくてできないことも、ライブならきっとできる。言えないことも、ライブならきっと言える。
「ライブも第3コーナーを回りました。立て続けに行くぞ!」。
ここから始まるラストスパート、加藤が吹くハーモニカがリードするロックチューン「冷めた牛丼をほおばって」で一気に加速し、ソロデビュー2発目のヒット曲「輝け」を経て、痛快疾走チューン「CHANGE」へ。鍵盤が揺れるほど力がこもる、隼人のピアノも気合が入ってる。翔のコーラスも頑張ってる。そして本編ラストを締めくくったのは、ファンキー加藤の歴史の1ページ目に刻まれたソロデビュー曲「My VOICE」だった。マイクを客席に向け「心で歌って!」と叫び、耳に手を当て、笑顔でサムズアップした。加藤の耳には、会場全体の大合唱が本当に聴こえていただろう。
アンコール。いきなりアカペラで歌い出した「花」は、ファンキー加藤のレパートリーの中でも特に激しく速いパンクロックスタイルで、歌いながらステージを限界ぎりぎりまで走りまくり、文字どおりの全力疾走。「しんどい……けど楽しいなライブは」と思わずつぶやいたのは本音だろう。続く「ぼくはサンタクロース」は、田中隼人が初めてFUNKY MONKEY BABYSの楽曲アレンジを手掛けた思い出の1曲で、めくるめくミラーボールとクリスマスカラーの電飾に照らされ、とことんロマンチックでドラマチックに。四つ打ちのキラキラ明るいダンスチューンに、よく聴くと本当は悲しい歌詞を載せた、絶妙のアンバランスが胸を打つ隠れ名曲。ライブで披露するのは珍しい1曲、ここで聴けてよかった。
「今日は、一生忘れない思い出のひとつになりました。こんな俺ですが、これからも温かく見守ってもらって、ちょっとだけついてきてください。ここにいる仲間と、必ずまた一緒になれるように願いをこめて――」。
美しい満天の星空をかたどった演出のもと、星に願いをかけるように歌ったこの日のラストチューンは「つながるから」。ひとりで流す涙は必ず誰かにつながるから、いつか笑顔に結ばれると信じて――。2020年の暮れに聴く「つながるから」は、これまで聴いたどの「つながるから」よりも力強く、温かかった。「またどこかでつながりましょう。最高のバースデーライブでした!」――「終われない歌」のBGMに送られて、笑顔でステージを去るのは、逆境をばねに何度でも這い上がってきた男、ファンキー加藤だ。困難な2020年の向こう側に、確かな光を信じて、ファンキー加藤の2021年はもうスタートしている。
【取材・文:宮本英夫】
【撮影:久保永隆二】
<アーカイブはこちらから>
https://tixplus.jp/feature/funkykato_202012/
[視聴期間]
12月31日(木)23:59まで
リリース情報
F
2020年04月01日
ドリーミュージック
02.今だけを信じて
03.終われない歌
04.君でした
05.DIVE
06.八王子キッド
07.死守
08.Be Alright
09.デ・マ
10.40
11.夢のカケラ feat.ファンキー加藤&ベリーグッドマン(SC Remix) / SPICY CHOCOLATE
セットリスト
FUNKY KATO BIRTHDAY LIVE “TANZANITE” 2020.12.18@昭和女子大学 人見記念講堂
- 01.MUSIC MAGIC
- 02.40
- 03.吼えろ
- 04.DIVE
- 05.終わらない未来
- 06.カラフル
- 07.デ・マ
- 08.ファンモンメドレー(「メロディーライン」~「そのまんま東へ」~「大丈夫だよ」~「あとひとつ」~「サヨナラじゃない」~「ちっぽけな勇気」)
- 09.君でした。
- 10.太陽
- 11.冷めた牛丼をほおばって
- 12.輝け
- 13.CHANGE
- 14.My VOICE 【ENCORE】
- EN1.花
- EN2.ぼくはサンタクロース
- EN3.つながるから
お知らせ
第4回 ももいろ歌合戦~ニッポンの底力~史上最多アーティストと年越し7時間生放送
2020/12/31(木)18:00~ 無観客生配信
ABEMA AbemaSPECIAL2チャンネル
https://abema.tv/channels/special-plus/slots/B9hMh2X8K9ePRq
ローソン沖縄 presents「HY SKY Fes 2020→2021」
2021/04/04(日)沖縄 沖縄県総合運動公園 多目的広場
w/ KICK THE CAN CREW / 肝高の阿麻和利 / Kiroro / HY / 清水翔太 / 大城美友 / アカネキカク / MASA MAGIC
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