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なんと横浜アリーナから無料生配信! 全身全霊のメッセージを届けた配信の様子を徹底レポート!

SUPER BEAVER | 2021.01.05

 SUPER BEAVERが、初の無観客生配信ライブを12月8日(火)、9日(水)に横浜アリーナで開催した。このうち、12月9日「SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP~全席空席、生配信渾身~@横浜アリーナ」の様子をレポートする。

 配信が始まると、ボーカルの渋谷龍太がアカペラで歌い始めた。<♪ひとりで生きていたならば こんな気持ちにならなかった>。バラード曲「ひとりで生きていたならば」でライブはスタートした。メンバーひとりずつの表情を捉えていくカメラ。全員、最初からクライマックスのようなテンションだ。力強いユニゾン、ファルセットのコーラルも清々しい。渋谷のロングトーン、もともと声量のあるボーカリストだが、この日は配信画面からも倍音が明確にわかった。つまりそれだけ、メンバーそれぞれのサウンドがクリアに聴こえてくるのだ。配信ライブの醍醐味のひとつは、サウンドをダイレクトに堪能できることだと思う。つまり、メンバーのそれぞれのサウンドをクリアに聴くことができるわけだが、それは、個々のスキルが露わになることでもある。個々の実力はもちろん、バンドとしての底力が問われるのだ。この日は、1曲目から、彼らのバンドとしての底力を改めて確信するような、キレッキレの演奏だった。

 渋谷がマイクをとる。「さあ、あなたにお送りする1時間、しっかりと目に焼き付けて帰ってください」と言ったあと、渋谷は次の曲をこう紹介した。「本日のこの曲があなたにとっての突破口になりますように」と最新シングル「突破口」へ。ドライブするアップチューンに合わせ、無数のムービングライトが旋回する。目の前に手を差し伸べて歌う渋谷。カメラに近づき、左手を耳に当てて、声を聴こうとするジェスチャー。彼らのライブではお馴染みのパフォーマンスだが、最後、一瞬にっこりと笑った渋谷の表情に、誰でも間近で体感できるのは配信ライブならではである、ということを改めて実感した。

 渋谷のMC。「俺たちがSUPER BEAVERです。今日は(自分たちのために)時間をくれてありがとうございます」と挨拶。その後、自分達にとっては初の生配信ライブであることに触れ、こう続けた。「普段はチケットを買ってもらってステージに立っている。そうじゃないと失礼だと思ってやってきた。でも今年は違う。嫌なことのほうが多かったかもしれない……」と本音を吐露したあと、こう締め括った。

「欲しいのはお金じゃなくてあなたの時間。なんでかって言うと、俺たちが楽しいから。俺たちのライブに付き合ってくれて、ありがとうございます。責任もって楽しい時間にします」。

 パンキッシュなアップチューン「正攻法」では、巧みなバンドアンサンブルで骨太なグルーヴを作り出した。「何があるかわからない。時は待ってくれない。今日のライブみたいに、一瞬で終わってしまうから。少しでも目を離さないようにお願いします」と「閃光」へ。渋谷が画面越しに「歌ってくれますか?」と声をかける。コメント欄に「歌う!」「もう一緒に歌ってる」という言葉が溢れる。さらには、<♪あっと言う間に終わってしまうよ>という歌詞が、何度も書きこまれていった。

 これまでメンバーのアップ中心だったカメラワークが、次第に変わっていく。視界が広がっていく。メンバーは、円形のトラスを組んだセンターステージに立っていた。渋谷が再びマイクをとった。「いやはや、初めましての方もたくさんいるのかな。結成16年目に突入したバンド。今年は15周年イヤーなので、面白いことをやろうと、アリーナツアーもやろうとしましたが、計画の9割9分9厘がとん挫してしまいました。いろいろあって、やっぱり最低の1年……だったのかな。でも最高の時間が作れたらと思って、今、ここに立っています」。

 ここで各メンバーが順番にマイクをとった。まずはギターの柳沢亮太。「いろんなことがあって、この日を開催しようと決めましたが、基本的には楽しいことをやろうというのがありました。今日の日があるのは(この配信ライブを)観てくれる人がいるから。本当にありがとうございます」。続いてベースの上杉研太。「いろいろあった1年だけど、こういう形で音楽が届けられるのは、すごくポジティブだと思っています。来年も、これからもポジティブに。ずっとポジティブに俺たちは音楽をやってきます。ありがとう」。最後は渋谷から“うちのかわい子ちゃん”と紹介されたドラムスの藤原“32才"広明。「ありがとうございます。こういうときこそ、一緒に歌えるバンドだと思うので、そういう曲をやっていこうと思います」。誰もいない客席が映る。本当なら全部埋まった状態で、この日を迎えるはずだった、と渋谷。そしてこう続けた。
「本当はツアーファイナルのはずだった日。だけど今日初めて俺たちを知った人にとっては、始まりの日だと思います。いつもなら聴こえるコールアンドレスポンス、その声援が今日は俺たちには聴こえません。でもこの、声が届かなかった時間が、新しい形で我々に返ってくる、あなたにも返っていくと信じている。だから今、あなたのいるその場所から、できる限り大きな声で返してください」。

「予感」へ。画面がアリーナの上空からステージに下降していく。クレーンかドローンの映像だろう。渋谷がカメラにマイクを向ける。ほかのメンバーは、いつもは観客が歌うフレーズを大きな声で繰り返す。そして渋谷の「あなたが宇宙でいちばんかっこいいと思ってます。合言葉は“東京流星群”」という言葉から、キラーチューン「東京流星群」へ。ミラーボールが回り、無数の星がステージと客席に降り注いでいく。その様子はまるで、メンバーを含んだ視聴者のそれぞれの想いが、横浜アリーナに集結しているようだった。エンディングで<♪東京流星群>と大きな声で何度も繰り返すメンバー。その咆哮が、SUPER BEAVERのありったけの気持ちが、すぐ目の前にあった。

 渋谷が真っ直ぐこちらを見ながら言う。「やり場のない気持ちと思いをすべて込めて。ぶつかられる気持ちがあるとしたら、すべて俺たちが受け止めるから。だから全身全霊をかけてかかって来てください。あなたにとってのこの瞬間が、俺たちにとっての“ハイライト”」。激しく明滅するライトの中で「ハイライト」へ。ベースの上杉研太が、マイクにかぶりつくようにしてコーラスしている。ドラムスの藤原“32才"広明は、口を結び、思いっ切りシンバルを叩く。ギターの柳沢亮太は、目を見開いて画面の向こうに視線を送り、激しくギターをかき鳴らす。観客がクラップをするタイミングでは、コメント欄に「拍手!」「クラップ!」という言葉が溢れた。

 渋谷のMC。たくさんの人の力を借りてこの日の無観客生配信ライブが叶ったといい、頑張ってくれたスタッフにありがとうと、メンバー全員で拍手を送る。その後、こう続けた。
「今こうやってこの瞬間、会えているということ。そのためにあなた自身も、いろいろ頑張りました。そんなあなたにも大きな拍手を」。
 画面越しに拍手を送るメンバーの姿が順番に映る。みんな笑顔だ。SUPER BEAVERは、この日の生配信ライブのアーカイブを残さなかった。何故か。彼らは空間を共有できない分、時間を共有しようとしたのだと思う。もっと言ってしまえば、瞬間の共有。瞬間の積み重ねが時間になること、さらにそれがお互いの歴史になることを彼らは身をもって知っている。だから“瞬間”を大事にし、アーカイブを残さなかったのではなかろうか。渋谷が言葉を続ける。
「あなたが差し伸べてくれた手をしっかり掴みたい。掴んだら離さないように、離れないように、離したいと思われないような、そんなスタンスのバンドでいたいと思っています。安心してついて来てください。よろしくお願いいたします。こんな形で横浜アリーナをやるとは思ってなかったけど、こういう形じゃなきゃ会えなかった“出会い”もきっとあったと思っています。『次はライブハウスで会いましょう』と言いたい。だから言う。ライブハウスで会いましょう。ありがとうございました。」。

 エンディングを飾ったのは「人として」。6人編成の生ストリングスとともに演奏された。ライブ生配信終了直後に、2021年2月3日のニューアルバム『アイラヴユー』発売と、リリースツアー第1弾を発表。さらに年明けに「SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP~ラクダの決着、豊洲3本勝負!~」と銘打ち、豊洲PITにて有観客でのワンマンライブ開催も発表された。
 16年目の新人バンド、SUPER BEAVERの15周年イヤーは終わらない。なぜなら、これからが、あなたが彼らの音楽に出逢った瞬間からが、いつも彼らにとってのスタートなのだから。

【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:青木カズロー】

tag一覧 J-POP 配信ライブ 男性ボーカル SUPER BEAVER

リリース情報

アイラヴユー

アイラヴユー

2021年02月03日

ソニー・ミュージックレーベルズ

01.今夜だけ
02.ハイライト
03.突破口
04.mob
05.自慢になりたい
06.パラドックス
07.アイラヴユー
08.予感 -Album mix-
09.時代
10.ひとりで生きていたならば
11.さよなら絶望

セットリスト

SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP〜全席空席、生配信渾身〜
2020.12.09@横浜アリーナ

  1. 01.ひとりで生きていたならば
  2. 02.突破口
  3. 03.正攻法
  4. 04.閃光
  5. 05.予感
  6. 06.東京流星群
  7. 07.ハイライト
  8. 08.人として

お知らせ

■ライブ情報

SUPER BEAVER 15th Anniversary
都会のラクダSP〜ラクダの決着、豊洲3本勝負!〜

2021/01/15(金)東京 豊洲PIT
2021/01/21(木)東京 豊洲PIT
2021/01/27(水)東京 豊洲PIT
※有観客でのワンマンライブ、Official YouTube Channelにて“無料生配信”あり!


SUPER BEAVER 『アイラヴユー』 Release Tour 2021
〜愛とラクダ、15周年ふりかけ〜

2021/02/03(水)東京 Zepp Tokyo
2021/02/10(水)愛知 Zepp Nagoya
2021/02/11(木・祝)愛知 Zepp Nagoya
2021/02/19(金)大阪 Zepp Osaka Bayside
2021/02/20(土)大阪 Zepp Osaka Bayside
2021/02/28(日)福岡 Zepp Fukuoka
2021/03/01(月)福岡 Zepp Fukuoka
2021/03/05(金)北海道 Zepp Sapporo
2021/03/06(土)北海道 Zepp Sapporo
2021/03/11(木)神奈川 KT Zepp Yokohama
2021/03/12(金)東京 Zepp Haneda

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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