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10曲入魂、2021年に向けて一点の曇りなし。生配信ライブ「一煮立チ“狼火応答”」徹底レポート!

WOMCADOLE | 2020.12.30

 このコロナ禍になってから、彼らの音楽に触れたりライブを観たりするたびに思うのだが、WOMCADOLEは今こういうことになってしまった世界を予見していたのではないか。いや、予見というよりも、こういう状況のなかで見えてきた真実を、彼らは最初から捉えていたのではないか。人間に本当に大事なものは何なのか、ロックに、バンドに何を求めるのか。彼らの楽曲の変わらないヒリヒリとした感触は、それだけを追い求めてきたからこそ生まれる説得力に満ちている。そしてその説得力は「いつもどおり」のライブができない今こそ威力を発揮する。8月に地元・滋賀から発信した「一煮立チ“現”」に続く、2度目の無観客配信ライブ。「現在を鳴らしにきました。WOMCADOLEと申します。よろしくお願いいたします!」「見えねえものは信じなくていいぞ。おまえの目ン玉に映り込んでいるものだけ、俺はそういうものを大事にしたいんだよ。今すぐ会いに行ってやる」――そんな樋口侑希(Vo/Gt)の啖呵とともに「一煮立チ“狼火応答”」は幕を開けた。

 1曲目にいきなりニューアルバム『共鳴howRING』(1月20日リリース)からの新曲「綴リ」をぶちかまし、「少年X」に一気に流れ込む。樋口とマツムラユウスケ(Gt)がお立ち台にのぼりギターの音をぶつけ合う冒頭の展開から、すでに何かがほとばしっていた。もちろんWOMCADOLEのライブでいろいろなものがほとばしっているのは「いつものこと」だが、それに輪をかけて、何か切迫したものを感じさせる熱演が繰り広げられていく。それは再び悪化に転じたように見える社会情勢に対する反抗心でもあるだろうし、自分たちの音楽がどこまで届くのかという命題に対する挑戦心でもあるだろう。いずれにしても、無観客であることや配信であることを一切言い訳せずに、彼らはひたすら楽曲を爆音で鳴らし続ける。

 安田吉希(Dr)はトレードマークの金髪を振り乱して一心不乱にドラムを叩き、白いシャツを着た黒野滉大(Ba)は沸々と沸き上がる情熱を漆黒のベースラインに変える。「音楽っつうものは何を信じてやるもんだ? なあ? 心だろ、魂だろ!」。樋口が叫び「YOU KNOW?」へ。ウォンカの新たな武器となったマツムラのギターが唸りを上げ、<夢を見ろ、覚めない程の色彩で>という楽曲のメッセージをますますスリリングに伝えてくる。かと思えば「頂戴」ではちょっと大人でファンキーなグルーヴが艶っぽく鳴り渡る。巻き舌で歌う樋口のボーカルも感情の激しい波を乗りこなすように自由自在。フロアに寝そべって弾き倒す樋口の下には、ソーシャルディスタンスを保つために引かれたライン。そんなライブハウスの現状をぶち壊すとでもいうように、ウォンカのロックンロールはますます熱く燃え上がっていく。

「おうちで踊りな、少年少女たちよ」。曲の途中でギターを置き、裸足でフロアを駆け回る樋口。黒野はお立ち台の上でシャドーボクシングや腕立て伏せを披露する。気がつけばステージの上で踊っている樋口とマツムラ。やりたい放題、これが俺たちの遊び方だとでも言うように、やりたい放題のライブが展開していく。なめんじゃねえ、負けてらんねえ。これがウォンカの戦い方だ。

「改めまして、WOMCADOLEと申します。楽しいっすよ、すでに」。さっきの黒野のパフォーマンスを指摘して「あれ、憑依してたの?」と突っ込む樋口は笑顔だ。「好き放題やな」という安田の言葉に「そんなもんやろ」と応える樋口。配信ライブは今回が2回目だが、前回とはまったく違うやり口で、この閉塞した状況に一撃を加えようとしているのがよくわかる。樋口が続けて語る。「ダリぃことばっかですわ、世の中。でもダリぃからって目をそらしてはないよ、俺たち。観てくれている人全員最前列です。俺たちの魂を受け取ってほしいです」。そして「キャパシティも関係ねえ、今日この日ロックを鳴らすことに意味があると思ってんだよ。全員正直になれ!」という口上とともに「ヒカリナキセカイ」を投下する。正直で確信に満ちた言葉たちが、WOMCADOLEがくぐり抜けてきた日々を物語る。

「メーデー! メーデー! こちらライブハウスのど真ん中、ずっとずっとあんたの応答を待ってるんだよ。いや、ただ待ってるんじゃない、俺たちは鳴らしてんだ。あんたといつか鳴らせる日を待ってんだよ」。ひたすらに突っ走るマツムラのギターリフが牽引する「応答セヨ」、文字どおり夜明けのような青い光の中で演奏された「夜明け前に」。どんどん速く前のめりになっていくリズムが、まるで彼らの人生そのもののように鳴り響く。そして、樋口にとってとてもパーソナルな曲である「ミッドナイトブルー」を歌う前、彼は「君が忘れねえように、俺自身が君を忘れないように、何度だって歌うから、何度だって聴きに来てくれよ」と語りかけた。マツムラのギターソロがその思いをますますドラマティックに盛り上げ、センチメンタルで孤独な樋口の心の内を詳らかにしていった。

「たくさんのものと戦いながら、ときには絶望したり、ときには涙を流したり。それでも戻らねえと知りながら、引きずったりしてしまうのが人間で。時間は勝手に回りやがる存在かもしれないけど、俺らは必ず未来に追いつくし、明日に追いつく。死ぬまでやめねえって決めた以上、不格好であれありのままの姿を見せつけようと、最近胸に本当に刻み込みました」。この2020年に感じたことを、樋口が丁寧に言葉にする。「RIP2020、もう身勝手はやめてくれよ!」。時代に対するロックバンドの捨て身の抵抗。熱く、音を鳴らし続けることは、それ自体が戦うことにほかならない。そんな言葉を経て鳴らされた「軌跡」の力強さは、彼らの姿勢を問答無用で見せつけていた。そして最後に鳴らされたのは「doubt」。ここまでの流れとは打って変わって、ジャジーな響きが滑らかに届けられる。ハンドマイクで画面越しに語りかけながら、どんどんテンションを高めていく樋口。マツムラはステージに腰掛けてギターを爪弾いている。

「ちゃんと伝えなきゃ、勝てるもんも勝てねえだろ。俺は知ってるよ。生きて生きて生きて、生きてきたからこそ、いろんなものを知ったからこそ、いろんなものを吐き出したいと素直に思っているからこそ……ロック鳴らしてんだよ」。歌だけでなく、メロディアスなギターのフレーズやそれを支えるビートまで、どちらかといえば洒脱で落ち着いたこの曲ですら、とてつもなくエモーショナルに化ける。それこそWOMCADOLEのライブだ。メンバー全員がコーラスし、樋口が後頭部に持ってきたギターでソロを弾く。セッションが続くなか、映像と音がフェードアウトして、この日のライブは終わりを告げた。それはまるで、これが本当のライブのための「予告編」であることを示しているようでもあった。1月からは東名阪のツアーも決定。この日の「続き」は、きっとそこで明らかになることだろう。

【取材・文:小川智宏】

tag一覧 J-POP 配信ライブ 男性ボーカル WOMCADOLE

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リリース情報

ノベル・コンセプトアルバム『共鳴howRING』

ノベル・コンセプトアルバム『共鳴howRING』

2021年01月20日

UNIVERSAL MUSIC

01.応答セヨ
02.再生
03.Noah’s
04.DANGER
05.レイテンシー
06.kate
07.綴リ
08.軌跡
09.またね

<初回限定盤DVD収録内容>
「ヒカリナキセカイ」「軌跡」「応答セヨ」Music Video+撮影オフショット映像

セットリスト

ONLINE LIVE「一煮立チ“狼火応答”」
2020.12.21

  1. 01.綴リ
  2. 02.少年X
  3. 03.YOU KNOW?
  4. 04.頂戴
  5. 05.ヒカリナキセカイ
  6. 06.応答セヨ
  7. 07.夜明け前に
  8. 08.ミッドナイトブルー
  9. 09.軌跡
  10. 10.doubt

お知らせ

■ライブ情報

Novel Wonderland tour
2021/01/27(水)大阪 なんばHatch
2021/02/22(月)愛知 名古屋DIAMOND HALL
2021/04/08(木)東京 新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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