いざ、SAKANAMONワールドへ! 多彩な映像演出を融合させた画期的な配信ライブ「Go To SAKANAMON THE WORLD」を徹底レポート!
SAKANAMON | 2021.01.14
1月11日に配信された「Go To SAKANAMON THE WORLD」。VJ映像を含む様々な演出を交えつつ楽曲の世界を表現するという旨が事前にアナウンスされていたが、はたしてどのようなものとなるのか? リアルタイム視聴するためにPCの前で待ち構えているうちに迎えた18時。すると、宇宙船内の様子が映し出された。「さあ、どうしましょうか?」と言いつつ操縦席に座った藤森元生(Vo/Gt)。「今、調べてたんだけど、結構、音楽の星があるらしいよ」と森野光晴(Ba)。「音楽の星? 行きたい! 行きたい!」と非常に乗り気な木村浩大(Dr)。「ようし! 出発進行!」、藤森が操縦桿を握って幕開けた宇宙の旅――というオープニングを経て、無数の星が瞬く大宇宙が画面いっぱいに広がった。某SF映画を彷彿とさせるプロローグの文章が船団のようにゆっくりと流れていく様がかっこいい。未知のウィルスの出現により、数多くのライブが中止となった2020年。「しかし、音楽は手放せない。みんなと会いたい」という理由で彼らは宇宙へと飛び出すことになったらしい。ところどころ意味がよくわからない説明を「そういうわけ」と強引に結ぶところが、なんだかとてもSAKANAMONっぽい。そして、新成人を祝う言葉も唐突に飛び出しつつ、ついに開演の時を迎えたのであった。
1曲目を飾った「FINE MAN ART」。星空の映像が投影されたステージで鳴り響くサウンドが、いつにも増してドラマチックに感じられる。そして、異世界へとワープするかのようなミステリアスな空間がさらに生み出され、突入した2曲目「SAKANAMON THE WORLD」。流れゆく無数の光の粒子、明滅するグラフィック、綺麗な光の軌跡……演奏を続ける3人、大人しく佇んでいるお馴染みのマスコットキャラクター「サカなもんくん」が、映像演出と完全にシンクロしている様が美しい。今回の配信ライブが特別なものとなることを改めて強く予感させられた。
2曲が披露された後、再び映し出された宇宙船内。「ちゃんと運転しろ! 荒いよ、運転が!」と藤森は怒られていたが、どうにかこうにかどこかの星に到着したらしい。「なんか生き物の声がしません? 確かめに行きましょう」ということになり、3人は船外へと向かった。そこで画面が切り替わって演奏再開。まず届けられたのは「UMA」。実に宇宙の旅にふさわしい選曲と言うべきだろう。UMA=未確認生物とのコンタクトを、この楽曲は見事にイメージさせてくれた。ジャジーなスタイリッシュさも交えつつ、起伏に富んだ展開がスリリング極まりない。続いて「鬼」。えっ! 鬼って宇宙にいるの? そんなことをちょっと思ったが、和風の笛や鼓の音を盛り込みつつ、ユニークなサウンドを響かせるバンドにワクワク! そして「丘シカ地下イカ坂」。坂を舞台としてシカとイカが繰り広げるほのぼのとした物語が、どういうわけなのかいきなり宇宙に飛び出したことを想像すると、なんだかとても愉快な気持ちになった。
ステージ上に突然現れた宇宙人。全身タイツ風の風貌、黒目がちな姿から察するに、「グレイ型宇宙人」というやつだろうか? 宇宙人が無言で差し出した手の指先に触れようとした藤森は、頭をいきなり掴まれて「うわー!」という叫び声を上げた。何事?と思ったところで「架空の色彩」がスタート。ピアノで彩られた瑞々しいメロディ、力強く躍動するリズムが心地よい。そして、耳を傾けながらうっとりしているうちに締め括られた演奏。画面に映し出されたのは、どこかのバーの風景だった。いきなり飲み物が目の前に置かれたので、怪訝そうな表情を浮かべた宇宙人。すると「あちらのお客様からです」といった感じでカウンターの端のほうにいる藤森を指差したバーテンダーの森野。すっかり仲良くなった宇宙人と藤森は、どう考えても地球の渋谷としか思えない風景の中で親交を深めるのであった……文字にするとまったく意味がわからないはずの映像を経て、「WOULD YOU LIKE A HENJIN」の演奏が始まった。ステージのセンターで鍵盤を弾く藤森。上手側でパッドをスティックで叩いてリズムを刻む木村。下手側でベースを弾く森野――という横並びのフォーメーション、新鮮な楽器編成が目を引く。シンセサイザーを奏でつつ歌った藤森を軸として構築されたエレクトロ風味のサウンドが刺激的だった。
ボサノヴァのエッセンスを交えた「エロス」。3人の息の合ったキメとタメを随所に交えながらダイナミックに展開させた「少年Dの精神構造」。アイリッシュフォークのようなサウンドで彩られた「矢文」。SAKANAMONの音楽性の多彩さをじっくり噛み締めたところで、再び挿入された宇宙船内の様子。操縦席で失神していた藤森を森野と木村は揺り起こしたのだが、どこかに不時着してしまった!……という映像のあとに連発された「CORE」と「ONE WEEK」は、骨太なサウンドが抜群にかっこよかった。そして、LEDバーが光を放つサイバーな空間から、さらに届けられた「コウシン」と「LIKES」。映像演出と鳴り響くサウンドが絶妙に融合する様から、片時も目を離すことができなかった。時が経つのも忘れて画面に釘付けになっていた視聴者が、たくさんいたはずだ。
壊れた宇宙船の修理は、どうにかこうにか完了。「じゃあ、もう運転嫌だし、酒飲みたいから帰りましょう!」ということになり、地球へと向かった3人……という映像を経て披露された「HOME」。アコースティックギターを弾きながら歌う藤森を軸として、温かいサウンドが伸び伸びと響き渡った。そして、「地球に戻ってきました。やっぱり慣れ親しんだ地球は居心地がいいですね。最後はみんなで一緒に歌いましょう!」と藤森が視聴者に呼びかけて、「TOWER」へと突入。今回の配信ライブ内で登場した鬼、鰐、蟹、シカ、イカ、宇宙人などのイラストが踊る映像がステージを彩った。リアルタイム視聴している人々による<束に成って><タワーに成って><ララララー>という言葉がコメント欄を埋め尽くす様が壮観。ライブ会場を爽やかに震わせる大合唱のようなムードが作り上げられていた。
エンディングムービーのエピローグの文字が告げた終演。ここでは「4月14日 コンセプトミニアルバム『ことばとおんがく』リリース」といううれしい告知も飛び出した。この作品は“言葉遊び”と“音楽”をコンセプトに制作されたのだという。今までのような形でライブを頻繁にできる日々が戻ってくるのは、もう少し先のことになりそうだが、SAKANAMONは着々と前に進み続けているようだ。彼らの今後の活動も刺激的なものとなっていくに違いない。
この配信ライブ「Go To SAKANAMON THE WORLD」は、1月15日(金)23時59分までアーカイブ映像を視聴することができる。まだ未体験の人はお見逃しなく! 新鮮なスタイルによる彼らの演奏を、ぜひじっくりと堪能してほしい。
【取材・文:田中大】
リリース情報
LANDER
2020年02月26日
TALTO
02.LIKES
03.ONE WEEK
04.HOME
05.アフターイメージ
06.YOKYO
07.WOULD YOU LIKE A HENJIN
08.夏の行方
09.少年Dの精神構造
10.矢文
11.CORE
12.コウシン
セットリスト
Go To SAKANAMON THE WORLD
2021.01.11
- 01.FINE MAN ART
- 02.SAKANAMON THE WORLD
- 03.UMA
- 04.鬼
- 05.丘シカ地下イカ坂
- 06.架空の色彩
- 07.WOULD YOU LIKE A HENJIN
- 08.エロス
- 09.少年Dの精神構造
- 10.矢文
- 11.CORE
- 12.ONE WEEK
- 13.コウシン
- 14.LIKES
- 15.HOME
- 16.TOWER
お知らせ
「Go To SAKANAMON THE WORLD」
※アーカイブ配信:2021/01/15(金)23:59まで
https://eplus.jp/sf/detail/0758180002?P6=001&P1=0402&P59=1