Saucy Dog、憧れの先輩と尊敬する同世代バンドと共に作り上げた対バンイベント「リベンジエピソード」
Saucy Dog | 2021.02.09
2日目の対バン編には、THE BAWDIES、ハルカミライ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの3組をゲストに迎えて開催された。
「ロックンロールバンド、怖くないです。お祭りが始まると思って参加してください」。会場の緊張を和ますようなROY(Vo/Ba)の言葉で口火を切ったTHE BAWDIESは、いきなりフルスロットルで「IT’S TOO LATE」を投下した。ロングトーンのシャウトと熱いグルーヴで集まったお客さんを根こそぎ踊らせていく。お客さんを楽しませて、自分たちも楽しむ。そんなTHE BAWDIESのライブは、Saucy Dogがお手本のようだと憧れる理想のバンド像だ。甘酸っぱいミディアムバラード「LEMONADE」を挟み、MCでは、「音楽を楽しむ文化を止めないでイベントを開催してくれたSaucy Dogに、音楽ファンとして感謝を伝えたいです」とROY。“雨のあとには晴れがくる”というメッセージを込めた最新ナンバー「SUN AFTER THE RAIN」から、祭りの打ち上げ花火と称してお客さんを一斉にジャンプさせた「JUST BE COOL」まで。ユーモアとロックンロールへの愛情に満ちたステージでイベントのトップバッターを飾った。
Saucy Dogとは同世代となるハルカミライは、初っ端から「君にしか」「カントリーロード」「ファイト!!」といった衝動的なパンクロックを間髪入れずに連投。“僕ら世界の真ん中”と高らかに宣言する「春のテーマ」、序盤から早々に上裸になった橋本学(Vo)が圧巻のアカペラを聴かせた「世界を終わらせて」など、暗闇から光へと導くような優しい歌唱にフロアからは一斉にこぶしが突きあがる。MCでは、この日が初めての武道館ライブになったことに触れて、「俺らのファンの中にはハルカミライの初武道館はワンマンがよかったって言う人もいる。でも、それが武道館だろうが、ライブハウスだろうが、友だちが誘ってくれたら、そりゃ行くよ」と、そのステージに立つ意味を迷いのない口調で伝えた橋本。「アストロビスタ」では、「俺たちもすげえバンドになろうぜ!サウシー!」と、同世代の友人を鼓舞するように叫んだ。時間が余ったからと追加した「Tough to be a Hugh」と「フュージョン」まで全14曲。4組中、断トツの曲数を詰め込んだハルカミライは、人間まるごとぶつけるような渾身のステージだった。
石原が高校時代から大好きで、コピーしていたという憧れの存在、ASIAN KUNG-FU GENERATIONがトリ前に登場。ゆるやかに大空へと滑空するような最新ナンバー「ダイアローグ」を皮切りに、一瞬にして武道館をアジカンの空気で包み込む。「久々のライブでとっても楽しいです。呼んでくれてありがとうございます」。後藤正文(Vo/Gt)が手短かに感謝を伝えると、「ソラニン」「ブルートレイン」、さらに「荒野をゆけ」と、全世代のロックファンの心を撃ち抜く名曲たちを惜しげもなく披露していく。喜多建介(Gt)のエッジの効いたギターを合図にはじまった「リライト」では、会場のリアクションが一際大きくなった。ラスト1曲を残し、「こういう場所を取り戻していきたいなって、そんなふうに思いながら、今日は演奏しました」と伝えた後藤。ラストはイントロにホーリーなアレンジを施したミディアムテンポ「ボーイズ&ガールズ」が、次第に熱量を帯びてゆき、終演。“愛嬌のない社会に産まれた犬みたいにさ 「興味ない」みたいな言葉で切り捨てないでね”。そんなふうに紡がれるフレーズは、まるでSaucy Dogに捧げる歌のようにも聴こえる気がした。
トリを飾ったSaucy Dogは、前日のワンマンで最後に披露された「今更だって僕は言うかな」から、しっとりとスタート。「お待たせしました。Saucy Dog、はじめます!」。力強く叫んだ石原の声は、対バンの熱演によって火が着いたのか、熱い気合が滲む。MCでは、「自分が予想していた“絶対に最高の場所になる”の“最高”をさらっと超えてきました」と、感極まったように伝えたせと。「コロナなんてぶっ飛ばしてやろうと思います!」と、石原が勇ましい言葉を投げかけた「ゴーストバスター」から、今年1月に配信リリースされた不器用な愛を綴った新たなラブバラード「sugar」まで終えたあと、武道館2Daysの最後に選んだのは「グッバイ」だった。客電をつけ、お客さん一人ひとりの表情を確認するように届けたその歌は、いままでの弱かった自分に別れを告げて、前へ進む決意を込めたバンドの大切なナンバー。それは、この日、会場に足を運んだお客さんが武道館の扉を出たあとにも続いてゆく日常に寄り添い、エールを贈るような力強いフィナーレだった。
アンコールはなく、ここで終わる予定だったが、時間が余ったということで、急遽ステージ上でメンバーが話し合い、最後に「いつか」を追加で披露。バンドと共に成長してきた代表曲で4時間におよぶイベントを締めくくった。
これまでバンドが歩んできた道のりの延長線上にある「点」として、感謝を込めて作り上げた1日目のワンマン。憧れの先輩と尊敬する同世代バンドと共に作り上げた2日目の対バン。ふたつのかたちで完成させたSaucy Dogの初武道館は、ここから長く続いてゆくであろうバンド史に確かな足跡を刻む2日間だった。
なお、2月5日に行われた日本武道館の単独公演「Saucy Dog one-man live “send for you”」の模様は、WOWOWにて3月16日(火)20時から放送される。
また、武道館単独公演のライブセットリストも各種ストリーミングサイトで公開されている。
「ロックンロールバンド、怖くないです。お祭りが始まると思って参加してください」。会場の緊張を和ますようなROY(Vo/Ba)の言葉で口火を切ったTHE BAWDIESは、いきなりフルスロットルで「IT’S TOO LATE」を投下した。ロングトーンのシャウトと熱いグルーヴで集まったお客さんを根こそぎ踊らせていく。お客さんを楽しませて、自分たちも楽しむ。そんなTHE BAWDIESのライブは、Saucy Dogがお手本のようだと憧れる理想のバンド像だ。甘酸っぱいミディアムバラード「LEMONADE」を挟み、MCでは、「音楽を楽しむ文化を止めないでイベントを開催してくれたSaucy Dogに、音楽ファンとして感謝を伝えたいです」とROY。“雨のあとには晴れがくる”というメッセージを込めた最新ナンバー「SUN AFTER THE RAIN」から、祭りの打ち上げ花火と称してお客さんを一斉にジャンプさせた「JUST BE COOL」まで。ユーモアとロックンロールへの愛情に満ちたステージでイベントのトップバッターを飾った。
Saucy Dogとは同世代となるハルカミライは、初っ端から「君にしか」「カントリーロード」「ファイト!!」といった衝動的なパンクロックを間髪入れずに連投。“僕ら世界の真ん中”と高らかに宣言する「春のテーマ」、序盤から早々に上裸になった橋本学(Vo)が圧巻のアカペラを聴かせた「世界を終わらせて」など、暗闇から光へと導くような優しい歌唱にフロアからは一斉にこぶしが突きあがる。MCでは、この日が初めての武道館ライブになったことに触れて、「俺らのファンの中にはハルカミライの初武道館はワンマンがよかったって言う人もいる。でも、それが武道館だろうが、ライブハウスだろうが、友だちが誘ってくれたら、そりゃ行くよ」と、そのステージに立つ意味を迷いのない口調で伝えた橋本。「アストロビスタ」では、「俺たちもすげえバンドになろうぜ!サウシー!」と、同世代の友人を鼓舞するように叫んだ。時間が余ったからと追加した「Tough to be a Hugh」と「フュージョン」まで全14曲。4組中、断トツの曲数を詰め込んだハルカミライは、人間まるごとぶつけるような渾身のステージだった。
石原が高校時代から大好きで、コピーしていたという憧れの存在、ASIAN KUNG-FU GENERATIONがトリ前に登場。ゆるやかに大空へと滑空するような最新ナンバー「ダイアローグ」を皮切りに、一瞬にして武道館をアジカンの空気で包み込む。「久々のライブでとっても楽しいです。呼んでくれてありがとうございます」。後藤正文(Vo/Gt)が手短かに感謝を伝えると、「ソラニン」「ブルートレイン」、さらに「荒野をゆけ」と、全世代のロックファンの心を撃ち抜く名曲たちを惜しげもなく披露していく。喜多建介(Gt)のエッジの効いたギターを合図にはじまった「リライト」では、会場のリアクションが一際大きくなった。ラスト1曲を残し、「こういう場所を取り戻していきたいなって、そんなふうに思いながら、今日は演奏しました」と伝えた後藤。ラストはイントロにホーリーなアレンジを施したミディアムテンポ「ボーイズ&ガールズ」が、次第に熱量を帯びてゆき、終演。“愛嬌のない社会に産まれた犬みたいにさ 「興味ない」みたいな言葉で切り捨てないでね”。そんなふうに紡がれるフレーズは、まるでSaucy Dogに捧げる歌のようにも聴こえる気がした。
トリを飾ったSaucy Dogは、前日のワンマンで最後に披露された「今更だって僕は言うかな」から、しっとりとスタート。「お待たせしました。Saucy Dog、はじめます!」。力強く叫んだ石原の声は、対バンの熱演によって火が着いたのか、熱い気合が滲む。MCでは、「自分が予想していた“絶対に最高の場所になる”の“最高”をさらっと超えてきました」と、感極まったように伝えたせと。「コロナなんてぶっ飛ばしてやろうと思います!」と、石原が勇ましい言葉を投げかけた「ゴーストバスター」から、今年1月に配信リリースされた不器用な愛を綴った新たなラブバラード「sugar」まで終えたあと、武道館2Daysの最後に選んだのは「グッバイ」だった。客電をつけ、お客さん一人ひとりの表情を確認するように届けたその歌は、いままでの弱かった自分に別れを告げて、前へ進む決意を込めたバンドの大切なナンバー。それは、この日、会場に足を運んだお客さんが武道館の扉を出たあとにも続いてゆく日常に寄り添い、エールを贈るような力強いフィナーレだった。
アンコールはなく、ここで終わる予定だったが、時間が余ったということで、急遽ステージ上でメンバーが話し合い、最後に「いつか」を追加で披露。バンドと共に成長してきた代表曲で4時間におよぶイベントを締めくくった。
これまでバンドが歩んできた道のりの延長線上にある「点」として、感謝を込めて作り上げた1日目のワンマン。憧れの先輩と尊敬する同世代バンドと共に作り上げた2日目の対バン。ふたつのかたちで完成させたSaucy Dogの初武道館は、ここから長く続いてゆくであろうバンド史に確かな足跡を刻む2日間だった。
なお、2月5日に行われた日本武道館の単独公演「Saucy Dog one-man live “send for you”」の模様は、WOWOWにて3月16日(火)20時から放送される。
また、武道館単独公演のライブセットリストも各種ストリーミングサイトで公開されている。
【取材・文:秦理絵】
【撮影:白石達也、日吉"JP”純平】
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