ノリ良いアッパーな曲が揃ったMiChiのニューシングル
MiChi | 2010.12.22
サウンドのタイプや伝えられるメッセージ、アティテュードの違いこそあれ、MiChiのニューシングル「LOVE is.」e.pは、収録4曲全てアッパーで勢いのある、ノリの良い曲ばかり。それはまるで各曲が、彼女の今のスタンスや心情、そして気運を表わしているかのようだ。至福感や開放感溢れるエレクトロなサウンドを基調に、ライヴでもキチンと対応できるロック的ダイナミズムやストレートさも上手く加味された楽曲が立ち並んでいる今作。「意図的に、ランニングに合う曲で、先日まで自身を見つめ直した結果から、改めて気づかされた曲ばかりで構成した」との彼女のコメント通り、鼓舞されるメッセージや、逆におバカで能天気な歌が、聴く者を同調させ、踊らせ、ノらせる1枚となっている。 そんなニューシングルを発表した彼女に、今作について色々と聞いてみた。
一人ひとりの反応にそのまんま委ねているMiChiのライヴ・スタンス
- EMTG: この11月~12月は、かなりライヴづいてますよね。
- MiChi: 普段よりは多少多いかな。3箇所だけど、地方にツアーも行ったし、12月上旬は、1週間で3日もあったり。そうそう、11月は学園祭も回りましたからね。
- EMTG: 作品だと、わりとエレクトロの印象を受けるんですが、実際のライヴは、かなりロック的要素も強いじゃないですか。その辺りのお客さんのリアクションはいかがですか?
- MiChi: ライヴはドラムとギターとキーボードを入れて演ってますからね。なので、(シングルだった)「PROMiSE」や「ChaNge the WoRLd」で、私の歌にポップな印象を持ってる人は、実際のライヴを観て、けっこうロックなのに驚いてますね。たまに、「意外とロックなんで驚いた」なんて感想もあるし。ライヴに関しては、最近はクラブよりは、完全にライヴハウス寄りかな。基本、ライヴは大好きですね。
- EMTG: やっぱりお客さんからのリアクションを受けて、自分も高揚したり?
- MiChi: しますねぇ~。だけど、私ってクラブ的な要素も、ロック的な要素も持っているんで、イベントだと最初はアウェイなところが多いんですよ(笑)。しかしその分、私の場合、フロアの前方でワーッと暴れたり、呼応してくれる人もいれば、その後ろには、それら全体も観つつ、マイペースで踊ってくれる人たちもいたりするんで。その2層は面白いかな。
- EMTG: ちなみにMiChiさん的には、そんな時はどんな対応を?
- MiChi: 一人ひとりの反応にそのまんま委ねてますよ。なので、MC等で距離は縮めるけど、無理に一体感を作ろうとしたり、「さぁ、ここで手を上げて!!」や、「手を左右に振って!!」的な強要もあえてしないし。人それぞれの楽しみ方を重視してます。基本、コブシを上げたかったら上げてもらってかまわないし、ゆったりと踊りたいなら踊って下さいってスタンスですから。
- EMTG: 元々、MiChiさんの音楽性自体、幅広いし、許容範囲も広そうですもんね?
- MiChi: そうそう。それこそ地方のワンマンでは、ギター1本での弾き語りのコーナーもありますから。
- EMTG: 何故、冒頭の質問をしたかというと、今回のニューシングルのタイトル曲の「LOVE is.」は、わりとMiChiさんのライヴでのお客さんからのリアクションからの体感から出来た曲かな?と思ったからなんです。
- MiChi: 「与えるもの」が、この曲の主旨にはありますからね。そういった意味では、その辺りも含まれてますよ。だけど、今回はそれよりももっと大きなファクターがあったかな。
- EMTG: それは?
- MiChi: (2009年秋に)1stアルバムを出して、演りたいこと、伝えたいことを全て出し切った感が自分の中ではかなりあって。いわゆるやり尽くした感というか。その時に、エンプティさと同時に凄く孤独を感じたんです。その頃に考えていたことが歌として現れてますから。
- EMTG: ちなみに、その頃考えていたこととは?
- MiChi: ”MiChiさんに前向きさを与えてもらいました”とか、”MiChiさんの歌を聴いて元気になりました”等々の感想をもらう度に、自分は与えるばかりで、与えてもらえることはないな...”なんてイヤなことを思い始めたんです(笑)。”私は与えるばかりで、逆にこのエンプティな気持ちは一体誰が埋めてくれるの?””一体だれが私に何をお返ししてくれるの?”等を考え始めちゃって。”だけど、そんなんじゃ絶対にハッピーになれないし...”と、考え方を変えたんです。そんな中で見つけたことを歌にしたのが、この「LOVE is.」で。元々私が歌う理由も、何かを人に与えたくて歌っているわけだし、そこで改めて感じたことや見つかったこと...。”そうだ!私が歌ったり、パフォーマンスをすることでみんなが笑顔になることが私の喜びなんだ!!”と改めて気づかされ、それを歌にしたんです。なので、逆方向に行き過ぎて、改めて大切なものを見つけたって感じかな。<愛は求めるものではなくて、与えることで本当の幸せを感じられることもあるし、そんなスタンスでこれからも生きていこう>と。なので、ある意味、この曲は自身の今後の決意表明や所信表明のような歌でもあるんです(笑)。
- EMTG: 凄いなぁ。僕なんて今だに見返りを気にして物事全て動かしてますよ(笑)。
- MiChi: (笑)。私自身、自分に言い聞かせて歌っていたり、歌詞を書いたりしているところはありますよ。なので、この曲を作り終えた時や歌い終えた時は、なんか悶々としていたものから抜け出せた感があり、かなりスッキリしました。なので、ある種の自分へのメッセージでもあるんです。
- EMTG: 実際に歌ってみていかがでした?
- MiChi: ポップで切ないんだけど、ガッツリしていて、しかも踊れる曲だなって。歌もメッセージもサウンドも伝え方もバランスが良くて、うまいところに落ち着いた感はあります。その反面、逆に何も考えないで演りたいことを演った曲もバランス良く、今作には入れ込んでいるんです。
- EMTG: 確かに、今作の3~4曲目なんて、そんなバランスを取るかのようなおバカソングが並んでますもんね(笑)。
- MiChi: もうこっちは前の2曲の反動のように、能天気に何も考えずに、快楽主義で演らせてもらいました(笑)。だけど、その両極や二面、どちらもがMiChiだったりするんです。
- EMTG: この「LOVE is.」はサビの部分がかなりストレートで、適度な上昇感もあり、歌っていてもかなり気持ちが良かったのでは?
- MiChi: ですね。特にサビの部分は張って歌うので、歌い上げる感じで気持ち良かったです。だけど、それ以上に歌うのも難しくて。けっこうキーが高いんですよ、この曲。かなりキ―が上がったり下がったりで、その抑揚についていくのが大変で。私、キーが高いと、いわゆるアイドル声になっちゃうんで(笑)、そうならないよう気をつけながら歌いました。元々サビをキャッチーにしたくて、最初のバージョンからかなりその辺り変わりましたね。
- EMTG: カップリングの「YEAH YEAH YEAH!!!」の方はいかがですか?
- MiChi: こっちの方が「LOVE is.」以上にMiChiっぽいかな。「LOVE is.」も確かに私っぽかったけど、いわゆる新しい要素が入っていたのに対して、こちらは完全にこれまでのMiChi路線かなと。私が最初にプロデューサーにリクエストをしたのは、「ランニングに似合う曲を作って」でしたね。
- EMTG: これでランニングすると、かなりの短距離走的なスピードになりますよ(笑)。
- MiChi: 実際、聴きながら走ったんですけど、かなりのスピードになってましたからね(笑)。なので、攻めたり、ラストスパートの際には是非(笑)。この曲を聴きながら思い浮かぶのは、きっと流れる景色や疾走感だと思うんです。歌詞も最初から疾走感やスピート感のある、”さぁ、行こう!!”的なイメージがありましたから。歌とサウンドがぴったりな曲になったと思います。
- EMTG: こちらの曲は、<また立ちあがって、走っていこう!!>的なメッセージも含まれてますね?
- MiChi: そうなんです。実はこの曲の歌詞は歌入れの前日に、友達から来たメールを基に出来たんです。海外に留学した友人から、「色々と言われて、かなり落ち込んだ」ってメールが来て。そこからインスピレーションを受けて、<そんなことに負けないで、ブッ壊して、前に進んで行こう!!>って、その子に対しての鼓舞のように、この歌詞が生まれたんです。なので、2番はまんまその友達に対する私からのアドバイス(笑)。だけど、こういったサビでみんなで歌える歌が欲しかったんですよね。この曲は既にライヴでも演っていて、力強い言葉が並んでいるんで、歌っていても気持ちがいいんです。私の歌にしては珍しく、みんなで歌える要素も多々あるんで、ライヴでは是非一緒に歌って、突っ走って欲しいですね。
- EMTG: M-3、M-4、は打って変わって、おバカな路線ですが...(笑)。
- MiChi: こちらは私のもう一つの一面です(笑)。あえて何も考えずに、楽しく勝手に歌わせてもらいました(笑)。バランス的にもこういった曲を入れられて良かったかなと。
- EMTG: 振り返ると今回は全曲アッパーでノリの良い曲ばかりですね?
- MiChi: 実はその辺りは最初からあって。1つはランニングに似合う曲たちを収めたかったのと、もう1つは、この1年、色々と後ろ向きなことを考えちゃったり、悩みや落ちたことがあって、そこから見えたものや改めて気づいたものを、歌でもサウンドでも表わしたかったんです。なので、<そこから抜け出したい><終始勢いのある作品が作りたい>というのは当初からありましたね。そういった解放感や今の精神状態が、メッセージ性や能天気性も含めて、キチンと反映されて、現れていると思います。そういった意味では、今回のシングルは<今のMiChi>って作品かな。
愛は求めるものではなくて、与えることで本当の幸せを感じられることもある
今回のシングルは<今のMiChi>って作品
【取材・文:池田スカオ和宏】