「聴いて笑顔になってもらいたい」の願いを込めた、森恵のニューシングル
森恵 | 2011.04.28
小柄な体なのにアコースティックギターを抱え、存在感あふれる力強い歌声を聴かせてくれるシンガーソングライターの森恵。
地元である広島県福山市のストリートで歌い始めて、大学では保育士の資格をとりながらもアーティストの道を選択して夢をつかんだ彼女が、メジャー2ndシングルとなる「笑顔でいられるように」をリリースした。
そんな彼女が歩いて来た道程と、“哀しいこともあるけど、きっといつか笑顔になれるように”というポジティブなメッセージを込めた今回の楽曲について話を訊いた。
- EMTG:森さんは保育士をめざして資格もとったのに、音楽の道に進まれたそうですね。
- 森:はい。短大で保育科に進んで免許もとったんですよ。でも、高校生くらいから地元の福山のストリートで歌ったりもしていたから、いよいよ進路を決める頃に音楽ってものが自分の中で引っかかってしまって、ラジオで柴田淳さんの曲を聴いたときに、私もこうやって歌っていけたらいいなと思ったんです。
- EMTG:資格までとっていたなら、ご両親に反対されたんじゃないですか?(笑)
- 森:(笑)。家でもギターを弾いて歌ってたりもしたので、両親も“もしかしたら”とは思ってたみたいなんですよ(笑)。打ち明けたときには「やっぱりそうか」って言われました。せっかく学校も出たんだし安定した仕事にってことで反対もされつつ、でも「そこまで言うなら、できるところまでやりなさい」って言ってくれて。学校の先生の反対のほうが大変でした(笑)。
- EMTG:ギターを持ったり曲作りを始めたのは、そもそもいつ頃だったんですか?
- 森:ギターを持ったのは中学3年生くらいで、中高がオーケストラ部に入っていたから音楽室を自由に使えて、そこにあった埃をかぶったクラシックギターを遊びで弾いたのが最初でしたね。その頃は福山にたくさんのストリートミュージシャンがいたから、夏休みなんかは毎日のように見に通っていて、そこに集まってる人たちと友達になってたんです。自分もギターを弾いているって話をしたら、ストリートミュージシャンの人に「じゃあ弾いてみなよ」って言われて、その場で弾いて歌ってみたら楽しくて。それから、自分も人前で思いを伝えたり、自分の声を聴いてもらうようになりました。
- EMTG:女の子ひとりでストリートで歌うって、結構勇気がいりません?
- 森:はい。最初は全然ダメでした。友達に見られたらどうしようとか思って。
- EMTG:でも逆に、サクラとして友達に見てもらったほうが心強くないですか?(笑)
- 森:後からそう思えたんですけど、最初は歌ってる姿をどういうふうに見せていいのかわからなくて。地下道の隅のほうでコソコソとギターケースを開けながら、“今、私はどんなふうに見られてるのかな?”とか思いながら準備をして、コソコソと歌って帰るみたいな感じでしたけど(笑)。
- EMTG:それでは、今回のシングルについてお聞きします。“今は辛いこともあるけど、その先の明るい未来に向けて”というような大きなテーマですけど、この曲はいつごろ出来た曲なんですか? 何か曲が生まれるきっかけがあったとか?
- 森:原型となった曲があったんですけど、そこから自分の想いを整えるように歌詞やメロディをアレンジしていって、去年の秋くらいに出来上がりました。メジャーデビューをして、やりたいことができるようになった反面、知らないことや初めてやらせてもらうこともすごく多い中で、戸惑うことや不安になることがすごくあったんですね。でも、そのたびに周りにいてくれるスタッフが助けてくれて、ファンの人からも私の曲で「元気になった」とか声をかけてもらったりして。私と同じように、支えてくれる人たちにだって悩みがあるかもしれないって思えて、だったら、その想いを曲にして、その人たちにも共感してもらえればと思いながら作っていきました。
- EMTG:やっぱり、プロになっても大変だと思うことはいろいろありましたか?
- 森:自分の想いを伝えたいとか誰かを元気にしたいとかって気持ちは変わらずに持っているんです。でも、自分ってこんなに無力だったんだって自信がなくなることもあったし、自分のなかで波がすごくあることにも疲れちゃったりもしました。だけど、それだけじゃなくて、歌う場所がすごく増えたことでいろんな方に会える幸せも増えたりしているので、そういう素敵なこともあるんだ、っていう想いのほうが強いかもしれませんね。
- EMTG:いろんな経験や想いがひとつの歌に結びついたんだから、きっとすべてが意味のあることだったんですよね。リスナーにもリアルに響くだろうし。
- 森:そうだといいですね。
- EMTG:最初にジャケットを見たときに、“笑顔”って言葉がタイトルに入っているのに、ジャケット写真は笑顔じゃないことが気になったんですけど、歌詞を読んだり、今のお話を聞いて、その意味がわかったような気がします。
- 森:今は笑顔じゃないけど、笑顔になりたいって人が本当にたくさんいると思うので、そのへんを考えるとやっぱりジャケットも笑顔は違うかなって思って。微笑みと笑顔はちょっと違うじゃないですか。だから、微笑みならアリかなとも思ったんですけど、でも、写真を見比べたりしながら考えたのは、笑顔は聴いてもらう人自身がもってるものだから、私の笑顔を与えるんじゃなくて、曲を聴いてもらってその人が笑顔になってもらえるようになればいいかなと思って、この写真をジャケットにしたんです。
- EMTG:奇しくも、今回の大震災で大変な状況にある多くの人や、日々辛いニュースを目にしている我々にも優しく響くテーマの曲になりましたよね。
- 森:地震なんて想像もできなかった頃に出来上がった曲ですけど、もしこの曲が届くことで、少しでも苦しんでいたり我慢していたりする気持ちがほぐれたり、前向きになってもらえるなら、本当にどんどん歌っていきたいと思っています。
【 取材・文:小野瀬正人(memory motel)】
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