土屋昌巳をプロデューサーに、更なる統一性を生みだした、黒猫チェルシーの新作

黒猫チェルシー | 2011.05.16

EMTG:アルバム完成までの経緯を教えてください。
渡辺:最初、前作の『猫Pack』のように、アイディアを出しながらセッションで作っていくやり方で行こうとしたんですけど、なかなかうまく行かなかったんです。それで、1回“黒猫チェルシー”という固定観念を取っ払って、パーソナルな部分を出し合おうと、それぞれ曲を作って、“自分はこういう思いでいる”ということを曲にして提示し合ったんです。で、そこからプリプロを重ねて、意見を出し合って、曲を大きくしていく作業をしたんです。
澤:プロデューサーに土屋昌巳さんも入ってもらって、アレンジも意見を交換し合っていけたし、楽曲に向き合う時間がこれまでより断然長かったので、アルバム全体で何かしらの統一性が出て、すごく良かったと思います。
EMTG:本当にまとまってますよね。
澤:「夜更けのトリップ」を、最初の取っかかりとしてやったんですけど、1曲目にふさわしいって話になって。それと同じ頃に渡辺が「バンドマン」という曲を持ってきて。これが一番最後やなっていうのがありました。1曲目と最後の曲が、最初の段階で決まっていたので、最後の曲に向けて、この曲がこの位置だなって、感覚的に決めていった感じですね。
EMTG:「夜更けのトリップ」のイントロなんて、1曲目にふさわしいです!
澤:イントロから思いついたんです。最初は1曲目になるような曲だとは思ってなかったんですけど、渡辺に詞を書いてもらって、みんなで演奏した時、1曲目やなって確信したんです。
渡辺:広がっていく感じがあるね。
岡本:バンドで合わせたとき、良いものができていくんじゃないかというグッと来た感じはありました。
EMTG:澤さんは、この曲を含め5曲の作曲をしています。
澤:「ダイナマイトを握っているんだ」は、これまでの黒猫チェルシーの流れを汲んだ曲。「泥カーニバル」は土屋さんの影響もあって、今までにない雰囲気を持った独特な曲になって、すごく良かったなって。中盤で異彩を放っていて、アルバム全体のバランスも良くなったと思います。
EMTG:異彩と言えば「郷愁」も面白い曲です。
宮田:案外ギターロックの延長ですけどね・・・。童謡っぽいテイストは、やってみたいことだったので、渡辺と歌のことですごく揉んで、結果的に抜けた感じになったと思います。
渡辺:自分の体に染み付いている歌にない感じだったから、最初歌えないって思ったんです。がっちゃん(宮田岳)と話して、こういう歌い方はどうか?とか聞いたり。黒猫チェルシーの曲として、自分以外の人が作った言葉を歌ったことが初めてに近かったので、そこは試行錯誤しました。
EMTG:やはり自分の詞じゃないと難しいですか?
渡辺:言葉遣いもそうですけど、詞のストーリーというか展開を含めて、難しいというより考えさせられました。でも結果、手応えもあって、うまくいったと思ってるし、これから作っていく音楽にも、絶対に反映されるだろうって思えましたね。俺、こんな歌も歌えるんだって、自分で自分に気づかされたというか。
EMTG:「ヘビーローション」「北京ベイベー」の作曲は黒猫チェルシーということですが。
澤:ほとんどの曲が上がってきたときに、もう1回スタジオに入って作ってみようかって。『猫Pack』のときに近いやり方ですね。パラッて弾いたのを、他の人が拾って、それに対してこうしようってやりながら成立していく。
岡本:「ヘビーローション」も、ワーッてやっているふうですけど、掛け合いをしたり、気持ち悪い拍で2番に入ったり、面白いです。
EMTG:「北京ベイベー」って歌詞も最高ですよね。
渡辺:すごく感動したとか、すごく気持ち悪かったでもいいんですけど、心に何かずっと残っている曲にしたくて、絶対他の人じゃ作れないだろうって言葉を探してますね。それは、自分が小さい頃から好きだったり、憧れてたものにそういうことを感じてきてたから、自分もそういうものを作りたいと思って。ただ、難しい言葉は使いたくないって感じですかね。
EMTG:そう考えると「バンドマン」は、シンプルで心に残ります。
渡辺:初めて歌詞から作ってみた曲です。今までだったら僕が独りよがりで歌詞を作っていたんだけど、そういうのから脱却するために、自分が書くことで、バンドの言葉として届けられるような歌詞を書きたいと思ってたんです。で、自分自身で好きになれた曲がやっとできた感じがあって、それで最後の曲だなって思ったんです。アルバムを通して一番最後にこの曲が来てくれて、本当に良かったと思います。
EMTG:では、演奏面での話も聞かせてください。
宮田:ベースはわりとバラエティに富んだ感じで、曲のイメージで楽器を替えたりしてるんですけど、そういうバラエティに感動してくれる人がいたら嬉しいですね。一貫してるのは、ベースのあり方というか。いわゆる底辺を支えると言うより、そのちょっと上を行く、ギター的ニュアンスを入るのが、僕がベースを弾いていることのあり方だと思うので、そこを感じてもらえたら嬉しいです。
岡本:ドラムもチューニングを1曲ごとに変えてるんですけど、面白いのが「郷愁」のドラムで、すごくリバーブがかかってるんです。それがナチュラルなリバーブで、スタジオと隣のスタジオが繋がる通路があるんですけど、そこにマイクを置いて録ったりしました。
渡辺:「泥カーニバル」の最初のシャウト(笑)。すごく沼っぽい、沼からヌプって顔を出してるみたいな、まとわりつくような感じ。
澤:シャウトっていうか、嘔吐(えづ)いてるよね(笑)
渡辺:歌詞カードに載ってないところで、僕も頑張ってます(笑)。
澤:ギターは、ソロが全部良く録れてて、特に1曲目のギターソロは、音も生々しい感じで、ちょっと走ってるのも生々しい感じで、気に入ってますね。一番感情のこもってるソロかなと。
EMTG:最後に記念すべき1stフルアルバムですが、何を込められましたか?
澤:今まで聴いてきた音楽や、今考えていることを直接的に反映させた曲を収録できたアルバムやなって。パーソナルな部分も強いけど、バンドで演奏することでまとまりも出て、すごく大きな第一歩なのかなって感じです。
渡辺:これから自分がやっていけるだろう、もっと面白いことがやっていけるだろうって確信できたキッカケになったと思います。
岡本:音楽的にも、さらに次が気になる。自分も次が楽しみになるアルバムになったんじゃないかと。
宮田:自分的にも経験値がすごく上がった期間で、そういう経験を得られた自分に自信を持てているので、みんな買ってくれたらいいです(笑)。

【 取材・文 塚越淳一 】

リリース情報

NUDE+

NUDE+

2011年05月25日

SMAR

1.夜更けのトリップ
2.ダイナマイトを握っているんだ
3.YOUNG BLUE
4.モーター
5.あらくれにっぽん
6.泥カーニバル
7.郷愁
8.Hey ライダー
9.ヘビーローション
10.北京ベイベー
11.Pop Life
12.バンドマン

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INFORMATION

■プロフィール

黒猫チェルシー
(くろねこちぇるしー)

2007年3月に、渡辺大知(ボーカル)、澤竜次(ギター)、宮田岳(ベース)、岡本啓佑(ドラムス)の4人で結成。2009年、高校卒業を機に活動拠点を東京に移し、インディーズでファーストミニアルバム『黒猫チェルシー』をリリース。夏フェスにも多数出演し、同年12月にはセカンドミニアルバム『All de Fashion』をリリース。その個性と強力なサウンドで話題と注目を集める。2010年5月にメジャー第1弾アイテム『猫Pack』をリリース。今年3月に初の海外ライブを台湾で行い、続けて全国11都市でアルバムリリースプレツアーを開催。東京キネマ倶楽部でファイナルワンマンを向かえた。2011年5月25日、ファーストフルアルバム『NUDE+』をリリース。6月3日の北海道・札幌COLONYからスタートする全国11都市ワンマンツアーは、7月9日の東京・赤坂BLITZがファイナルとなる。詳細は黒猫チェルシー OFFICIAL SITEへ。


■ライブ情報

♪黒猫チェルシー 全国ワンマンツアー
『NUDE + TOUR』

◆6月3日(金)
札幌 COLONY
Open18:30/Start19:00
[問]Mount Alive
011-211-5600

◆6月5日(日)
新潟 CLUB RIVERST
Open17:30/Start18:00
[問]CLUB RIVERST
025-250-0430

◆6月11日(土)
八戸ROXX
Open19:00/Start19:30
(問)GIP
022-222-9999

◆6月12日(日)
仙台PARK SQUARE
Open17:30/Start18:00
[問]GIP
022-222-9999

◆6月17日(金)
高松DIME
Open18:30/Start19:00
[問]DUKE高松
087-822-2520

◆6月19日(日)
岡山PEPPER LAND
Open17:30/Start18:00
[問]夢番地岡山
086-231-3531

◆6月25日(土)
名古屋ell FITS ALL
Open 18:00/Start 18:30
[問]JAILHOUSE
052-936-6041

◆6月26日(日)
心斎橋 CLUB QUATTRO
Open17:00/Start18:00
[問]サウンドクリエーター
06-6357-4400

◆7月2日(土)
福岡DRUM SON
Open18:00/Start18:30
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆7月3日(日)
長崎DRUM Be-7
Open17:30/Start18:00
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆7月9日(土)
赤坂BLITZ ツアーファイナル
Open17:00/Start18:00
[問]VINTAGE ROCK
03-5486-1099

全公演共に、前売 2,800 当日3,300(D代別)


■マイ検索ワード

●宮田岳(Bass)
千倉

テレビでたまたま南房総の特集をやってて、千倉のダイバーとかサーファーとか。海辺の感じがすごく好きで、行ってみたいなって思って、千倉観光協会のページを見てました。

●岡本啓佑(Drums)
iPad2

iPad2やっと出るんやなって思って。2が出るのを待っていたので買います。

●澤竜次(Guitar)
太陽の塔

太陽の塔ってカッコいですよね。やっぱり大きいっていうのがカッコいいんですよね。

●渡辺大知(Vocal)
国立新美術館

今、岡本太郎生誕100年記念でやってるんです。

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