遊び心も愛情もフルチャージな、スキマスイッチ、初のセルフカバー・ベストアルバム

スキマスイッチ | 2012.08.17

 デビュー10周年の記念イヤーに突入したスキマスイッチが、初のセルフカバー・ベストアルバムを作り上げた。タイトルは『DOUBLES BEST』。これは「奏(かなで)」や「全力少年」などファン投票によって選ばれた上位12曲を、2人きりでリアレンジ&ニュー・レコーディングしたものだ。弾き語りからバンド・サウンド、打ち込みにピアノ二重奏などアプローチの仕方もさまざま。ジャケット写真にもあるように、2人それぞれがたくさんの楽器をプレイしながらリメイクするという、遊び心も愛情もフルチャージの内容となっている。

EMTG:今年の夏も全国各地のフェスに引っ張りだこですね。
常田:イベントとかフェスとか、年々呼んでいただけるところが増えてるんですよね。嬉しい限りです。
大橋:自分たちのステージはもちろんだけど、いろんな人のライブが見れるのもフェスの楽しみ。今年もすごい楽しんでますよ。
EMTG:フェスでは新曲「ユリーカ」も既に歌われてるんですか?
大橋:はい。この曲はアニメ『宇宙兄弟』のオープニングテーマになってるんですけど、最初にお話を頂いた時に見せてもらった映像からすぐにイメージが湧いたんですよね。後半、僕が早口でまくしたてるところもあったりして、かなり面白い感じになったかなと。
常田:うちらの曲にしては(テンポが)最速だと思って作ったんですけど、さかのぼって調べてみたら(デビュー曲の)「view」の方が速かったという。…”さかのぼらずに頭から調べりゃよかったな…”って感じでしたけどね(笑)。でも、すでにライブでもみんな盛り上がってくれる1曲になってて、すごく嬉しいです。
EMTG:その「ユリーカ」に続き、今月はセルフカバーのベスト・アルバム『DOUBLES BEST』もリリースされますね。
常田:僕ら2003年にデビューしたので丸9年経ったんですが、10周年に向けたアニバーサリー・イヤーの第1弾アイテムとしてリリースすることになりました。こういうスタイルのものって、本当はもうちょっとオマケ的な感じで軽く考えてたんですよ。「ピアノとアコギと歌で5?6曲やったものを、何かの初回特典でつけようか」ぐらいの感じで。でもせっかく10周年が控えてるんだからと、曲数も増やして、2人でいろんな楽器を弾いて、ひとつのアルバムにしたんです。
EMTG:選曲に関しては、ファンの方の投票で決められたとか。
常田:これもせっかくの10周年ってことで、(大橋)卓弥とアイデアを出し合ったんです。ファンと一緒に作るって、これまでやったことなかったですからね。
大橋:そうだね。
EMTG:しかし2人だけでっていうのもすごいアイデアでしたね。
常田:でも、もともとデモは2人で作ってますしね。
大橋:新曲を作る時のプリプロ作業で「こういうの、どうかなあ?」とか2人で言いながらやってる感じが、12曲続いてたような感じでしたね。楽しかったけど、大変でもあったかな(笑)。だって、一度正解があるものをどこまで壊すのかとか、オリジナルが好きな人にとって、”こうはしてほしくなかった”みたいなのとか、いろいろありますからね。とはいえ、当たり障りのない感じにしちゃうとセルフ・カバーとしては全然面白くないものになるし。さじ加減がね、難しかった。
EMTG:じゃあ一番冒険したのはどの曲だと思われます?
常田:冒険だと「アイスクリーム シンドローム」かなぁ?
大橋:「ただそれだけの風景」とかね。
常田:テンポを変えるっていうのは、すごく勇気のいる手法なんで。速いのを遅くするのはバラード・バージョンみたいな感じで浸透してるけど、遅いのを速くするのは曲自体が変わっちゃいますからね。でも、そういう手法はどっかで使いたいなあと思ってたんです。「ただそれだけの風景」は投票でもかなりジャンプアップしてきた曲のひとつだし、<ライブのアンコールと言えばこの曲>っていう1曲でもあるので、アルバムの最後に持ってきました。みんなの思い入れも強い曲なので、最後の最後でテンポを戻すっていう風にやってみたりして。結果、すごくいい感じに仕上がりました。
EMTG:曲によっては、一発録りのような雰囲気のものもありましたね。
大橋:やっぱりライブ感を出したいとか、手作り感みたいなものを出したいというのはあったんですよね。だから普段のレコーディングよりも、いい意味で粗削りなままにしてあるところが多いんです。僕ら、普段は意外とそういうところキッチリ作り込むことが多いんですよ。だけど今回は、たとえば一発録りでクリックも聞かずに歌まで一緒に録っちゃったものもあったし。”途中でテンポが揺れても、それが味になっていいんじゃないか”って感じで録ってたんで。
常田:ここでしかない感じ、ですよね。しかも皆さんの投票の結果が、いわゆる過去曲じゃないですか。最近の曲ももちろんありますけどね。そういうものに対して、今の僕らがアプローチするっていうのも面白かったかなと。ちなみに今回、オリジナルは一度も聴き返さなかったんですよね。いきなり違うことから始めてみたんです。まぁ、疲れましたよね。頭フル回転してましたから(笑)。
EMTG:新曲を作るのとはまた違う疲労感ですか?
常田:これは僕のイメージなんですけど、新曲を作ってる時って、どこに行っても正解のような気がするんですよ。でも、今回みたいなやり方はジャッジが必要でしたからね。”これでいいのか?””ここまでやっていいのか?”とか。そういう疲労感はハンパじゃなかった気がします(笑)。
EMTG:では、そういう作業を経て完成したこの12曲で思い入れのあるものというと?
大橋:その時のやり取りなんかも思い返されて、僕らの中ではどれも濃いんですが…。でも最後にレコーディングした「ボクノート」は歌っててグッと来るものがありましたね。今までの作業をすべてそこで締めてくれたような気がして。
常田:僕もこの曲はグッと来ました。あらためていい歌詞だなあって。
大橋:アレンジもアカペラにしてみて、よりメロディーや歌詞の輪郭がハッキリして、スッと入ってくるものになった。自分で書いた歌詞なのに自分に響いてくるものがあったし、コーラスを録る時も、自分の声を聴きながらゾワッとするものがあったりして。アレンジとしても気に入ってますし、”この曲を作ってよかったな…”っていう思いにもなりました。
常田:あと、ピアノ1本の「雫」もやってよかったなあと思いましたね。フレーズもテンポも含めて、新しい曲を作ってるような感じで。すごく気に入ってます。
EMTG:「藍」ではピアノの二重奏、「ガラナ」のバンド・サウンドなどいろんなアプローチがありましたが、10月から始まるツアーではこういった楽曲がどう表現されるのか、ますます楽しみになりました。
大橋:とりあえず演奏関係は2人でやろうと思ってます。ピアノとギターと歌だけじゃ面白くないので、今、アイデアを出し合ってるところなんですけどね。
常田:ファンクラブツアーじゃなくてこういう風に2人で全国まわるのは久しぶりだよね?
大橋:そうだね。もともとこの「DOUBLES」っていうのはツアーのタイトルだったんですよ。2009年に2人でやったツアー。なので、この「DOUBLES」って言葉を聞けば、ライブだったら、”2人でやるんだな”とか、今回のようにアルバムだったら、”2人で演奏したんだな”とか、そういう共通言語になっていけばいいなと思ってるんです。
EMTG:それで今回のツアータイトルも『DOUBLES ALL JAPAN』なんですね。
大橋:タイトルどおり、今回は2人で全都道府県をまわります!
常田:行ったことのない街の名前も結構ありますから、すごく楽しみですよ。全51公演、ひとつひとつのライブを楽しみながら積み重ねていけたらと思います。

【取材・文:山田邦子】

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リリース情報

DOUBLES BEST(初回生産限定盤A)

DOUBLES BEST(初回生産限定盤A)

2012年08月22日

アリオラジャパン

1. 全力少年
2. アイスクリーム シンドローム
3. ふれて未来を
4. 藍
5. 螺旋(らせん)
6. ボクノート
7. 雫
8. 晴ときどき曇
9. view
10. ガラナ
11. 奏(かなで)
12. ただそれだけの風景

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お知らせ

■マイ検索ワード

●常田 真太郎
田坂祐介 ボーフム

Jリーガーの友達が密かにドイツのクラブチームに海外移籍を果たしていたんです。その際の入団会見の模様や、そのクラブチームのホームページ等を検索しましたね。

●大橋卓弥
HIGHER GROUND

九州の大型の夏フェスなんですけど、そこに来週出演するので(この取材は7/26に行われました)、その予習も含め色々と調べました。会場の位置から駅から会場までの距離や移動手段等々。「海の中道海浜公園」という会場名から、どうやって行くのかな?と疑問に思っていたんですが、シャトルバス等も出ていて、案外便利なところであることが判明しました。


■ライブ情報

ap bank fes ’12 Fund for Japan
2012/08/18(土)国営みちのく杜の湖畔公園

音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2012 スキマスイッチ×miwa
2012/08/22(水)音霊 OTODAMA SEA STUDIO

Augusta Camp 2012
2012/09/17日(月・祝)高知県民文化ホール・オレンジホール
2012/10/21日(日奄美市・大浜海浜公園野外ステージ

大橋卓弥 with Drunk Monkyes "Reprise ?"
2012/09/20日(木)Shibuya O-East
2012/09/27日(木)BIGCAT

Sukimaswitch 10th Anniversary 2003-2013
スキマスイッチ TOUR2012-2013 "DOUBLES ALL JAPAN"

2012/10/26(金)市原市市民会館
2012/11/01(木)東京エレクトロン韮崎文化ホール
2012/11/07(水)よこすか芸術劇場
2012/11/10(土)鹿沼市民文化センター
2012/11/15(木)郡山市民文化センター 中ホール
2012/11/16(金)山形市民会館 大ホール
2012/11/18(日)岩手県盛岡市民文化ホール 大ホール
2012/11/20(火)青森県青森市民ホール
2012/11/23(金)仙台サンプラザホール
2012/11/25(日)秋田市文化会館 大ホール
2012/11/30(金)中野サンプラザホール
2012/12/07(金)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
2012/12/09(日)舞鶴市総合文化会館
2012/12/11(火)神戸国際会館 こくさいホール
2012/12/13(木)グランキューブ大阪(大阪国際会議場)
2012/12/14(金)和歌山市民会館 大ホール
2012/12/16(日)なら100年会館 大ホール
2012/12/19(水)四日市市文化会館 第1ホール
2012/12/20(木)土岐市文化プラザ サンホール
2012/12/22(土)愛知県東海市立文化センター
2013/01/11(金)長崎市民会館文化ホール
2013/01/12(土)佐賀市民会館
2013/01/14(月)宇佐文化会館
2013/01/17(木)日本特殊陶業市民会館フォレストホール(旧 名古屋市民会館)
2013/01/18(金)清水文化会館マリナート
2013/01/24(木)高知市文化プラザかるぽーと
2013/01/25(金)松山市総合コミュニティーセンター
2013/01/27(日)サンポートホール高松
2013/01/28(月)徳島市立文化センター
2013/02/02(土)小美玉市小川文化センター(アピオス)
2013/02/03(日)藤岡市みかぼみらい館
2013/02/08(金)山口防府市公会堂
2013/02/10(日)広島尾道市公会堂
2013/02/11(月)島根県民会館
2013/02/13(水)鳥取市民会館
2013/02/14(木)岡山市民会館
2013/02/19(火)富山県民会館
2013/02/21(木)金沢市文化ホール
2013/02/22(金)福井市文化会館
2013/02/26(火)新潟テルサ
2013/02/27(水)ホクト文化ホール 中ホール
2013/03/01(金)川口総合文化センターリリアメインホール
2013/03/08(金)稚内総合文化センター 大ホール
2013/03/10(日)札幌市民ホール
2013/03/11(月)函館市芸術ホール
2013/03/16(土)福岡サンパレス
2013/03/17(日)崇城大学市民ホール(熊本市民会館)
2013/03/19(火)都城市総合文化ホール 大ホール
2013/03/20(水)宝山ホール(鹿児島県文化センター)
2013/03/27(水)渋谷公会堂
2013/03/31(日)沖縄市民会館 大ホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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