新しいフェイズへ向かっていることがヒシヒシと伝わる、Hilcrhymeのニューアルバム
Hilcrhyme | 2012.11.16
「蛍」「ジグソーパズル」という2枚のシングルで、新たなる表情をファンに見せたHilcrhyme。彼らのニュー・シングル「Kaleidoscope」とニュー・アルバム『LIKE A NOVEL』が相次いでリリースされる。
変わっていく人の心を万華鏡に例えた「Kaleidoscope」、そして“小説のように”というタイトルどおり、様々なストーリーが1枚の中で展開されていく『LIKE A NOVEL』と、より幅広く、よりドラマティックに、そしてより進化したHilcrhymeワールドが繰り広げられている一連だ。
- EMTG:ニュー・アルバムの先行シングルとして、「Kaleidoscope」がリリースされましたね。
- TOC:曲調は、ライブでも映えるような音に仕上がっていると思います。「蛍」「ジグソーパズル」とハッピーな曲が続いたので、秋ということもあり、哀愁感のある曲が自分の中でも欲しいなと思って。秋の夜空に浮かんでる満月に万華鏡をかざしながら、というイメージで書きました。
- EMTG:ちょっぴり悲しい恋の歌になっていますもんね。
- TOC:万華鏡の変わる模様を、女性の心に置き換えてという比喩は、すごくうまくいったと思いますし、気に入ってます。
- EMTG:サウンド面でのテーマのようなものはあったのですか?
- DJ KATSU:段階を踏んで仕上がった曲で、最初はシンプルなビートとピアノのコードから始めて、TOCと相談しながら、ラップが乗りやすいビートが欲しいということだったので、そこからビートをガラッと作り変えて、サンプリング素材を使ったり、万華鏡を意識したシンセサイザーを重ねたりして、ブラッシュアップしていきました。
- TOC:オシャレな曲にしたかったんですよね。トラックもこれまでとは違ったものになっていますし、トラックと歌との一体感も、いい感じでできました。
- EMTG:そして4作目のアルバム『LIKE A NOVEL』が、いよいよリリースされました。
- TOC:これまでHilcrhymeを聴いてくれていた人は、”あ、こんな方向なんだ!?”って、けっこうビックリすると思いますよ。そう、こんな方向なんです(笑)。2012年は、変な固定概念とかが解けた年だったなとも思っていて。こうしなきゃいけないとか、こうしちゃダメとか、自分の中で決めていたルールみたいなものが、いい感じに解けて、消化できて。そういったことも含めて、このアルバムができたんです。
- EMTG:制作にあたって、お二人でアルバムの方向性について相談されたりはしたのですか?
- TOC:サンプリング素材を使ったり、打ち込みの作り方を変えたり、メロディを奏でている楽器たちを減らしたりとか、そういうところから始まったような気がします。”歌いやすいトラックにするには、どうしたらいいか?”を二人で何度も話し合って、自分もトラックを作る感覚で臨みました。
- DJ KATSU:トラックの上に乗るメロディ・ラインが歌いすぎると、歌がふたつになっちゃったりして、歌いづらいんですね。そこをかなり話し合って、改良した上での曲たちになっています。
- EMTG:タイトルの『LIKE A NOVEL』には、どんな思いが込められているのですか?
- TOC:小説のような感覚で聴いてほしい音楽というか、小説を読むように、ゆっくり聴いてほしいんです。小説って、一気にバーって読むんじゃなくて、いろいろな合間とかに読んで、栞(しおり)を挟んで、また後で読んだりするじゃないですか。そんな感じで、ゆっくり、じっくり、長く愛せる作品になって欲しいなと。
- EMTG:そういう意味では、リリックの面でも、すごく多彩な世界観が表現されてますよね?
- TOC:アルバムのプロローグから続く「NOISE」とかは、今までだったら絶対に書かなかったことなのかなと思います。ライブの1曲目を意識して作った曲で、ライブで盛り上がって欲しい曲なんですけど、バースで書いてあるようなことは、今まで自分の中ではあえて避けていた部分でしたからね。このタイミングだからこそ、言えるようになったという感じですかね。あと「夜ノ音」みたいな曲も、あまり書いてこなかったですね。地元のクラブの名前が入ったりしているんですけど、自分もクラブから離れていってて、クラブがどんどん無くなったりしてて、寂しいなと思って書いた曲です。メロディに乗せたラップなんですけど、歌い方もちょっと違うので、そこも注意して聴いてもらえると嬉しいです。
- EMTG:「我ガママ」の、ア・カペラのラップはすごいですね。
- TOC:曲をずっと作り続けて、ワーッとなった時にできた曲で、曲を作る時にトラックを聴きすぎたので、途中で止めたんです(笑)。ほんとうはKATSUくんが、ちゃんとトラックで展開を付けてくれてたんですけど、切っちゃった(笑)。もちろんそれは音楽的に遊ぶという感覚なんですけど。
- DJ KATSU:実はあの曲は、あの後、転調して、キーが上がる予定だったんです。曲の中で転調するのはHilcrhymeでも初めての試みだったんですけど、それをバツンと切る展開になって。逆に面白くなったと思います。
- EMTG:このアルバムを通し、Hilcrhymeという小説の第2章が、いよいよ始まった、という印象を受けました。
- TOC:ベスト・アルバムで第1章が終わって、第2章がスタートしたと思うし、この第2章では、Hilcrhymeが新しいものに向かっているというのを感じてもらえると思います。これまで聴いてくれた人だけではなく、今までHilcrhymeを聴かなかった人たちにも、“あ、いいじゃん”って言ってもらえるアルバムだと思っています。
- DJ KATSU:ベスト・アルバムで区切りを付けて、何かしら進化しなきゃいけないと思っていたので、TOCとも相談しながら新しいことにもチャレンジしたし、それをやったことによってわかってきたこともあって、そこからまた新たに曲を作ってという、そういう意味では発見が多いアルバムでしたね。その発見は、今後の制作にも反映されていくと思うし、これでまた次の新たなステップにも踏み出せたなって思います。
- TOC:アルバムって、リリースをして、聴いてもらって、ツアーが終わって、そこで初めて完結すると思うんです。これまでのアルバムでも、いちばん記憶に残っているのは、ツアー・ファイナルのシーンなんですよね。どんな評論家よりも、どんなアーティストの先輩よりも、レコード会社の人よりも、リスナーがいちばん正しいと思っているので、ツアーでこのアルバムがどう受け入れられるのかが楽しみですし、ツアーが終わって、このアルバムが完成すると思っています。ファンの人、リスナー、ライブに来てくれる人たちがいなければ、オレたちはダメだし、オレたちはファンの人たちと作り上げているものだと思うので、アルバムを聴いてくれた人みんなに、ライブに来て欲しいです。そうじゃないと、この小説は完成しないですから。
【取材・文:熊谷美広】
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●DJ KATSU
マウンテンバイク 技
レコーディング中にずっと座って作業していたこともあり、ちょっとお腹周りが気になり出したので、アルバム完成のご褒美に、マウンテンバイク を買ったん です。で、スノボーみたいに、トリックや技はないかと調べたら、色々と出てきて。動画も沢山あったので、運動の際の参考にさせても らっています。
●TOC
自販機 設置
今、自分のスタジオに自動販売機を置くか?を悩み中なんです。その維持費等を計算して、そこから"一日に何本売れたらペイできるのか?"等を 調べていたんで すけど、調べれば調べるほど、ちょっとヨコシマな考えが出てきちゃって(笑)。
大人ですから、色々とサイドビジネス的な発想に なっちゃうんですよね、どうしても(笑)。
■ライブ情報
HILCRHYME TOUR 2013‘‘LIVE A NOVEL’’
2013/01/12(土)新潟県民会館
2013/01/13(日)新潟県民会館
2013/01/19(土)高知BAY5 SQUARE
2013/01/20(日)高松オリーブホール
2013/01/26(土)神戸チキンジョージ
2013/01/27(日)京都KBSホール
2013/02/02(土)岐阜Club-G
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2013/03/03(日)Zepp Sapporo
2013/03/09(土)大阪オリックス劇場
2013/03/10(日)浜松市教育文化会館はまホール
2013/03/16(土)栃木県教育会館
2013/03/17(日)山形ミュージック昭和
2013/03/20(水祝)Zepp Fukuoka
2013/03/23(土)糸魚川市民会館
2013/03/24(日)Zepp Nagoya
2013/03/30(土)Zepp Divercity Tokyo
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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