加藤ミリヤ×清水翔太の２人による最強タッグ、通称「ミリショー」のニュー・シングル「LOVE STORY」が発売の日を迎える。現在、コカ・コーラ「Share a Coke and a Song」キャンペーンソングとしても機能している楽曲は、これまでのシングル「Love Forever」や「BELIEVE」とはまた違った大人の雰囲気を醸し出す、２人の成長の過程が遺憾なく発揮された作品だ。また、今作で大胆にサンプリングされている小田和正のメガヒット・シングル「ラブ・ストーリーは突然に」をピックアップしたことにも、２人の描く想いがしっかりと託されている。

EMTG：新作「LOVE STORY」のコンセプトから教えてもらえますか？

ミリヤ：テーマは“時代”です。音楽は時代とともに存在していて、そこには私たちの輝く思い出も一緒に生きている。この先の未来、私たちの「LOVE STORY」を聴いたときに、そのときの自分の輝いた記憶も一緒に蘇らせることができる曲を作る、ということがテーマとしてありました。

EMTG：小田和正さんの「ラブ・ストーリーは突然に」をサンプリングするというアイディアはどこから生まれたのでしょうか？

ミリヤ：時代を感じさせるもので、当時の映像も浮かぶくらい強烈な楽曲、という意味で、もう小田さんの「ラブ・ストーリーは突然に」以外は考えられなかったんですよね。いまの時代はどんなことがあってもミリオンセラーに達する、という補償はないけど、「ラブ・ストーリーは突然に」の時代にはそういった楽曲がたくさん生まれた。ドラマ『東京ラブ・ストーリー』が高視聴率で、主題歌の「ラブ・ストーリーは突然に」もミリオンセラー、私たちのリアルタイムではないけれど、そんなうらやましい時代の曲をサンプリングしたいな、って思っていたんです。

EMTG：ここでの翔太のラップは、小田さんのオリジナルの歌詞を巧みに拝借したリリックで、また譜割りも抜群ですよね。

ミリヤ：私は翔太のラップが好きなので、曲の構想が固まった時点でラップのリクエストをしました。レコーディングを終えて、「やっぱりすごい」と思わされたし、一緒に曲を作っていて本当に刺激を与えてもらっています。「あの日あの時あの場所で」というリリックの部分は本当にかっこよくて、ちょっと悔しさを覚えちゃうくらいでした（笑）。

翔太：ミリヤさんからの希望もあったんですけど（笑）、このトラックを聴いてラップ以外の表現が思いつかなかったんですよね。それならラップでいこうと決めてリリックを書きました。

EMTG：これまでのシングル「Love Forever」も「BELIEVE」も歌詞のテーマは“音楽”に置き換えられる内容でしたが、今作でもそれは意識しましたか？

ミリヤ：多少は意識したかもしれません。でも、今回は音楽というテーマよりも、２人の友情というか、単純なラブソングにはしたくなくて、私と翔太君にしかできないことを歌詞にしたので、ある意味私たち２人についても言えることでもあります。

翔太：いまの時代に足りていないのは本当の意味の“一体感”だと思うんですよね。「ラブ・ストーリーは突然に」の時代はみんなが同じ曲を聴き、同じドラマを見て、同じ方向を向いていた。SNSで作られたある種の仮想の一体感ではなく、そういったツールがなくてもみんなが何かひとつのものに夢中になっているのがわかる感覚、っていうんですかね。今回はそういったものを提案したくて、小田和正さんの楽曲をサンプリングして、こういったアレンジのもと、制作を進めていった形ですね。

EMTG：楽曲のイメージはどのように固めていったのでしょうか？

ミリヤ：私と翔太で大人っぽい雰囲気を出せたらいいな、っていうのは話していました。プロデュースは私や翔太のデビュー初期作品から関わっている3rdProductionsなんですが、“時代”というテーマを伝えた上で、時代感をにおわせながらもいまっぽさもしっかりあって、でも昔の記憶も思い出せるような曲に仕上げていきました。

EMTG：カップリングの「You’re the only one for me」は、思わず小野正利さんの「You’re the Only...」をサンプリングしているのかな、と思ったんですが、そうではなかったようですね。

ミリヤ：あはは（笑）。今回のシングルは４月にリリースするということもあったので、「You’re the only one for me」は新たな門出を祝えるような、みんなの背中を押せるような曲にしたいね、と思って作りました。

EMTG：“加藤ミリヤ×清水翔太”というプロジェクトを続けていく上で、互いに発見などはありましたか？

ミリヤ：言葉で説明するのは難しいんですけど、ミリショー独特の雰囲気があるというか、「Love Forever」からスタートしたこのプロジェクトが一過性のものではなく、どこへ行ってもどんなに年を重ねても変わらない何かがある、って感覚はあります。

翔太：清水翔太のソロではできないことを、このプロジェクトでやろう！と意識しているわけではないけど、結果的にミリショーというプロジェクトにおいては、面白い作品が出来上がる。当初、「LOVE STORY」にはあまりにたくさんの要素がありすぎて、いったいどこに着地するんだろう？って不安もあったんですけど、曲として自信を持って届けられる作品になりました。すべてにおいてミリショーというプロジェクトは、もっと自由であっていいプロジェクトだな、って改めて思った瞬間でもありましたね。

【取材・文：佐藤公郎】