ニューアルバムに於いて、そのグルーブを見失うことなく、歌モノに突き進んだDroog。その秘密を探る!
Droog | 2013.05.16
- EMTG:『ぶっとびぱなし』はどんな風に作り始めたの?
- 荒金:最初、曲作りを始めたときは、もっとグルーヴィーなロックンロールっていうか、ライブハウス・ツアーを廻ってるバンドの曲で行こうっていうイメージがあったんですよ。でも、全然うまくいかなかった。前から気になっていた“歌モノ”っぽい曲をちゃんとやって感情を吐き出さないと、グルーヴィーな曲がもう出てこないんだなと思ったんです。だから歌モノから逃げちゃダメだなっつうのがあったっす。
- EMTG:10代の頃に封じ込めてきた“歌モノ”をちゃんとやろうと。
- 荒金:今まで そういう感じの曲はあったけど、やらなかった。だからそういう衝動がちょっと溜まってたんじゃないかな。そこから目そむけちゃいけんのやないかな、越えたいなと思ったんですよね。
- EMTG:たとえば『End of teenage』には、「日々の泡」や「からっぽの世界」っていうメロディアスな曲が入ってたね。
- 荒金:『End of teenage』のツアーを廻ってそういう曲やったときに、お客さんの反応がすげえよかったんで、「あ、俺ら、こういう曲をやってもいいんだ」っていう感じはすごいあったっす。で、ファイナルの新宿ロフトでやったときに、もっと色濃く歌モノをやってもファンはいなくなんないだろうなって感じたんで。
- EMTG:一方で、これまでDroogが得意としてきたロックンロールについては?
- 荒金:『End of teenage』で「ロックンロール以外は全部嘘」っていう曲を作ったとき、今まで俺らが天然でやってた怒りとか衝動をちゃんと描けた感じがしたんですよ。その感じをライブでやりたくて、ツアーで毎日毎日積み重ねてロフトはそういうふうに出来たなと思ってます。そうしたら、反対に、歌モノもちゃんとやらないとと思い始めて。
- EMTG:カタヤマくんは、そういう歌モノへのアプローチをどう考えていたの?
- カタヤマ:今回、(荒金)祐太朗が、歌を主役にして曲作りを考えてくれたんで、俺も今までは叫びっぱなしやったけど、ちょっと生っぽく歌うとことか意識した。叫んで大声で言うよりも、ささやいたほうが響くような言葉っていうのはあるんだなっていうのを実感しました。歌詞もそういう言葉を選んだつもりです。激しいところは今までより激しくしたかったし、歌うところは、今までしたことなかった歌い方をしたかった。どっちにも振り切りたいなと思いました。
- EMTG:歌詞のテーマは?
- カタヤマ:去年の10月ぐらいに地元の大分・別府を出て上京してきたんですけど、それが大きいですね。東京から見た大分の綺麗なとこだったり、そういう自分が東京で体験したことをリアルに書きたいなと思いました。大分にいたときはわかんなかったけど、上京してみて、なんか自分の中でわかったことがあったんで。
- EMTG:歌詞の書き方が変わった?
- カタヤマ:はい。言葉をメロディに合わせたりすることも、今回は自分の中でやってみたんです。今までは絶対こっちの単語のほうが使いたいから使うっていう感じだったんですけど、このメロディにはこっちの言葉のほうがいいなみたいに思うこともあって。
- EMTG:やってみて、面白かったの?
- カタヤマ:面白かったです。それも自分の中でひとつの壁だと思ってたんで。「俺はこんなに思ったことをガンって、一言の単語に収めて、ボンっつって言いよんのに、なんでこの言葉が伝わらんのやろ?」って、ずっと思ってて。それは声なのか歌い方なのかよくわかんないっすけど、伝わらん悔しさっていうのはずっとあった。今回は何とか伝えたいと思って、歌詞を書きました。
- EMTG:伝えるためには、今まで使ってこなかった言葉も使おうってこと?
- カタヤマ:はい、そっちは今までまったくやったことなかったんで。
- EMTG:それで、歌詞はすんなり書けた?
- カタヤマ:早かったっす。
- EMTG:たとえば「Happy People’s」は、モテモテ男をうらやましがってる歌にも聴こえる (笑)。
- カタヤマ:そういうヤツを見てると、なんかすげえ腹立つし、劣等感もあるし(笑)。うらやましいけど、そのとき俺は家で何しようか? ナンパしてるより、濃い本を一冊読んだほうが絶対いいぜみたいな気持ちもあるし。自分の中でも整理がついてない、ごっちゃごっちゃの感情を書いてみたかった。
- EMTG:サウンドも、今までにない明るさがある。
- 荒金:キラキラさせたかったですね。
- カタヤマ:ちょうどその頃、BOΦWYをコピーして遊んでたりしてましたから。
- EMTG:「NO.NEW YORK」とかやってたの?(笑)
- カタヤマ:やったっすよ。♪シャワー浴びた♪っすよ(笑)。
- 荒金:今、思うと、そうやってBOΦWYで 遊んだときのことを、このアルバムは反映してると思います。
- カタヤマ:なんかそれを、俺らなりに消化すればいいと思って。
- 荒金:「Theme of Droog」が最後に出来たんですけど、アルバム作りの最初から「俺らのテーマ曲を作りたいな」と思ってて。
- カタヤマ:今までテーマ曲がなかったんで。
- 荒金:でもただ 漠然とその気持ちだけあって、どんな曲にしたいかとかは何もなかった。で、9曲ぐらい作り終わったときに、4人のいつものワイワイはしゃいでる感じで曲を作れたんです。これがいちばんすぐに出来た。家でロック聴いて、それに触発されてスタジオで作るみたいなことはあったっすけど、普通に遊んでる俺らの雰囲気が曲に反映されてるっていうか。最後にそれがちゃんと形になったんで、すごいよかったと思います。 曲調的には前と一緒なんですけど、でもなんか自分たちの中では全然違うっていう感覚があって。
- カタヤマ:だからこのアルバムを「Theme of Droog」で終わりたかったんすね。今までだったら、空っぽだったり、哀れだったりみたいなイメージの曲、たとえば今回だったら「太陽」みたいな曲を最後にもってきたんですけど。でも「Theme of Droog」で終わりたくて、最後にしました。
- 荒金:アルバムが全部できて聴いてたら、「Theme of Droog」が終わってまた1曲目に戻ると、つながってる感じがした。終わってるようで、また始まるような感じがしました。
- EMTG:いい構成になったんだね。最後に、『ぶっとびぱなし』っていうアルバムタイトルは?
- カタヤマ:前作 の『End of teenage』で、10代 までの全部を一度区切りたかったんですよ。で、俺たちも10代じゃなくなったし、これから先、続いていきたいなっていう気持ちがシンシンと湧いてきて。だから、転がっていくみたいな、ライク・ア・ローリング・ストーン じゃないけど、キープ・オン・ロックンロールみたいなことを言いたかったんです。
- EMTG:それが「ぱなし」って言葉に込められている。
- カタヤマ:はい。80年代の日本のパンクを聴いて、俺らなりの表現はないかなと思ったら、 「ぶっとびぱなし」っていう言葉がいいかなと思って。言葉にするのも恥ずかしいけど、そういうのがいちばん、今回の曲たちに似合うと思ったし、今の俺たちにも合う。そういう願いも込めて、「ぱなし」って付けました。
- EMTG:そしてツアーが、“やけっぱちツアー”だ。改めて文字で見ると面白すぎるね(笑)。
- メンバー :(笑)
- 荒金:「やけっぱちDAYS」って曲があったんで、ツアーがそういう日々になればいいなと思って。毎日濃く楽しんで、一日一日、最後までみたいな。
- EMTG:早く『ぶっとびぱなし』のツアーをやりたいっていう感じ?
- カタヤマ:やりたいっす。
- 荒金:すげえやりたいです。
- EMTG: 期待してるよ!
Droogの注目のセカンドアルバムだ。10代バンドの中で孤高の位置を走ってきたDroogは、前作『End of teenage』とツアーで、シーンにおけるスタンスをしっかりと確立した。特にツアー・ファイナルの新宿ロフトでは*EMTG MUSICでレポートしたとおり、10代の純粋さでルーツ・パンクを貫いて、世代を越えるパフォーマンスをしてみせた。
そして新作 『ぶっとびぱなし』は、ルーツ・パンクから一歩踏み出し、J-ROCKのベイシックを作ったアナーキーやBOΦWYの影響を恐れずに披露する。ロックの“歴史”に向かって祈りを捧げてきたDroogが、“今のロックシーン”に切り込んできたのだ。その背中を押したのは、ライブに詰めかけたファンの惜しみない声援だった。
パンク一本槍だったDroogが、そのグルーブを見失うことなく、歌モノに突き進む。その成果について、ソングライター・コンビのカタヤマヒロキ(vo)と荒金祐太朗(g&cho)に聞いてみた。
*新宿ロフトライブレポート(http://music.emtg.jp/liveReport/20120801667158fc2 )
【取材・文 平山雄一】
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カタヤマ:BOΦWYの解散宣言した渋公のライブの映画を3日前ぐらいに一緒に見に行って。めっちゃめちゃ良かったっす。
荒金:映画館で見たっつうのもあるかもしれんけど、めっちゃ感動したっす。それでカラオケで歌いたくなって。
カタヤマ:BOΦWYを最近知った、平成生まれのニワカBOΦWYファン(笑)。BOΦWYファン歴、半年です(笑)。
■ライブ情報
「Droog やけっぱちTOUR 2013」
2013/05/17(金)千葉県・千葉LOOK
2013/05/18(土)栃木県・HEAVEN’S ROCK宇都宮
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2013/07/20(土)東京都・渋谷CHELSEA HOTEL
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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