“翼の折れた天使達”へのメッセージをテーマに、生きていくことへの悩みや葛藤、そしてそこからの希望を歌い、女性を中心に多くのリスナーから高い共感を得ているMs.OOJA。そんな彼女のニュー・アルバム『FAITH』が完成した。ここでは、悲しい失恋の歌や、強い孤独感を感じる歌から、愛することの素晴らしさや、未来への希望を歌った歌まで、幅広い内容と、幅広いサウンドの楽曲が収録されており、彼女のさらなる進化を感じさせる充実作になっている。

EMTG：新作『FAITH』は、どのようなテーマで制作されたのですか？

Ms.OOJA：“FAITH”とは、“信条”“信念”という意味なんですけど、これは2013年の私の活動テーマでもあるんです。去年「Be...」という曲をリリースしてから、自分の中では激変の時代だったというか、いろいろなことを体験させていただいて、たくさんの人にMs.OOJAという存在を知っていただくことができました。それを経て2013年は、その経験してきたひとつひとつのことを大切にしていきたい、確固たるものにしたいという思いがあって、より強い、Ms.OOJAとしての信念を皆さんに届けていきたい、いつもお世話になってきた人たちに、そのお返しをしたいという意味から、“FAITH”というのをテーマにしました。

EMTG：これまで以上に、楽曲のシチュエーションや気持ちの振れ幅が広くなったような印象を受けます。

Ms.OOJA：私が好きなテイストとか、私が伝えたいメッセージとか、とにかくMs.OOJAの好きなものを詰め込もうと思って、そこには徹底的にこだわりましたね。その結果として、こうなったという感じです。

EMTG：アルバムの前半は、すごく迷ったり、孤独感を感じたりという曲が並んでいて、でも後半にいくに従って、幸福度数が上がっていく感じがします。

Ms.OOJA：そうですね。それが“FAITH”に向かっていく物語なんです。「Where is my place」という、問題定義から始まって、最後「I WILL」で終わるという流れは意識しました。幸せっていうものを、誰かに求めてきたから、迷いや悩みもあったけど、実はそうじゃなくて、幸せっていうのは、自分の中でいかに気づけるものなのかっていうところに、どんどんシフトしていくというか、そういった心境の変化みたいなものを、アルバム全体を通して表現できたらなって思いました。

EMTG：特に後半は、聴いていてもすごく幸せになれる曲が並んでいますよね。

Ms.OOJA：今まで、失恋の曲が多かったり、そういう曲が好きだったりもしたんで、前半、特に「Goodbye」なんかはとことん落ちてる歌なんですけど、後半の、特に「YOU & I」なんかはすごくハッピーですよね。私の音楽を聴いて、がんばろうという原動力にしてほしいなっていう気持ちが強いですね。ライブでファンの人の顔を直に見ながら歌っていると、一緒にがんばろうよっていう思いが強くなりました。ここに足を運んで来てくれている皆さんは、普段すごい悩みを抱えたりしていて、もしかしたら少しの救いを求めてここに来てくれているのかも知れないって感じるし、そういう人たちに向けて、一緒にがんばっていこうよっていうメッセージを届けたいという思いが、特に今回のアルバムに対しては強いですね。大人ってたいへんだよね、でもがんばろうよって(笑)。

EMTG：今回、自分としては新しいチャレンジができた、というような曲はありますか？

Ms.OOJA：「JUS’TONIGHT feat. PUSHIM」などは、今までにはない曲だと思いますし、「Movin’」は、女友達とドライブして、みたいな内容の、突き抜けて明るい楽曲で、これは自分の中では新しいかな、と。あと「Where is my place」「Goodbye」「Love’s here」などは、ロック・フィーリングもあるというか、今自分が好きなものを思いっ切り出した曲だと思います。そして最後の「I WILL」は、深くて大きな愛を歌っている曲なんですけど、『FAITH』というアルバムを締めくくって、次のステップに行く曲として、すごく大事な曲になったなって思います。

EMTG：「JUS’TONIGHT」は、PUSHIMさんとのコラボレーションですね。

Ms.OOJA：元々私はPUSHIMさんの大ファンだったんですけど、去年の8月に「音霊」で初めて共演させていただいて、そこで意気投合して、一緒にやろうという話になりました。それで今回、曲のプロデュースもやっていただいて、新しいMs.OOJAを引き出していただきたいな、と。PUSHIMさんのお家に行って、一緒にご飯食べたりしながら、曲作りをしていきました。私はこれまで、フィーチャリングものとかはあまりやってこなかったんですけど、今回はいい化学変化が起こったなって思います。レゲエというのは、今まで一回も通ってこなかったところだし、自分で歌うことはないだろうなって思っていたので、その要素が自分に入るとどうなるだろうなっていうのは、ある意味新しい挑戦でした。

EMTG：今回、ボーカルの面で心がけたことなどはありますか？

Ms.OOJA：去年『WOMAN -Love Song Covers-』というカバー・アルバムをリリースして、ライブもたくさんやらせていただいて、表現という面でも成長したところを見ていただきたいという思いはありますね。Ms.OOJAの歌声をより知っていただきたいという思いと、この声はMs.OOJAだねって言っていただけるような、誰にも似ていないボーカルというのは心がけました。あと、言いたいことが伝わるというか、何を言っているのかがわかる歌手でありたいな、という思いもあります。

EMTG：ではこのアルバムを通じて、いちばんリスナーに伝えたいことは？

Ms.OOJA：みんな“翼の折れた天使たち”だと思うんです。人生いろいろなことがあって、いい時もあれば悪い時もあるし、その中で守るべきものだったり、大切なものだったり、逆に捨てなきゃいけないもの、手放さなきゃいけないものもあるけど、みんな一人じゃないし、大切な誰かが必ずいるんだということ、生きる希望みたいなものを、このアルバムを通して感じていただければ嬉しいなって思います。嫌なことがひとつあると、そのことで頭がいっぱいになって、この世のすべてが敵みたいに思えて、いいことなんてひとつもないって思う瞬間もあると思うけど、実はみんな同じ思いを抱えて生きているんだってわかれば、少しは楽になるのかなって。私の音楽が、それを乗り越える力に、少しでもなれたらいいなって思います。ラストの「I WILL」まで聴いていただいて、そこからまた最初の「Where is my place」に戻って聴いた時、何を思うかというのも、ぜひ体験していただきたいです。

【取材・文：熊谷美広】