中孝介が日本の歌の素晴らしさをディスカバーした、初のカバーアルバムが到着!!
中孝介 | 2013.07.29
- EMTG:今回のカバーアルバムは去年末に立ち上げた「もっと日本。」プロジェクトの一環なんですよね。
- 中:そうですね。どうしても今っていろんなものが多様化してるんで、意外と自分の住んでいるところの良さを知らなかったりするじゃないですか? それを改めて「あ、いいな。日本人に生まれてよかったな」と思ってもらえるように、今回は、<日本にはこんなにもたくさんの名曲がある>っていうことを僕の声を通して知ってもらえたらなっていう思いで、取り組みました。
- EMTG:いわゆる「カバーアルバムを企画しました」というより、もっと大きな門構えの作品だなと感じて。
- 中:ありがとうございます。
- EMTG:しかし何が驚いたって、今回、曲が収録されたきっかけにもなったニコニコ生放送やニコニコ超会議に中さんが出演したことですよ。
- 中:僕、これまでボカロって全然知らなくて。初音ミクっていう人がいるっていうのは…。
- EMTG:人っていうか…(笑)。
- 中:架空の人ですけど(笑)、まぁいるっていうのは知ってましたけど、改めてボカロ曲を聴いてみたら単純にいい曲がたくさんあって。最初に聴いたのは「紅一葉」で、何しろメロディラインが和のテイストで日本の四季を思わせてくれる歌詞の世界も…秋のもみじの葉っぱが紅葉して、それがひらひら舞い散る様子を連想させる素敵な曲だなと思って。自分の声にも合ってるなと思いましたし。
- EMTG:でもニコ生は想像を絶する現場だったんじゃないですか?
- 中:どんな反応が返ってくるのかわからない緊張感の中、みんなやさしく迎え入れてくれましたね。その時いろいろリクエストいただいたボカロ曲の中から今回は「桜ノ雨」と「歌に形はないけれど」を選ばせてもらいました。
- EMTG:大量の候補曲が挙がったなかで、中さんが歌いたい曲の傾向は見えましたか?
- 中:どうもなんか春の歌に惹かれる傾向にあって。桜って奄美大島では1月に咲いて2月には散っちゃうんですよ。緋寒桜っていってこっちの桜とはちょっと種類が違うんですけど。でも頻繁に東京に来るようになってから、子供の頃に全然見たことのない景色なのに思わず涙が出そうになることがあって。別れと出会いのある風景というか、悲しいんだけどホントに悲しいんじゃなくて、これから前に進んでいく気持ちというか、それも日本人ならではの感情なのかなと思いましたね。
- EMTG:資料にも書いてらっしゃいますが、そうした無意識の「なつかしゃ」という気持ちが入った曲を自然と選んでいるんでしょうね。
- 中:そうですね。懐かしさやノスタルジーとか。それを歌を通して感じてもらって、たとえば地元を離れて都会で生活している人たちに田舎の友だちや親にちょっと電話してみようかな、とかそういう気持ちになってもらいたいなって。僕が歌うことで少しでも距離を縮めることができたら、と思いますね。
- EMTG:それにしても「少年時代」や「愛燦燦」など究極の名曲がたくさん入ってますね。<好き>だけでは立ち向かえないような。
- 中:そうですね。美空ひばりさんの「愛燦燦」はデビュー前からカラオケでも歌ったりしてましたけど、ひばりさんの歌の表現力の幅や柔軟性は同じシンガーとして目指していきたい場所なんです。そういう意味ではリスペクトしている方の名曲を自分の作品としてリリースして皆さんに届けることができるのは嬉しいですね。
- EMTG:トラディショナルな歌をうたえる人にしかできないエゴの抑え方を感じました。
- 中:ありがとうございます。そうですね、そこですね。全部が全部前に出るんじゃなくて、日本人特有の押し引きみたいなところですね。
- EMTG:それが歌そのものの力として伝わるというか。ところで大好きな曲ばかりだと思うんですが、歌入れが大変だった曲なんてありましたか?
- 中:そうですねぇ…「糸」ですかね。何度かうたってある程度いいテイクが録れて、最後に通して歌ってみようかって時はもう詞の世界に入りすぎて、涙出ちゃってそこから歌えなくなっちゃって(笑)。そんなことは初めてでしたね。
- EMTG:特にどのあたりが?
- 中:「♪こんな糸が なんになるの 心許なくて ふるえてた風の中♪」っていうこところですかね。こんな自分が、みたいな気持ちと、でも周りに付いて来てくれる人たちがいるっていうところがきちゃいましたね。
- EMTG:中島みゆきさんの言葉は本当に毅然としていますよね。そしてすごくシンプルで淡々としたアレンジの「上を向いて歩こう」が染みますね。
- 中:前向きでありながらも、ちょっとこう悲しげなところもあるので、その切なさをどう表現するのか? というところで中盤までアカペラなんですが、歌う時に前向きな時のイメージと落ち込んでる時は自分だったらどうするんだろう? みたいなところを想像しながらうたいましたね。
- EMTG:アカペラの背景に入っている街の音と、途中から入ってくるチェロの音、それだけなんですよね。このそぎ落としたアレンジが素晴らしくて。
- 中:街の雑踏の音を入れたらどうだろう? というので薄っすら入ってますね。夜の帰り道を歩きながらうたってるみたいなところを表現したかったので。
- EMTG:いろんな「上を向いて歩こう」がありますけど、この歌詞の主人公は実はうつむいてるんですよね、考えてみると。
- 中:はい(笑)。気持ちとしては。でも「上向かなきゃ」って思ってる、その葛藤っていいますか、その感情が切なさになってるんでしょうね、この曲は。
- EMTG:一方でモーニング娘。の「雨の降らない星では愛せないだろう?」では高橋愛さんとコラボレーションされていて。つんくさんには申し訳ないですが、こんないい歌詞だったんだと今回気づきました(笑)。
- 中:いや、すごい感性を持ってらっしゃる方だなぁと改めて思いましたね。
- EMTG:そして高橋さんの声が力強く前に出ていて。
- 中:そうですね。レコーディングの時も立ち会わせてもらったんですけど、すごいパワーのある声だなと思いましたし、表現するのに迷いがないというか、同じシンガーとして感動しましたね。それは伊東歌詞太郎さんもそうで、若いしものすごく腰が低くて「自分なんか…」みたいな感じの方なんですけど、でもうたったらやっぱりシンガーだなぁって思いましたね。
- EMTG:昭和の名曲から10年代のボカロ曲までカバーしていることがちょっと他のカバー企画にはない挑戦的なところでもありますよね。これぞまさに日本、というか。
- 中:自分がこれまで歩いてきた道のりの中で出会った曲もありますし、今回新たに出会った曲もありますけど、このアルバムの中に入ってる曲って、たぶんどこかで耳にしたことがある曲がたくさん詰まってると思うので、聴いてくれるお客さんがさらに繋がるんじゃないかと思いますね。
- EMTG:わかりました。今年後半の活動は全国ツアーですね。
- 中:はい。けっこうガッツリ、年末までびっしりと、シンプルに日本の名曲を届けに行きます。
美空ひばりや坂本九の名曲から、10年代のボカロ曲まで、と書くと、なんて企画色の強いカバーアルバムなんだ? と驚かれるかもしれない。が、こんな振り幅を可能にするのは中孝介というシンガーの歌声の無二の存在感、そしてあくまで歌詞とメロディに対する自身の感性に忠実なその姿勢だ。シンプルだけど研ぎ澄まされたアレンジは耳あたりがいいだけではなく、今、この時代にリアリティをもって届く強度もある。多くの人のオールタイム・フェイバリットになりそうな、中孝介、初のカバーアルバム。入魂の一作についても変わらぬ飄々とした語り口で思いを話してくれた。
【取材・文 石角友香】
ビデオコメント
リリース情報
ベストカバーズ〜もっと日本。〜(初回限定盤)[CD+DVD]
2013年07月31日
アリオラジャパン
01 瑠璃色の地球(松田聖子)
02 雨の降らない星では愛せないだろう?(モーニング娘。)中孝介 feat.高橋愛
03 桜(河口恭吾)中孝介 feat.河口恭吾
04 少年時代(井上陽水)
05 もしも明日が(わらべ)
06 紅一葉(黒うさP×初音ミク)
07 糸(中島みゆき)
08 花
09 歌に形はないけれど(doriko×初音ミク)
10 サンサーラ
11 春なのに(柏原芳恵)中孝介 feat.カサリンチュ
12 上を向いて歩こう(坂本九)
13 明日があるさ(坂本九)
14 愛燦燦(美空ひばり)
15 桜ノ雨(halyosy×初音ミク)中孝介 feat.伊東歌詞太郎
16 夏夕空
17 ありがとう(大江千里)
※カッコ内は、オリジナルのアーティスト
02 雨の降らない星では愛せないだろう?(モーニング娘。)中孝介 feat.高橋愛
03 桜(河口恭吾)中孝介 feat.河口恭吾
04 少年時代(井上陽水)
05 もしも明日が(わらべ)
06 紅一葉(黒うさP×初音ミク)
07 糸(中島みゆき)
08 花
09 歌に形はないけれど(doriko×初音ミク)
10 サンサーラ
11 春なのに(柏原芳恵)中孝介 feat.カサリンチュ
12 上を向いて歩こう(坂本九)
13 明日があるさ(坂本九)
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15 桜ノ雨(halyosy×初音ミク)中孝介 feat.伊東歌詞太郎
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お知らせ
■マイ検索ワード
カバーの歴史
このアルバムを作るにあたって、いつ頃からカバーって始まったんだろう? と思って調べてみたんですが、結論としては…わからないですね(笑)。そもそもカバーって日本語には訳せなくて、言ってみたら伝承みたいなものなのかなぁと。奄美の方言にもなかったから日本語にもないでしょうね。
■ライブ情報
中孝介 全国コンサートツアー2013
『もっと日本。』
2013/08/30(金)大阪府・高槻現代劇場 中ホール
2013/08/31(土)東京都・シアター1010
2013/09/07(土)滋賀県・日野町町民会館わたむきホール虹
2013/09/08(日)三重県 多気町民文化会館
2013/09/10(火)京都府・京都府丹後文化会館
2013/09/13(金)新潟県・NIIGATA LOTS
2013/09/14(土)山形県・山形テルサ アプローズ
2013/09/22(日)徳島県・徳島FIGARO
2013/09/23(祝・月)高知県・高知県立県民文化ホール・グリーンホール
2013/09/27(金)鹿児島・かごしま県民交流センター県民ホール
2013/09/28(土)福岡・イムズホール
2013/10/14(祝・月)広島県・はつかいち文化ホールさくらぴあ 大ホール
2013/11/03(日)宮城県・仙台市民会館 小ホール
2013/11/23(祝・土)北海道・札幌コンサートホールKitara 小ホール
2013/11/30(土)沖縄・桜坂劇場 ホールA
2013/12/08(日)東京・東京国際フォーラム ホールC
2013/12/21(土)愛知・三井住友海上しらかわホール
Setting Sun Sound Festival〜in Amami〜Vol.4
2013/10/19(土)鹿児島県・奄美パーク
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
カバーの歴史
このアルバムを作るにあたって、いつ頃からカバーって始まったんだろう? と思って調べてみたんですが、結論としては…わからないですね(笑)。そもそもカバーって日本語には訳せなくて、言ってみたら伝承みたいなものなのかなぁと。奄美の方言にもなかったから日本語にもないでしょうね。
■ライブ情報
中孝介 全国コンサートツアー2013
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2013/10/14(祝・月)広島県・はつかいち文化ホールさくらぴあ 大ホール
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2013/12/08(日)東京・東京国際フォーラム ホールC
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Setting Sun Sound Festival〜in Amami〜Vol.4
2013/10/19(土)鹿児島県・奄美パーク
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