インディーズ・シーンで話題のバンド“それでも世界が続くなら”いよいよデビュー!
それでも世界が続くなら | 2013.09.04
- EMTG:メジャーになって、何か変わりましたか?
- 篠塚:いえ、やってることは、何も変わらないです。
- EMTG:『僕は君に武器を渡したい』に入ってる歌の内容も、以前と変わってないね。
- 篠塚:はい。同じことをただ延々とやってるだけなんで。素直に言いたいことを言ってるだけです。昨今のバンドの曲作りとは違って、僕らはその時、思ってることをそのまま音楽にしてる。だから、その曲が人生最後の曲になってもいいし、いつ音楽を辞めてもいいと思ってます。『僕は君に武器を渡したい』は、そういう曲が集まっただけのアルバムです。
- EMTG:あはは、ずいぶんと潔いね。
- 篠塚:僕はブルーハーツやNIRVANAを聴いて、曲を作ろうと思ったんですよ。彼らこそ、素直に言いたいことを歌ってる。そういう姿勢に、もろに影響されましたね。自分がやってるのは、パンキッシュな音楽だと思ってます。
- EMTG:アルバムはどんな風に作っていったの?
- 篠塚:今回、アルバムを出すことになって、30曲をメジャーのスタッフに投げたんですよ。どの曲を選んでもらってもいいって。
- EMTG:よくメジャーになると、歌詞や曲を直されることがあるでしょ。
- 篠塚:そう聞いてたから、直せないように、歌詞まで全部作って渡しました(笑)。
- EMTG:で?
- 篠塚:2曲目の「一般意味論とアリストテレス」の最後の部分の歌詞だけ、直してほしいと言われた。
- EMTG:で? で?
- 篠塚:僕の曲の作り方っていうのは、鼻唄の延長にあって、歌詞とメロディがほぼ同時に出て来る。だから歌詞を直すと、当然、メロディも変わっちゃいますよって言ったら、それでいいって。
- EMTG:そうやってメジャーのスタッフとの信頼関係を確かめていったんだね。
- 篠塚:そういう意図もありました。
- EMTG:『僕は君に武器を渡したい』には、インディーズ時代の「シーソーと消えない歌」や「参加賞」や「水色の反撃」も再録されて入ってるけど。
- 篠塚:この3曲は、もうちょっと歌っていたい曲なんです。
- EMTG:歌っていたいって?
- 篠塚:はい。これからもライブでやりたい曲なんです。そうしたらスタッフが「それだったらメジャー・デビュー・アルバムに入っていた方が、僕らのライブに初めて来る人にとって親切なんじゃないかな」って言われて。
- EMTG:そうか。例えばそういうバンドの将来を考えたリクエストも含めて、メジャーに対する不信感みたいなものは、解消されていったの?
- 篠塚:そうですね。やっぱり不信感は根強かったから、バンドを防衛する意識は強かったと思います。でもこの3曲を入れたアルバム『僕は君に武器を渡したい』のリリース直前に、「入れても入れなくても、どっちでもよかったんだな」と思いました。
- EMTG:入れたよかったんじゃなくて、どっちでもよかったっていうのが面白いね。
- 篠塚:そうなんですよ(笑)。
- EMTG:肩に入ってた力が、ふっと抜けた、みたいな。
- 篠塚:そうです、そうです。
- EMTG:じゃ、もうひとつ聞きたいのは、なんでバンド名を変えたの?
- 篠塚:その頃、メンバー・チェンジがあった。それは単なるメンバー・チェンジっていうよりは、僕の意識の中では解散だったんですよ。ただ、さっきも言ったように、僕がやってることはずっと変わってないから、前の曲もやりたかった。でも、新しいメンバーに以前のメンバーの演奏をコピーしてやってもらうわけにはいかない。新しいメンバーは、その人の演奏をするべきでしょ。なので、バンド名を“ドイツオレンジ”から“それでも世界が続くなら”にしたんです。だからあれは“改名”ではなくて、新しいバンドになったということなんです。
- EMTG:メンバーがひとりの独立した人間として、バンドに参加するための出来事だったんだね、ちょっとややこしい話だけど、フェアでいいね。
- 篠塚:はい。
- EMTG:もしかすると、再録された3曲も、同じ感覚かもしれないね。
- 篠塚:どうですかね(笑)。 ただ、リズム・セクションが以前より遥かによくなってるので、もう1回レコーディングしてみて、よかったです。
- EMTG:特にドラムがすごくよくなってる。
- 篠塚:そうでしょ(笑)。ありがとうございます。
- EMTG:でも、どっちでもよかったんだ(笑)。
- 篠塚:はい(笑)。しかも、15年ぐらい同じことやってきたんだから、今頃メジャー・デビューされても、オレが困るっていう(笑)。
- EMTG:オレが困るのかいっ(笑)。そして、ずっと歌ってきたのは、痛みや優しさのことだね。たとえば「ウェルテルの苦悩」では♪いつも本当のことは 誰かを傷つけてしまう♪って歌ってる。
- 篠塚:僕はいじめられっ子だったから、誰かに必要とされるのがすごく嬉しいんですよ。でも、正論は独善になりやすくて、気をつけなければいけないし、誰からも好かれる表現なんてないと思ってる。だからこそ、歌う動機だけは誠実でありたいと思ってます。本当のことを歌うと、誰かを傷つけてしまうことも知ってます。どうせ傷つけるなら、いじめっ子を傷つけたいです。
- EMTG:うわっ、怖いなあ。今回、『僕は君に武器を渡したい』を聴いて思ったのは、ラストの3曲で救われる。「スパロウ」では♪本当のこと僕が言っても 君が笑ってくれたら それだけでもう♪って歌ってる。
- 篠塚:そんなふうに曲順を考えたことはなかったですけど、後半の3曲で聴いてくれる人を絶望させたくなかったのかな。
- EMTG:やさしいね。
- 篠塚:あ、それから“やさしい”ってことですけど、僕はそれをパンクから学んだ。誰でもできるやさしい(簡単な)音楽っていうのと、やさしい気持ちっていう、ふたつの意味があるんですよ。嫌なことは嫌だって言いながら、やさしいバンドでいたい。そういうやさしさを使って、音楽をやりたいんですよ。
- EMTG:その“パンク精神”を、リスナーが感じ取ってくれるといいね。
- 篠塚:僕らがパンクに見えないのは、見かけが力強い人間じゃないからですかね(笑)。
- EMTG:最後に、“それせか”にとって、ライブとは?
- 篠塚:僕にとって、ライブは音楽そのもの。口から発する言葉こそ、リアルだと思う。その意味ではCDは“記録“に過ぎない。生で演奏しているものこそ、音楽だと思います。ただ、自分がそのまま出るから、怖いですけど。
- EMTG:メジャーでの活動、期待してます。ありがとう。
インディーズ・シーンで話題になっていたバンド“それでも世界が続くなら”(以下、それせか)が、ついにメジャー・デビュー・アルバム『僕は君に武器を渡したい』をリリースする。それせかの、人間関係に対する容赦のない歌詞は鋭くて痛い。それでも彼らの歌を、何度も聴きたいリスナーがいる。 今、J-POPシーンにたくさんの“やさしい歌”があふれているが、耳に刺さる骨のような言葉は、巧妙に取り除かれている。だからその言葉は聴きやすいが、リアルが失われている。痛い歌と無害な歌のどちらを好むかは、 もちろんリスナー次第。しかし、それせかの決して曲げない音楽への姿勢は、今、貴重さを増す。
2011年、ドイツオレンジからそれせかへと名前を変えて活動を継続する篠塚将行(vo&g)、菅澤智史(g)、 琢磨章悟(b)、栗原則雄(dr)のメジャー・デビューについて、ソングライターの篠塚に聞いてみた。
【取材・文:平山雄一】
●それでも世界が続くなら「参加賞」MV視聴
http://youtu.be/JnUsBJJlLIY
リリース情報
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ビデオコメント
お知らせ
それでも世界が続くならメジャー1stALBUM
「僕は君に武器を渡したい」リリースツアー
2013/10/20(日)千葉LOOK ※ワンマン公演
2013/10/25(金)大阪 十三FANDANGO ※ワンマン公演
2013/11/09(土)水戸SONIC
2013/11/15(金)静岡UMBER
2013/11/17(日)名古屋 得三
2013/11/22(土)岡山LIVE HOUSE PEPPERLAND
2013/11/24(日)福岡Utero
2013/12/01(日)下北沢CLUB Que ※ワンマン公演
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。