POLYSICS、新作『MEGA OVER DRIVE』で炸裂する俺流ロックのあり方

POLYSICS | 2013.10.04

 POLYSICSの最新作『MEGA OVER DRIVE』は、最高に刺激的なサウンドの連続だ。シンセサイザーの熱い音圧とドラマチックな高鳴り、人力のバンドグルーヴが絶妙に融合した1曲目「MEGA OVER DRIVE」を聴くや否や、あらゆるリスナーが非日常の興奮を味わうことになるだろう。そして、2010年にカヨが卒業して以来、封印されていた「I My Me Mine」と「Baby BIAS」が新録されたのも要注目。原曲の魅力を活かしつつ、フレッシュなアレンジを施している。収録されている全5曲のエンジニアリングを手掛けたのは、益子樹(ROVO / DUB SQUAD / ASLN)。生々しい息吹に溢れる1枚となった。今作についてハヤシが語る。

EMTG:「MEGA OVER DRIVE」は、POLYSICSからEDMへの挑戦状として聴いたんですけど。
ハヤシ:なるほど。あながち間違いではないです。たしかに影響は受けたというか。EDMの曲を聴いてて、「自分ならこうやるかな?」っていう感じがあったのは確かですね。
EMTG:EDMもそうだし、ヒップホップのトラックとかまでも含めて、シンセサイザーミュージックって、ここ最近ますます盛り上がっているじゃないですか。
ハヤシ:特にここ1、2年で、そういう音楽ってもの珍しいものではなくなりましたからね。
EMTG:そういう最近のシーンへの意識って、今回の制作に対して影響しました?
ハヤシ:いや、あんまり意識はしてなかったですけど。でも、去年から今年にかけて新譜が面白くて、いろいろ聴いてるっていうのはありました。前回『Weeeeeeeeee!!!』っていうアルバムを出した後に、「次、何やろうかな?」って考えたんですけど、同じようなものを作ってもつまらないと思って。そこでいろんなデモを作った中で出てきたもののひとつが、「MEGA OVER DRIVE」。無意識ではあるけど、自分が通ってきたニューウェイヴとかテクノポップとかの要素を出しつつ、さっき言った「自分ならこうやる」っていうのはあったと思います。まあ、だからといってバンド自体がEDMとかに向って行くっていうことではないんですけど。
EMTG:POLYSICSってシンセミュージックとギターロックの両面を持っていますけど、「MEGA OVER DRIVE」は思いっきりシンセに寄っていますよね。
ハヤシ:特にこの曲は、そうですね。スタジオで鳴らした時に、バチっ!とハマる感覚があったんです。だから「自分はギターは弾かなくてもいいかな」と。でも、「ドラムとベースは生でなければいけない」っていうのもあって。それがないとPOLYSICSではないと思ったので。元々デモでは、もっとドラムが打ち込みで鳴っていたんですけど、作っていく内に、そういうのはなくしちゃいました。グルーヴはガッツリと生で出したかったので。
EMTG:歌詞はいつも通り、特に意味はないと思うんですけど、《栗めがけてロックオン》が最高だなと。これ、めちゃくちゃ笑えるじゃないですか。
ハヤシ:僕も気に入ってます(笑)。メンバーからも評判がいいです。自分の歌詞ってあんま分析はしないんですけど、《ロックオン》と《栗》っていう組み合わせがいいんでしょうね。普通、栗にロックオンはしないですから。
EMTG:「こいつ、栗に命を懸けてるんだな……」とか、人物を想像すると笑いが止まらなくて(笑)。
ハヤシ:絶賛して頂き、ありがとうございます(笑)。
EMTG:では、2曲目のお話へ。「Exclamation!」は、どんな経緯で生まれたんですか?
ハヤシ:これはなかなか難航しました。この形になるまでに2、3パターンあったので。「MEGA OVER DRIVE」の前、今回最初にレコーディングした曲だったんですけど。生バンドの音がすごく良く録れたので、「これで益子さんとバッチリ行けるな」って思ったんです。
EMTG:益子さんの参加は今回初ですけど、今までにやっていてもおかしくない組み合わせですよね?
ハヤシ:そうみたいですね。POLYSICSは、デビューの時から基本的にエンジニアさんをあんまり変えてないんです。でも、前作の後、「新しいことをやりたい」っていうモードになってきて、益子さんにエンジニアをお願いするアイディアが出てきたんです。それで、まずは試しに「Exclamation!」を録りました。
EMTG:《Exclamation!》って一緒に叫ぶと楽しいです。口にすると気持ちいい言葉選びも得意ですよね?
ハヤシ:そこも大事にしてます。「カジャカジャグー」から始まってますけど、意味よりも発した時に気持ちいいっていう言葉は大事です。
EMTG:そして、3曲目の「Marshmallow Head」は、すごくスピード感がある曲ですね。 ハヤシ:これは最初の2曲を録った後に作った曲です。
EMTG:最初の2曲と較べて、ギターが前に出ている作りですよね。
ハヤシ:そうですね。ギンギンな感じで。リフも気持ち良くなりながら弾いてますよ。
EMTG:POLYSICSって、実はすごくギターロックのバンドでもあるじゃないですか。
ハヤシ:そうですね。そのギャップに驚くお客さんもいます。「MEGA OVER DRIVE」みたいなギターを弾かない曲も好きなんですけど、基本は弾いていたいんですよ。そういうギャップも結構味わって欲しい(笑)。DEVOも、もっとピコピコしたバンドのイメージを持っていたのに、聴いてみたら全然ギターパンクだったんです。僕はそこに興奮してPOLYSICSをやろうと思ったから。
EMTG:あと、今回はお馴染みの2曲、「I My Me Mine」と「Baby BIAS」の最新バージョンが収録されているのも要注目です。
ハヤシ:3人でやる曲ではないと思っていたから、封印していたんですよ。でも、やりたいなとずっと思ってて。曲があるのにやれないのはもったいないし。まずは「I My Me Mine」をやりたいと思ったところから始まりました。ただ単にカヨの代わりにフミが歌うだけだとダメだと思ったし、たて笛をデータにして入れたりしても、それは何かが違う。やるならちゃんと3人での新しい形のものをやりたかったんです。とはいえ、シーケンスを派手にしたり、マッシヴにしたりするのも違う。ちゃんと原曲が持っていた隙間のある感じも出したい……っていう、「3人で、どうアップデートしたものを録るのか?」っていうのは、相当時間がかかりました。
EMTG:この2曲って、ファンにとってもカヨさんのイメージが強いですよね。
ハヤシ:そうなんですよね。しかもPOLYSICSの代表曲でもあるし。だから歌入れの声もアレンジも入念にやりました。
EMTG:「I My Me Mine 2013」の冒頭でも救急車のサイレンがちゃんと鳴るじゃないですか。嬉しかったですよ。
ハヤシ:そこも悩みました。最初、「ヘリの音にしようか?」とか考えてましたから(笑)。この前「ROCK IN JAPAN FES.」で初めてやったんですけど、救急車の音が鳴った瞬間にお客さんが盛り上がってくれて嬉しかったです。「I My Me Mine」が形になったことで、今回の「Baby BIAS」もできました。「I My Me Mine」ができなかったら、「Baby BIAS」もやってなかったでしょうね。今ってリスナーの耳が柔軟になってるじゃないですか。「ロックじゃないと聴かない」みたいなのってなくなってきていて、「アガればOK!」みたいな人が多いから、自分たちも柔軟にやれたんだと思います。だから「Baby BIAS」のサビでボコーダーを使ったりしているんですよ。
EMTG:今って、ボカロとかみんな普通に聴くし、ボコーダーとかを特別視する感覚は、あんまりないですよね。だからPOLYSICSが王道になる時代に移りつつあるのかも(笑)。
ハヤシ:王道? なりたいね?(笑)。
EMTG:Mステ出たり?
ハヤシ:出たいね?(笑)。
EMTG:(笑)いい曲がいっぱいできたし、ライブがまた楽しくなりそうですね。9月はヨーロッパツアーもあるし。
ハヤシ:もう5年も行ってないから、どんな感じになるのか分からないですけど、現地の人たちをびっくりさせたいですよ。3人の今の音に自信があるので、そのままやれば絶対伝わるだろうなと思ってます。
EMTG:そして、今回のミニアルバムが出た後は、日本で対バンツアー。
ハヤシ:ライブはぜひいろんな人に観て欲しいです。やっぱ、ライブは一番重要視しています。POLYSICSは、普段味わえないようなものをちゃんと味わえますから。
EMTG:非日常の四次元への扉が常に待っているライブだと思います。
ハヤシ:ああ、それいいっすね(笑)。そういう感じのライブの方がいいと思うんですよ。

【取材・文:田中大】

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ビデオコメント

リリース情報

MEGA OVER DRIVE(初回生産限定盤)

MEGA OVER DRIVE(初回生産限定盤)

2013年10月09日

キューンミュージック

1. MEGA OVER DRIVE
2. Exclamation!
3. Marshmallow Head
4. I My Me Mine
5. Baby BIAS

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●ハヤシ
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蟹江敬三が『ウルトラマン』にブニョっていう円盤生物の役で出たのは知ってたんだけど、過去に何か出てるはずだよなーと思って調べました。そしたら『帰ってきたウルトラマン』にゲスト出演してて、「あ、やっぱり」とスッキリしました。

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無意識でやってるからあんまり思い出せないです。詳しくはこちらに(笑)!


■ライブ情報

POLYSICS対バンツアー2013 帰ってきたULTRA FIGHT OR DIE!!!
2013/10/18(金)柏ThumbUP
2013/10/20(日)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
2013/10/25(金)KYOTO MUSE
2013/10/26(土)広島ナミキジャンクション
2013/10/27(日)福岡BEAT STATION
2013/10/29(火)梅田CLUB QUATTRO
2013/10/31(木)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2013/11/01(金)仙台darwin
2013/11/10(日)名古屋CLUB QUATTRO
2013/11/17(日)長野CLUB JUNK BOX
2013/11/23(土)恵比寿LIQUIDROOM
2013/11/24(日)恵比寿LIQUIDROOM

DOHATSUTEN三十路(ミソジ)まえ"七色の虹をかける野郎ども"
2013/11/08(金)Zepp Sapporo

COMICBAND is LIVEBAND tour
2013/11/29(金)松山SALONKITTY
2013/12/01(日)高知X-pt.

SHURE LIVE with GLX-D/BLX ワイヤレス -FREE from cables!-
2013/12/20(金)LIQUIDROOM

COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/28(土)・29(日)・30(月)・31(火)※いずれかに出演
幕張メッセ国際展示場1~8ホール、イベントホール

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