SALU、“聴いた人のその瞬間の感情を表す”新アルバム『COMEDY』をリリース!

SALU | 2014.06.02

 およそラッパーらしくない佇まい。しかしそれがSALUの、最大の魅力であり武器に違いない。メジャーレーベルからリリースされる初のフルアルバムにして2ndアルバムとなる『COMEDY』はまさに彼そのものというべき魅力に溢れた気鋭の一枚だ。人生は喜劇のようなものと言い切りながら、そのストーリーは彼のリアルで紡がれている。膨大なる情報量を、しかしそうとは感じさせず軽やかに聴く者の耳に馴染ませる卓抜したセンス。ラップを聴かないあなたにこそ今もっとも触れてほしい音楽がここにある。

EMTG:メジャーというフィールドで活動を展開されるようになって、ご自身に変化はありますか。
SALU:何も変わらないつもりでいましたけど、やっぱりいろいろ変化はあると思います。心持ちとしていちばん変わったのは自分一人で音楽をやってるのではないんだということ。自分以外の誰かとチームで作品を作っていくことを生まれて初めて経験する一方で、自分を抑えるというのもまた生まれて初めてで。でも、いちばん大切な核の部分、例えば詞を書くときには嘘は書かないとか、曲げられないところは絶対に曲げないですけどね。簡単に言うとワガママを言わなくなりました(笑)。今でも充分ワガママだと思いますけど。
EMTG:主張すべきところは主張するけれど協調性も大切だと。
SALU:そう。自分の中でも削っていいところは削れるようになってきたというか。
EMTG:その変化は今回の作品にも影響してますか。
SALU:“受け入れる”という姿勢が全曲に共通してありますね。その先にあるポジティブな選択をするために、手前ではいろいろと受け入れることも必要だとわかったので。もちろんそれは自分にとってすごくプラスなことで。
EMTG:そうした中で生まれた2ndアルバム『COMEDY』ですが、聴き手に対してさらに一歩、SALUさんのほうから積極的に踏み込んだという印象がすごくありました。
SALU:今回は自分の考えをより直接的な表現で伝えるということに取り組んだんです。前作の1stアルバムがすごく受動的と言いますか、答えをはっきり言い切らずに1曲1曲を作っていたので、今回は逆のやり方をしてみたかった。1stアルバムをリリースしてからこの2年間で自分が見つけたもの、間違っていたとしてもあえて“これだ”と答えを自分から言おう、と。
EMTG:そうしたくなったのはなぜですか。
SALU:もとから同じことを繰り返し続けるのがすごくキライで。常に変化していきたいし、その中で見つけたこと、実際に経験したことを曲に落とし込みたいと思ってるんです。時期的にも人に歩み寄るというか、自分が心を開く時期に差しかかっていたので、そういうスタイルで書くには今がいちばんちょうどよかったというのもあって。
EMTG:一方で、これはアルバムタイトルにも通じることだと思うのですが、“人生とは演じることだ”“なんだかんだ言って最終的にはみんな死ぬんだ”というクールで客観的な視点も感じます。
SALU:小さい頃からそういうふうな考え方ではあったんですよ、“ま、そんなもんでしょ”みたいな……どちらかというとわかったつもりでいる子供だったので(笑)。そういう部分もありつつ、でもこの2年ぐらいの間に実際、“本当の意味で人生を生きるということは他の人から見たら喜劇とか映画みたいなものだな”ってすごく思うようにもなったというか、あえて、そう思いにいったっていうところもあって。
EMTG:あえて?
SALU:そのほうが楽しいっていうのもあるし、きっと普通に生きていてもみんな、なんらかの演出はしてると思うんですよね。例えば東京に暮らしてる人は“都会で暮らしてる人”っていう演出をしてるはずだし、田舎で生活してる人は逆に“そういうのがキライだから田舎で生きてるんだ”っていう演出をしてるだろうし。無意識的にでも誰かに観測されて生きてるんだっていう感覚はみんな、どこかに持ってると思う。まったくない人は圧倒的に少ないんじゃないかな。『COMEDY』というタイトルには“自分の人生は自分が主役だから”みたいなカッコつけた意味もあるんですけど、本質的なところで“人が生きるっていうのはそういうことだ”っていう2つの意味があるんです。
EMTG:実際、生活しているなかで“今、演出してるな、俺”とか思う瞬間ってありますか。
SALU:よくあります(笑)。逆に街を歩いていて“あの人、演出してる!”って思うこともありますけど。そういうのを見るとこっちも刺激を受けるんですよ。そういう意味でも逆にまったく演出してない人にも惹かれますけどね。でも自分としては、この先何年かわからないですけど、自分がラッパーとしてCDを出させてもらって人前でラップをやらせてもらうのであれば、100パーセントに近いくらい“ラッパーである自分”を演じ切ることが観てくれる人にとっても自分にとってもいいことだなと思って。
EMTG:「Comedy」の最後のリリックで“観測してくれる人が居てくれて初めて輝くのさ夜空のあの星”にもそうしたSALUさんの意志と決意が込められている気がして。これも冒頭に伺ったような他者との関わりから生まれてきた気づきだったりするのでしょうか。
SALU:はい。実は僕、最初はそうは思ってなくて。誰に認められなくとも自分が輝いていると信じれば輝いているんだって、どちらかというと思ってたんです。でも最近、ひとりでやっていた頃に比べると、少しだけど注目してくれる人も増えてきて。そうやって観測してくれる人がいることにラッパーとして幸せを感じたというか、やっぱり僕の音楽を聴いてくれる人と分かち合うほうが純粋に楽しかったんですよね。
EMTG:表現者として肚を括った感もありますよね。1曲目の「100th Monkey」もそうですけど、これって“百番目の猿現象”をモチーフにされてますよね。自分が百番目の猿になる、つまりムーブメントのトップに立つという覚悟だろうな、と。
SALU:まさにそうです。今までそういうことは避けてきたんですけど、今回のアルバムは表現者として言い切ることは言い切らないと、と思って。言い切ってしまうと、それが間違っていたときには責任を取らなきゃいけないじゃないですか。言い切ったことができなかったときは泥をかぶらなくちゃいけない。でも、それをしなければ伝わらないことだったり表現できないことがあると思って。そういう意味ではたしかに肚を括った作品ではありますね。
EMTG:ところで映画はお好きなんです?
SALU:よく観ますし、たぶん音楽の次に好きです。
EMTG:映画にまつわるフレーズが散りばめられた曲が多いのも特徴的だなと思って。作品名とか実在する俳優の名前とか。
SALU:あはははは、そうなんですよ。ホントはコアな監督さんの名前とかも入れたかったんですけど、それだと“より伝わりやすく”っていう最初の意図とは反するので、できるだけわかりやすい名前にしたんです(笑)。
EMTG:そういう言葉が耳に飛び込んでくるのもすごく楽しかったです。でも、それにしても赤裸々なアルバムですよね。SALUさんの感じていることや見ているもの、実際に起こっただろう出来事が手に取るように伝わってきて、そこに共鳴したり考えさせられたり、聴きながらにすごく訴えかけてくる。それはやはりSALUさんの詞の力、言葉の説得力だと思うのですが。
SALU:ありがとうございます。四六時中、言葉のこと、詞のことを考えているし、それが仕事でもあるので逆に説得力がないと困るんですけどね(笑)。だから、そう言ってもらえてよかったです。
EMTG:今作をどう聴かれたいとかありますか。
SALU:それこそコメディとして聴いてもらえたらいいかな。生きるヒントにもなるといえばなるし、単純に聴き流せるもの、普通に音として楽しめるものでありたいなと。そういう意味も込めて『COMEDY』なんです。
EMTG:深いですね。
SALU:チャップリンの映画って笑いを求めて観ることもできるけど、例えば『独裁者』という映画では最後の演説シーンにチャップリンの理想だったり希望だったりが詰め込まれてたりもするんですよ。僕もそういう多面性のあるものを作りたくて。ただ、世界がもっとよくなればいいなとか、人と人とが争いなく生きれたらいいなっていう理想は根底にありますけど、それを押し付けたくはないんです。僕自身、いろんな方向から見れるように曲を書いたので、きっと聴く人によって感じ方も変わるでしょうし。そういう意味では聴いてくださった人の心、その瞬間の感情が表われる作品だと思いますね。

【取材・文:本間夕子】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル SALU

ビデオコメント

リリース情報

COMEDY

COMEDY

2014年05月21日

TOY’S FACTORY/LEXINGTON/One Year War Music

1. 100th Monkey
2. New Balance
3. 東京ゾンビ
4. Comedy
5. BMS
6. Goodtime
7. Weekend
8. ムーンチャイルド
9. Spaceboy
10.堕天使パジャマ
11.Sphere
12.Painkiller 【Bonus Track】

このアルバムを購入

お知らせ

■マイ検索ワード

餃子 レシピ
何か面白いことを調べてたらいいなと思って検索履歴を見たら“餃子 作り方”とか“餃子 レシピ”とかあんまり面白くなかった(笑)。最近、料理にハマってるんですよ。ビールのお供に、って。


■ライブ情報

TOUR OF COMEDY~喜劇の旅~
2014/06/20(金) 札幌公演Bessie Hall
2014/06/29(日) 名古屋公演 CLUB OZON
2014/07/04(金) 福岡公演 INSA
2014/07/11(金) 大阪公演 アメリカ村 FANJ twice
2014/07/25(金) 東京公演 LIQUIDROOM

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る