“現在のKREVAのすべて”を凝縮した10周年ベストアルバム『KX』

KREVA | 2014.06.18

 KREVAがソロデビュー10周年を記念したベストアルバム『KX』(ケイテン)をリリースする。これまでの全シングル曲とリード曲を網羅するだけではなく、さらに新たな代表曲となるに違いない新曲2曲(「全速力 feat.三浦大知」、「Revolution」)を加えた2枚組、全30曲で構成されている本作。この10年、日本を代表するヒップホップアーティストとして孤高にして不動の立ち位置を築き、J-POPのフィールドでも第一線を走ってきたKREVAの音楽的な軌跡が、余すところなく本作に収められている。

EMTG:『KX』の収録曲を眺めるだけでもこの10年、KREVAさんが常に挑戦と更新を繰り返しながら音楽と向き合ってきたことがわかるし、壮観だなと。ご自身ではどうですか?
KREVA:自分でも“おおっ”と思うところはあります。でも、ここにあるほとんどの曲をずっとライブでやってるから、自分では感慨深さみたいなものはそこまでないんです。「希望の炎」や「音色」もライブではいまだに現役なので。誰に何を言われてるわけではないけど、自分がファンだったら過去の曲も常に聴きたいし、作り手としても聴かせたいと思います。
EMTG:興味深いのは、新曲の「Revolution」が音楽的にもリリックの内容的にも1stシングル「希望の炎」や2ndシングル「音色」と強く共鳴しているところで。“2014年現在のKREVAのすべて”がここに凝縮されてるなって。
KREVA:そうですね。10年という区切りって、日本では大事にされてるけど、海外のアーティストで“10周年だ、イエー!”ってやってる人ってそんなにいないよなと思って、最初はべつに10周年だからって意識することはないなあと思ってたんです。でも、今、感じてるのは10年経ってまたグルッと1周回った気がするんですよね。「希望の炎」は10908枚限定でリリースしましたけど、当時の俺は“0がもう1つ多くてもいいんじゃない?”ってスタッフに言ったんです。でも、今はあのころとは音楽市場の状況が大きく変わったのもあって、セールスの規模感も元に戻ってると思うから。それは決してネガティブな意味合いばかりじゃなくて、“ここからまた向上していく”という気持ちにもなれてるんです。
EMTG:その心持ちこそまさにKREVAイズムだと思うし、「Revolution」はまさにそういう曲で。
KREVA:はい。そういう曲だと思ってもらえたらうれしいです。最近は「希望の炎」の音をよくして鳴りもデカくしたようなタイプのトラックを数多く作っていて、この曲もその系譜です。ベスト盤の曲順的にも「希望の炎」の次にきて、DISC-2のラストを飾るにふさわしいものになったと思います。
EMTG:10周年のベストということで、いろんな取材で“ターニングポイントはどこでしたか?”みたいな質問をたくさん受けてると思うんですけど、KREVAさんの場合は自分自身で常にターニングポイントにしてきたと思うんですよね。
KREVA:それは自分でもそう思ってます。「あえて言えば作品的には『OASYS』かな」って答えたりもするんですけど、その前後の作品がターニングポイントじゃなかったのかといったらそんなこともないし。ただ歌詞の内容はだいぶ変わったなと思います。10年前はまだクラブにいたので。クラブが自分の現場だったし、すごく大事にしていたんです。どれだけメジャーになろうが、レギュラーでDJをやることはKIKC THE CAN CREWのころからこだわってやっていました。
EMTG:特に『新人クレバ』はクラブでの出来事っていう感じのリリックが多い。
KREVA:はい、リアルにそこにいたので。『よろしくお願いします』くらいまではクラブにいたし、だからこそクラブで起きた出来事やフロアを意識した曲が多かったんですよね。それがどんどん大きいステージに立つようになって、向こう側にいる俺を応援してくれる人たちに届くことを意識した歌詞を書くようになっていって。『OASYS』のころから自分の哲学を語るようになりました。あのときに曲作り対する覚悟が決まったという気がします。
EMTG:サウンド面ではMPC(サンプラー)からシンセサイザーへ移行したのも大きいですよね。そういう意味でも『OASYS』は大きい。
KREVA:そうですね。サンプリングに固執している時代ではないと思ってトラック作りのメインとなる機材をMPCからシンセサイザーに移行して。そこからより音楽的に曲を作れるようになったなと思います。
EMTG:それにしても止まらずに走り続けてきましたね。
KREVA:毎回、自分的に熱くなれるものを探してきたんだと思います。たとえば『愛・自分博』がチャートで1位を獲ったからといって、同じようなスタイルを続けなかったですし。自分がホントに盛り上がってるアプローチやスタイルでみんなと盛り上がりたいですから。そういうものをずっと追い求めてきた10年なのかなって思います。これからもそうだと思います。
EMTG:もう1つの新曲「全速力 feat.三浦大知」は止まらずに走り続けてきたKREVAさんだからこそ出せる説得力に満ちたエレクトロダンスナンバーで。
KREVA:これは、今年最初に作った曲です。できた瞬間からかなり手応えがありました。これまで手を出してなかったゴリゴリの4つ打ちトラックにしてみようと思っていて。そしたら大ちゃん(三浦大知)の声が聴こえてきて、歌詞もメロディと一緒に〈全速力 全速力 全速力〉って聴こえてきたんです。そこから、そういえば最近、全速力で走ってないなと思ったんですよね。さらに、学生時代のサッカー部の試合で負けてるときも全速力で走ってたかな?とも思った。“あのときの俺はホントに全速力だったか?”って。
EMTG:KREVAさんらしい発想だと思う。
KREVA:そこで出た答えが、本能的に全速力で走るには力を蓄えることが必要だということです。つまり、この曲は止まることの大切さを歌ってるんです。
EMTG:なるほど。
KREVA:俺も確かにこの10年、絶え間なく曲を作って、活動的にも走り続けてきました。さらに今年は例年以上に派手な活動を展開しますけど、ときには一旦立ち止まるのも大事だなって今は思うんです。ここぞというときに全速力で走るためにも。

【取材・文:三宅正一】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル KREVA

リリース情報

[DVD] Coming Out!FTISLAND DVD-SET1

[DVD] Coming Out!FTISLAND DVD-SET1

発売日: 2015年12月25日

価格: ¥ 5,800(本体)+税

レーベル: TCエンタテインメント

収録曲

【SET-1:DVD仕様】
第1話?第3話(全5話)+特典映像
DISC1:第1話、第2話
DISC2:第3話+特典映像/2枚組

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リリース情報

KX[通常盤]

KX[通常盤]

2014年06月18日

ポニーキャニオン

[CD-1]
1. 全速力 feat.三浦大知
2. トランキライザー
3. BESHI
4. 王者の休日
5. Na Na Na
6. OH YEAH
7. 基準
8. KILA KILA
9. C’mon, Let’s go
10. 挑め
11. かも
12. 瞬間speechless
13. 生まれてきてありがとう feat.さかいゆう
14. I Wanna Know You
15. 成功

[CD-2]
1. ストロングスタイル
2. ビコーズ
3. くればいいのに feat.草野マサムネ from SPITZ
4. アグレッシ部
5. THE SHOW
6. Have a nice day!
7. It’s for you
8. 国民的行事
9. スタート
10. イッサイガッサイ
11. ファンキーグラマラス feat.Mummy-D
12. ひとりじゃないのよ feat.SONOMI
13. 音色
14. 希望の炎
15. Revolution

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お知らせ

■ライブ情報

10th Anniversary Year
KREVAライブハウスツアー2014「K10」

2014/06/18(水)Zepp Namba Osaka
2014/06/20(金)Zepp Fukuoka
2014/06/23(月)Zepp Nagoya
2014/06/24(火)HIROSHIMA CLUB QUATTRO
2014/06/27(金)Zepp Sapporo
2014/07/01(火)NIIGATA LOTS
2014/07/03(木)Sendai Rensa
2014/07/04(金)Sendai Rensa
2014/07/08(火)Zepp Diver City Tokyo
2014/07/09(水)Zepp Diver City Tokyo

908 FESTIVAL in OSAKA
2014/08/28(木)大阪フェスティバルホール
908 FESTIVAL 2014
2014/09/07(日)、08(月)日本武道館

ROCK IN JAPAN FES.2014
2014/08/02(土)、03(日)国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)
※KICK THE CAN CREWの出演は2日(土)となります
※KREVAの出演は3日(日)となります

MTV ZUSHI FES 14 supported by RIVIERA
2014/08/08(金)神奈川県・リビエラ逗子マリーナ特設会場

FM802 25th ANNIVERSARY 802 GO! SPECIAL MEET THE WORLD BEAT 2014
2014/08/09(土) 万博記念公園自然文化園「もみじ川芝生広場」

※詳細、その他のライブ情報は、オフィシャルサイトをご覧ください。

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