赤い公園、自由奔放な魅力とポップネスが開花した大傑作『猛烈リトミック』
赤い公園 | 2014.09.28
- EMTG:このアルバムは大きく進化しましたね。ものすごく変わったし、ものすごくポップなアルバムができたと思います。どうでしょう、出来上がった感触は?
- 佐藤:そうですね。成長もしたし、より開けていると思いますし。プロフェッショナルな一枚ができたと思います。
- EMTG:津野さんはどうですか?
- 津野:やりたいことにまた一歩近づいたアルバムになったと思います。メジャーデビューして、活動休止して、それで再開して録ったアルバムが去年出した『公園デビュー』というアルバムなんですが、それからまた一年が経って。休止して復活したということを忘れるくらい、平常運転でやってこれたんですよね。演奏だったり歌だったりにも、ちゃんと筋肉がついてきて。やりたいことを実現する力が増したんだと思います。
- EMTG:そうやって出来上がった『猛烈リトミック』というアルバム。このタイトルは、どういう由来から?
- 津野:今年に入ってからのシングルが、単に曲調というより、曲が持っているテンションがすごく高いなと思って。それこそ「猛烈」という言葉が出てきたのがそのあたりなんです。で、「リトミック」というのは、今回はより音楽的な一枚になるといいなと思って、プロデューサーを迎えて学びながらやっていこうと。そういう意味も込めて、つけました。
- EMTG:プロデューサーをいろんな人とやるというのは、最初からあったアイディア?
- 津野:今年に入ってから、シングルで亀田誠治さんと一緒にやらせていただいて。それがとても刺激的で、とても勉強になるなと思っていて。まだまだ知りたいことがたくさんあるし、勉強したいなと思っていて。誰にどの曲をお願いするというのは悩まなかったですね。自分たちでやりたい曲もあったし、この曲は亀田さん、この曲は蔦谷好位置さん、この曲は蓮沼執太さん、という感じで。
- EMTG:プロデューサーの方々と一緒にやって、それまでのやり方とどう変わりましたか?
- 佐藤:自分たちでは気付かなかった、赤い公園のいいところ、歌のいいところをすごく教えてもらったし、気付かせてもらったし。自分たちも自負しているいいところが、強まった感じですね。自分たちでは手を回せなかったところもサポートしてくださってできたし。一緒にやる相手によってこうも違うのかと思いましたね。いい意味で気持ちの方向が違っていて、でも行き着くところは同じだった。プロフェッショナルって気持ちいいんだなと思いました。
- 津野:とにかく、勉強になりました。楽しかったですし、メンバーとは違う形で音楽的なコミュニケーションをとれる相手がいる現場というのが、すごく円滑にものごとが進むんですよ。すごく気もちのよい現場だったし、学びながら実践できた状態なので、より悩まなくなったと思います。
- EMTG:アルバム曲の中でキーポイントとなったと思える曲は?
- 津野:「NOW ON AIR」ですね。「NOW ON AIR」ができたことで、アルバムが完成したように思います。アルバムを作っていく中で、ただただ、「NOW ON AIR」みたいな曲だけが足りないなと思っていて。こういう曲が1曲ないと、いいアルバムじゃなくなってしまうと思って、作った曲なんです。
- EMTG:「NOW ON AIR」はどういう象徴になった?
- 津野:これはもう、バンドとしてとか、私は好きとか、おもしろいとか、そういうことをぜんぶ超越して、とにかくいい曲をかけたらいいなと思っていて。それが一番難しいことなんですけれど、それに近づけたのではないかな、と思います。
- EMTG:佐藤さんの思い入れがある曲は?
- 佐藤:全部思い入れがあるし、選びきれないんですけど。でも「108」は本当にすごく好きな曲ですね。今回、アルバムを通してグルーヴ感が重要なポイントになってると思っていて、それがすごく気持ちいい曲だし。それと私は「108」は歌詞がすごく本当に好きですね。今まで自分がみてきた歌詞の中でも一番好きです。ああいうことを思っている人はたくさんいると思うんですけど、それを歌詞にできてしまうのがすごいなと思うし。自分がふだん奢っている部分を教えてもらったり、その上で「欲って大事やで」ということを教えてもらえる曲だなと思って。
- EMTG:「108」のあのリズムで歌うのって、相当大変だったんじゃないですか?
- 佐藤:すごい難しかったですよ。
- EMTG:なにか津野さんから、もしくはプロデューサーの蔦谷好位置さんからディレクションはあったりしました?
- 佐藤:私はすごく自分でリズム感がないなと思っているんですけど、すごくリズム感は大事にしましたね。この曲はリズム感がないと成立しない曲なので。
- 津野:蔦谷さんにダンスは教えてもらいました(笑)。ファンキーおしゃかさまダンスっていうんですけど(実際2人でやってみせる)。
- EMTG:今回は「TOKYO HARBOR」でKREVAさんをフィーチャリングに迎えたわけですけれども。一緒にやってみてどうでした?
- 佐藤:KREVAさんって、4人とも高校生の頃からずっと好きだったんです。だから、この曲ができたときも「絶対KREVAさんとやりたい!」って言っていて。だから嬉しかったですね。KREVAさんのラップが出来上がってデモをもらったときに、「うわ、めっちゃかっこいい!」って。
- EMTG:アルバムにはいろんな時期の楽曲が収められていると思うんですけれども。アルバムの中で新しめの曲はどれ?
- 津野:まず一番新しいのは1曲目の「NOW ON AIR」ですね。このアルバムを作ろうよ!となってから頑張って作った曲なので。
- 佐藤:そうでしたね。
- 津野:今年になってから作った曲は、3曲しか入ってないんです。それが「いちご」「楽しい」「NOW ON AIR」ですね。暗い曲は全部昔の曲。
- EMTG:では、逆に一番古い曲は?
- 津野:一番古いのは「私」ですね。赤い公園でオリジナルを作り始めてから3曲目に作った曲で。1曲目、2曲目は音源化していないんですけれども。
- EMTG:ということは、バンドの中でも一番古い曲の部類に入る。
- 津野:そうですね。オリジナル曲でライブできるようになってからは、ずっとやってました。
- EMTG:ということは、今回のアルバムはバンドの全部の歴史が一枚に入っていることになる。
- 佐藤:そっか、なるほど。そうですね。
- 津野:「私」を作ったのが2010年だから、4年分ですね。
- EMTG:そういういろんなピースを持つアルバムの、最後のピースとして「NOW ON AIR」がハマったということなんですね。
- 津野:まさにそうですね。「NOW ON AIR」ができたことによって、やってはいけないことは一つもないんだな、と思って。すごく肩の荷が下りた思いがしました。
赤い公園が、セカンド・フルアルバム『猛烈リトミック』をリリースした。
亀田誠治、蔦谷好位置、蓮沼執太をプロデューサーに迎え、バンド本来の自由奔放な魅力と王道のポップネスが開花した新作。フィーチャリングにはKREVAも参加、ガールズバンドとして着実な成長を果たしてきた4人の実力が様々な音楽性に結実した、まさに「猛烈」な一枚になっている。
さまざまな挑戦を経て辿り着いた充実作について、津野米咲、佐藤千明の二人に語ってもらった。
【取材・文:柴 那典】
★次週、Movie連載「藤本ひかりと歌川菜穂の成長記録」第6回を更新予定!このインタビューが、実は大変なことになっていた!? お楽しみに。
リリース情報
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発売日: 2016年02月06日
価格: ¥ 1(本体)+税
レーベル: 1
収録曲
1
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※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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