アカシック メジャーデビュー mini ALBUM 『DANGEROUSくノ一』 インタビュー

アカシック | 2015.06.02

 ギャル×文学。そんな独特な言語センスで女心を繊細に描き、視線を奪う派手なビジュアルと、耳を奪うキャッチーなメロディーで脚光を浴びているアカシック。期待渦巻くなか到着したメジャーデビューミニアルバム『DANGEROUSくノ一』には、ギャルからオールドミスまで、さまざまな女の生態をパック。あらゆるジャンルを巧緻なアレンジで飲み込むごった煮サウンドも楽しめる。今回は容姿とは裏腹のあどけない歌声が印象的なバンドの中心人物、理姫(りひ)にインタビュー。5人が影響を受けたアーティストや、彼女が紡ぎ出すちょっと不思議な言葉の秘密、さらにはビジュアルに対するこだわりまで、アカシックの魅力をさまざまな角度で探った。

EMTG:まずはメジャーデビューする今の気持ちから教えてください。
理姫:ワクワクして楽しみだー!っていう感じではなくて、私は破滅に向かっているって思ってるんですよ。
EMTG:いきなり大胆発言ですね。破滅願望でもあるんですか?(笑)
理姫:破滅願望は昔からありますね(笑)。もともと私は、このアカシックっていうバンドの集まりでできることは限られてるんじゃないかって思っていて。そのてっぺんまでの間にどんだけのものができるかなって考えてたんですよ。で、去年や一昨年だったら頑張って作品をリリースしてメジャーデビューまで辿り着くっていうのがひとつの目標だったんです。それが達成したとなると、てっぺんまでの残りが少なくなるじゃないですか。その感じしかなくて、今。
EMTG:じゃあ、焦りがあったりする?
理姫:ありますね。限られた時間の中でどれだけできるかなっていう不安のほうが大きいです。
EMTG:理姫さんがイメージしてる、てっぺんの最終目標って何なんですか?
理姫:自分の年齢もあるし、こういう歌のスタイルは今の自分だからできるところもあると思ってるんですね。音楽を一生やっていこうと思ってバンドを作ったワケでもないし。なので、お嫁さんになりたいんですよ(笑)。
EMTG:あはは。腰掛けOLならぬ、腰掛けシンガーですか?(笑)
理姫:いやいや、そういうわけじゃないんですよ。一生懸命やってるし、時間が限られてるからこそ、絶対後悔しないようにやろうと思ってるんです。一回一回フルスウィングしていきたいんですよね。
EMTG:アカシックはバラエティ豊かなサウンドが武器だと思うんです。今回の『DANGEROUSくノ一』にも、中華風ポップスからジャズ、フュージョン、ファンク、J-POPといろいろ入ってますが、もともとどんな音楽が好きな5人なんですか?
理姫:Hachiはややこしいんで置いといて(笑)。他の4人は、J-POP王道ですね、完全に。
EMTG:王道と言ってもいろいろありますが。
理姫:globeとか、あとは安室(奈美恵)ちゃんとか。バンドで作曲してる(奥脇)達也は、小室(哲也)さんのことをすごく尊敬してますね。私は、あゆ(浜崎あゆみ)が超好きで、中学校の頃は真似てショートカットにしてたんです。あとaikoもすごい好き。
EMTG:それだけで、あのアカシックの洋楽風サウンドが生まれます?
理姫:たぶん、J-POPは素晴らしいけど、ビートルズとかローリング・ストーンズとか洋楽の王道もかっこいい、俺にだってできないわけがない!みたいなストレスが達也の中にあるんですよ。曲を作るときもそうだし、アレンジは基本的にメンバー全員でやるんですけど、「俺たちだってこういう演奏ができるんだぞ」みたいなエネルギーでこういうバランスになってるんですよね。
EMTG:さっき脇に置かれたHachiさんのルーツは?
理姫:Hachiはモロ洋楽ですね。(エリック・)クラプトンとかレッド・ツェッペリンとかエアロスミスとか。日本の音楽をほとんど通ってないんですよね。
EMTG:どれも鍵盤担当がいないバンドじゃないですか!(笑)
理姫:あはは! それでピアノなんです。彼女は横浜の山手とか本牧辺りの飲み屋さんで、音楽好きなおじさまたちにひとり混じってステージバンドとかやってた子なんで、そっちなんですよ、趣味が。だからもう何でも弾ける。
EMTG:今回のアルバムはすべて女性が主人公の曲ですが、そこからタイトルをつけたんですか?
理姫:そうです。曲が全部女の事過ぎて。で、女はみんな危険だよなと思って、DANGEROUSってそのまま入れたんです。なので、DANGEROUSっていうのは女性一般を指してるんです、私の中では。
EMTG:歌詞にはギャルもいるし、乙女もいるし、オールドミスもいますが、それって理姫さんの中にいろんな女がいるっていうことの表れなんですか?
理姫:自分の中にいろんな女がいるっていうより、私の周りに現れたことのあるいろんな女っていう感じなんです。アカシックの前身バンドが解散したあと、音楽活動をまったくせずに2年間ずっと遊び続けてたんですね。横浜の関内の飲み屋さんでバイトもしたりして。そういう繁華街で遊んでるときに、いろんな人を見ていて思ったこと……歌詞に書いてることは大体が事実で、そこにちょっとキャラクターを乗せたり、自分の感情を重ねて書いてるんです。
EMTG:リード曲の「CGギャル」はどんなふうに作ったんですか?
理姫:アルバム制作を進めていくなかで、良い曲だなっていうのもあったんですけど、達也が自分の好きなように曲を書いて上げてきても、「こんな曲は今、要らないから」って結構言ってて。で、いちばん最後に「お願いだから、こういうイントロで始まって、こういう風に終わる曲を作ってくれ」って言ってできたのが「CGギャル」なんです。彼は死にそうになったとか言ってましたけど、この曲が出てきたときにやっと、アルバム一枚できたなって手応えがあって。
EMTG:理姫さんが達也さんに求めていたものとは?
理姫:きっとお茶の間向けの曲を作る方が向いてるメンバーなんですけど、イマドキのバンドシーンを好むフェスで盛り上がってる10代?20代前半の子たちが「これは盛り上がる!」って思ってくれるような曲を持ってこないことには、アカシックっていうバンドがハネることはないと思っていて。わかりやすくてスピーディーで、イントロの最初の音だけで「かっこいい!」って刺さる曲がないとダメだと思ったんです。
EMTG:けど、「女」もメロがキャッチーでフェス受けしそうだと思いましたよ。曲タイトルから想像するに、アルバムのタイトル曲という感じもあるんですか?
理姫:裏タイトル曲っぽい感じはあります。裏ボス的な。Aメロ、Bメロ、サビ、間奏と各パートの雰囲気がコロコロ変わるので、そこが女の人の移り気な面にも繋がるって作曲者は言ってました。
EMTG:あと、「香港ママ」もライブアレンジがいろいろできそうだなって。
理姫:「香港ママ」は今度のワンマンで初めてやろうと思ってます。これはライブの定番にしたいし、演出とかいろいろ考えることができる曲だなって思ってるんですよ。コスプレが似合いそうな曲っていう(笑)。
EMTG:ワンマンでの理姫さんのチャイナドレス、期待してます(笑)。あと、「溺愛」もスローテンポだけどシンガロング曲になりそうだなと思ったんですよね。
理姫:まさに。「溺愛」は今ライブでやり始めてるんですけど、すごい良い反応が返ってきますね。
EMTG:ところで、理姫さんの言語センスってすごくユニークですよね。前作には、ギャル語っぽい《プリチー》という言葉も出てくれば、《鶺鴒》なんていう、よくこんな難しい漢字を知ってるなぁという単語も出てくる。
理姫:うれしいです。そこ、気づいてくれるの、すごくうれしいんですよ。
EMTG:あと、オリジナルで言葉も作っちゃいますよね。たとえば今回の「さめざめ」の歌い出しの「腐乱事」とか。
理姫:こんな日本語なくない?って言われても、発売していいんだったらそのまま行きますっていう。そこはわざとというか、こだわりですね。
EMTG:その独特の言葉使いって、どこから来てるんですか?
理姫:昔から言葉が好きなんです。国語の授業とか、本を読むのも好きだったし。映画もアカデミー賞受賞作というよりは、レンタル屋さんの下の棚に置いてあるような作品が好きで一時期すごく見ていて。言葉はそういう影響をすごく受けてるんですよね。文学も好きだし、あと、辞書が好きで。高校生の頃、授業中ヒマなんて、パッと開いて知らない言葉があったら読んだりしてたんです。
EMTG:あと、アカシックはビジュアル意識も相当高いですよね。今回のジャケットも強烈だし。
理姫:ビジュアル面は私もわりと意見するんですけど、今回は私が口紅好きっていうのもあるし、女の武器=口紅をどーんと持ってこようと。あと、手に持ってるのはスマホじゃなくてガラケーなんです。アカシックっていうバンド自体がちょっとガラパゴスちっくっていうか、都市型のセンスではないと思っていて。ちょっとよくわからない星で、見た目もバラバラな5人がナゾの進化を遂げまくって、やっと東京に行くぞ、みたいな感じをメジャーデビューに重ねて、こういうジャケットにしたんですよ。
EMTG:すごくいなたいんですよね。でも、それがすごく味になってて。
理姫:いなたさね。大事です、そこは。なんかイマドキ過ぎないっていう。
EMTG:イマドキじゃないですよね、このファッションセンスは。金髪で赤リップだけど全然テイラー・スウィフトじゃないっていう(笑)。
理姫:あはは。でも、これをイマドキって思ってる勘違いっぷりというか。アカシックのそこら辺のセンスを出したかったんですよ。だけど、なんか楽しそうっていう。そこもアカシックのこだわりなんですよね。

【取材・文:猪又 孝(DO THE MONKEY)】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル アカシック

リリース情報

super boy ! super girl !!

super boy ! super girl !!

発売日: 2018年01月24日

価格: ¥ 1,852(本体)+税

レーベル: Epic Record Japan

収録曲

1. GLORY
2. ネバーランド
3. 恋の呪い
4. 遠距離恋愛
5. ハートビート
6. I 御中~文房具屋さんにあった試し書きだけで歌をつくってみました。

関連記事

リリース情報

DANGEROUS くノ一

DANGEROUS くノ一

2015年06月03日

ワーナーミュージックジャパン

1.CGギャル
2.サイノロジック
3.香港ママ
4.溺愛
5.ベイビーミソカツ
6.真夜中のクローンラベル
7.女
8.オールドミス
9.さめざめ

このアルバムを購入

お知らせ

■マイ検索ワード

脱色剤 色が抜けない
こないだ眉毛を染めようと思ったときに、なかなか色が抜けなくて。チューブタイプで小分けにできるヤツなんですけど、時間が経つに連れてなんか抜けなくなってきて。で、同じ気持ちの人はいるのか、対処法はあるのかと思って調べたんです。そしたら箱にはAとBを1対1で配合と書いてあるんだけど、どっちかをちょっとだけ多くするのがコツらしいんです。あと、置き時間とか室温とかも細かく書いてあって。たぶん私はピピッと適当にやっちゃったみたい(笑)。なので、今度はそのレシピでやってみなきゃと思ってます。


■ライブ情報

『DANGEROUS くノ一』ツアー
[東京公演(単独ワンマン)]
2015/07/12(日)渋谷CLUB QUATTRO

[大阪公演(対バン形式)]
2015/07/17(金)大阪府 MUSIC CLUB JANUS
出演:アカシック、フィッシュライフ、LILI LIMIT

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る