約1年半ぶりのアルバム「D’AZUR」をリリースする藍井エイルのスペシャルインタビュー
藍井エイル | 2015.06.25
- EMTG:通算3枚目のアルバムは、どんな作品にしたいと考えてました?
- 藍井:この1年半で海外公演をはじめ、たくさんのステージを経験させていただいたので、まず、ライブでより輝く楽曲を入れたいなと思いましたね。また、いままで自分が触れてこなかったジャンルに触れてみたいと思いましたし、いままでの私らしい表情を感じつつも、なおかつ、新しい表情も感じられる、繰り返し何度も聴いて楽しめるアルバムを作りたいと思ってました。
- EMTG:いま、藍井さんからあげてもらった3つのキーワード、<ライブで映える曲><新しいジャンルに挑戦した曲><これまでの藍井エイルらしさを発展させた曲>を象徴しているアルバム曲を中心にお話を進めたいと思います。まず、<ライブで映える曲>というと?
- 藍井:超先行配信した『Bright Future』ですね。まさに、ライブでみんなで一緒に歌えるようなアンセムソングを作って欲しいってお願いして書いてもらった曲で。歌詞もライブの会場を想像しながら、みんなで呼応しあうイメージで描いてて。比喩もあまり入れずに、できるだけ直接的な表現をしてるんですね。私たちは幸せに出会うために生まれてきたんだし、人は生まれた瞬間から輝くものを持ってる。だから、私たちはみんな、輝けるんだぜ!っていうことを伝えたかったんですね。
- EMTG:先のツアーでもすでに歌ったそうですね。
- 藍井:そうなんですよ。レコーディングではバンドメンバーに初めてコーラスを入れてもらった部分をみんなで一緒に練習してから歌ってて。みんなで歌って初めて完成するというイメージの曲になってますね。
- EMTG:続く「JUMP!!!」もライブ映えする曲ですか? 観客がジャンプしながらタオルをぐるぐる回してる絵が見えるんですが。
- 藍井:歌詞の<123!>に合わせて飛ぶっていうノリやすさは意識したんですけど、さわやかな夏をイメージして書いた曲で。とびっきり明るい曲なので、歌詞もとびっきり明るくしようと思ったんですね。私はいままで、マイナス要素のワードを一箇所も入れずに完成させた歌詞がなくて。だから、マイナスワードを一切使わないという縛りを決めて作った、私にとっては、“挑戦“という意味の曲になってますね。
- EMTG:孤独や悲しみ、傷といった言葉を全く使ってないですよね。
- 藍井:一切ないです。自分自身のなかに、<キラリ>なんてワードがあったことに驚きました(笑)。<羽が生えて>という発想があったことも発見だったし、新しい自分に出会えた曲だなって思いますね。
- EMTG:作詞曲も増えましたよね。本作では13曲中9曲で作詞を手がけてます。
- 藍井:楽曲ってプレゼントみたいなものなのかなって思ってて。プレゼントを考えるときって、どうしたら喜んでくれるかな?って考えるじゃないですか。楽曲もまさに同じで。聞き手の方に応援してくれるお返しのようにプレゼントする曲であれば、自分がその楽曲の世界観にもっと入っていきたいなと思ったし、アルバム用の曲に関してはより積極的に、感謝の気持ちを込めてやっていきたいなって思ったんですね。
- EMTG:作詞という面では、なにか新たな発見はありました?
- 藍井:9曲目の『幻影』は共作なんですけど、私が先に歌詞を書かせてもらったんですね。いつもはだいたい連想ゲームのような形で書き進めるんですけど、この曲は自分で短編小説を書いてみて。
- EMTG:アニメやゲームの主題歌を作るような感覚ですか?
- 藍井:すごく似てると思います。ただ、その原作を自分で作っちゃえっていう発想からはじめたのが、『幻影』で。心のなかに黒い部屋と白い部屋があって、マジックミラーで仕切られてるんですね。白い部屋からは黒い部屋が見えるけど、黒い部屋からはダークで暗い気持ちになりすぎていて、白い部屋が見えない。白い部屋の人が『これ以上、自分の弱さを責めないで!』って一生懸命に訴えかけているけれども、その叫びは届かないっていう物語を作ったあとに書いた歌詞になってて。自分に合ってる書き方だなと思ったし、すごく楽しかったですね。
- EMTG:その原作はいつか公開しないんですか?
- 藍井:恥ずかしいから公開しないです(笑)。ただ、物語を考えるのは好きなので、いつか絵本がかけたらいいなと思ってますね。
- EMTG:原作の短編やそれを元にした映像もみてみたいですね。では、話を戻しまして、2つめのキーワードである“新しいジャンル“に挑戦した曲は?
- 藍井:6曲目の『Quit』ですね。ものすごくテクノの感じで、思い切りデジタルに寄った、なおかつメロディの譜割りが大きめの曲を書いてもらえませんか?ってお願いして書き下ろしてもらった曲で。バンドサウンドとデジタルが融合した曲はこれまでにもあったけど、ここまでデジタルなものはなかったので、ぜひやってみたいって思ってたんですね。歌詞は、言葉を羅列するイメージで、不思議な浮遊感が出たらいいなと思って。いままでに書いたことのない歌詞になったし、デジタルと合うんだなっていう新しい発見もできた曲になってますね。
- EMTG:シングル曲ですが、「ラピスラズリ」もジャンルの幅を広げる要因の1つになってますよね。
- 藍井:そうですね。メロディは懐かしい歌謡曲っぽい感じで、アレンジがラテン調になってて。それまではいわゆるタテ乗りの曲が多かったけど、『ラピスラズリ』は自然と横揺れになる。体の感じ方が違うくらい新しいジャンルに挑戦したなっていう感覚があります。『Quit』と『ラピスラズリ』が180度の分度器の両極にいるのかなっていうくらい、楽曲の振り幅はあるんですけど、枝分かれした先にあるものっていうイメージで。藍井エイルらしさ、私という幹がしっかりしたなかで、枝分かれした楽曲がいっぱい広がっているアルバムになったのかなって思ってますね。
- EMTG:楽曲のジャンルだけではなく、声質や歌い方も枝分かれしてるなと感じました。それが、3つ目のキーワードである“新しい表情“かと思います。
- 藍井:ありがとうございます。楽曲によって歌い方を変えることを意識して作ってました。例えば『Bright Future』のようにバンドサウンドであれば、ストレートに直接的だし、『Quit』は無表情に歌ってるし、『ずっとそばで』は優しさや母性を全面に出してる。いちばん最後のピアノバラード『青の世界』では、自分が太い筒になったかのように、体全体で思いっきり歌ったりしてますね。
- EMTG:「青の世界」は本作のタイトル曲でもありますよね。
- 藍井:そうですね。『ダジュール』は『青の~』という意味合いがあって、『青の世界』は私たちみんなで作り上げる世界をテーマにして書いたんですね。生きている上で、いろんな壁にぶつかって、しんどいなって思うこともあるかもしれない。そんなときに、この『ダジュール』が誰かの居場所になれたらいいなと思うし、みんなで作り上げた『青の世界』に、いつだって帰ってきていいからねっていうメッセージを込めてて。このアルバムを聴いてくれる人にとって、藍井エイルが心の支えになれたら嬉しいし、みんなの居場所になれたらいいなと思ってますね。
- EMTG:アルバムリリース後は、まず、7月から海外ツアーが控えてます。
- 藍井:新たにお邪魔する国が増えているので、すごくワクワクしてますね。海外の方とはフェイスブックでつながってるんですけど、やっぱり行ってみないとわからないことがいっぱいあって。実際にお会いするとパワーももらえるし、日本ってこんなに愛されてるんだなって感じることもできる。とにかくテンションがあがるので、思いき入り楽しんでライブをやりたいなと思ってます。
- EMTG:そして、11月には初となる武道館でのワンマンライブが決定してます。
- 藍井:武道館のステージに立つことが夢だったんですけど、イベントで3回ほど武道館のステージに立たせてもらって。そのあとは、武道館のステージにワンマンで立つことが夢になった。その夢が叶うので、きっと自分では想像もつかないようないろんな感情が湧き上がってくるんだろうなって思いますね。自分が生きているなかで、絶対に特別な瞬間になると思うので、私らしさを全力で出すライブにしていけたらなって思いますね。ただ、特別な瞬間ではあることは間違いないけど、ゴールではないなって思ってて。ここを超えて、もっともっと、応援してくれてる人たちと新しい景色を見たいし、いつか47都道府県ツアーをやりたいなって思ってますね。
今年の5月に初出演した「ミュージックステーション」でのパフォーマンスが大きな注目を集めた藍井エイルが、前作から1年5か月ぶりとなる3枚目のアルバム『D’AZUR』をリリースした。アニメ主題歌として制作された「IGINITE」「GENESIS」「ラピスラズリ」やゲーム主題歌「シンシアの光」などのヒットシングルを収録した本作は、いわば“挑戦“によってもたらされた“成長 “の1枚だ。ここで、1本の樹を想像してみてほしい。1stアルバム『BLAU』には、暗闇から光に向かって芽を出した瞬間が捉えられていた。続く、2ndアルバム『AUBE』では、その力強い歌声でぐんぐんと幹を伸ばし、最新作ではついに枝分かれするまでに成長している。ジャンルの幅を広げ、楽曲によって声質や歌い方のバリエーションも増した彼女の“挑戦“に焦点をあてて話を聞いた。
【取材・文:永堀アツオ】
藍井エイル 3rdアルバム「D’AZUR」TV SPOT 30s
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■ライブ情報
藍井エイルワンマンライブ@日本武道館
2015/11/02(月)日本武道館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
藍井エイルワンマンライブ@日本武道館
2015/11/02(月)日本武道館
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