降谷建志、一夜限りのバンドとオーディエンスの交歓を、メランコリックに歌い上げる
降谷建志 | 2015.12.21
- EMTG: 「Prom Night」は、(フジテレビ系土ドラ)『トランジットガールズ』にすごく合ってる歌だと思った。
- 降谷:いやいや、曲のテーマとドラマは直接は関係ないよ。前から言っているとおり、俺は日常の出来事からしか歌詞は書かない。今年の夏、長野県の茅野で小さなフェスにDragon Ashとして出演し て、そのアフターパーティーが松本のライブハウスであった。KenKenがDJをやったりして、みんなで楽しくやってたんだけど、そこに茅野のフェスを見に来てた子たちが来 ていて。俺、SNSやらないし、俺らのライブを観に来てくれる奴らと、あんまり接点がない。いい機会だから彼らと話をしようと思ったんだよね。結局、朝まで呑んだ・・いや、昼まで呑んだ(笑)。お互いの膝を突き合わせて、エモい話も、取るに足らない話もした。「最近、何でこの曲をライブでやんないの?」とか言う奴もいたり(笑)。彼らはとにかく音楽がないと生きて行けない。俺より音楽に依存してる。プロのミュージシャンだって、そこまでの奴はなかなかいないよ。一晩中いろんな話をして、すごくロマンティックな体験だった。それを忘れないために、曲にするべきだなと思って。彼らの愛に報いるためにもね。
- EMTG: それで「Prom Night」は、バンドがオーディエンスに語りかける歌になったんだ。
- 降谷:“プロム”って、ハイスクールを卒業するときに開かれるダンスパーティで、その日を楽しみに何カ月も前から準備をする。プロムの日は 非日常。みんな着飾って、一夜だけ華やぐ。松本で彼らと話していたら、彼らにとってDragon Ashのライブはプロムと一緒なんだよね。何カ月も前から楽しみにして働いて、ライブと都合が合わなければ、仕事を変 えてでも観にやってくる。俺らのライブの場合は、ドレスの代わりにバンドのTシャ ツだったりするんだけど。俺は現場(ライブ)が好きだから、Dragon Ashで自分たちと客のことをさんざん歌って来てる。Dragon Ashの場合はそれをアグレッシヴなアプローチで書いてるから、ソロの俺はメランコリックな形として「Prom Night」を作ろうと思ったんだよね。アフターパーティの後、すぐに作った。
- EMTG: 印象的な夜だったんだね。あ、昼か(笑)。
- 降谷:(笑)。その頃にドラマの話をもらった。「Prom Night」っていうタイトルとトラックは出来てたから、「ストックはあるよ。これでよかったら、詞とメロディを付けるけど」って言ったらオーケーが出て。
- EMTG: そこから書いたんだ。
- 降谷:そう。『トランジットガールズ』って特殊なシチュエーションのドラマだよね。出てくる人たちは、ウソをついて生きていても楽しくないって思ってる。「Prom Night」は、自分の気持ちに正直になれる歌だから、登場人物たちはこの歌で励まされると思う。同時に「Prom Night」は、ファンの子たちと俺の歌なんだけど、このタイミングで、しかもシングルとして出せることに感謝しなきゃね。
- EMTG: ドラマのお陰だあ(笑)。 ドラマがなければ、アルバムのタイミングまで待つことになる。
- 降谷:そうだね。もう一個、ドラマに感謝したいのは、「Prom Night」の他にも、俺のソロアルバムの曲をドラマの中でたくさん流してくれていて。俺はあまりテレビに出ないから、俺の音楽を聴いたことのない人の耳 にも触れる。光栄だよ。
- EMTG: そうだね。
- 降谷:「Prom Night」は俺の日常から始まってる歌だから、ツイッターで書けば済むんだろうけど。だからこの歌は長めのツイートだよ。
- EMTG: いやいや、歌とツイートは違う。伝わり方も残り方も違う。
- 降谷:確かにそうだね。
- EMTG: それと関係あるのかはわからないけど、「Prom Night」にはすごく季節感がある。クリスマスっぽいというか。
- 降谷:そうなんだよ。作ってて、俺も知らないうちにみるみるウィンター感が出てきた。Dragon Ashにはないウィンター感が(笑)。
- EMTG: 知らないうちにって(笑)。イントロからしてウィンター感丸出し。あれはどんな楽器を使ってるの?
- 降谷:ピアノとグロッケンシュピール。それとニルヴァーナのカート・コバーンが使ってたスモールクローンっていうエフェクターを通したギターかな。昔、『ツイン・ピークス』っていうアメリカのテレビドラマがあって、それの音楽にも使われてたギターの音。『ツイン・ピークス』っ て、誰も知らないか(苦笑)。
- EMTG: そんなことないでしょ、名作カルトドラマだよ。来年、続編がオンエアされるみたいだし。今回も楽器は全部自分で演奏してるの?
- 降谷:うん。
- EMTG: 夏にソロのバンドで楽しそうにライブやってたから、あのメンバーでレコーディングするのかと思ってた。
- 降谷:ライブはメチャよかったよ。百戦錬磨の仲良しのメンバーとやったから楽しかったし、演奏もエモーショナルだったし。いずれ、あのメンバーでレコーディングしたらカッコいいものが出来ると思う。だけどアルバムはもう一枚、ひとりで作る。俺ひとりでやる世界観はこれだって示せるところまで掘り下げたい。俺のソロは、“ソングライター&プレイヤーとしての自分”とアホほど向き合うっていうのがテーマだから。
- EMTG: セカンドアルバムまではひとりでやるんだね。
- 降谷:うん。まだ俺自身が納得してないからね。
- EMTG: カップリングは?
- 降谷:このマキシシングルを、アート作品としてコンセプチュアルに作りたかった。「Prom Night」を聴いてライブに来て、そのライブで演奏されるのが2曲目の「Unchain My Heart」。ライブから帰ったその夜は「Late Hours」 を聴きながら眠るっていうトーリーになってる。そして、また次の「Prom Night」 に来る。
- EMTG: ストーリーが巡ってるんだね。「Late Hours」の最後の歌詞は、日本語にすると「陽はまたのぼりくりかえす」になってるけど、このフレーズで終わろうと思っていたの?
- 降谷:いや。この歌詞もいつものとおり、1行目から最後まで順番どおりに書いたんだけど、最後がどうなるかは自分でもわからないで書いてる。書いていったら、最後がこうなっただけだよ。
- EMTG: ところでカップリングの2曲は「Prom Night」の後に書いたの?
- 降谷:うん。1週間で2曲書いてレコーディングした。ただね、「Prom Night」 を作った前後は忙しくて、イライラしてた。で、ライブのリハーサルでDragon Ashのメンバーに2週間ぶりで会って、KenKenと話したら、「人生初の不眠症になった」っていう。KenKenは98%、人を喜ばせるために音楽をやってる奴なのに、その本人が苦悩の中にいるなんて悲し過ぎる。だから話した後、すぐに「Late Hours」を書いた。間もなく、新潟でDragon Ashのライブをやったら、すごくよくて、その後にすんなり「Unchain My Heart」が出来た。ライブをやってないからイライラしてたんだよね。俺も相当ライブに依存してるってこと(笑)。
- EMTG: 凄い勢いで、曲が出来まくってるね。
- 降谷:今、どんどん曲が出てくる。腕にフラッシュメモリーが欲しいぐらい。
- EMTG: サイボーグじゃん(笑)。
- 降谷:自分で全部演奏するから、不得意な楽器もある。だから仕上げるのに時間がかかる。今は自分の仕上げる能力を、ソングライティングが完全に上回ってるね。
- EMTG: あははは、頼もしい!
- 降谷:ソロでライブも経験したから、ライブを想定してライブユースの曲も出来てる。「Unchain My Heart」は、そういう曲だね。
- EMTG: Dragon Ashとソロのライブの違いは?
- 降谷:わかりやすく言うと、ソロのライブはダイヴがない。
- EMTG: それは嬉しい? 淋しい?
- 降谷:どっちでもない。方法論もへったくれもなしに、対バンがいたら勝ち続けるのがDragon Ash。それはやりがいがあるよ。でも、そうじゃないスタイルのライブがあってもいい。それがソロだと思う。
- EMTG: ソロの方は、たとえて言うとどんな感じ?
- 降谷:『バガボンド』っていう漫画、知ってる?
- EMTG: 知ってる。井上雄彦が描いてる宮本武蔵が主人公の漫画だ。天下無双を目指す武蔵が、いろんな剣客と渡り合う。
- 降谷:そう。それに鎖鎌(くさりがま)っていう武器を使う宍戸梅軒が出て来るんだけど、彼が負けたときに「これで殺し合いの螺旋から降りられる」って武蔵に言う。そんな感じ。
- EMTG:・・・ どんな感じだあ(笑)。
- 降谷:別にダイヴが殺し合いではないけれど、対バンに対してはいつも勝負をしてるつもりでいる。でもソロはそれとは違うんだよね。
- EMTG: なるほど。最後に、アルバムに向けての作業は順調ですか?
- 降谷:もちろん。身体の中にフラッシュメモリーが欲しいほどね。
- EMTG: ありがとうございました。
アルバム『Everything Becomes The Music』でソロのキャリアを本格的にスタートさせた降谷建志が、夏のフェス出演を経て次のステップに踏み出した。3曲入りマキシシングル「Prom Night」は、ソロとしての降谷の意志と魅力を堂々と打ち出す香り高い傑作だ。
パワフルでアグレッシブなDragon Ashに対して、あくまでソロはセンシティブ。埋もれてしまいそうな日常の切なさや歓びを、てらいなく描く。タイトル曲「Prom Night」は、一夜限りのバンドとオーディエンスの交歓を、メランコリックに歌い上げる。楽器が奏でる“冬の音”が 心に響く。カップリングの「Unchain My Heart」は、オルガンが印 象的なロック、「Late Hours」は包み込むような優しさで安らぎへと誘う。
このマキシシングルを聴く限り、ソロ降谷の音楽性の確立は近い。
【取材・文:平山雄一】
『Prom Night 』 Music Video YouTube Size
リリース情報
People
発売日: 2020年04月08日
価格: ¥ 1,800(本体)+税
レーベル: THE NINTH APOLLO
収録曲
01.1999
02.People
03.破歌
04.自尊心欠落
05.デストロイヤー
06.kill jocks
07.西日に咲く花
08.綺麗な街
リリース情報
Prom Night(初回限定盤)[CD+DVD]
2015年12月16日
ビクターエンタテインメント
[CD]
1. Prom Night
2. Unchain My Heart
3. Late Hours
[DVD]
「Studio Live at Victor 301」by Kenji Furuya with Friends/ June 17. 2015
<初回限定盤 先着購入特典>
降谷建志 X’masグリーティングカード
(直筆メッセージを印刷したものとなりますが、30名様分は本人直筆のサインが書かれたものがランダムで配布)
■“X’masグリーティングカード”に仕掛けられているAR機能を使用し、降谷建志 オリジナル クリスマスソングを期間限定 ストリーミング配信!
クリスマスソングは未発表楽曲。プライベートスタジオ“CHAMBERS”で撮影された特別なクリスマスプレゼントです。
(映像の公開期間は2015年12月25日24時まで)
1. Prom Night
2. Unchain My Heart
3. Late Hours
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ストーン・テンプル・パイロッツ
ついこの前、ボーカルのスコット・ウェイランドが死んだっていうのを聞いて、いくつ(何才)だったんだろうって思って調べた。(注: 享年48才でした)。ヤフーニュースのトップに出てた。
“ストテン”は俺らの世代だったら、絶対に通るバンド。ストテンの後、スコットは元ガンズ のスラッシュとヴェルヴェット・リヴォルヴァーってバンドやったりしてた。“Sex,Drug,R&R” の最たる世代だよね。ちょっと早いけど、散っていったんだ。
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