amazarashi、ニューアルバム『世界収束二一一六』リリース!

amazarashi | 2016.02.22

 amazarashiが2月24日にニューアルバム『世界収束二一一六』をリリースする。今作でamazarashiが描き出すのは、いくつもの分岐の果てに訪れる、逃れようのない世界の終わりだ。なぜ、amazarashiはこんなにも壮絶なアルバムを作り上げたのか? 今回も秋田ひろむ(Vo・G)にメールインタビューを行ったが、そのなかで秋田は「ぼくは基本的に人間が好き」と答えている。だからこそ傷つくし、悲観する。その“不安や闇の正体”を描くことが今作の目的だったという。これまで以上の美しさと廃的的なムードが漂う12曲を聴き終えたとき、それでも「人間が好き」と思うのか、それとも……。喜びも悲観も全てを呑み込んで“収束”へと向かうこのアルバムが聴き手に強く問いかけてくる。

EMTG:昨年末は、YEN TOWN BANDとの対バンや「COUNTDOWN JAPAN」に初出演するなど、ワンマン以外のライブにも積極的に出演されているのが新鮮でした。そういったライブに出演したことで感じたことはありますか?
秋田:「COUNTDOWN JAPAN」などのフェスは、お客さんも雰囲気もオープンマインドで気楽にやれました。ただただ音楽に没頭して楽しむっていう時間で、amazarashiのライブではできない空気感でやれたので嬉しかったです。YEN TOWN BANDとの対バンは普段のワンマンに近い環境でやらせてもらえて、とても緊張感のあるイベントでした。ぼくが勝手に緊張してただけなんですが。でもあの雰囲気のなかで、世界観を確立されてる皆さんに混じってやれたのは貴重な体験でした。
EMTG:1月17日から全国ツアー「amazarashi 5th anniversary Live Tour 2016」が開催されていますが、いま数公演終えた段階でどのような手応えを感じていますか?
秋田:とてもいいスタートを切れていると思います。ツアーを重ねるごとにバンドの結束が強くなってるのを感じますし、「昔だったらここで崩れてたかも」という瞬間も立て直せる底力がついたと思います。お客さんの反応もダイレクトに伝わるようになってきたので、この先も楽しいツアーになりそうです。
EMTG:ニューアルバム『世界収束二一一六』は、世界の滅亡や死を思わせる楽曲が多く、最後に「収束」で締めくくられるように、終わりへ向かう世界を描いた壮絶なアルバムだと感じました。アルバムを作るにあたりコンセプトはありましたか?
秋田:分岐から収束に向かうというイメージは、アルバム作りの最後の最後で生まれたもので、最初はいい曲が溜まったからアルバムを作ろうというスタートでした。レコーディングをするなかで、日常生活での鬱屈としたものや暗いニュースなどがリンクして、こういう結末のアルバムになりました。ちょっと人間が嫌いになってました。
EMTG:退廃的な曲が多いなか、とても美しい音像が印象的な作品でした。今作で音楽的に新たにチャレンジしたことはありましたか?
秋田:アレンジャーの出羽(良彰)くんのアレンジは繊細かつ尖っててかっこいいんですが、ベタな部分も出していこうという相談はしました。鮮麗されたサウンドと僕の泥臭い言葉の部分をどう擦り合わせるかがamazarashiの大事な部分だと思うので、そこは今回すごく意識しました。あと新しいチャレンジというと、「しらふ」というポエトリーリーディング曲では、最初にしゃべりを録ってから音を付け足すという行程で作りました。言葉の勢いを前面に打ち出したかったからです。
EMTG:前作『夕日信仰ヒガシズム』から1年半ぶりのリリースですが、間にはamazarashiとしては初のシングルリリースがありました(『季節は次々死んでいく』『スピードと摩擦』)。それらがアルバム制作に与えた影響はありましたか?
秋田:シングルの2曲はどちらともアッパーで疾走感のある曲だったので、あとはじっくり聴き込めるタイプの楽曲を作ろうと集中できたので、やりやすさはありました。曲順もテーマに沿った場所に配置できたのでハマって良かったです。
EMTG:『夕日信仰ヒガシズム』は、夜明けへと向かうアルバムでもあり、インタビューでは秋田さん自身も「悲観的なものはなくそうという意識はありました」という発言がありました。今作にいたる過程でその意識に変化はありましたか?
秋田:これまで僕が持ってた悲観的なものは、自意識の問題でした。自己嫌悪とかそういうものです。なので、そういうことはたくさん歌ってきたし、「もういいかな」と思いながら作ったのが、前作の『夕日信仰ヒガシズム』でした。今回の『世界収束二一一六』にある悲観的なものは、より外面に向けたもので、自分の外に対する失望や怒りが大きいと思います。
EMTG:「タクシードライバー」のように、社会への絶望や怒りを抱いてる曲がある一方、「ライフイズビューティフル」では、人間という存在に強い希望を持っているようにも感じました。秋田さんが今作で描きたかったのは、人間への絶望ですか? 希望ですか?
秋田:ぼくは基本的に人間が好きで、人生に期待しているからこそ、裏切られたときのダメージはデカいんだと思います。だから、「ライフイズビューティフル」というのも本心で、人生は美しいと思うんですが、世界には美しくないものも多い。だから、その最悪を意識しながら生きていかないと駄目だという思いがあります。ぼくらが普段感じる不安や、闇の正体をまず描くことが、今回の目的だったと思います。
EMTG:「ライフイズビューティフル」は、古い友人との会話の体裁をとりながら、《歌う場所はどこでもいいぜ 歌う歌がわいの歌なら》と歌っています。秋田さんの音楽への姿勢、人生観も描かれている曲だと感じました。どういう想いで書いたのですか?
秋田:これは自分の人生の歌です。これまでも人生の歌は何曲か作っていて、「光、再考」(『0.6』収録)、「美しき思い出」(『千年幸福論』収録)、「終わりで始まり」(『あんたへ』収録)とかなんですけど、この瞬間の自分のまとめみたいな、清算みたいな気持ちで作りました。こういうタイプの曲は年に何曲もできるものじゃないので、思い入れの強い曲です。
EMTG:「多数決」では、《賛成か 反対か》というサビの問いかけが印象的です。秋田さんがこの作品で問題提起したかったのものは何ですか?
秋田:多様性について、もっと寛容になってほしいなと思って作った曲です。個人として好き嫌いはあるでしょうけど、良いか悪いかなんて多数決でしかなくて、そう考えると、あらゆることが多数決で決まってて息苦しいなと思うことが多いです。そういうものに意義を唱えたかったです。
EMTG:「吐きそうだ」という曲では、《生きる意味とは何だ》という自問自答に、《寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか》と歌っています。秋田さんが考える、生きる意味とは?
秋田:これは二日酔いのときに作った曲です。混乱しててとりとめのない歌なんですが、今の自分自身をよく表しているので、そのままでいいかと思って完成させました。僕の生きる意味はどちらかというと《酔いどれの千夜一夜》です。
EMTG:「エンディングテーマ」では、死にゆく人の心を圧倒的な喪失感で描いた素晴しい曲だと思いました。“死”に向き合うという作業は、どういう気持ちでしたか?
秋田:失うことで必死になれる力を獲得できるなら、一番「願う力」が強いのは死を目前にしたときかもしれないと思って作った曲です。こういう曲は作ってて気持ちのいいものではないんですけど、自分の内面を探る思考実験というか、こういうところから自分の本心が見えることがあるので作っています。結果的にいい歌になったので良かったです。
EMTG:ラストナンバーの「収束」は、目の前に荒廃した地球を見るような歌詞に惹きこまれました。終わりを描くときに「収束」という言葉を使ったのはなぜですか?
秋田:バラバラになった幾つもの可能性が、一カ所に集まって収まる、という意味合いで「収束」にしました。この曲で描いてるような風景はいずれ必ず訪れると思うので、「どう足掻いてもこうなるよ」っていう世界の収束した姿です。
EMTG:最後に『世界収束二一一六』は秋田さんにとってどのような作品になりましたか?
秋田:自分にとっては聴いててしんどいアルバムになりました。これがリスナーにはどう受け入れられるのか分かりませんが、そういうところとは無縁の、自分本位で作れたので満足してます。

【質問作成&文:秦理絵】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル amazarashi

リリース情報

LOVE/LIKE/HATE

LOVE/LIKE/HATE

発売日: 2020年11月04日

価格: ¥ 2,300(本体)+税

レーベル: SPACE SHOWER MUSIC

収録曲

01.踊らせないで
02.片っぽ
03.Into your dream
04.Night D
05.FAKE LOVE/
06.夢の続き
07.2025
08.SPOTLIGHT - Kan Inoue (WONK) Remix -
09.with U

リリース情報

世界収束二一一六(初回生産限定盤A)[CD+DVD]

世界収束二一一六(初回生産限定盤A)[CD+DVD]

2016年02月24日

SMAR

[CD]
1. タクシードライバー
2. 多数決
3. 季節は次々死んでいく
4. 分岐
5. 百年経ったら
6. ライフイズビューティフル
7. 吐きそうだ
8. しらふ
9. スピードと摩擦
10. エンディングテーマ
11. 花は誰かの死体に咲く
12. 収束

[DVD]
[amazarashi 5th anniversary live 3D edition 2015.08.16]
1. 後期衝動
2. 季節は次々死んでいく
3. ヒガシズム
4. 冷凍睡眠
5. スターライト

[MV]
多数決

※オリジナル小説「花は誰かの死体に咲く」、詩集本 封入

お知らせ

■ライブ情報

amazarashi 5th anniversary Live Tour 2016 「世界分岐二〇一六」
2016/02/27(土) 東京 Zepp Tokyo
2016/02/28(日)東京 Zepp Tokyo (追加公演)
2016/03/06(日)東京 中野サンプラザ

amazarashi LIVE 360°
2016/10/15(土)幕張メッセ イベントホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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