BRAHMAN TOSHI-LOW、20年の歴史が刻まれた「尽未来祭」と新曲「天馬空を行く」語る

BRAHMAN | 2016.03.16

 BRAHMANが結成20周年を祝して、2015年11月14,15日に幕張メッセ国際展示場9~11ホールで行った「尽未来際 ~尽未来祭~」。同年8月に出した2枚組ベスト盤『尽未来際』に収録された通りの曲順で、同時代を共に生きてきた9バンドが共演した1日目は前半10年に発表した曲を、2日目は近年交流を結んでいる10バンドに続いて最新作『超克』を軸に曲を演奏した。その2日間のBRAHMANを捉えた『尽未来際』は、そこには映っていないバンド達との歴史や関わりをも伝える、深く熱くリアルな映像作品だ。この2日間のこと、またこの作品にMusic Videoが収録される新曲「天馬空を行く」について、TOSHI-LOWは穏やかに語ってくれた。

EMTG:『尽未来際』、素晴らしく見応えがあります。
TOSHI-LOW:そうですか。俺は『尽未来際』のこととか、なんかもう、すごい3年ぐらい前の感覚というか。
EMTG:それは大きなイベントを成し遂げたという達成感からですか?
TOSHI-LOW:成し遂げた感があればいいんですけど、何とか乗り切ったという感じ。初日なんかは10年会ってない友達とか、いっぱい来るわけです。それがみんな話しかけてくるわけですよ。疲れる疲れる(笑)。もちろん、その人の多さ見て嬉しい部分ももちろんありましたけど。
EMTG:ステージのみなさんもお客さんも、あの場に行くことに何かを見出してたんだと思います。ステージから見える景色がすごいですね。
TOSHI-LOW:いつも、大きいフェスなんか出してもらうときは、後ろまで届いてる気が全然しないし(笑)。散漫な感じになる時もあるんですけど。後ろの壁んところまで、ライヴハウスだなと思えて歌えたので。それは見てくれる人も集中して、グッてきてる感じがあった。お祝いされてるんだなって感覚もあったし。神輿に乗せてもらってよかったなという部分もあります。20年、真っ直ぐここにきたわけじゃないから、そういうところも見えればよかったし。それは対バンとか見てもわかると思うし、見に来た人がいろんなストーリーを持ってると思う。ただ20周年やってわかったのは、他の人の20年もすごい大事になった。それまでは、自分もたまたまやってきただけだから、みたいな。けど、あそこでお祝いしてもらったことで、自分にとっても節目になった。他の20年続いてるバンドにも敬意を表せるようになったし、バンドじゃなくても20年、何かやってる人ってすごいなと素直に思えます。
EMTG:ベスト盤『尽未来際』と同じ曲順で、1日目と2日目でセットリストを変えて演奏してますが、ベスト盤を出した時、すでに構想があったんですか?
TOSHI-LOW:あったんですね。ただ、構想があっただけで、具体的にどうしようとかは。曲が決まってたわけではない。1回離れたんですよ。自分たちがやりすぎると、自分たちがやりやすいようになってしまうので。曲順もやりやすいとかやりづらいとかあって、この曲の次にこれ歌ったらすごい大変だなとか。でもそれを、自分たちで手を加えちゃうと、ぬるくなっちゃうんじゃないかなと。なので、このベスト盤に関しての選曲は、キツいんですよ。でもキツいのわかってるから、そのキツい11月の幕張に向かって、それをできる体を作っていくというのが去年の1月からのツアーだったのかなとも思う。
EMTG:1日目のオープニング曲が「TONGFARR」で、2日目の最後に、もう1回やってますね。
TOSHI-LOW:2日目、ドラムが勝手に始めたんですよ。だってこの(ベスト盤『尽未来際』)ままやったんだから、セット・リストに入ってないんですよ。最後の曲をやった瞬間に、叩き出して。でも実際、俺もあれで終わって1回ソデに下がったとしたら、震災以降封印してたアンコールを、「やろう」って、たぶんメンバーに言ったと思うんですよ。たぶん同じことをロンヂが察知してて。だから一瞬みんな、ニヤッて「そうだよね」ってなったというか。最後が1曲目で終わっていく。始まりで終わっていくみたいな。ずーっと自分たちが持ってる命題みたいな。今日が始まりで今日が終わりで、それが永遠に続くと思ってるし。ずっと矛盾してる、相反してるものが、1個のところにぺたっとくっついてるようなイメージでバンドをやってるので。
EMTG:輪廻が完成したんですね。
TOSHI-LOW:その日はね、輪っかが循環したんですよ。
EMTG:そこで一つ節目を超えて、新曲「天馬空を行く」が生まれたということでしょうか。
TOSHI-LOW:何もなくなっちゃったなというところから作り出してるけど、新しいものができたら嬉しいですよね。1コ作るのに、削るものがデカイんで。本当はもっと線の細いポップスみたいのをやろうとしてたら全然違うものになっちゃって。言ったらガールズ・ポップみたいのをやろうって、おっさんが(笑)。ああいうビートなんか使ったことないし、そういうものを俺らがやったらどうなるかな、みたいなところから入って。でも結局最後はワーッてなって、結局自分たち、みたいな。
EMTG:勝負してるけど勝者の目では見ていない歌詞も、BRAHMANらしい一貫性かと思います。
TOSHI-LOW:ベクトルは変わってないと思うけど、20代の頃のあす終わってもいいというのと、40歳超えていずれの日まで生き切る死に切るというのと、ちょっと違う。『A FORLORN HOPE』とかそうだけど、本当に想定してなかった人生。措定してない40代。漠然と30までに死ぬと思ってたのが、今も歌わしてもらってて。今はおまけのラッキーで貰ってる人生が始まってるんだから、楽しまなきゃ損だなと思ってる。
EMTG:最近のTOSHI-LOWさんがアウェイな場にも積極的に参加されているのは、そうした心境の変化もあってですか?
TOSHI-LOW:後悔を後悔のままにしたら反省でもなんでもない。変えるためには恥かくしかない、度胸つけて踏むしかない。やってることは一緒なんです。自分にチヤホヤしてくれない人たちの前で歌うのが、どんだけ大変か。でもヴォーカルはそこが見せ場というか。話に逃げても最後は歌しか残らないので。常にベストを探すしかない。でもずっとそうだったんですよね。
EMTG:そういうアウェイ感はバンド結成当時を思い出したりします?
TOSHI-LOW:それは違う。BRAHMAN始まった頃は、お客さんいないからああいうパフォーマンスになったんですよ。一人でウワーッてやってる。今は目の前の状況を変えたいと思っているというか。昔はもっと投げやりだったけど、今はCD通りに歌いたいということではなくて、自分で決めたところをちゃんと歌いながら、パフォーマンスもする。だからえらい疲れるんですよ。
EMTG:歌がちゃんと届くようにと?
TOSHI-LOW:届いてほしいと思う。その上で届かなかったら力不足だなって、自分がショック受ければいいと思ってる。今は、歌自身になりたいですね。余計なこと考えて、うまく歌おうとかカッコつけて歌おうなんてすると、あざとさが見えてくるので、歌ってる歌そのものになっていくみたいなイメージ。
EMTG:それは何かきっかけが?
TOSHI-LOW:徐々に感じてたことだと思う。バンドにとって、歌というイメージがなかったんだと思う。ヴォーカルというパフォーマーであればいいと思ってた意識の方が強くて。(今は)喉とか声とかいうことじゃなくて、表現として、歌、というのが、一番伝わりやすいんじゃないかなという気がしますね。
EMTG:それも20年目の今だからでしょうか。
TOSHI-LOW:それがわかってるようなら、今こんな感じじゃないと思いますけどね。それこそ歌唱法とか声色でやれたんだったら、BRAHMANみたいな表現方法自体生まれなかったと思う。

【取材・文:今井智子】

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リリース情報

SCRAMBLE POP

SCRAMBLE POP

発売日: 2021年03月10日

価格: ¥ 1,364(本体)+税

レーベル: sambafree.inc

収録曲

01.アマノジャク
02.HONKIDA
03.イビツボーイ・ミーツガール
04.人生残酷物語
05.サクタメの花

リリース情報

[Blu-ray] 尽未来際

[Blu-ray] 尽未来際

2016年03月23日

トイズファクトリー

■Disc1(BD)収録内容
尽未来祭(Day1:2015/11/14)at 幕張メッセ国際展示場
01.TONGFARR / 02.FOR ONE’S LIFE / 03.SEE OFF / 04.GOIN’DOWN / 05.GREAT HELP / 06.BASIS / 07. SHADOW PLAY / 08.PLASTIC SMILE / 09.BOX / 10.BEYOND THE MOUNTAIN / 11.DEEP / 12.NO LIGHT THEORY / 13.Z / 14.時の鐘 / 15.ARRIVAL TIME / 16.THAT’S ALL / 17.THERE’S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE / 18.ANSWER FOR… / 19.NEW SENTIMENT / 20.ARTMAN / 21.THE SAME

● 尽未来祭 写真集(Day1 : 2015/11/14 )
● 20th Anniversary Album「尽未来際」(DISC 1) High-Resolution Audio /Booklet
● 尽未来際 ~開闢~ / ~畏友~ / ~尽未来祭~ Documents

■Disc2(BD)収録内容
尽未来祭(Day2:2015/11/15)at 幕張メッセ国際展示場
01.初期衝動 / 02.THE ONLY WAY / 03.賽の河原 / 04.THE VOID / 05.露命 / 06.EPIGRAM / 07.SPECULATION / 08.其限 / 09.鼎の問/ 10.A WHITE DEEP MORNING / 11.DOUBLE-BLIND DOCUMENTS / 12.CIRCLE BACK / 13.(a piece of)BLUE MOON / 14.遠国 / 15.FAR FROM… / 16.CAUSATION / 17.LOSE ALL / 18.警醒 / 19.PLACEBO / 20.霹靂 / 21.虚空ヲ掴ム / 22.TONGFARR

● 尽未来祭 写真集(Day2 : 2015/11/15 )
● 20th Anniversary Album「尽未来際」(DISC 2) High-Resolution Audio /Booklet
● Music Video「天馬空を行く」
● Band Score「天馬空を行く」

※DVDの内容は、オフィシャルHPをご覧ください。

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クックパッド・ニュース
無趣味なんだな俺…。今日見たのは、「クックパッド・ニュース」。毎日12時にLINEでレシピがくるんですよ。今日は「もやしカルボナーラ」が送られてきました(笑)。いつも昼はここ(スタジオ)にいることが多いんですけど5個ぐらい載ってて、作らなくても見ると面白いじゃないですか。見て、今晩は子供に何を作ろうかなって。あと勝手に長渕剛オフィシャルが動画を送ってきますね。自動で(笑)。


■ライブ情報

MACKDADDY presents Return of ENTER THE DRAGON
2016/04/01(金)新宿 ANTIKNOCK

Slow Bus Movin’
2016/4/3(sat)大阪 BIG CAT

愛と誠6
2016/04/09(土)大阪 SUNHALL

HAWAIIAN6 presents Too Late TOUR FINAL “TOKYO FIVE DAYS”
2016/04/16(土)新宿 ACB

043CALLING
2016/04/23(土)千葉LOOK

SYNCHRONICITY’16 - After Hours -
2016/04/24(日)渋谷 TSUTAYA O-EAST/duo MUSIC EXCHANGE/TSUTAYA O-WEST/TSUTAYA O-nest

ARABAKI ROCK FEST.16
2016/04/29(金)、30(土)宮城 みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY MOSHBOYz
2016/05/05(木)新宿LOFT

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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