現在へと続くシクラメン快進撃の狼煙的地点とも言える会場（大田区民ホール・アプリコ 小ホール）でのライヴ、“これからも共に歩もう!!”との想いが込められた新曲。そして、お客さんとの距離を感じさせない会場での全国ツアー等…。2016年に入ってからのシクラメンの活動は、改めて<リスタート>するような気概を感じる。そしてそれは、このニューアルバム『スルメ4』からも強く表れている。
『スルメ』シリーズと言えば、いわば彼らの代名詞。<噛めば噛むほど味が出る>その各曲からは、活力や愛しさ、感謝や鼓舞、そして一体感といった、まさにシクラメンらしさを、随所で味わうことが出来る。“待ってたのはこれだよ、これこれ!!”や”お帰りなさい!!”と言いたくなるぐらい、彼らにとってもお客さんにとっても、ど真ん中剛速球の数々が放り込まれている今作について3人が語ってくれた。

EMTG：2016年に入ってのシクラメンの活動からは、メンバーとお客さんとの間で信頼感や繋がりがさらに強くなったように感じました。

DEppa：それはありますね。さかのぼると2015年後半頃からの話になるんですが、シクラメンを結成して初めてと言っていいぐらいそれぞれの仕事や活動で、別々になる期間があって。それまでほぼ毎日一緒にいたメンバーと全く会わないことが2～3ヶ月続いたんです。

EMTG：そこで何か改めて気づいたことがあったと。

DEppa：それを経て強く感じたことは、“やっぱり僕らはいつも3人が1つになってなくちゃいけないな!!””常にみんなの前で何かを届け、伝えていくのが僕らのスタイルなんだ”ということで。なので、原点回帰というよりかは、大切なものにもう一度気づき、それを今の成長した自分たちで届けて行こうという気持ちに改めてなったんです。

肉だんご：2014年～15年は、僕らも音楽性的に色々な挑戦をしてきたんですが、昨年末に3人が距離を置いた時に、“俺らは今、何がしたいんだろう…?”と、改めて考えたんです。そんな中、やはり「スルメサウンド」を掲げて、メンバーが1つになってやっていくことが、応援してくれるみなさんにも求められているんじゃないかという結論に至ったんです。

EMTG：その期間を経たからこそ心境に変化があったと。

肉だんご：3人が離れてたことも、大切なことに改めて気づけた大事な期間でもあったんだなと、今になって感じます。

桃紅茶：ふたりに会えない時は、ホント恋しかったですから。あとは、音楽をやれていることが当たり前じゃなかったことに改めて気づけたし。メンバーがいて、スタッフがいて、ファンが居て僕たちは音楽をやれてんだなって。逆にこういった期間があったからこそ、2016年はこの3人やスタッフやお客さんも共に“頑張って行こう!!”っていう気持ちが強まりました。

EMTG：確かに、今作『スルメ4』は、みなさんが求めている、いわゆるシクラメンらしさが満載ですもんね。これまで以上に一丸性が見受けられるし。

DEppa：みんなで一緒に合唱してる部分は、今回とくに意識したところでもあって。トラックメイカーの電球も交え、「これまで以上に一致団結感を出して行こう」と。なので、4人で合唱した箇所も多いですよ。聴いている人が一緒に歌いたくなるような曲を詰め込んでみました。この辺りはホント、昔はよくやっていた手法だったんです。「スタート」なんて肩を組んでみんなで歌っている、そんな光景が浮かんでくるんじゃないかな。

EMTG：浮かんできました。

DEppa：で、聴いた人が温かい気持ちになってくれたら嬉しいです。“頑張ろう!!”と思ってくれるような成分が沢山入っているので、そういった意味では、懐かしい定番のテイストがありつつも、シクラメンらしい曲が揃っています。

EMTG：それらもきっと、2015年末を経ないと表れなかったテイストだったんでしょうね。

DEppa：そうなんです。ネガティブに捉えるとあの期間は歩みを止めているようにも映ったかもしれませんが、僕らにとってはかなり重要な期間だったと、逆にポジティブに捉えていて。僕らのシクラメンに対する気持ちや、ファンの人たちが抱いている想いが再確認できた大事な期間だったんです。楽曲には、力強さやポジティブな要素が加わったので、シクラメンにとってはホントに良い期間だったなと思ってます。

肉だんご：久しぶりに会った時に、3人の気持ちが全く一緒でしたからね。それぞれが、<シクラメンに戻ってきた時、自分に何が出来るか?>を常に考えていたんだなと実感しましたね。あとは迷わず、それを信じて進んでいくだけでした。

桃紅茶：年末年始にかけて、DEppaが新曲をガンガン作ってきたんですけど、どの曲を聴いても、“ああ、気持ちは一緒だったんだな…”と再確認出来ました。<またこの3人でガーッと行くゾ!!>的な気持ちがガンガン伝わってきて。特に(14曲目の)「こころ」からはそれを感じました。

EMTG：この「こころ」は、今作の肝になる曲だと感じました。テーマが1曲の中に凝縮されているような。

DEppa：まさにその通りで。この「こころ」が生まれたことで、作曲に加速がつきましたからね。この曲が出来て改めて、“ああ、絶対にまた『スルメ』のような作品を作ろう!!”と決意したぐらい。で、アルバムの中で聴いて、この曲がやはり大事だったことが分かりました。まっ、その分、この曲には思いを込め過ぎちゃったかもしれませんが(笑)。

EMTG：(笑)。

DEppa：だけど、それがシクラメンらしくていいのかなって。暑苦しくて、想いがはみ出したり、滲み出ちゃったりしているけど、それが僕らですから。

EMTG：それから今作は作品の随所から、「ありがとう」や感謝の気持ちが滲み出ているような…。

DEppa：待ってくれている人、楽しみにしてくれている人への愛しさも、より芽生えたし、気づけましたからね。みんなが居るから僕らは歌える。色々な人に支えられ、力をもらいながら歌わせてもらっていたことを、自分たちなりに感謝を込めて歌にした表れだと思っています。

肉だんご：昨年末は、もはや僕たちの毎年恒例と言っても過言ではない、冬のツアーも行わなかったですからね。“ああ、ライヴがしたいな…”“みんなに歌を届けたい!!”と心から思っていました。なので、今年一発目のライヴの楽しかったこと、楽しかったこと。

DEppa：みなさんから各地で、「お帰り!!」って言ってもらえましたからね。

桃紅茶：あれはホント嬉しかったなぁ。

EMTG：今作ではインディーズ時代の「記憶」も、「記憶 ?決して忘れない?」と、現在のみなさんならではにリメイクされていたのも印象的でした。

DEppa：リアレンジされて、より壮大でダイナミック、感動的になりました。僕らの成長や今のシクラメンを表せた曲になったかなと。是非成長した姿を聴いてもらいたいですね。この曲に関しては、“過去の作品を凌駕してやろう!!”という意識もなく。ただただ今のシクラメンらしく歌ってみました。歌心も込められたし、昔は出来なかったけど、今は出来ることもたくさん詰め込めたし。

肉だんご：いま歌うと、自分たちでも響き方や気持ちの込め方が全く違うと感じるんですよね。あの頃はただの歌い手だったのが、キチンと今の想いや、これまでの流れまでも詰め込むことが出来ましたから。

桃紅茶：より味が出たんじゃないかな。あの頃から8年経って、メンバーも30歳を超えて、表現力もですが、より想いを歌に込められるようになりましたからね。まさにスルメのように、噛めば噛むほど味が出る曲に仕上がったかなって。

EMTG：初夏にはライヴツアーも待ってますね。

DEppa：春のツアーで自分たちらしさに再び気づくことが出来たので、それをふんだんに盛り込み、より明るく、楽しく、バカになれるツアーにしていきたいですね。ステージやキャパシティの大小に関わらず、みんなで楽しめるライヴをお送りする予定です。それこそ夏は何をやっても楽しいと思うんで、もちろんこのアルバムを引っ提げてのツアーではありますが、是非みなさん、僕らと一緒に夏を謳歌しましょう!

【取材・文：池田スカオ和宏】