TOC、自身主宰レーベルDRESS RECORDSの第一弾アーティストとしてメジャーデビュー!

TOC | 2016.08.26

 TOCが主宰するレーベルであるDRESS RECORDSがユニバーサルと契約し、その第1作目として、TOCのニューシングル「過呼吸」がリリースされる。それは“HilcrhymeのTOC”(トク)ではなく、ソロ・アーティストとしてのTOC(ティーオーシー)のメジャーデビューシングルでもある。彼の持つポップでキャッチーなメロディと、彼ならではのラップ、そして不思議な恋愛観の歌詞がひとつになった、まさにTOCというアーティストにしか作り上げることができないサウンドと世界観を持った楽曲になっている。ソロ・アーティストTOCの新たなるスタートを告げる、彼のエッセンスが詰め込まれたシングルだ。

EMTG:今回、ソロ・アーティストとしてのTOCさんのメジャーデビューとなるわけですけど、TOCさん自身の中では、ソロ活動とHilcrhymeは、どういった位置づけになっているのですか?
TOC:Hilcrhymeは相方がいて、ソロは相方がいない、たぶんそこに尽きるのかなって思います。トラックをもらって、曲を作ってという、やっている作業はほとんど同じですから。ただ、二人で作るものと一人で作るものだと、当然差が出てしかるべきだし、制作に関しても、アートワーク・ディレクター、エンジニアなども、Hilcrhymeとはまったく別のチームを作ったので、それで十分差別化ができるかなと思っています。あとはDRESS RECORDSというレーベルが冠にあるかないかというのも、大きな差だと思いますね。
EMTG:先日のソロ・ライブの時に、これはHilcrhymeのTOCのソロ活動ではなくて、あくまでもソロ・アーティストとしてのTOCの活動だと、おっしゃっていましたね。
TOC:リスナーの方には、なかなかそれが理解しがたい部分もあるんじゃないかと思いますし、リスナーに求めるものでもないと思いますけど、“TOC from Hilcrhyme”とか、“TOC (Hilcrhyme)”ではなく、ただ“TOC”にしたのは、Hilcrhymeに誇りを持ってやっているからこそ、Hilcrhymeの名前を使いたくないというのが、いちばん大きな、決定的な決断でしたね。HilcrhymeはDJ KATSUありきのものだし、Hilcrhymeの名前を使うと、何のために一人でやっているの? というところに行き着いちゃうんですね。たぶんどれが正解とかではなくて、あくまで感覚的な話なんですけど、Hilcrhymeも真っ最中で、決して速度を緩めていないし、だからこそ、完全に分けてあげたかったんです。2年間でインディーズから2枚のソロ・アルバムを出して、それは短い時間ですけど凄く濃い2年間だったし、一から積み上げていった自分にとって誇れるものだったから、HilcrhymeのTOCがポンとソロを出しましたよ、というのとは違うという思いもあります。
EMTG:ちょっと的外れなのかもしれないですけど、感覚的には、桑田佳祐さんとサザンオールスターズのような位置付けなのでしょうか?
TOC:あとは奥田民生さんとユニコーンとか。作り手に明確な意思がないと、本当にぶれてしまいますから、そこは気をつけてやっていきたいなと思っています。
EMTG:そしてTOCとしてのニューシングル「過呼吸」がリリースされるわけですが、この楽曲は、どういうテーマで作られたのですか?
TOC:メジャーデビューが決まって、名刺代わりになるシングルを作ろうということになって、どういう曲がいいかなって考えていたときに、ある先輩から電話がかかってきたんです。その人は、こっちが一呼吸置いてから、“はい”って出るような、ちょっと怖い先輩だったんですけど、その人と話している時に、アップアップになってしまう自分がいて。あ、これ曲になるなって思った瞬間に、コードとか、ギターのストロークとか、ベースの感じとか、構成はこんな感じで…とか、全部が一緒に浮かんできたんです。そこからは早かったですね。自分の経験上、そういう曲って、いいものになることが多いんです。
EMTG:これまでの2枚のアルバムは、とてもエッジの立った、ラップを前面に出した作品だったと思うんですけど、今回とてもポップで、親しみやすいサウンドになっていますね。
TOC:次のシングルは、絶対にキャッチーな方向で行こうという思いはありました。アルバムを2枚インディーズから出してみて再確認したのは、自分の武器はキャッチーさだということで、その武器をフルに活かせる曲で、メジャーデビューしたいという思いがありました。2年のインディーズ活動は、ラップの地の力というか、ラップというものをもっと深く知るための、修行のような2年間だったから、この「過呼吸」ができるための、そしてここからTOCをやっていく上でも、非常に大事な2年間でしたね。
EMTG:アレンジのDirty Orangeさんは、TOCさんと同じ新潟出身ですね。
TOC:そうなんです。ユニバーサルのスタッフに“いいアレンジャーはいませんか”って聞いたところ、彼の名前が挙がってきたんですけど、3~4年前からの知り合いだったから、ビックリしたんです。しばらく連絡を取ってはいなかったんですけど、これは縁だと思って速攻で連絡して、一緒にやろうということになりました。これも、自分の中では、この曲のドラマのひとつですね。
EMTG:歌詞については、女性に振り回される主人公が出てきますね。
TOC:“怖い先輩から電話が来て、過呼吸になった”じゃ、キャッチーじゃないので(笑)。それを恋愛の話に落とし込みました。ただちょっと闇の部分が多い歌詞だなって自分では思っていますけど、それも味かな、と。
 
EMTG:でも、こういうタイプの主人公って、Hilcrhymeの楽曲では出てこなかったですよね。
TOC:そうですね。この曲を、失恋ソングだっていう人もいるんですけど、失恋というよりは、ボロボロになった男の話で、それは、これまでは書いてこなかったテーマですね。あと「過呼吸」というタイトルが、自分の中ではしっくりきていて、最初に頭に浮かんできたものを、なるべく形を崩さないで出したかったし、それができたときって、非常に幸せな気分になるんですよ(笑)。
EMTG:「過呼吸」というタイトルから最初に想像されるであろう世界観と、実際の楽曲の世界観とでは、ちょっとしたギャップもありますよね。
TOC:そうなんです。最初にタイトルだけ発表したら、みんなイメージとは違っていたというか、今までの作風どおりラップでガーって攻めるかと思ったら、めっちゃメロウじゃん、って(笑)。でも、いいギャップなんじゃないかなって思います。
EMTG:一方カップリングの「Shepherd」は、一部の音楽シーンをディスりまくってる、ある意味問題作ですね。
TOC:そうですか? 実は「過呼吸」にすべてを費やしたので、カップリングのことは何にも考えていなかったんです(笑)。それでカップリングを作らなきゃと思って、3日で書きました(笑)。オケはストックしてあったものなんですけど、そのトラックの雰囲気から、ちょっと攻撃的な歌詞でもいいのかなと思って書いたんですけど、DRESS RECORDSの所信表明みたいなところもありますね。少数精鋭で、しっかりとした音楽家であって、そしてヒップ・ホップのイズムはちゃんと持っている人たちとオレはやりたいし、そしてそれをお茶の間まで届ける覚悟はある、という。
EMTG:ではこのシングルで、リスナーに一番届けたい思いというのは、どういうものでしょうか?
TOC:この「過呼吸」という曲を聴いて、こう感じてほしいとかいったものはあんまりないんですけど、誰かがこれを聴いてくれて、この曲を口ずさんでくれたり、これいいなって思ってくれたら、それでだけで嬉しいです。

【取材・文:熊谷 美広】

tag一覧 TOC シングル

リリース情報

過呼吸[初回盤SG+DVD]

過呼吸[初回盤SG+DVD]

2016年08月31日

ユニバーサル ミュージック

01.「過呼吸」  
02.「Shepherd」

お知らせ

■ライブ情報

お台場みんなの夢大陸2016
2016/08/31(水) フジテレビ本社屋前 マイナビステージ

SPA SONIC GROOVIN’ SOUND FES IN TSUKIOKA-SPA 2016
2016/09/04(日) 新潟 月岡カリオンパーク

TOC One Man LIVE 大阪「過呼吸」
2016/09/10(土) 大阪BIGCAT

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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