ファンキー加藤、2ndアルバム『Decoration Tracks』インタビュー前篇
ファンキー加藤 | 2016.11.02
2ndアルバム『Decoration Tracks』の全体像から伝わってくるのは、ファンキー加藤が抱えている様々な感情だ。前のめりなテンションでひたすら前進し、全力でメッセージを届ける暑苦しい男であるというのも彼の実像そのものだが、実は気弱になることもあり、ふと過去のことを振り返る時もある……そんな姿をありのままに届ける1枚となっている。インタビューの前篇は、今作で示されている新しい作風、彼の音楽の核とも言うべき応援歌に対する想いを語ってもらった。
- EMTG:2ndアルバムを、どういうものにしたいと思っていました?
- 加藤:まず、一昨年リリースした1stアルバムの『ONE』は、「ファンキー加藤らしさ」というものに溢れた1枚になったと思ってるんです。1枚目のアルバムは、そうあるべきだなとも考えてたので、「これはファンキー加藤らしくないかな」というものはチョイスしてなかったんですよね。でも、今回は一旦そういう考えは置いて、もっとナチュラルで自由に作りたいと思ってました。
- EMTG:例えば、今回収録されている「急性ラブコール中毒 Part.1」は、ソロでの制作を始めたばかりの2013年に原曲ができたと聞いていますが、1stアルバムに収録されなかったのは、最初に打ち出したい「らしさ」とはまた別のテイストだったから?
- 加藤:それもありましたね。だから今回は「加藤俊介」という1枚なのかなと。「ファンキー加藤」と名乗る前に聴いていた音楽も反映されてますし、僕自身がとことん出ているものになってます。
- EMTG:「ファンキー加藤」っていう名前の真の意味は「ファンキーな加藤」ではなくて、「ファンキーになりたい加藤」であると、よくおっしゃるじゃないですか。今作は、そういう面がすごく出ているとも言えるのでは?
- 加藤:おっしゃる通りだと思います。僕、実際は内向的というか、自信のなさとかをすごく持ってる人間ですから。他のアーティストさんのライブDVDとかを観て、よく自信を失うし(笑)。前からそういう面は包み隠してないですけど、よりオープンに曲にした感覚があります。
- EMTG:では、作品に関する具体的なお話に入りましょう。収録されている曲の内、最初に世に出たのはオープニングを飾っている「MUSIC MAGIC」ですが、去年の全国ツアーで早速やっていましたよね?
- 加藤:あの頃は「MUSIC MAGIC」がアルバムの1曲目を飾るなんて思ってもみなかったです。リリースすら考えずに作りましたから。ツアーを始めるにあたって、「何かパーツが足りないな」と思って作ったんですよ。サビで一緒に歌うというより、みんなで飛び跳ねるような、EDMの王道のような曲が欲しくて。今でも夏フェスとかでやる機会が多いですし、歌っててすごく楽しいです。僕の中でサビって「一番の高音域が来るし、酸素量も使うから、歌ってて苦しい」っていうイメージが強いんですが(笑)、これはみんなと一緒に飛び跳ねて笑い合えるんですよね。
- EMTG:「MUSIC MAGIC」に表れている通り、前作から今作までの期間は、新しい作風の模索に積極的だった日々とも言える気がします。例えば、加藤さんの代名詞とも言うべき応援歌でも、いろんな模索がありましたし。「中途半端なスター」の制作をしていた時、「歌詞に苦労しているけど、俺は応援歌からは逃げない!」ってツイッターで呟いていたじゃないですか。
- 加藤:ありましたねえ。僕はFUNKY MONKEY BABYSの頃を含めて、たくさん応援歌を書いてきたので、ずっと温めて大切にしてきた言葉のストックがなくなってきたのを感じたんです。だから「中途半端なスター」の頃は、一時的に応援歌スランプになってました。
- EMTG:かめはめ波が出ない悟空のような状態?
- 加藤:はい。いつかそういう時期が来るかもと、前から思っていたんですが、「中途半端なスター」を作ってみて、「まだまだ、こういうことを描けるな」と思いました。視点を変えて、立ち位置を変えて、主人公を変えてみたりすると、描けることの可能性はたくさんあるんです。伝えたいメッセージって、なくなりそうでなくならない。それを感じることができたのが、この曲でしたね。
- EMTG:今回のアルバムに収録されている新曲から挙げるならば、「Ring a Bell」も、今までになかった視点による応援歌だと思います。
- 加藤:これは、アーバンな雰囲気のものにしたいというのを思ってました。優しく包み込むようなものでありつつ、しっかり前向きなメッセージを届けたいというイメージでしたね。
- EMTG:改めて訊くのも変な気がしますが、応援歌に対する情熱が半端ではない理由って、何なのでしょう?
- 加藤:自信がない僕がこういうことを言葉にして歌うと、自分自身が元気になれるんです。それが特に大きいのかも。だからこそ「応援歌を歌いたい」っていう気持ちが、僕の根本にあるんだと思います。そして、聴いてくださるみなさんにも元気になって頂けたりすると、ほんと嬉しいんです。実際に頑張っているのはみなさん自身なんですよね。そういうみなさんの背中に、ちょっとだけでも追い風を添えられたらいいなという意識で歌を作ってます。
- EMTG:応援歌はライフワークであるというような感覚もあります?
- 加藤:ありますね。バカのひとつ覚えみたいに思われるかもしれないですけど、聴いてくれるみなさんの抱えている感情をプラスの方向へ押し進めるようなことができたらいいなと。聴いていて悲しくなるような歌とかを自分で作ることには、あまり惹かれないんです。それよりも前向きになれる方がいいなあと感じますし、ファンキー加藤はそうあるべきだと思ってます。
- EMTG:描くテーマをさらに広げたいというのは、考えたことあります?
- 加藤:考えたりしたこともありますけど、今の僕が歌いたいのはこういうことですね。その内、いろいろ広げる時期もあるとは思います。でも、今はまだここを掘り続けて、応援歌というものの深化を追求していきたいです。例えばラブソングをたくさん作るアーティストさんもいらっしゃいますが、僕は人生について描きたくなるんですよね。そっちの方が自分にとってしっくりくるというか。応援歌というものをもっともっと掘って行ったら、何か新しいところへ辿り着けるんじゃないかなという気もしてます。
- EMTG:「応援歌」と一括りに言っても、作風もかなり広がってきましたしね。
- 加藤:そう感じて頂けたら嬉しいです。20代前半とかみたいなフレッシュ感で今の僕がやっても、痛いやつだと思われるでしょうし(笑)。だから年相応のことを歌っていきたいです。
- EMTG:今作について先ほど「加藤俊介が出てる」っておっしゃっていましたけど、年齢なりの姿がすごく出ている1枚でもあるんじゃないでしょうか。例えば、「走れ 走れ」も、10代、20代とはまた別の馬力の出し方を感じる曲ですから。
- 加藤:「走れ 走れ」は、ファンモン時代は上手く歌えることができなかったタイプの曲でしょうね。レコーディングが難しかったです。柔らかい、包容力があるようなニュアンスで歌いたかったので。まさに新しい一面を出すことができた曲だと感じてます。
- EMTG:「血管を浮かさずに歌う」というイメージを制作時におっしゃっていたのを覚えています。
- 加藤:そうでしたね。だから大変でした。レコーディングの時にプロデューサーさんに何度も「拳を握らない!」って注意されましたから。普段の癖で、つい、拳を握っちゃうんですよ。もし生卵とか握って歌ったら大変なことになったんじゃないかと(笑)。「走れ 走れ」は10年前の自分とのエール交換の曲なんですよ。「自分に問いかける時に、そこまで強く言わないでしょ?」っていうのがありました。
- EMTG:10年前の自分とのエール交換といえば、「走れ 走れ」のシングルのジャケット写真は、10年前の加藤さんですよね。ファンモンのデビューシングル「そのまんま東へ」の時?
- 加藤:そうです。撮影したのは、八王子のJRの駅ビルの屋上の遊園地です。あそこ、久しぶりに行ったら、フットサル場になってましたよ。
- EMTG:この曲、もうライブでもやっていますが、どんなことを感じながら歌っています?
- 加藤:歌ってると思わず涙腺が緩んじゃうんです。特に《50cc ボロいバイクで 突き進んでいた》というところがダメみたい。そこに来ると当時の苦しかったことというか、不安定で不安だった時期のことを思い出して、かなりグッと来ちゃいます。
- EMTG:ファンモンでデビューした頃って、たしかお花屋さんとかでバイトしていた時期ですね。バイク移動をしていたんですか?
- 加藤:そうです。中古のDioに乗ってました。冬に乗ると寒くてねえ。お金ないから軍手なんです。そんなこととかも歌いながら思い出しちゃいます。この先、歌い続けることができたら20周年を迎えることがあるでしょうけど、そういう時期が来たら、またこうやって過去の自分とエール交換をするような曲を作ってみたいです。
- EMTG:40代とかの「走れ!」という感覚は、10代のがむしゃら感とはまた変わってくるんでしょうね。
- 加藤:そうかもしれないですね。でも、先日、ある50代の俳優さんが「40代は最後の走れる時期だからがむしゃらに走れ!」っておっしゃっていて。僕も40代が近づいていますけど、その話を聞いて嬉しくなっちゃいました。「まだまだがむしゃらに走れるぞ」と。だから僕ももっともっとがむしゃらに走りたいと思ってます。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
Decoration Tracks[通常盤]
2016年11月02日
ドリーミュージック
M1.MUSIC MAGIC
(よみうりランド2015 ジュエルミネーション テーマソング)
M2.ブラザー
(映画「サブイボマスク」主題歌)
M3.中途半端なスター
(マイナビ転職CMソング)
M4.走れ 走れ
(10/19リリース最新シングル曲)
M5.つながるから
(マイナビ転職CMソング)
M6.勇者のうた
(2016TBS系列プロ野球中継“SAMURAI BASEBALL”テーマ曲)
M7.Ring a Bell
M8.Tokyo Destiny Land
M9.カラフル
M10.ただいま 〜HOMETOWN〜
M11.急性ラブコール中毒 Part.1
M12.少年の声
(フジテレビ系めざましテレビめざましデイリーテーマソング・水曜日)
M13.花鳥風月
M14.本当のこと
(よみうりランド2015 ジュエルミネーション テーマソング)
M2.ブラザー
(映画「サブイボマスク」主題歌)
M3.中途半端なスター
(マイナビ転職CMソング)
M4.走れ 走れ
(10/19リリース最新シングル曲)
M5.つながるから
(マイナビ転職CMソング)
M6.勇者のうた
(2016TBS系列プロ野球中継“SAMURAI BASEBALL”テーマ曲)
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(フジテレビ系めざましテレビめざましデイリーテーマソング・水曜日)
M13.花鳥風月
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お知らせ
■コメント動画
■ライブ情報
HALFWAY STAR TOUR
2016/11/12(土) ハーモニーホール座間
2016/11/17(木) 神奈川県民ホール
2016/11/25(金) 市川市文化会館 大ホール
2016/11/29(火) 静岡市民文化会館大ホール
2016/12/01(木) 神戸国際会館こくさいホール
2016/12/06(火) 郡山市民文化センター 大ホール
2016/12/09(金) 滋賀びわ湖ホール
2016/12/11(日) 福井フェニックスプラザ
2016/12/17(土) 大分iichikoグランシアタ
2017/01/12(木) 大宮ソニックシティ 大ホール
2017/01/22(日) 香川レクザムホール 大ホール
2017/01/29(日) 倉敷市民会館
2017/02/04(土) 福岡サンパレス
2017/02/06(月) 大阪フェスティバルホール
2017/02/12(日) 新潟県民会館
2017/02/18(土) 仙台サンプラザホール
2017/02/19(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
2017/02/25(土) 名古屋国際会議場センチュリーホール
2017/03/11(土) わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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