日本テレビ系、朝の情報番組「ZIP!」内のコーナー＜あおぞらキャラバン＞でオールドイングリッシュシープドッグのそらと全国を旅している二十歳のシンガーソングライター、セレイナ・アンが1stシングル「青い空と私」をリリースする。同コーナーのテーマソングとして制作され、軽快な楽器たちの生音に自身が旅を通して感じたこと、そらとの思い出を乗せた表題曲「青い空と私」に加えて、番組内でカバーして好評を博したカバー曲「白い雲のように」「家に帰ろう（マイ・スイート・ホーム）」を収録。SNSやツイキャス、YouTube上での洋楽カバーで話題を集めたセレイナではなく、相棒のそらと一緒に全国を旅しているセレイナに焦点を絞った今回の作品。来年4月16日には東京の恵比寿LIQUIDROOMで初のワンマンライブも決定。ファンの幅も広がり、活動のスピードも上がっている彼女の現在の心境を聞いた。

EMTG：＜あおぞらキャラバン＞のテーマソングとしてオンエア中の「青い空と私」が1stシングルとしてリリースされます。どんな思いで制作されたんですか？

セレイナ：旅が始まってから、ずっとどういう曲にしようかなって考えていたんです。相棒のそらと一緒にいろんな景色を見たり、感動する場面に遭遇する中で、徐々に自然と言葉が出てきて。メロディーは、この旅を象徴する曲なのですごくこだわって。何度も作っては練り直してっていうプロセスが続いたんですけど、歌詞はピンポイントで心に残っている風景を織り込みつつ、そらとの毎日の旅で感じた思いをうまく詰め込むことができたかなと思います。

EMTG：どんな思いを込めたと言えばいいですか？

セレイナ：日本全国を旅していて一番身に染みて感じることはやっぱり愛情なんですよね。初めて会う方々ばかりなのに、皆さん、すごく優しく接してくれるし、私とそらに会えたことが嬉しくて、喜んで笑顔で帰ってくれる方もいて。そんな人と人の愛情も感じるし、そらというワンちゃん、動物と私の間にも愛情があるし、自然に対する愛情もある。いろんな形の愛情に触れることで、あったかい気持ちになるんだっていうことを伝えたかったんです。

EMTG：ピンポイントで織り込んだ思い出の風景というのは？　最初に気になったのは＜涙色に染まる／桜並木＞という歌詞なんですが。

セレイナ：これは旅の2日目です！鮮明に覚えてますね。京都に桜並木を見に行ったんですけど、私とそらが全然通じ合えてなくて。ものすごい引っ張られて、とても一緒に並んで歩ける状態じゃなくて。そこで一気にいろんな思いがこみ上げてきて、カメラの前で大号泣しちゃったんです(笑) 。もちろん、超恥ずかしかったですけど、耐えきれなくて。 結局、そのあと予定していた観光は諦めて、その日は近くの公園でそらと仲良くなるためのスキンシップをはかることにしたんです。泣いたあとだったから、目を真っ赤に腫らしながら。

EMTG：それは、どんな涙でした？

セレイナ：新しいことに挑戦する不安もあるけど、やりたいっていう強い気持ちと自分自身に対する期待もあって。でも、うまくそらに思いが通じなくて、もどかしいし……思い出すと、今でも泣きそう！やだ～（笑）。公園でスキンシップをはかり始めてだいぶ時間が経った頃、急にそらがしゃがんでた私に飛び乗ってきて顔をベロベロ舐めてきたんです！ 「そらに私の気持ちが伝わったのかな」って思いましたね。 その時に、そらと「これから１年間、親友として一緒に頑張ろうね」っていう約束を結んだんです。歌詞にも出てくる＜あの日結んだ約束＞っていうのはこのことですね。

EMTG：今はもう飛びついてくるくらい仲良しになってますよね。

セレイナ：そうなんですよ！超嬉しいです！旅が始まった頃は、私が泣いていても、「何泣いてるの？私は知らないよ」っていう感じだったんです（笑）。でも、2人で旅をしていく中で、ちょっとずつ信頼と友情が積み重なっていって、今ではずっと横について歩いてくれるようになって。私は涙もろいタイプなので、撮影中に感動したり、悔しくて泣いちゃうこともあるんですけど、そういう時はそらも少し心配そうな顔をして、近寄ってきてくれるんです。慰めオーラを出してくれるんですよね。これまでワンちゃんを飼ったことなんてなかったし、生き物ともあまり触れ合ったことがなかったので、こんなに人間に影響をもたらしてくれるんだってことに感動して、また泣いて、また慰められるっていう（笑）。とにかく、素晴らしい子ですね、そらは。大好きです。

EMTG：（笑）他にも具体的なエピソードを盛り込んだ部分はあります？

セレイナ：＜夕暮れに浮かぶ白い灯台＞は、島根県の出雲で見た景色。＜朝露＞は高知県でトマトを食べにいった時のことですね。その日、そらが雨に濡れた草の上をルンルンと歩いていたんですよ。それがなぜかすごく心に残ってて。そういう具体的な思い出を織り込みつつ、私とそらの旅を知らない方でも、朝にこの曲を聴いたら元気になれるような、そんな曲を作りたいなと思ってましたね。

EMTG：サウンド的には生音になってますよね。これまでの作品は打ち込みでしたが。

セレイナ：朝、聴いて元気が出るような、明るくて弾けるようなポップな感じは大切にしたかったので、みんなで話し合った結果、生音を使ってレコーディングをすることになって。私にとっては初めての経験だったので、どうなるかが不安だったんですけど、この旅自体が、私もそらも常に自然体だし、ナチュラルで爽やかな雰囲気だったので、楽器の音色にすごくマッチしていると思います。

EMTG：MVも自然の中で撮ってますね。バンドメンバーを含め、全員、白の衣装で統一されているので、そらと合わせたのかなと思ったんですが。

セレイナ：そこまで考えてなかった・・・（笑）。確かにそらとお揃いですね！ このMVの撮影がすごく楽しくて。本当はリップシンクでいいところを、実際に声を出して歌っちゃってるんですけど、そらやバンドメンバーさんと音楽を通して１つになれてるっていう実感があって。音楽って素晴らしいなって再確認しましたし、朝っぽく、爽やかに仕上がったので、携わってくれた方全員に本当に本当に感謝です。

EMTG：番組では9月に生中継で初披露してましたよね。

セレイナ：岩手県で初めて披露したんですけど、心臓が口から飛び出るくらい、超緊張しました（笑）。でも、皆さんからポジティブな反響をいただいたので、すごく嬉しかったです。あとこの間、鹿児島でテーマソング完成後２回目の生中継があったんですけど、その時はもう、集まってくれた方々が一緒に歌ってくれていて。本当にびっくりしました。１ヶ月くらいで覚えてくれてる子たちがいるのは嬉しかったですね。

EMTG：カップリングに猿岩石「白い雲のように」と竹内まりや「家に帰ろう（マイ・スイート・ホーム）」のカバーが２曲収録されてます。　

セレイナ：今回の作品は、”あおぞらキャラバンのセレイナ”という一貫したテーマで作りたかったので、コーナーの中で歌ったカバーも入れたいなと思って。猿岩石さんは旅の先輩だし、生中継で披露した時も、とても今の自分に合っていると感じたのでマストだなと思いました。私とそらが旅をしているときの思いと照らし合わせながら、歌わせてもらいました。「家に帰ろう（マイ・スイート・ホーム）」は私には年齢的にハードルが高い曲かなと思ったんですけど、この曲を歌った回の放送後に、「合ってたよ」っていう声をたくさんいただいて。自分で歌っていてもとても心地いい曲ですね。

EMTG：歌入れはどんなアプローチで望みました？　歌詞は喧嘩した夫婦の話ですよね。

セレイナ：レコーディング中もすごく不安で。原曲をリスペクトするあまり、私にこの歌のメッセージを伝えることができるのかなっていうプレッシャーもあったし、歌詞の解釈すら迷いました。でも、私は私らしくというか、原曲とは違うかもしれないけど、私は友達の夫婦に語りかけるように歌おうと思って。夫婦でも長年付き合ったカップルでもいいんですけど、当事者ではなく、友達の立場から女の子に向けて歌ってるっていうイメージですね。

EMTG：レコーディングを終えて、どんなことを感じました？

セレイナ：言葉でうまく伝えられないんですけど、この曲をカバーさせてもらったことによって、新たな自分を見たというか、ワンステップ進めた気がします。この曲は切なハッピーという雰囲気ではあるけれど、今回収録されている3曲を通して、皆さんの朝に元気を送れるような作品になったと思いますね。

EMTG：あとひと月で今年も終わりますが、セレイナさんにとってはどんな1年になりましたか？

セレイナ：確かに、あとひと月で終わっちゃう。やだー！クレイジー!!(笑)。 私、来年の3月で21歳になるんです。二十歳になった時はこんなに濃い1年がやってくるなんて思っていなかったので、本当に感謝ですね。経験したことがないくらい忙しいけど、それ以上に宝物のような時間をいただいたので、本当に幸せです。この１年で自分が得たものを大切にしながら、21歳になっても、シンガーソングライターとして精進していきたいなと思っています！

EMTG：来年の4/16には恵比寿LIQUIDROOMで初のワンマンライブが決まりましたね。

セレイナ：すっごく楽しみです！　私は今、事務所の先輩でもあるMACOさんのツアーにオープニングアクトとして出演させていただいているんですけど、回数を重ねるごとに自分でも上達している気がしていて。音響が整ったライブスペースで歌ったことがなかったので、新しい経験だから超緊張するけど、超楽しくて。ライブって楽しいなと改めて思っているところなんです。そして、初のワンマンは、21歳になった後なので、明るくて楽しいセレイナはもちろん、ちょっと大人になったセレイナも見せたいと思っています。会場の皆さんとハッピーで、心に残るような時間を過ごしたいなと思っているので、みなさん、ぜひ遊びに来てください！　みなさんに会えるのを心から楽しみにしています！

【取材・文：永堀 アツオ】