2人体制初の作品は、Shout it Outの“これから” と “夢” がめいっぱい詰め込まれた意欲作に。
Shout it Out | 2016.12.08
再生ボタンを押した瞬間、勢いよく溢れ出してきた歌声とサウンドに“ああ、大丈夫だ”と確信した。何ひとつ心配する必要はなかった、Shout it OutはやっぱりShout it Outだと。7月にメジャーデビューを果たしたわずか2ヵ月後にメンバー2名が脱退するという危機に直面しながらも、けっして歩みを止めようとしなかった彼ら。山内彰馬(Vo&Gt)と細川千弘(Dr)の2人体制となって初の作品がこのEP「これからと夢」だ。“始まりの笛が今鳴る”(「DAYS」)という高らかな宣言からスタートする今作にはまさしくShout it Outの“これから”と“夢”がめいっぱい詰め込まれている。
- EMTG:メンバー2人の脱退後、最初の作品になりますね。やはり意気込み的にも相当なものがあったのではと思うのですが。
- 山内:1曲目の「DAYS」はもともとアニメ『DAYS』のエンディングテーマとして作った曲で、このタイミングでのリリースも決まってたんです。できたのが6月頃でレコーディングまで3ヵ月くらい時間があったんですけど、その間にメンバーの脱退が決まりまして、意図せずメンバー2人体制になって初の作品になってしまったんですよね。ただ、やっぱり自分たちの覚悟や決意はちゃんと提示したくて。僕たちは活動休止とか解散という選択をしなかったわけですけど、そうしなかった理由とか、逆境を乗り越えていこうとしている気持ちをどうすれば投映できるのか、レコーディングまでに悩みながら、自分の想いも入れ込んでいったんです。
- EMTG:ということは歌詞とか最初の状態からかなり変わった?
- 山内:そうですね、半分ぐらいは変わってると思います。
- 細川:今しか書けないことを書きたいっていうのは彰馬がずっと言っていることで。もちろんアニメの世界観にもすごく寄り添いつつ、ちゃんと自分たちの意志も曲の中に入れられたんじゃないかなと思いますね。ホンマに僕たちらしい曲ができたなって。
- EMTG:2人になっての制作はいかがでしたか。
- 細川:全曲に言えることなんですけど、2人になったからといって行き詰まりを感じることもなく、わりとスムーズで。彰馬の中で書きたいことがこれだけあったからでもあると思うんですけど、スタジオでの作業でも、今までとはちょっと違ったところがあって。
- EMTG:違ったところ?
- 細川:今回はギタリストとベーシストにサポートを迎えてのレコーディングだったんですけど、前のメンバーのときはたぶん言わずともわかっていただろうことを、彰馬がイチから口にすることによって、自分たちが何をしたいか、曲をどういうふうに持っていきたいかっていうのを改めて僕たち自身も再確認できたというか。
- 山内:友達とか恋人とかもそうですけど、長いこと一緒にいると言わなくても共有できてるだろうなって空気が流れるじゃないですか。それは自然なことだし別に悪いことではないと思うんですけど、そういう空気になっていたということに気づけたのは今回、けっこう大きくて。それによって僕と千弘との考え方のちょっとした差異が見えてきたりしたのもすごく新鮮だったし。
- 細川:2人にならなきゃわからなかったよね。なにせ2人しかいないから、何をするにもこの2人からしか生まれないし、そういう意味でもお互いの芯の部分をさらけ出しながら、本音をぶつけ合って音楽やってる実感が今はありますね。お互いに意志を持ち寄って、ちゃんとShout it Outというものを作ろうっていう。
- EMTG:2人で一緒に作っていくんだっていう姿勢は楽曲からも滲み出てますよね。きっと“ちょっとした差異”があるからこそ、前に進めるんだと思いますし。
- 山内:性格はもう真逆ですけどね(笑)。僕が足りないだけなのかもしれないけど、お互いに埋め合ってる感じがすごくあって。2人ともワンマンではできなさそうな人間なので、そのへんも合ってたんじゃないかな。
- 細川:うん、けっこういいバランスでやれてる自覚はある(笑)。
- EMTG:2曲目の「これからのこと」は脱退したメンバーに向けての手紙ですよね。
- 山内:はい。こういう直接的な曲を歌うのはどうなのかって意見もあったんですけど、僕としては今までついてきてくれた人たちに音楽でちゃんと示したかったんです。ラジオやオフィシャルHPでの発表だけで完結させてしまうのはすごく不健康な気がしていたので、音楽でちゃんと姿勢を伝えるというか、僕らが先頭に立って歩いていくことで背中で納得してもらえたらって。
- 細川:他の2曲にはサポートギタリストが参加してるんですけど、この曲のギターはあえて全パートを彰馬が弾いていて。コーラスも他の曲は彰馬が歌ってるんですけど、これに関しては僕が歌ってるんです。というのも、“俺たちは2人になってもやっていけるぜ”っていうのを音で証明したくて。2人になって音楽性が狭まるのではなく、むしろ自由度が増したからこそ、できたサウンドだと思うんですよ、これは。この曲をCDに入れられたのはShout it Out的にも一歩前進だなと。
- EMTG:今回のEPは1曲1曲、それぞれに個性が強い曲が揃っているのも自由度の高さの証明でしょうね。3曲目の「君はまた夢を見る」からは今の世の中に対する疑問や苛立ちがダイレクトに伝わってきますし。
- 細川:「君はまた夢を見る」みたいなマイナー調のアグレッシブな曲もそんなに多いほうじゃないんですよ。これだけ1曲1曲、カラーが違うっていうのもなかなか僕たち的には珍しいかもしれないです。しかも歌詞とサウンドがいつも以上にめちゃくちゃリンクしてると思うんですよ、今回。さっきも言ったようにレコーディングで音の細かい部分まで彰馬が詰めてきたことによって、より1曲1曲の伝えたいことがクローズアップされた気がして。
- EMTG:新しい扉が開いたのかもしれませんね。
- 山内:今まで積み重ねでやってはきたものの、そこに甘えてしまっていたのかなって思ったんですよ。“これまで通りにやっていけばできる”ってちょっとした過信をしてしまっていたことに今回、気づけたので、少し意図して新しいことをしてみたところはありますね。今まで通りにやることで不安にさせてしまった方々に安心してもらいたい気持ちはありつつも、2人になったからこそ縛られずにできる新しい挑戦もしてみたいなって。最初は単純に“そうやってみたら面白いんじゃないかな”ぐらいの気持ちだったんですけど、結果、こんなにカラーの違う曲ができてしまって(笑)。
- EMTG:いいことじゃないですか。“意図する”って大事なことですよね。意志があるからこそ意図することができるわけで。
- 山内:まさにその通りのEPだなと思います。
- EMTG:ところで「DAYS」の歌い出しに“始まりの笛が今鳴る”とありますよね。アニメで言えばサッカーのホイッスルだと思いますが、2人にとっての“始まりの笛”はなんでしょう。
- 山内:サポートメンバーを迎えての一発目のライブですかね。メンバー脱退を発表して一発目のライブをしたとき、僕たちはまだサポートメンバーを迎えて2回ほどしかスタジオに入ったことがなくて。
- EMTG:それはなかなかに緊張しそうな……(笑)。
- 細川:なかなかに、でした(笑)。
- 山内:僕らもサポートメンバーもみんな不安を持ったままステージに上がったと思うんですけど、そこで最初の音を出したときに“ああ、僕たちはこうなってもやれるんだ”って、2人になってもまだまだやっていけるんだって感じたんですよ。ずっと僕らがやってる「光の唄」という曲なんですけど、それが現体制での“始まりの音”だなって。どちらかというとアニメのために書いたフレーズが、さっき言ったこととは逆に意図せずして、今の僕らを象徴するワードになりましたね。
- 細川:2人になって初めてのCDのいちばん最初の言葉が、“始まりの笛が今鳴る”っていうのはすごく意味があるなと思ってて。その言葉自体が僕らにとっての“始まりの合図”かもしれないです。デモの段階からずっとあったフレーズではあるんですけど。
- EMTG:面白いですね、そうやって状況に寄り添いながら曲がどんどん意味深いものに育っていくというのは。
- 山内:だからこそ、例えば僕らの実体験を描いていても、聴く人によって自分の気持ちを投影できるものになったりするんでしょうね。それが音楽の醍醐味じゃないかなと。
- 細川:スケールの大きい話にまとめたな(笑)。
- EMTG:では最後に。Shout it Outがこれからに描く夢とは。
- 細川:めちゃくちゃいっぱいあるんですけど、でもいちばん思うのは……今回のことで離れていった人もいる半面、これから出会う人もいっぱいいると思うんですよ。もっともっとたくさんの人に出会いたいし、離れていった人にもいつかShout it Outを聴きたいって思ってもらいたいし、そのためにもみんなの想いに恥じないような活動を、足を止めずに続けていくことですね。
- 山内:僕はシンプルに、このままの気持ちで音楽を続けられたらって。デカい目標に向かって努力するというより、“今”と向き合い続けてたどり着いた先が面白いことになっていた、みたいなことに希望を抱くタイプなんですよ。幼稚園の頃からずっとやりたいことが音楽だったので、音楽を始めた時点で夢を叶えてると言えば叶えてるんです。なので、この気持ちのままバンドをやっていけたら。
- EMTG:夢の中にずっとい続けることが夢。それって実はいちばん難しいことかもしれないです。
- 山内:そうなんですよね。
- 細川:今回の脱退もあって、続けることがどれだけ大切か改めてわかったので。これからの長い人生、ずっと音楽を続けるというのは永遠のテーマである気がします。
【取材・文:本間 夕子】
リリース情報
これからと夢
2016年12月07日
ポニーキャニオン
1.DAYS
2.これからのこと
3.君はまた夢を見る
※ボーナストラック付き
2.これからのこと
3.君はまた夢を見る
※ボーナストラック付き
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※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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