FIVE NEW OLD、ジャンルレスなスタイルに辿り着いた末のニューEPを語る。

FIVE NEW OLD | 2017.01.10

 スムーズでフックの効いたボーカルがクセになるキャッチーさを持ち、80’sや90’s前半のシンセやギターサウンドのセンスもありながら、ボトムとなるリズムはタフなバンドサウンドを通ってきた骨太さもある。洋楽で言えばマルーン5やThe 1975にも通じるワールドワイドなポップバンド、それがFIVE NEW OLDだ。結成後はいわゆるラウド、エモ、ポップパンク系のバンドともイベントを重ね、フィジカルに訴えるライブの現場でも勝負してきた彼らが、今、アーバンなグルーヴを感じさせる音楽性を選んだのはなぜなのか? 3rd EP「WIDE AWAKE EP」のリリースを機にユニークなバンド像に迫ってみた。

EMTG:FIVE NEW OLDの今の音楽性からは想像しづらいほど、ラウド、エモ系のバンドと繋がりが深いですね。
Yoshiaki(Ba.):元々、神戸で結成したんですけど、地元の後輩にFear, and Loathing in Las Vegasがいて、彼らに結成当時、デモを聴いてもらったらめちゃめちゃ気に入ってくれて神戸のイベントに呼んでくれたんですよ。それでラウド系のバンドと一緒にライブをすることが多くなって。その中でお客さんは僕らのことを受け入れてくれるか心配だったけど、結構、喜んでくれて。それで違うジャンルのバンドとの対バンも多かったんです。それが一昨年リリースの2枚目のアルバム『LISLE’S NEON』を出した頃からギターロックのバンドともちょっとずつやるようになった感じです。
EMTG:結成時のバンドのビジョンはどんなものだったんですか?
Hayato(Dr.):ポップパンクでしたね。フォール・アウト・ボーイとかオール・タイム・ロウとか。
Yoshiaki:それが歳を重ねるにつれて、みんな聴く音楽がちょっとずつ変わってきたりして。それにFIVE NEW OLDは当初からヒップホップやR&Bとかグランジロックとかいろんなジャンルが好きだったんです。はじめはちょっと抵抗があったんですけど、それでも自分たちはいろんな音楽を聴いてるから自然なのかな? というところで、シフトチェンジしていったっていう形です。
EMTG:シフトチェンジをするきっかけはなんだったんですか?
Hiroshi(Vo):僕がメインソングライターなんですけど、Yoshiakiが言ったように、聴く曲も変わりつつ増えつつ、ミュージシャンとして自分のスキルも上がっていくにつれてやりたいことが増えてきて。いちばんのきっかけは前々作の『LISLE’S NEON』に「Hole」って曲があって、その曲は会場限定で出したシングルのB面のつもりで、自分のやりたいことをやってやろうっていうのもあったんですね。その頃は自分のやりたいこととバンドのやりたいことが乖離してる時期だったんですけど、意外とメンバーと話してたらコンセプト的にもいいんじゃない? ってなって。いざ完成してみたら「Hole」のほうがみんないい! って。それで、自分たちの判断で「Hole」をメインにしたシングルにしようよと。それがいちばんのきっかけでしたね。
EMTG:面白い経緯を持ったバンドですが、今になるとFIVE NEW OLDのあり方はナチュラルだなと思うんですよ。今の時代、極論すればONE OK ROCKもyahyelもジャンルは違うけれど、自分自身のことを表現して世界で認知されつつある。そういう流れにあるのかなと。
Hiroshi:そうですね。ONE OK ROCKもかっこいいと思うし、yahyelは去年、僕たちの企画に出てくれたことがあって、僕たちはどっちも好きで。僕らはその中間点にいるバンドなのかなと思いますね。だからこそ器用貧乏で終わっちゃいけないというか、強い個性を持つバンドがいる中で、僕たちはどっちの要素もやろうと思えばやれるからこそ、それが中途半端に終わらないようにしないといけないなっていうのは特に意識してる部分ですね。
EMTG:今回の「WIDE AWAKE EP」は、もう人種がどうとか考えずに、聴いていて最高に気持ちのいい曲ばかりですね。
Yoshiaki:ありがとうございます(笑)。
EMTG:今回この4曲を入れるにあたってのビジョンは?
Hiroshi:今回は夜をテーマにするっていうのを最初のコンセプトとして決めてて。今までは夏とかドライブ、晴れた日、朝っていうイメージが強いなって自分たちでも感じていたんですが、逆に夜にも聴いてほしい、夜にFIVE NEW OLDを聴こうっていうEPを作るのがスタートになって。で、その中でいちばん僕が夜に聴きたいと思った曲が「Stay(Want You Mine)」だったので、「Stay(Want You Mine)」から作り始めて。そこからいろんなデモを作ってみんなで聴き合って、僕たちが聴いてほしいと思うFIVE NEW OLDの表現ができてる曲はどれだろう? ってピックアップしていきました。
EMTG:シンセと生音のバランスなどは曲ごとに考えていくんですか?
Yoshiaki:そこはサウンドの巨匠が(笑)。
Wataru(Gt.):(笑)。曲の持ってる雰囲気って結局メロディありきというか。そこに乗ってきたものに対してどういうアプローチをシンセサイザーだったりギターだったり、ま、ドラム、ベースみんななんですけど、1曲ずつ別々のアプローチの仕方にはなっていきますね。
EMTG:インディR&B的なものよりこの曲はもっと80’s的なものを感じました。
Wataru:実際そこにも影響受けてて。1曲目の「Stay(Want You Mine)」って曲とかは特に80’sとか90’s前半とかのリズムを使って作った曲にはなっていますね。そのほかの曲も、今回、僕は全体的にサンプリングで作った曲になるので、そういったところも顕著に出てるんじゃないかと思います。
EMTG:あと、歌詞が英詞なので日本語では言い表せないような恋愛観や余白が感じられるのが面白いなと思います。
Hiroshi:やっぱり英詞の魅力っていうのは言葉の情報量の少なさというか、少ないが故に解釈が人に委ねられる側面が日本語より強い部分があって。なので、日本語だったらクサくて言いにくいようなこともメロディに乗せてスッと言ったらあまり抵抗なく入ってくるところが英語の良さでありいちばんの魅力かなと思ってます。
EMTG:「Stay(Want You Mine)」のミュージックビデオも拝見したんですが、メンバーからもアイデアは出したんですか?
Yoshiaki:ワンカットで、バンドで演奏してるスタイルというより今回はHiroshiにフォーカスを当てて、Hiroshiの表現力を中心にして僕らを見てほしいというのを伝えて、監督が考えてくれました。
EMTG:スマホにメッセージを打って封筒に入れて渡すっていう比喩はなんなんだろうな? と思ったんですけど。
Hiroshi:監督自身のアイデアというところもあって、僕たちがそこについて何かを言ったってことはないんですけど、例えば「Hush Hush Hush」という曲で歌ってることって現代社会における承認欲求の大きさについてなんです。そういう意味でも、ミュージックビデオでの表現もメールで伝えてることだって、ほんとは封筒に入れたり、文字を書いてみたりだとか、言葉で伝えてみたりとか、結局は人と人で伝え合うっていうことのほうが残るし。今はどうしても電波に頼りがちというか、距離感がどこにいてもゼロじゃないですか? こういう社会に生きてると。でも実際の距離はどこまでもあって。それをもう一度意識しないと、結局繋がってるようで孤独なんじゃないかっていうところは、このEPの全体的なテーマとして“夜”がもたらす副題じゃないけど……うん、そういうところはありますね。
EMTG:キャッチーだけど奥も深い。いい意味でどのカテゴリーにも入れづらいバンドですね。
Hiroshi:どこまでもマーブルでいいかなと思ってます。それって本来、日本人が持ってるアイデンティティのひとつだと思うんですよね。すごい洋楽志向的だと言われがちですけど、自分たちが育ってきたなかで得たものをフィルターにして作っていってるというところはありますね。

【取材・文:石角友香】

tag一覧 シングル 男性ボーカル FIVE NEW OLD

リリース情報

WIDE AWAKE EP

WIDE AWAKE EP

2017年01月11日

TWILIGHT RECORDS

1. Stay (Want You Mine)
2. Hush Hush Hush
3. P.O.M.
4. Burned in The Fire

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

WIDE AWAKE TOUR
2017/01/13(金) 大阪・心斎橋CLUB DROP
2017/01/18(水) 宮城・仙台enn 2nd
2017/01/20(金) 石川・金沢vanvan V4
2017/02/03(金) 福岡・福岡Queblick
2017/02/10(金) 愛知・名古屋APPOLO BASE
2017/02/23(木) 東京・渋谷QLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る