2ndシングル「さいごまで/カナデアイ」は、イトヲカシだからこそ完成した“応援歌”と“ラブソング”に。

イトヲカシ | 2017.02.07

 昨年9月にメジャーデビューしたイトヲカシが2ndシングル『さいごまで/カナデアイ』をリリースする。「さいごまで」は、“キットカット”受験生応援キャンペーンソングと、河合塾2017年度CMタイアップソング。温かい言葉、爽やかなサウンドでリスナーを包むこの曲は、受験生はもちろん、それ以外の人々の心も優しく鼓舞するはずだ。そして「カナデアイ」は、TVアニメ『双星の陰陽師』のオープニングテーマ。同アニメの世界を踏まえつつ、愛というものの本質をじっくり描いている。今作に込めた想いについて、伊東歌詞太郎(Vo)と宮田“レフティ”リョウ(Bass/Guitar/Key)に語ってもらった。

EMTG:「さいごまで」は、“キットカット”受験生応援キャンペーンソングですね。
伊東:はい。実はこのお話を頂くちょっと前から「どうやったら自分たちなりの応援歌を書けるのかな?」ということを2人でずっと考えていたんですよ。僕たちもきつい状況の時に音楽を聴いてなんとか頑張ってこられたので、そういう音楽を作りたかったんです。
EMTG:イトヲカシとしての応援歌を書く上で、何かポイントにしたことはありました?
伊東:曲を作る前に、応援歌について自分たちなりに考えたんです。それで思ったのはサビの頭でドカンと来る言葉、僕らは「パワーワード」と呼んでいるんですけど……そういうものが、素晴らしい応援歌にはあるんだなと。だからイトヲカシなりのパワーワードを探しました。そして出てきたのが《さいごまで》です。
宮田:その《さいごまで》を軸にして曲を作ろうとしていた時にキャンペーンソングのお話をいただいたんですよ。曲を形にするための良いきっかけをいただきました。受験生に限らず、いろんな人たちに伝わるものになっていたら嬉しいです。
EMTG:この曲、《君は一人じゃない》というフレーズも印象に残ります。
宮田:リスナーのみなさんはいろんな状況があって、家族とかからの応援がある人もいれば、そうじゃない人もいると思うんです。でも、少なくとも僕らは聴いてくれるみなさんを応援して背中を押したいんですよね。そういう想いを込めたのが《君は一人じゃない》です。
伊東:僕は勉強を学生に教えていた経験があるんですけど、受験生は一旦つまずくと「自分の人生は上手く行かないんじゃないか?」って考えてしまいがちないんですよ。そうなると親とか先生とか信頼してた友だちの言うことに耳を傾けなくなって、「僕は一人なんだ」ってなっていくんですよね。でも、「そんな時でも君のことを応援してくれる人は周りにいるんじゃないかな」っていうことを思い出して欲しいし、もし「本当に誰もいないとしても、俺たちはきみのことを応援するよ」っていうことをこの曲に込めました。
EMTG:歌詞太郎さんの親御さんは、たしか教師でしたよね?
伊東:そうなんですよ。2人とも教員をやっておりまして。
EMTG:「さいごまで」を聴いたら、喜んでくださるんじゃないですかね。
伊東:そうだといいですね。親父はライブに来てもすぐに帰っちゃって、多くを語らないんですけど、こうして活動しているのを喜んでくれていると思います。母親はツイッターまで見ていて、何かを発表するとすぐに連絡が来るんですけど(笑)。
宮田:ウチの両親も応援してくれています。父は全部のメディアをチェックしていて、「あんまり家族の細かい情報をインタビューでばらすな!」って言ったりしています(笑)。
伊東:でも、僕ら2人は家族の温かさも知っているんですけど、家族と上手くいかなかった時期も共通して持っているんです。そういう経験も踏まえて「支えてくれる家族がいるよね」で終わらない曲にすることができたのも、良かったと思います。「支えてくれる家族とかがいないとしても、最後の砦として俺たちがいるよ」ということを歌えましたから。
EMTG:曲の話から少し外れますが、受験の思い出は何かあります?
宮田:僕は幼稚園受験、いわゆる「お受験」しか体験していないんですけど、試験の時のことはなんとなく覚えていますよ。動物に優しかったのと、パズルが上手かったから受かったらしいです(笑)。
伊東:長い付き合いだけど、パズルが上手だというのは初耳だぞ。でも、動物に優しいというのは、その通りだと思う。
宮田:その場にいたウサギをめっちゃ愛でたのを、おぼろげに覚えています。それが良かったのかなと。
伊東:その年齢で動物を愛でるっていうのは、本質がそうなんだと思うから、「この子は優しい」っていう判断だったんでしょうね。
宮田:僕は今でもイノセントですから(笑)。
伊東:パズルに関してはどうなの?
宮田:レゴが得意なんですよ。レゴビルダーになろうかなと思うくらい。子供の頃から粘土とか、造形が好きでした。
伊東:ルービックキューブは得意?
宮田:全然得意じゃない(笑)。
EMTG:曲を構築するのと造形とかパズルで使う立体感覚って、相通ずるものがあるんじゃないですか?
宮田:それは感じます。料理をしていても音楽と似ているなと思うことがありますよ。いろんな要素の組み合わせや配分が大事なのは共通するものがあるでしょうから……と言いつつ、料理は全然得意じゃないんですけど(笑)。
EMTG:(笑)歌詞太郎さんの受験の思い出は?
伊東:僕は小学校の頃にひどいいじめに遭っていて、中学から私立に行きたい気持ちがすごく強かったんです。だから一生懸命、受験勉強を頑張りました。国語がめちゃくちゃ得意だったんです。でも、算数が全然得意じゃなかったので頑張りました。受験に落ちたら、またいじめられる日々が続くのかもしれないから必死でしたよ。とはいえ「受験に落ちてもいいからノストラダムスの大予言を外してください」って祈ったこともあるので、ブレはあるんですけど。1999年の7の月、マジで怖かったので(笑)。
EMTG:(笑)「さいごまで」は、「まずは受験という期間が決まっている試練を精一杯駆け抜けてみなよ」というメッセージがこめられているのも印象的です。
伊東:ゴールテープのその先が、ほんとはめちゃくちゃ大事だと思うんです。もし、受験のゴールテープを良い形で切れなかったとしても、それは別にいいんですよ。そこからまた走ることができますから。人生ってゴールテープの連続じゃないですか。だから「まずは、そこまで走ってみたら?」ということです。
宮田:自分の辿ってきた道のりは、失敗したことも含めて自信に直結するものですからね。まずは精一杯走ってみたら、なにかしらの形で活きてくるんだと思います。
EMTG:この曲、サウンドに関しては終盤の転調がいいですね。グッと空間が広がる印象になっています。
伊東:ありがとうございます。3サビで一番言いたいことを言っているので、まさにそういうサウンドにもしたかったんです。もしかしたら2サビまでで受験は終わっているのかも。3サビからの「世界が広がりました」みたいなニュアンスが伝わったらいいですね。
宮田:サウンドのアレンジって歌詞と合致させるのが大事だと思うので、情景を浮かべながら作っています。この転調もそうですね。
伊東:メロディがイマイチだから転調したわけじゃないよね?
宮田:違うよ(笑)。メロディがイマイチだったら1サビから転調してるから。
伊東:良かったあ(笑)。
EMTG:(笑)もう1つのタイトル曲、「カナデアイ」のお話に移りましょう。アニメ『双星の陰陽師』のオープニングテーマですね。
伊東:前回のシングルに収録した「宿り星」をエンディングテーマにしていただいて。それだけでもありがたかったのに、こうして今回もお話をいただけて嬉しかったです。「カナデアイ」は、お話をいただいてから作った曲です。
宮田:前作がリリースされたくらいのタイミングで、『双星の陰陽師』の原作者の助野嘉昭先生が、僕らのライブに来てくださったんですよ。こっちが嬉しくなっちゃうくらい、すごくノリノリでした。
伊東:盛り上がっている男性がステージから見えて、「誰なのかな?」って思っていたんです。ライブの後に「助野です」ってお会いして、「そうだったんですね!」と(笑)。「めっちゃ楽しかった」っておっしゃってくれて、ほんと嬉しかったです。だから今回もイトヲカシとして、『双星の陰陽師』という作品を輝かせる曲を作りたいと思っていました。
EMTG:男女の関係って、傷つけ合ったりすることもあるわけじゃないですか。それも含めて人生の機微として噛み締めて共に進んで行こうとする姿を感じるのが、「カナデアイ」だと思いました。
伊東:『双星の陰陽師』は男女の愛を描いている作品でもあるので、その部分と自分自身の恋愛というものに対して抱いているものを曲にしたいと思っていました。例えば甘いバラードというのもラブソングの1つの形ですけど、それとは別のものを曲にしたかったんです。おっしゃる通り、恋愛は傷つけ合う面もあると思うんです。でも、お互いの反省とごめんなさいの言葉があれば、それはマイナスのものではないのかなと。「お互いに傷つけ合ったけど、ここから2人で行けるかい?」っていう問いかけが、この曲なんですよね。
宮田:こういうのは人の愛の真理なんだろうなと僕も思います。
伊東:その結果、スウィートではないラブソングとなりました(笑)。甘いラブソングも世の中に必要ですけど、今回、描きたかったのは、それとは別のものだったんです。
宮田:男女に限らず、人間同士って、こういう面があるんじゃないですかね。僕ら自身に関してもそうですから。僕らは中学の頃からの付き合いですけど、この4、5年でも、お互いの関係性を見つめ直すことがいっぱいありましたよ。
伊東:お互いに知らないところでいろんな経験をしてきたことで生まれた変化を感じることもありますし。彼(宮田)に関しては、この2年くらいで人の気持ちに敏感になったと思います。それは「いろんな人の悪意に触れたからなのかな」とも想像しているんですけど。悪意に触れたことによって、他人に対して自分も悪意を向けるようになる人もいれば、その反対に思いやる心を深めるタイプもいるじゃないですか。彼は後者だったんだろうなと。だから「傷」って人間を優しくもするものだと思っています。
宮田:まあ、僕もいろいろありました(笑)。でも、ヘイトの気持ちって自分の中でプラスの方向へ転化していかないと、どんどんダークサイドに堕ちて行ってしまうと思います。
伊東:そういう変化を感じるのも嬉しいことです。「イトヲカシをこれからもやっていける!」っていう気持ちがより強くなりました。
宮田:特に去年とか一緒にいる時間がより長くなったことで、お互いの心のコアの部分、本心により迫れたのかもしれないですね。お互いにちゃんと話をして、考えや気持ちを伝え合うことの大切さも、より感じるようになりましたし。
伊東:僕らは建設的にいろいろ話し合うんですけど、それを積み重ねた結果、「この2人、相当不器用な人間なんだな」ということも感じています(笑)。そういう者同士で、すごくストレスフリーに音楽をやれているのが嬉しいです。
EMTG:前作のインタビューでイトヲカシの活動に関して「永遠の青春」っていうような言葉が出ましたが、まさにその感じで進めているわけですね。
宮田:映画の『スタンド・バイ・ミー』という感じです(笑)。
伊東:あの映画で言うと、僕ら、まだ線路にも立ってないな?
宮田:キーファー・サザーランドがまだ出てきてないくらいかも(笑)。僕らもここからさらに面白くなっていきたいです。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

さいごまで / カナデアイ[CD+DVD]

さいごまで / カナデアイ[CD+DVD]

2017年02月08日

avex trax

[CD]
1.さいごまで
2.カナデアイ
3.さいごまで(Instrumental)
4.カナデアイ(Instrumental)
[DVD]
1.さいごまでI(Music Video)
2.カナデアイ(Anime Music Video)

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■ライブ情報

イトヲカシ “second one-man tour 2017”
2017/04/29(土) 函館 クラブココア
2017/04/30(日) 札幌 PENNY LANE 24
2017/05/07(日) 横浜BAYHALL
2017/05/13(土) 仙台Rensa
2017/05/14(日) 水戸ライトハウス
2017/05/20(土) 広島クラブクアトロ
2017/05/21(日) 名古屋 ボトムライン
2017/05/27(土) 松山サロンキティ
2017/05/28(日) 高松DIME
2017/06/02(金) 大阪 BIGCAT
2017/06/03(土) 神戸 チキンジョージ
2017/06/10(土) Drum LOGOS
2017/06/11(日) 熊本 B-9V1
2017/07/02(日) 沖縄 桜坂セントラル
2017/07/09(日) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2017/07/16(日) 東京ZEPP TOKYO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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