androp 新たな環境からのリリース第一弾となるシングル『Prism』は、“希望”を描いた作品に。

androp | 2017.05.09

 昨年、自主レーベルimage worldを立ち上げ、純粋な表現と理想的な伝達方法をじっくり追求していたandrop。彼らがユニバーサルミュージックZEN MUSICとタッグを組み、新しい環境から世に送り出すのが今作『Prism』だ。タイトル曲「Prism」は雄大に広がる音像、瑞々しいメロディが心地よい。ライブで既に披露されている「Ryusei」、映画『君と100回目の恋』の挿入歌を新しいアレンジで再構築した「BGM」も収録されているこのシングルは、どのようにして生まれたのか? 4人に語ってもらった。

EMTG:新しい環境からのリリースですね。
内澤崇仁(Vo・Gt):はい。前作の『blue』と、『best blueprint』というツアーは、去年自分たちで立ち上げたimage worldという自主レーベルの門出であり、意思表明だったんです。それを経て、「自分たちの音楽を1人でも多くの人に届けていく」ということについて改めて考えていた時に今のレコード会社のスタッフと出会って、「自分たちの音楽や想いを一緒に届けられる人たちだな」と思ったんです。
EMTG:みなさんの抱いている理想を共有できるチームということですね。
内澤:そうです。僕たちは良い曲を作って良いライブをするだけが音楽活動ではないと思っているんです。付随する全てのことに責任を持って把握するのも音楽に繋がるのではないかと。新しい体制で、それをさらにやっていこうと思っています。
EMTG:2016年は、様々な挑戦があった1年でしたよね。『blue』も、それまでのandropの作品とは異なる雰囲気がありましたし。
内澤:あのアルバムは、「闇を描くことによって、その逆にある光を音楽として強く表現できるのでは?」という想いがあったんです。おっしゃる通り、今までの作品とは違う雰囲気があったと思います。
EMTG:メンバー全員が作曲や作詞に取り組んだアルバムでもありましたよね。僕、去年のツアーで前田さんが作曲した「Lost」を聴いて、すごく感銘を受けたんですよ。
前田恭介(Ba):ありがとうございます。書いた曲が自分の手を離れて世に出て、いろんな人に聴いてもらえるというのは、とても良い経験になりました。
EMTG:「Lost」の作詞は、伊藤さんでしたね。
伊藤彬彦(Dr):はい。いろんな人に相談しながら書いていったので、「自分が作った」という感覚はあまりなかったんですけど。最終的には内澤くんが歌うものですし、「バンドとして打ち出したもの」という感じの方が強かったです。でも、歌詞を書いたことで、曲に対する見方とかが広がったと思います。
EMTG:佐藤さんは、前作の「Kienai」の作曲をしましたけど、『blue』や昨年の活動を振り返って、どんなことを感じますか?
佐藤拓也(Gt・Key):内澤くん以外のメンバーも作詞作曲をして、ライブでも演奏したことによって、それぞれのスキルが上がって、自信もついた1年でしたね。それが今回の新曲にも表れていると思います。
内澤:「Prism」では自分たちのこと、今までの自分たちのこと、バンドのこれからのこと、希望を描きたいと思っていました。そして、聴いてくれる人がそれぞれのものに置き換えた時に心が動くものにもしたかったんです。
伊藤:内澤くんの言う通り、聴いた人の曲として捉えられる自由度もすごくあると思います。メロディも気持ちいいんですよね。
佐藤:いろんなデモがあった中でこれが選ばれたんですけど、強いメロディ、強い曲であるというのを僕も感じました。
前田:メンバー全員が、このメロディを活かすことに重点を置いていた曲です。4人それぞれのものを採り入れて形にしていく化学反応がバンドの良さだなと、今回の制作で改めて思いました。
内澤:僕たちはミュージシャンですけど、それ以前に、本当に音楽が好きな4人組なんです。音楽に対して貪欲だからこそ、自分たちの納得できるサウンドを追求できているんですよね。この曲もそういうものになっていると思います。
EMTG:作った曲をメンバーと一緒に形にしていく作業は、刺激的なんでしょうね。
内澤:はい。メンバーは仲間であると同時にお互いに高め合える間柄でもあるんです。
EMTG:この4人が集まっている時の雰囲気って、不思議な良さがありますよ。こうして取材のために並んでいる姿も、何か独特のエネルギーを感じますし。
内澤:それはないと思います!(笑)。
伊藤:およそ考えられないワードを頂きました(笑)。
前田:僕ら、オーラがなくて有名ですから(笑)。
佐藤:驚きました(笑)。
EMTG:……こんなに全力で否定されるとは(笑)。でも、ステージに立っている時なんて、超かっこいいですよ。
内澤:他に何もない4人なので、「ステージに立って音楽を表現している時くらいは……」とは思っています(笑)。
EMTG:(笑)「Prism」のサウンドに関しては、牧歌的な柔らかい空気感が漂っているのも独特ですね。ちょっと極端な言い方をすると「アイリッシュフォーク、カントリー的」というようなニュアンスです。
佐藤:アコギの音色が醸し出しているものもあるんでしょうね。
伊藤:あと、サウンドのノリによる部分も大きいのかもしれないです。『blue』を作りながら、縦ノリだけじゃなくて横ノリも欲しいという話をしていたんです。僕らのルーツにはそういうノリの音楽もありますし、いろんな楽しみ方をお客さんにしてもらいたかったからなんですけど、その経験が「Prism」にも入っているんじゃないでしょうか。
内澤:こういうところにも、音楽好きの4人であるところが出ていると思います。1つのジャンルにこだわらずに、様々な可能性を信じていきたいんです。音楽って「1つだけじゃない」っていうところが面白いですよ。
EMTG:andropをシンプルに言い表すならば、「音楽好きの4人」ってことなんでしょうね。オフの日も音楽のことばかり考えているんじゃないですか?
伊藤:どうでしょう?
佐藤:あなたはそうだと思うよ。
内澤:ドラムのことしか考えてないでしょ。
伊藤:サウナに入っている時とか、音楽のことは考えていない気がするけど。
EMTG:無意識のままドラムスティックを握り締めながらサウナに入ったりは?
伊藤:ないです(笑)。サウナの木の材質は気にしているかもしれないですけど。でも、「木材の熱伝導率とドラムスティックの音色は関係あるかもしれないなあ」とか、考えるくらいですよ。
佐藤:それ、十分にドラムのこと考えてるよ。
伊藤:そうか(笑)。
EMTG:楽器が好きな人って、そういうところがありますよね。家具屋に行って店員さんに「こちらのテーブルはアッシュ材(エレキギターやベースによく用いられる木材の1つ)でございます」とか言われたら、「ピクン!」と反応しちゃうじゃないですか。
前田:そうですね。「パキッとした感じなのかなあ」と(笑)。
EMTG:andropは、そういう人たちの集まりですね。
内澤:はい(笑)。みんな、音楽ばっかりです。
EMTG:去年くらいからライブでやっている「Ryusei」も、音を奏でる喜びに満ちていますからね。これはザ・キュアーとか、80年代のギターロック的なテイストを感じました。
佐藤:ライブでやりながら育てていった曲です。80年代っぽいコーラスのエフェクトがかかったギターの部分は、もともとは違う音色だったんですけど、ライブのスタッフの提案で試した結果、こういうものになったんです。
EMTG:ドラムのかっちりしたスクエアなニュアンスも80年代っぽいです。
伊藤:イメージしたのはポリスのスチュアート・コープランドです。
EMTG:ベースは、シンプルなアプローチですね。
前田:昔の僕は自己主張が強いところがあったんですけど、最近は歌を聴かせることや、全体の中でのベースの立ち位置をより考えるようになっているんです。この曲のベースはアタックのあまり強くない音色ですけど、みんなの80年代の雰囲気に薄っすらと乗った結果、こういうものになりました。
佐藤:みんなで「いいね、それ」ってワイワイやる最近の雰囲気も出ている曲ですね。今回、プリプロの段階から「誰かから意見が出たら、基本的に否定はしないでやってみる」という進め方だったんです。みんなが曲を書くようになったことで、それぞれから意見が出やすくなっているというのもあるんだと思います。
EMTG:そして3曲目の「BGM」は、映画『君と100回目の恋』の挿入歌ですね。
内澤:はい。もともとは挿入歌として映画のシーンを引き立てるために作った曲で、2月に配信もしたんですけど、今回のシングルのために新しいアレンジにしました。この4人のバンドらしいサウンドにしたかったんです。
佐藤:ダビングをあまりしていない最小限の音ですけど、1つ1つのフレーズが力を持っていると思います。
伊藤:さっき決めたんですけど、僕、自分の葬式の曲を「BGM」にしてほしいんです(笑)。
EMTG:(笑)なぜですか?
伊藤:この曲、すごく好きなんです。映画で流れたバージョンも、パーカッションをいろいろ重ねたのが楽しかったです。僕は吹奏楽部だったので、久しぶりにそういう楽器をやれたのも嬉しくて。ラストのサビにティンパニーを入れたのが、まじ胸キュンで。シングルバージョンで叩いたドラムもすごく気に入っています。だから「私が遺したものは、これです」というものとして流そうかと。
EMTG:お葬式じゃなくて、結婚式とか還暦のお祝いとか、おめでたい人生の節目で流せばいいじゃないですか。
佐藤:死ぬ必要はない(笑)。
内澤:おめでたい時でお願いします(笑)。
伊藤:そうか(笑)。まあ、それくらい良い曲になった手応えがあるということです。
前田:「BGM」は僕自身も好きですし、曲を聴いてくれた人から「あの曲、良いね」と言われることが多いんですよ。佐藤くんが提案してくれたベースのフレーズ、最初「すっげえ、だせえ」と思ったんですけど(笑)。でも、やってみたら意外とかっこよかったです。
佐藤:否定せずに弾いてくれました。でも、「だっせえな」とは思っているという(笑)。
前田:弾くけど楯は突くんです(笑)。やってみると、自分にはなかったものが手に入るというのは良いですね、バンドをやる意味だと思います。
EMTG:今作のリリース後の全国ツアーも、バンドとしてのみなさんの魅力がすごく発揮されるんじゃないでしょうか。
内澤:そういうものにしたいです。2年ぶりのライブハウスツアーなんです。各地でしかできないものを高い精度でやりたいです。我々もいろいろな経験を積んできたので、それをお客さんと近い距離で鳴らして共有するツアーにしたいです。
佐藤:新しい曲も作り始めているので、今年は充実したものになりそうですよ。ここから僕らがどういう活動をするのか楽しみにして頂ければと思います。
【取材・文:田中 大】

tag一覧 シングル androp 男性ボーカル

リリース情報

Prism

Prism

2017年05月10日

image world

1. Prism
2. Ryusei
3. BGM (single ver.)

お知らせ

■ライブ情報



■ライブ情報

androp one-man live 2017 at 日比谷野外大音楽堂
10/28(土) 日比谷野外大音楽堂

one-man live tour 2017
"angstrom 0.8 pm"

05/15(月) 千葉 LOOK
05/16(火) 群馬 高崎 club FLEEZ
05/18(木) 神奈川 横浜 Bay Hall
05/20(土) 滋賀 U STONE
05/21(日) 京都 磔磔
05/23(火) 兵庫 神戸 VARIT.
05/25(木) 香川 高松 DIME
05/27(土) 愛媛 松山 WStudioRED
05/28(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
05/30(火) 静岡 浜松 窓枠
06/03(土) 新潟 LOTS
06/04(日) 福島 郡山 HIPSHOT JAPAN
06/09(金) 熊本 B.9 V1
06/11(日) 長崎 DRUM Be-7
06/15(木) 北海道 札幌 PENNY LANE 24
06/16(金) 北海道 函館 CLUB Cocoa
06/22(木) 宮城 Sendai Rensa
06/25(日) 愛知 Nagoya DIAMOND HALL
06/27(火) 大阪 umeda TRAD(umeda AKASO)
07/04(火) 東京 Ebisu LIQUIDROOM
07/07(金) 福岡 DRUM LOGOS



UNISON SQUARE GARDEN 「fun time HOLIDAY 6」
05/03(水祝) 新潟LOTS

JAPAN JAM 2017
05/05(金祝) 千葉市蘇我スポーツ公園

SOUND SHOOTER vol.12
05/06(土) Zepp Sapporo

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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