【ミオヤマザキ集中連載第1弾】 事務所社長に聞く“メンヘラ”力の高いJ-POP王道進化系の魅力

ミオヤマザキ | 2017.07.06

ph_iwasaki.JPG

 いよいよ7月12日にリリースとなるミオヤマザキのニューシングル「ノイズ」。なぜ彼女たちは顔出しをしてこなかったのか。そして楽曲がこの時代に生きる人々の胸に刺さる理由とは? 第2フェーズへと向かうミオヤマザキの重要なリリースタイミングで、EMTG MUSICでは全3回にわたって集中連載をスタートする。記念すべき第1弾、ぜひご覧いただきたい。

画期的なブランディング&マーケティングにチャレンジ

3,000人キャパの日比谷野外音楽堂をソールドアウトさせているロックシーン要注目のニューカマー、ミオヤマザキをご存知だろうか? 個人名のように見えるアーティスト名だが、実は紅一点ボーカリスト、mioを中心とした4人組ロックバンドだ。

ミオヤマザキはインディーズ時代、自らをPRする目的で作ったiOSでのゲームアプリ『マヂヤミ彼女』が300万ダウンロードを突破、人気セクシー女優の有村千佳が参加したミュージックビデオ「民法第709条」が話題となり、新曲20曲を一気にサブスクリプション・サービスでの配信するという画期的なリリース体験、さらに『メンヘラバーチャルミュージアム』としてVRやAIを取り入れた先鋭的な施策、7月15日にはTwitterドラマ『その愛、お金で買いました』を実現しようとしているなど、従来の音楽業界のプロモーションとは一線を画した、アーティストのブランディングを打ち出す、画期的なマーケティングにチャレンジされてきた。

主要楽曲タイトルから見てもわかる通り「メンヘラ」、「水商売」、「女に浮気がバレる26の法則」、「ド・エ・ム」、「バカアホドジマヌケ死ね」、「Hのすゝめ」、「童貞ハンター」、「死ニDIE」など、ミオヤマザキが描き出すポップミュージックを、良識ぶったオトナは顔をしかめるかもしれない。しかし、人間関係の本質をむき出しの刃のように鋭く切り取る視点の鋭さ、真っ正直にピュアなメンヘラ感(※実は、誰もが持っている感情だとも思う)など、日本オリジナルなJ-POP王道の歴史を継承したエンタメ感の強さに、ティーンエイジャーを中心としたミオラー(※ミオヤマザキファンの意)が“神”と崇めているカリスマ性の高さに注目したい。そう、尾崎豊や椎名林檎だって“メンヘラ”からスタートしていたのだ。

ミオヤマザキは一切顔出しをせず、インタビューに応じることもない。メディアを通じて湾曲されるコミュニケーションを断絶し、ライブにおけるオーディエンスとのリアルなコミュニケーションを大切にしているのだ。そんな中、ミオヤマザキが所属するマネイジメント事務所代表、株式会社トイル&モイルの若き代表取締役、岩崎貞文氏が取材に答えてくれることとなった。希代のパンクバンド、セックス・ピストルズには名物マネージャー、マルコム・マクラーレンがいたように、ミオヤマザキには岩崎氏がいるというワケだ。

そこで、第2期ミオヤマザキのスタート。バンドにとってターニングポイントになるであろう意欲作、TVアニメ『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』主題歌タイアップとなった2ndシングル「ノイズ」について話を聞いてみた。

若き事務所社長が語る、ミオヤマザキ

EMTG:岩崎さんとミオヤマザキというバンドとの関係性は、所属事務所の社長とのことですが、現場感が強い印象もあります。
岩崎:僕は、どちらかというとプロデューサーみたいな感じの方が近いかもしれないです。気持ち的には、メンバーのひとりという感覚でやらないとついていけないというか。現場での、ザワザワしている感じについていけなくなってしまうので。
EMTG:バンドメンバーとの距離感が近そうですよね。これほど様々な企画や、スピード感ある展開をされていると議論や、それこそ揉め事なんかも多いんじゃないですか?
岩崎:ありますね。でも、バンドって青春じゃないですか? 永遠の文化祭というか。小さなことでも向き合った分だけの時間が答えとしてあらわれてくるんですよ。逆にそういう意味では、メンバー全員と信頼関係は大事にしていますね。

チャレンジしたいなと思って作ったアニメ主題歌

EMTG:今回、初のアニメ主題歌でのタイアップとなりましたがいかがですか?
岩崎:タイアップはアニメでは初めてなんです。通常は当たり前なんですが制約が多いいんです。そんなこともあってこれまでは、ミオヤマザキの世界観を、アニメのタイアップひとつでひん曲げてしまうことが許せない自分たちがいました。なのですが、『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』では、ありがたいことにミオヤマザキの世界観のままで作っていいよと言ってくださって。チャレンジしたいなと思って作った曲ですね。
EMTG:『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』自体の世界観ともハマってますよね。楽曲としてはもともとあった曲なんですか?
岩崎:歌詞自体は、けっこう前からmioが作っていたもので。それに合わせて曲を作った感じですね。
EMTG:4月1日に行った、日比谷野外大音楽堂での『重大告白』とタイトルを名付けたスレ(※ライブの意)が素晴らしかったんです。その理由のひとつとしては、バンドの表現はもちろん一体感あるサウンドと照明へのオリジナリティへのこだわりですね。それこそ、通常野音では使わないであろう、低音の効いたスピーカーや、照明を上から釣るのではなく、ステージ下から照らすという方法論。どんな意図を持って選択されたのでしょうか?
岩崎:今回の野音に関しては、最初はステージの後ろに全面LEDを引こうとしていました。でも普通すぎて面白くないなと。じゃあどうするかと考えた時に。アクリル板をステージのフロアに使用して、赤坂ブリッツの時にステージ後ろに使っていたパワーある照明を、ステージ下に仕込んでみたんです。
EMTG:それはアイディアですね。

野音で照明を釣らず、低音が強いスピーカーを導入したワケ

岩崎:照明を上に吊らなかったのは、オーディエンスの目線が分離するのが嫌だったからなんです。最近のコンサートって、LED、ライブ、音、本人たちのパフォーマンス、照明っていうのが分離しているパターンって多くないですか? 目線をコントロールできなくなるんですよね。だいたい、LEDや演出がコンサートの付録だったらつまらないじゃないですか? ミオヤマザキの場合は、映像も音も照明も、パフォーマンスも演出全部を含めてミオヤマザキというショーとして一体感ある表現を表したかったんですね。
EMTG:いま日本の音楽シーンは、80年代~90年代のバブル的な経験の蓄積によって成熟してしまいました。そんな中でもミオヤマザキは、当たり前を疑う意識を持って前へ突き進んでいますよね。
岩崎:フェスに出ていないと売れていないみたいな、そんな文化があるじゃないですか? しかも、場所とタイトルが違うだけで、毎回同じようなヘッドライナーで同じようなフェスを全国でやっていて。それって、昔でいうタイアップが決まる決まらないとおんなじ状況なのかなと。
EMTG:タイアップ待ちや、フェス待ちみたいな状況は、その思いを受け止めるファン的には嬉しくないですよね。

今の音楽業界や芸能界は過去の手法に縛られすぎている

岩崎:とはいえ逆にチャンスの時代だと思って。前だったら、デビューしないとCDが出せない時代だったと思うんですけど、今、デビューしなくてもCD出せるし、フェスにも出れるし。それこそ、機材も安くなってSNSがこれだけ普及した時代でミュージックビデオなんて、変な話、5万円で作れるじゃなですか? YouTuberだと5千円ぐらいで作った動画が、一日で400万再生とかされちゃうんですよ。なのに、音楽業界とか、うん100万円かけたミュージックビデオが3万再生しかされてないとかザラにありますよね? この状況にハテナを感じないのかなって。今の音楽業界や芸能界って、こうでなければいけないというものに縛られすぎているんじゃないのかなと。そんなことはいつも意識していますね。
EMTG:そういう発想は、異業種の人たちとの交流からアイディアを得たりするのでしょうか?
岩崎:そうですね。外によく出るようにしています。いつも、ミオヤマザキの施策は独自とか面白いとか言われるんですけど、いま一番、彼女たちをプロモーションしていく上で伝わりやすい方法を突き詰めて、それを世の中の流れに合わせて、できるだけ伝わるように世に出しています。それが既存の施策とちょっと違うってだけです。例えば、アプリとか、twitterドラマとかですかね?10代の子、ほとんどテレビ見てないですもん。
僕は根が子供なので、あんまりまわりを気にせずやるんです。たとえば、ミオヤマザキというバンドがテレビや雑誌のインタビューを受けないのもそこで。今、自分がインタビューを受けながらあれですけど。記事の中での発言より、お客さんに対して、Twitterでmio本人がリプしている言葉の方が、よっぽどリアルじゃないですか? 聞きたいことだって誰もが質問できるし、mioは日々答え続けているんです。
EMTG:それができる時代なんですもんね。プロモーション手法も変化して当然ということですね。

インタビューよりもSNSのリプをまとめた方がリアル

岩崎:インタビューするよりも、mioのTwitterリプを記事にまとめた方が絶対に面白いと思うんですよ。伝わると思います。Twitterでは常に話しかけられる距離感なんですから。
EMTG:今の時代、SNSにおける相互コミュニケーションが出来ますもんね。ミオヤマザキというバンドは、インタビューを受けないことはもちろん、アーティスト写真で顔出ししていなかったり、ライブでスポットライトがメンバーに当たらないことなど、顔が見えづらいという状況はどうお考えだったりするのですか?
岩崎:ミオヤマザキというバンドに最初に会った時に思ったのが、歌詞を一番に伝えたいと思ったんです。たとえば、mioが可愛かったらどんないい音楽をやっていても「あなたはカワイイからいいよね」と言われちゃうじゃないですか? もし、可愛くなかったらいい音楽を作っていても「お前がいうな」とか言われるじゃないですか? 日本の芸能やメディアって顔で判断しちゃうんですよ。
EMTG:なるほどね。

ライブに行かないと会えないみたいなムーブメント

岩崎:ミオヤマザキを世に出そうと考えた時、一番最初に受け止められるであろう形容詞を統一したかったんです。それはカッコいいでもカワイイでもなく、僕は「歌詞がヤバい!」と言われたかったんですね。で、歌詞を先入観なく伝えるには考え、顔を出すのをやめようと考えました。
そうしたら、それでライブに行かないと会えないみたいなムーブメントになって。これはこれでアリだなって。(笑)
EMTG:たしかに、ライブで前の方の席だったら顔を観れるし、CD買ったらチェキ会で本人に会えるワケですもんね。
岩崎:そこをこだわってはないんです。もう顔出してもいいと思うんですけどね。今回、2ndシングル「ノイズ」のリリースで、ようやくミオヤマザキの第2フェーズに入った気がするんですよ。やっと地盤ができたというか。ここからが。本当の意味で、ミオヤマザキがはじまると思っていますね。

お客さんに対してまっすぐ向き合う

EMTG:岩崎さんが、ミオヤマザキと契約したきっかけをあらためて教えてください。
岩崎:思っているよりがむしゃらなんです。すごくちゃんとしているというか。真摯なんですよ、mioは。お客さんに対してまっすぐ向き合うんです。疲れないのかなと思うくらい本気で。ミオラーっていうファンの子達がいるんですけど。Twitterですべてしっかりと向き合っているんですね。自分のことを大切にしてくれる人を大切にしているんです。あの数の思いを受け止めるのは重いじゃないですか? でも1対1で向き合う関係性を大切にしているんですね。僕がアーティストと契約するときに大事にしているのは、音楽はもちろん一番は人間性なんですよ。熱いか熱くないかっていう。スタッフもバンドも、そこだけで決めていますね。
EMTG:シンプルで明確なのですね。
岩崎:mioは、お客さんとの関係性においてカリスマ性を持っていると思います。メンヘラって言われるとマイノリティーの極みじゃないですか? 女子が、ミオヤマザキを好きだっていうと男子から付き合いたくないと思われるから「いいね!」押しづらい雰囲気が以前はあったんですよ。でも、去年アルバム『anti-these』を出したぐらいから変わってきて。もしかしたらメンヘラというのがひとつのムーブメントになるのかなって。

メンヘラって女の子の本音だと思うんですよ

EMTG:若い人たちにとって、メンヘラ的な感情って排除するのではなく、身近なものになってきていますよね。誰もが持っている感情でもあるという。漫画とかでも多いテーマですよね。
岩崎:メンヘラって女の子の本音だと思うんですよ。だからそもそもが間違ってて。女の子に必ずある感情だと思うんです、「メンヘラ」って。世の中が偏見を持ちすぎているっていうか。逆にそんなに誰かを愛することができるって才能だし、もはや個性だと思うんです。
だからmioの発する言葉に制限もかけないですし、その言葉に共感を示してもらえている。

僕はミオヤマザキを売るとかそういうことよりも、ミオヤマザキと一緒にカルチャーを作りたいんです。
だって、苦しい時に聞きたい音楽って最強だと思うんですよね。
そして、この状況をマジョリティーにすることにワクワクしています。
2ndシングル「ノイズ」には、いろんな感情が包み隠さず収録されています。
誰かの苦しいを救うことは出来ないかもしれないけど、ミオヤマザキの音楽が少しでも誰かの明日を生きる理由になったら嬉しいです。
ぜひ楽しんで聴いてください。よろしくお願いします!

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】




ミオヤマザキ7/12発売シングル「ノイズ」集中連載(全3回)

tag一覧 女性ボーカル ミオヤマザキ

リリース情報

ノイズ

ノイズ

2017年07月12日

EPIC Records Japan

1.ノイズ
2.鬱鬱
3. Dawn of the Felines

お知らせ

■ライブ情報

ミオヤマザキ2017全国ワンマンツアー「Contagion」
10/29(日) 柏PALOOZA
11/04(土) 仙台MACANA
11/11(土) 北海道Sound lab mole
11/19(日) 金沢vanvan V4
11/23(祝木) 大阪UNIVERSE
11/25(土) 福岡DRUM Be-1
11/26(日) 岡山CRAZY MAMA 2nd room
12/01(金) 名古屋E.L.L
12/10(日) 渋谷TSUTAYA O-EAST -FINAL-


SOGO TOKYO presents POP in the DARK ~真夏の夜のサンカクカンケイ~
07/14(金) 渋谷duo MUSIC EXCHANGE

SUMMER SONIC 2017
08/19(土) 幕張メッセ

persented by ミオヤマザキ「ミオフェス 番外編~夏休み最後の日曜日~」
08/27(日) 赤坂BLITZ

Bands Shock REVOLUTION~びじゅある祭~
10/06(金) 服部緑地野外音楽堂

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る