Maison book girl 不思議な風味を自由気ままに楽しめる最新シングル「412」をメンバー4人が語る

Maison book girl | 2017.07.18

 現代音楽的な手法を採り入れつつ、J-POPシーンのど真ん中に飛び込み得るキャッチーさを実現し、着々とファン層を広げているニューエイジ・ポップ・ユニット、Maison book girl。変拍子、意表を突く展開、斬新なメロディ……などなど、細かな要素の分析はひとまず置いておいて、自由気ままに楽しむことをオススメする。今までに味わったことのないようなワクワクを噛み締められるはずだ。最新シングル「412」も猛烈に楽しい。無音の間を散りばめながら幻想的な世界にリスナーを引きずり込む「rooms」。代表曲のボーカルを新録、リマスターを施した「last scene -2017Ver.-」。ブクガに欠かせない表現スタイルとなっているポエトリーリーディング「a-shi-ta」。どれも美しい仕上がりだ。コショージメグミ、井上唯、和田輪、矢川葵に、今作について語ってもらった。

EMTG:「rooms」、良い曲ですね。
矢川・井上・和田・コショージ:ありがとうございます!
EMTG:みなさんも、しびれているのでは?
矢川:とても好きです。途中で音を止めたりするブクガらしいユニークな部分は残しつつ、楽しい感じになっている曲ですね。サクライさん(プロデューサーのサクライケンタ)に「今回の曲、すごい好きです」とLINEしたら、「それはよかった」と返ってきました(笑)。
コショージ:アルバムを出した後の最初のシングルですし、攻めたような曲があるといいなと思っていたんですけど、まさにそういうものになりました。
和田:攻めたところがありつつ、ポップな曲になったと思います。私はブクガの曲の中でもユニークなタイプが好きなんですけど、そういう私のツボも突いてくれます。
井上:盛り上がれるし、乗りやすいと同時に、印象に残る部分もある曲です。この曲で、またいろんなみなさんにブクガが気になって頂けたら嬉しいです。
EMTG:ブクガは、いろんなグループが出演するイベントでも、毎回、ものすごい印象をお客さんに残していますよね?
矢川:イベントの後にチェキ会とか特典会をやると、「今日初めて観たんです」というお客さんが来てくださるんです。初めて観てくださったお客さんに印象を残せているのかもしれないな、というのは、感じています。
EMTG:5月9日に赤坂ブリッツでやったワンマンライブも盛り上がりましたし、いい風が吹いている感覚はありますよね?
コショージ:……どうでしょう? このシングルで、いい風を起こしたいです(笑)。
EMTG:サクライさんのブクガに対する一層の情熱も、最近すごく感じますよ。
矢川:サクライさんは、メジャーデビューが決まるかもくらいの時から、すごい熱いなあってなり始めている気がします。
EMTG:もともとは、とても大人しいタイプの方ですよね?
矢川:そうですね。でも、最近は“次はこういう感じで頑張りたい!”というのを、すごく思っているようです。
EMTG:クリエイターとして手応えを感じていらっしゃるんだと思いますよ。「rooms」のMVも、二宮ユーキさん(ブクガのMVや写真を数多く手がけている映像作家、写真家)と共同監督したんですよね?
コショージ:はい。「rooms」のMVは、水の中から手が出てくるシーンがあるんですけど、あそこだけ誰の手か分からないんですよ。謎の手です。
和田:メンバーは誰もやっていないんです。怖い(笑)。
井上:あれ、女の子の手だよね?
コショージ:多分。
矢川:もしかしたらサクライさんの手かも。
和田:“サクライさんが出演している説”があるじゃない?
井上:そんな地味な真相!?
和田:サクライさんの手をまじまじと見たことがないから分らない(笑)。
EMTG:ベッドから手が垂れ下がるシーンもありますよね。
コショージ:あれは撮影の時に全員がやったんです。
井上:私、「あのシーン、一番上手だね」って二宮さんに言われた。
矢川:じゃあ、使って頂いたの、唯ちゃんの手じゃない?
井上:どうなんだろう?
コショージ:よく観たら分かるかな?
EMTG:メンバーにとっても、いろいろな謎があるMVなんですね。
和田:そうなんです。
EMTG:こういうコンセプト、テーマですよという話は、メンバーに対して毎回ないんですよね?
井上:ないです。MVも、曲に関してもそうなんですけど、具体的なストーリーとかの説明はなくて、抽象的なんですよ。MVも素材をいろいろ撮影して、後で組み立てる作り方をしているようです。だから私たちもいつも完成を楽しみにしています。
EMTG:抽象的だからこそ、いろいろ想像できてワクワクするって、リスナーの我々にとってもブクガの醍醐味です。
コショージ:曲って“私とあなた”というようなものが多いと思うんですけど、そうじゃない曲もいいなあって、最近よく感じているんです。ブクガもそうなのかもしれないですね。
EMTG:これは僕の個人的な感覚ですけど……ブクガって、“私とあなた”というような登場人物が繰り広げる具体的なストーリーではなくて、“この世界に入り込みたくなる”という場所とか空間を提示してくれる音楽だと思います。
矢川:そうですね。お客さんも「ここはこう思ったよ」って、いろいろな感想を言ってくれますし。この人の解釈が私のと似ているなあって思ったりしながら私も楽しんでいます。
和田:分からない部分を妄想で噛み砕いて解釈することを私もしていますね。
EMTG:例えば「rooms」は、《部屋》とか《雨》とか、ブクガの曲に度々登場する言葉が出てくるじゃないですか。そのことによって“この曲とあの曲は関連があるのかな?”とか想像する面白さもあるんですよ。
井上:私もいろいろ想像するのを楽しんでいます。このメンバー内でも4人それぞれイメージしていることは違うでしょうし、受け取り手によって曲のストーリーが無限なんだと思います。
EMTG:「rooms」は、不思議な無音の間が盛り込まれていますけど、これも想像力を刺激する素敵なスパイスです。
コショージ:「次の曲、どうしますか?」という話があった時に、私は“次、攻めるとしたら無音とか面白いのかな”と思っていたんです。この「rooms」の無音は、聴いていて面白い感じになっていたので、すごいと思いました。
EMTG:コショージさんが無音に関心を持ったきっかけは、何かあったんでしょうか?
コショージ:『フィッシュストーリー』という映画を観たのがきっかけです。昔のパンクバンドのレコードが出てくるんですけど、途中の1分くらいが無音なんですよ。映画の中でそれは“呪いのレコードだ”みたいなことになっていて、“売れてるバンドだったらこういうのはかっこいいけど、売れてないバンドだったらかっこよくないじゃん”という感じなんです。それが印象に残っていて、無音って面白いなって思っていました。
EMTG:無音とか変拍子とか、マニアックな要素が入っているのにもかかわらず、理屈抜きで“ワクワクする!”ってなれるのが、ブクガの恐るべき魅力ですよ。
井上:音楽の難しい理論とかは分からなくても、“かっこいい!”と言えるものにはなっていると思います。
コショージ:「rooms」は、音楽にそんなに詳しくない友だちからもLINEとかで「新曲、すごい好き」って言われています。幅広い人たちにも刺さるものになっているんだなあと感じられて嬉しいです。
EMTG:ライブで既に歌っていますけど、お客さんの感想も熱いんじゃないですか?
井上:「めっちゃ乗ってたら、急に音が止まるから、この乗ってる手をどうしたらいい?」と言われて、たしかに! と思いました(笑)。
和田:無音の間があるので、電話はマナーモードでお願いします(笑)。「あの間の時に、会場内の物音がするのが面白い」っていう感想をおっしゃる方もいましたね。
矢川:初披露した日に、「なんだこの曲は!?って思って、嬉しくてニヤニヤしちゃった」っていう感想も頂きました。
コショージ:ライブだと、無音のところは照明を落とすんですよ。それも相まって、独特な雰囲気になっていると思います。ライブで、より立体的に表現できるようになっていきたいですね。
井上:インストアイベントの時は、照明が明るいままなので、恥ずかしいんですけど……。
コショージ:裸を見られているような感じだよね?っていう話をしています(笑)。
EMTG:(笑)では、他の曲の話に移りましょう。2曲目の「last scene -2017Ver.-」(2015年9月にリリースした1stアルバム『bath room』にも収録されている曲)は、ボーカルが新録でリマスタリングもしていますが、どういう経緯で収録することになったんですか?
コショージ:赤坂ブリッツのライブの時、最後の曲が「last scene」だったことが大きいんだと思います。「録り直したいよね?」みたいな話は、ちょっと前から出ていたんですよ。
井上:振り付けも赤坂ブリッツのライブで一新したんです。ブクガの中で「last scene」が最初にできた曲で、もう3年前くらいなんですよね。当時よりも私たちも歌とダンスで表現できることが広がっていますから、この機会に新しくすることができて良かったです。
和田:もともとのものも、あれはあれでいいんですけど、別の作品としても感じて頂けるものになったと思います。
矢川:最初にレコーディングした時は何も分からなかったので、「とりあえず歌って」って言われて、そのまま歌ったんですよ。でも、今回のレコーディングの時は「跳ねるように」とサクライさんからリズムの取り方について言われて、雰囲気を自分なりに汲み取って歌いました。とてもいい仕上がりになったと思います。
EMTG: 3曲目の「a-shi-ta」は、コショージさんが書いた詩のポエトリーリーディングですね。
コショージ:はい。7月ぐらいの朝の4時とか5時くらいのイメージの詩です。起きた朝でもいんですけど、これから寝る感じかもしれないですね。
EMTG:《朝》とか《透明》とか、不思議なイントネーションの言葉がコラージュされているのが気になったんですけど。
コショージ:あれ、どうやっているか分かりますか?
EMTG:分からないです。
コショージ:逆から読んだ音を逆から再生しているんですよ。
EMTG:言葉の音を母音と子音に分解して逆から読んで、それを逆回転で再生するやつ?
コショージ:そうです。
井上:レコーディング中にサクライさんが思いついたみたいです。母音と子音を書いて、「これやってみて」と突然おっしゃったんですよ。読んでいる時は、どの単語なのか分からなかったんですけど、完成したのを聴いたら独特なニュアンスになっていて、ブクガらしいなと思いました。
矢川:『image』のポエトリーリーディングの「opening」は感動的だったのに、サクライさんのアイディアによって、また怖い感じに戻りました(笑)。
コショージ:最初は怖くなる予定はなかったんだよ。
矢川:詩はすごくかわいいですからね。でも、面白い仕上がりになったので、みなさんに聴いて頂くのが楽しみです。
和田:「a-shi-ta」は、私が読んだ《キラキラ》というところが思い出に残っています。コショージ監督は、そこのニュアンスにこだわりがあったみたいで、何度も読み直したんですよ。
コショージ:《キラキラ》と《キュラキュラ》の間みたいな感じで読んで欲しかったんです。和田なら、ちょうどいい感じで言ってくれそうだなと思っていました。
和田:コショージ監督が求めているニュアンスを頑張りました(笑)。ポエトリーリーディングは、毎回ひとつはそういうポイントがあるんです。
EMTG:独特な風味が炸裂したシングルですね。恒例となりつつある、顔がよく見えないアーティスト写真も含めて、何だろう?って興味を持ってくれる人が、さらに広がると思いますよ。
和田:広がって欲しいです。写真を見ても、誰だか分からないかもしれないですけど……。
コショージ:でも、前回の写真よりは見えるようになっていますから。
矢川:私、顔が見えない方が落ち着くようになってしまいました。
井上:顔が見えないから想像が膨らむんです。
和田:みなさんの期待に応えられる顔かどうかは分かりませんが……。
EMTG:4人ともかわいいので、絶対に大丈夫です!
井上:良かったです(笑)。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 シングル 女性ボーカル Maison book girl

リリース情報

412

412

2017年07月19日

徳間ジャパンコミュニケーションズ

1. rooms
2. last scene -2017Ver.-
3. a-shi-ta
4. rooms(instrumental)
5. last scene -2017Ver.- (instrumental)
6. a-shi-ta(instrumental)

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

“412” リリースイベント
07/19(水) TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店
07/21(金) ヴィレッジヴァンガード渋谷本店
07/22(土) タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
07/23(日) タワーレコード渋谷店
07/23(日) タワーレコード新宿店
07/30(日) タワーレコード梅田NU茶屋町店
07/30(日) タワーレコード難波店

ekoms presents two-man live
「Maison book girl×GANG PARADE」

07/20(木) 渋谷VUENOS

THE BIG PARTY × ASOBINITE!!!
07/21(金) 新木場 ageHa

夜明けの月と煙 vol.12
07/25(火) 青山月見ル君想フ

ekoms presents 「oto no ha osaka ver.」
07/29(土) 東心斎橋CONPASS

SHINJUKU LOFT PRESENTS 【新宿系ガールズミーティング Stage.7】
08/01(火) 新宿LOFT

TOKYO IDOL FESTIVAL 2017
08/04(金) - 06(日)
お台場・青海周辺エリア

「KIND OF MAGIC VOL.1 」
08/09(水) 渋谷La.mama

オワリカラ会場限定シングルリリースツアー 「ベルトコンベアー時代」
08/10(木)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3

@JAM PARTY vol.17
08/13(日) KIBAカルチャーズ劇場

IDOL SONIC
08/16(水) 幕張メッセ内 SIDE-SHOWステージ

@JAM EXPO 2017
08/26(土) - 27(日) 横浜アリーナ

『和田輪と松永天馬のたのしい知識』
08/28(月) 阿佐ヶ谷ロフトA

“オモチレコード×ヴィレッジヴァンガード presents SETA FES”
09/03(日) 名古屋ReNY limited

obs presents「幾何十」
09/09(土) SENDAI CLUB JUNK BOX

夏の魔物2017 in KAWASAKI
09/10(日) 神奈川県・川崎市東扇島東公園・特設会場

秋のYOIMACHI
11/05(日) 大塚 Hearts+、Deepa、MEETS
※大塚複数会場往来自由

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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