映画『亜人』主題歌「BLACK MEMORY」は、THE ORAL CIGARETTESの新たな代表曲に。
THE ORAL CIGARETTES | 2017.09.26
6月にシングル「トナリアウ/ONE’S AGAIN」をリリースし、初の日本武道館ワンマンを大成功させて大きな話題を振りまいたTHE ORAL CIGARETTES。もちろん、そんな状況もバンドにとってはゴールであるはずもない。9月27日にはアグレッシヴなシングル「BLACK MEMORY」のリリースを控え、まだまだシーンを揺さぶってくる。ちなみにこのシングルは映画『亜人』の主題歌に決定しており、音楽ファン以外の人が耳にする確率も高まるはずだ。そんな規模の大きなタイアップにメンバーがどう向き合ったのか、心意気を訊いてみた。
- EMTG:ニューシングルの「BLACK MEMORY」は『亜人』の主題歌で、かなり強力なタイアップですが、どう受け止められました?
- 山中拓也(Vo・Gt):タイアップをいただけた喜びはもちろんですけど、それよりもついに『亜人』がたくさんの人に知られる機会になるんじゃないかなって。やっとこの作品が受け入れられる時代が来たんやっていう嬉しさの方が勝ってました。そして、このタイミングで僕らにこのお話が来たのも、絶対に何かの運命なのかなと。
- 中西雅哉(Dr):有名な作品だし、キャストも豪華だし、すごいお話やなとは思いつつ、そこにちゃんと向き合えるだけのモチベーションというか、自信はありましたね。むしろ“あ、オーラルに合う作品やな”って思ったし、まったく抵抗はなかったです。
- 鈴木重伸(Gt):僕は単行本の1巻が出た時からずっと読んでたんですよ。何なら、アニメが放送されるずっと前から知っていたんで、自分の感覚で言うと『ワンピース』の主題歌に決まった!ぐらいのインパクトなんです。だから、ホンマに嬉しい限りですし、純粋に楽しみです。
- あきらかにあきら(Ba・Cho):僕も純粋に嬉しかったですね。映画の主題歌も初めてだったし、豪華な出演者の映画主題歌をやれるのもすごいことだと思って。僕はお話をいただいてからマンガを読んだんですけど、俺らに合いそうだって感じたし、ホントにモチベーションたっぷりで挑めました。あと、映画館で見ると、音がすごいじゃないですか。そんな環境でオーラルの曲がかかるのも嬉しいですね。
- EMTG:資料によりますと、主題歌を作るにあたって、監督さんと打ち合わせされたとのことですが……。
- 山中:ありましたね。そこで監督さんが“ライブの最後を飾れるような楽曲を作って欲しい”て言ってくださって。まさかライブの話が出るとは思ってなかったんですよ。最終的には“オーラルのためになるような楽曲を作ってくれ”と。“『亜人』はこういう設定だから、こういうサウンドでいってくれ”というような感じで細かく言われると思っていたのが、意外にもフリーだったんです。それで、“このシーンから(曲が)流れ始めるから”ってことだけ受け取って、あとは自由に作らせてもらいました。
- EMTG:じゃあ、かなりストレスなく曲作りができたと。
- 山中:ですね。そこからプリプロ段階の曲を聴いてもらいつつ、話し合いを重ねました。
- EMTG:仕上がってみると、まさに“ライブの最後を飾れるような”曲になりましたね。ドラムの出だしにも駆り立てられるし。
- 山中:僕が作っていたデモでは、最初から“Get it up”のコーラスがドラムと一緒に始まっていたんです。で、最初ドラムにはフィルターをかけていたんですね。その部分については監督とかなり話し合いました。
- EMTG:随分、細かいポイントを話し合われたんですね。
- 山中:バンド4人がオールインして“Get it up”が始まるところがあるんですけど、楽曲を作る人間からすると、ここを押さえたら、ここが浮いてくる……という部分はわかるんですよ。だから、最初は冒頭にフィルターをかけた方が、オールインの部分に迫力が出ると思ったんです。でも、監督からの要望は“このシーンのここを一番ハラハラさせたいんだ”と。“じゃあ、バンドがオールインした時の爆発力は多少落ちるけど、それよりも最初の部分を重視した方がいいってことですか?”って確認して、最初からガッツリとドラムを入れることになりました。
- EMTG:かなり繊細な話ですね!
- 山中:作る側と聴く側のガッツリしたディスカッションって、初めてだったんですよ。たぶん、監督が言ってくることと、リスナーが言ってくることって近しいんだろうなって思って、新たに勉強させてもらいました。
- EMTG:そんな印象的なドラムを披露したまさやん(=中西)自身は、気持ちよく叩けましたか?
- 中西:レコーディングの時、最初は全然うまくいかなくて。でも、レコーディングに来てくれてたドラム・テックの方がいろいろレクチャーしてくれたんですよ。“もっと体で叩いた方がいい”って。そのアドバイスを受けて叩いたテイクが、本番のやつなんです。
- あきら:レコーディングの時、スタジオでモニターを見ていたら、“まさやん、叩き方変わったな”と思って。最終的にはみんなで立ち上がって“その感じその感じ!”って言いながら手を叩いてました。
- 中西:たぶん、最初は頭で考えながら叩いてたんですよね。
- 山中:まさやん、「BLACK MEMORY」のレコーディングが終わってから、ドラムがめちゃぬちゃうまくなりましたもん。
- 中西:それまでは、すっごいスランプやったんですよ、個人的に。でも、この曲のおかげでそこから抜け出せました。
- EMTG:ちなみに、歌詞に関しては監督さんから何か注文はありましたか?
- 山中:最初は『亜人』のストーリーに寄せて歌詞を書いてたんです。でも、監督が“サウンドで十分映画に寄ってもらったから、歌詞はオーラルのためになる歌詞でいいよ”って言ってくれたんですよ。すげぇありがたいなと思って。俺らのシングルであることは間違いないし、俺らの代表曲になっていく曲だから、やっぱり自分たちのことを書きたいっていう思いはありましたからね。なので、「トナリアウ/ONE’S AGAIN」の次は何を伝えるべきなんだろうって思って歌詞を書きました。
- EMTG:「BLACK MEMORY」は、なかなかダークサイド全開の歌詞とサウンドで、ハードな印象ですよね。この夏のフェスで披露されたと思いますが、どんな反応でした?
- 山中:やっぱりライブでの爆発力はすごいと思いました。まだリリースしてないのに、オーディエンスがああいう状態になるのは「狂乱 Hey Kids!!」を出した時の感じを思い出しますね。
- EMTG:相変わらずカップリングも名曲ですが、「Flower」は「BLACK MEMORY」とは違うベクトルの曲ですか?
- 山中:2月ぐらいに曲をばーっと作った時期があって、「Flower」はその中の1曲なんです。この曲を入れたのは、やっぱり「トナリアウ/ONE’S AGAIN」の流れを汲んだシングルにしたかったからなんですよね。
- EMTG:確かに、同じ匂いを感じます。ギターにもクリーンさがありますし、こういうストレートなギターは慣れましたか?
- 鈴木:そうですね。昔に比べれば、音の運び方もわかるようになってきたと思います。
- 山中:で、「接触」の方は、レコーディング直前に作りました。
- あきら:拓也がこの曲を持ってきた時点で、もう縛りなく、好きなことやろうぜっていうスタンスで、半分セッションを交えながら作っていったんです。まさやんとはスタジオに入って、いろいろアレンジしたんですけど、押せ押せのサビ以外は、インディーズ時代に僕らが得意としていた部分が出たのかなぁと。すごく張り切りましたね。
- EMTG:さて、11月からは唇ワンマン「Diver In the BLACK Tour」がスタートしますが、その前に今年のフェスはどうでした? 去年は、かなり意識改革をして臨んだと言っていた記憶があるんですが。
- 山中:去年は去年で、日本武道館をやるために、どういうバンドにならなきゃいけないかとか、ライブハウス以外でやるバンドってどんなもんだろうっていう……。そこに足を踏み入れる作業に悩んでいたと思うんですよ。でも、今年は実際に武道館も経験して、自分達でも納得のいくライブができたので、そこに足を踏み入れることができたんだなって。ただ、その踏み入れた世界が自分の知らない世界過ぎて、今戸惑ってます(苦笑)。
- EMTG:戸惑ってますか(苦笑)。
- 山中:やっぱり話すことも変わってくるし、戦う相手も変わってくる。じゃあ、自分達はどこに向けてやっていくか。そのフェーズに足を踏み入れた時に、いろんなことがガラッと変わったのを体感したんで、フェスの景色も、そういう意味では変わって見えていたかもしれないですね、今思えば。確かにお客さんは増えたと思うけど、むしろ悩まないといけない時期なのかなって。ここを悩まずにいってしまったら、終わるんじゃないかって感覚はありますね。やっぱり悩んで苦しまないと成長しないと思うんで。
- EMTG:資料には『亜人』の本広克行監督が“『亜人』の主題歌の役割は、“終わらない戦いに終止符を打つ、非常に重要なもの”と語ったとありますが、当のメンバーは戦ってるんですね!
- 山中:う~ん、うまいこと言いはるな(笑)。
- EMTG:さて、唇ワンマンのお話に繋げますが、『亜人』効果で、新しいお客さんが増えそうですね。
- 山中:まだどういうワンマンツアーになるかハッキリ見えてないんですが、やっているうちに何かを見つけていければいいかな。
- EMTG:むしろ、先の話だけど、来年2月15日の大阪城ホールの方が思い入れが大きかったりして。
- 山中:やっぱり僕らが有名なアーティストのライブを見に行く大きな会場っていったら、だいたい大阪城ホールでしたからね。そこに自分たちが立って1万何千人の人たちを迎えるわけだから、それなりの使命感と責任感は感じてます。あと、やっぱり地元っていうのはデカくて。武道館はどうしてもリアルな感覚がなかった代わりに、それが本番で爆発してすごくよかったですけどね。大阪城ホールは昔からの思い入れがある会場なので、武道館とはまったく別な行程を踏まないと、いいライブはできない気がします。
- 中西:僕は地元が関西というわけではないけど、まぁ、大阪には2年住んでましたからね。昔は大阪城ホールなんて、夢のまた夢でしたけど、メジャーデビューが決まって上京する時、大阪の仲間が“大阪城ホールでライブしてくれるの待ってるよ”って言ってくれたんです。自分の夢なのに、それを一緒に目指してくれる仲間もいてくれて、すごく大切なライブやなって思います。
- 鈴木:実は大阪城ホールは、今の事務所のオーディションに受かった年の年末のイベントにオープニングアクトとして出させていただいた会場なんです。その時は主役でも何でもなかったけど、“今度は絶対に自分たちの力で帰ってきたい”と思ったんですよね。
- あきら:僕は2016年の、なら100年会館の感覚に近いかな。あれは地元での初ホールだったんですけど、やっぱり地元に有名アーティストが来た時の定番やったんですよね。で、大阪やったらやっぱり城ホールなわけで。地元も近いし、武道館には来れなかったじいちゃんばあちゃんも来れるし。高校の友達とか同級生とか、“影ながら応援してます”っていう人たちにも影じゃないところで応援させるタイミングやなって(笑)。まさやんの話にも通じるんですけど、忘れかけてた感情がその日、戻ってきそうなんですよね。昔お世話になってライブハウスのスタッフさんも“絶対行くよ!”って言ってくれてるし、そういう場所が用意できたのはすごく嬉しいです。
- EMTG:号泣ポイントが出てきましたね。
- 山中:あ、でもね、この前FM802のイベントが大阪城ホールであって、それに出演させていただいたんですけど、ステージ終わってから僕がスタッフに“マジでちっちゃかったっすわ”って言ったらしくて…。僕はそんなことを言った覚えはないんですけどね(苦笑)。でも、確かに昔見ていた大阪城ホールの光景より全然小さかった気がします。
- EMTG:小さい頃に見た光景って、デカく感じますからね。
- 山中:だからスタッフにめっちゃプレッシャーかけられてるんですよ。“お前、ああ言ったからには余裕なんやろうな!”って(笑)。
- EMTG:余裕のステージ、楽しみにしてます!(笑)。
【取材・文:海江 敦士】
リリース情報
BLACK MEMORY
2017年09月27日
A-Sketch
1.BLACK MEMORY
2.Flower
3.接触
2.Flower
3.接触
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